金利の相場は?不動産投資の金利を決める要因と低金利で借りる7つのコツを紹介

不動産投資でローンを利用するなら、利益を上げるうえで有利なものを選びたいですよね。今回は、最適なローンを選ぶために押さえておくべき金利に関するポイントを解説します。ぜひ、最適なローン選びをするための参考にしてみてください。

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金融機関ごとの不動産投資ローンの金利相場

金利は不動産投資のキャッシュフローに大きな影響を与えるため、不動産投資ローンは、金利を考慮して組むことが大切です。金利は金融機関によっても異なります。そこで、金融機関によって金利にどれくらいの差があるのか、事前に把握しておきましょう。

メガバンク・都市銀行は1%前後

メガバンク・地方銀行とは、三菱東京UFJ銀行とみずほ銀行、三井住友銀行を指します。これら3行の金利相場は1%前後です。地方銀行などと比べて金利が安いことに加えて、返済期間が長いのがメリットです。

規模が大きく全国に支店があるため、購入を希望する物件の大半が対象になるほか、郊外の物件であっても購入できます。

ただし、融資の審査が厳しいことが難点です。投資家の属性はもちろん、対象となる物件においても所定の条件が設定されているため、審査に多くの時間を要します。

地方銀行は1~4%前後

地方銀行は、エリアによって金利の幅が大きいのが特徴で、金利相場は1~4%前後です。メガバンクに比べると融資が通りやすいことが利点といえます。

とはいえ、中には不動産投資の融資に力を入れていない地方銀行もあります。また、購入物件がエリア内になければ融資の対象とならないケースがあるので注意が必要です。

信用金庫・信用組合は2%半ば程度

地域の金融機関である信用金庫や信用組合の金利は2%半ば程度で、地方銀行と大差はありません。

融資の条件は信用金庫によって異なるほか、地方銀行と同様に不動産投資への融資に積極的でないケースも見受けられます。また、一部エリアの物件のみを融資対象としていることもあります。たとえば、東京都と埼玉、神奈川県の物件でなければ、融資を受けられないといったものです。

日本政策金融公庫は1.2~1.9%程度

財務省所管の金融機関である日本政策金融公庫の金利相場は、1.2~1.9%程度です。

不動産投資ローンで借入したい場合には「新規開業資金」「シニア・若者・女性向け開業資金」「一般貸付」が利用できます。対象者であれば、金利の優遇や返済期間の延長ができます。

初めて不動産投資をする人や、実績の少なさから融資に対する不安を抱えている人は、日本政策金融公庫に相談してみることをおすすめします。

ノンバンク系は3~5%程度

銀行以外の金融機関であるノンバンク系の金利相場は、3~5%程度です。一般的な銀行などと比較すると、審査がゆるい特徴があるものの、金利相場はもっとも高くなっています。

また、審査スピードも圧倒的に早く、3~5日程度で融資を受けられるケースも少なくありません。

ただし、ノンバンク系は金利が高い特徴があるため、収益性を求めるのであれば推奨できません。素早く融資を受けたい場合、銀行などの審査を通過できない場合に限って検討するとよいでしょう。

不動産投資の金利は「〇%」と一概にいえない2つの要因

不動産投資で利用するローンの金利には明確な相場がないため、「金利は〇%」と、断定することはできません。

それは、ローン金利が以下に示すようなさまざまな要因によって決まるからです。

要因1.投資する物件の収益性

要因2.借主の社会的信用度

ここでは、不動産投資ローンの金利を決める2つの要因について紹介します。金利の変動要因を把握しておくことで、個別のケースで低金利のローンを借りるポイントがわかるので、確認しておきましょう。

要因1.投資する物件の収益性

不動産投資ローンの金利を左右する要因のひとつが、投資する物件に見込まれる収益性の大小です。

投資物件から得られる収益は、ローンの返済にあてる原資になります。そのため、投資対象が安定して収益が得られる物件であれば、返済能力も高く安全とみなされ、ローンの金利が低く設定されるのです。

一般的に、アパートよりマンションのほうが低金利になる傾向があります。それは、以下のような理由から、マンションのほうがより空室リスクが低く、そして売却もしやすく、収益性が高いと判断されることが多いからです。

・マンションはアパートより耐用年数が高い

・比較的立地条件が良い

このように、ローンを低金利で利用するには、収益性の高い物件を選んで投資することがポイントです。

要因2.借主の社会的信用度

ローンを利用する借主にどれだけ返済能力があるのかという社会的信用度も、金利を左右する大きな要因です。

返済が滞るおそれがあると判断されれば、高金利になってしまったり、そもそも審査に通らなかったりすることがあります。

社会的信用度は、以下のとおり、借主個人の資産状況と勤務先・事業の状況など複数の側面から判断されます。

・借主本人に貯蓄や資産、安定した収入などがあるか

・クレジットカードの返済に滞りはないか

・勤続年数は長いか

・勤務先に倒産の危険性はないか

返済能力に問題がないと判断されれば、低金利で貸し付けを受けられる可能性は高いでしょう。

不動産投資でおすすめの金利タイプは「変動金利」

不動産投資ローンの金利タイプには金利の見直しの有無によって複数の種類があり、代表的なものは「変動金利」と「固定金利」です。

金利タイプ

変動金利

固定金利

概要

半年ごとに金利の見直しを行う

返済期間をとおして金利の見直しを行わない

メリット

固定金利より利率が低く設定されている

返済額が一定なので資金計画を立てやすい

デメリット

金利が上昇した場合、固定金利の利率を上回る可能性がある

市場金利が下がっても返済利率は高いまま固定される

借入時点の変動金利より高めの利率に設定される

繰り上げ返済をすると違約金が発生する場合が多い

不動産投資ローンの金利は、以下の理由から変動金利がおすすめです。

・返済総額を少なく抑えられる

・繰り上げ返済時の違約金がかからない

理由について次で詳しく説明します。

返済総額を少なく抑えられる

変動金利は、固定金利よりも低い金利が設定されているため、返済総額を少なく抑えることができます。

特にローンの返済期間が短い場合は、金利が大きく上昇するリスクも少ないので、金利を抑えたまま完済することも可能でしょう。

なお、変動金利には「125%ルール」と呼ばれる金利の上限があり、返済額は金利見直し前の返済額の125%より高くなることはありません。

【例】金利変更前の返済月額が10万円の場合、見直し後に金利が上がっても、返済額は12万5,000円が上限となる

ただし、上限を超えた分は次回の見直し時に上乗せされるため、注意が必要です。

繰り上げ返済時の違約金がかからない

変動金利では、ローンの返済期間中に物件を売却して繰り上げ返済をしても違約金がかかりません。

不動産投資では、市場の動向や税金対策の観点から、5年程度の短期間で物件を売却することがあります。しかし、ローンにおいては返済期間中に物件を売却すると途中解約にあたるため、違約金を設定することの多い固定金利では余計な費用が発生してしまうのです。

不動産投資を始める際は、物件を売却する可能性を考慮して、ローンの違約金の有無も確認して選びましょう。

不動産投資ローンには融資上限がある

不動産投資ローンの融資額には上限があります。あらかじめ自分がどのくらいの融資を受けられるのかを知っておくことも大切です。

融資限度額は年収の約10倍まで!

基本的に融資限度額は年収の約10倍が目安となっています。たとえば、年収500万円のサラリーマンであれば、融資額は3500~5000万円ほどです。

とはいえ、受けられる融資額について明確な基準があるわけではありません。あくまで目安として理解しておきましょう。

年収だけで融資額が決まるわけではない

年収に加えて、職業・年齢などの「本人属性」や、融資対象物件の「収益性」「担保性」によっても融資額は変動します。

年収が低くて希望の融資が受けられないといった場合には、属性の評価を上げるほか、融資対象物件の見直しを行うことも大切です。

金利は引き下げ交渉もできる

金利は交渉によって引き下げられる可能性があります。とはいえ、不動産投資の初心者が金融機関に直接交渉をするのは避けましょう。金利交渉には豊富なノウハウや多くの時間が必要となるためです。

金利交渉をする場合は、不動産業者に依頼して交渉してもらうのがおすすめです。不動産業者に依頼する際は、金融機関とつながりが強く、実績のある不動産業者を選ぶことがポイントです。

また、金利交渉を行うタイミングも重要であり、景気や個人の属性が高く評価してもらえる時期を見定めることが重要です。交渉する際は、事前に情報収集や返済実績をつくるなどの準備を怠らないようにしましょう。

低金利の不動産投資ローンでもフルローンを避けるべき理由

低金利の不動産投資ローンであれば、フルローンで物件購入を検討する方もいるかもしれません。しかし、フルローンにはさまざまデメリットがあり、円滑に不動産投資を運用できなくしてしまう原因になります。できる限りフルローンでの物件購入を避け、自己資金比率を上げて無理のない範囲で借り入れることが不動産投資成功のカギとなるでしょう。

ここでは、低金利の不動産投資ローンでもフルローンを避けるべき理由を解説します。

ローンの審査が通過できなくなる

不動産投資ローンをフルローンで利用した場合、審査の通過が難しくなります。

フルローンの場合、頭金の支払いがないため融資額が増えますが、金額が増えるほど金融機関は未回収のリスクを背負うことになるため、審査が厳しくなるでしょう。

金融機関はローンの未回収が発生しないようにするため、年収が多い方や資産を持っている方でなければフルローンを断る傾向が強いです。そのため、融資だけで物件購入を検討していても自身の収入や信用、物件の収益性がよほど良くない限り、融資額は減額されてしまうでしょう。

不動産投資を始めるために不動産投資ローンの利用を考えているのであれば、審査通過しなければ意味がありません。審査に落ちてしまうようなリスクを避けるためにも、頭金を入れて確実な審査通過を目指しましょう。

月々の返済金額が多くなりキャッシュフローの悪化につながる

フルローンは月々の返済額が高くなるため、キャッシュフローの悪化につながりやすいデメリットがあります。頭金を入れないため、借入金額が高くなり毎月の負担額は大きなものとなるでしょう。

例えば、4,000万円の物件を購入する際に金利3%のローンで返済期間を22年に計画し、フルローンで返済する場合と頭金を入れた場合の返済額は以下のように異なります。

 

月々の返済額

総支払額

フルローンの場合

207,158円

54,689,606円

頭金を1,000万円入れた場合

155,368円

41,017,215円

差額

51,790円

13,672,391円

フルローンの場合の月々の返済額は207,158円、頭金を1,000万円入れた場合の月々の返済額は155,368円となり、51,790円の差が開きます。初期費用として頭金の用意が必要なものの、毎月約50,000円の負担を減らせるため、キャッシュフローの圧迫を防げるでしょう。

不動産投資においてキャッシュフローの圧迫は大きなリスクです。不動産投資では、入居者が集まらない空室リスク、賃料が支払われない滞納リスク、建物や設備の修繕が必要な修繕リスクなどが発生する可能性があり、基本的にどの場合も自己資金を使って解決しなければいけません。

キャッシュフローが圧迫されて自己資金がギリギリの状態の場合、トラブルに対応できず、入居者を集められなかったり、修繕ができなかったりと負のスパイラルに陥る可能性があります。

金利が上昇したときの影響が大きい

フルローンの場合は借入金額が大きいため、金利が上昇したときの影響が懸念されます。

仮に返済期間は22年、フルローンで4,000万円を借りた場合と頭金を1,000万円を入れた場合、金利が上昇すると総支払額は以下のように変動します。

 

フルローン

頭金を1,000万円入れた場合

金利3.0%

54,689,606円

41,017,215円

金利3.5%

57,412,506円

43,059,364円

金利4.0%

60,210,969円

45,158,179円

金利5.0%

66,029,473円

49,522,064円

金利が0.5%上昇するとフルローンの場合は2,722,900円、頭金を入れた場合は2,042,149円が総支払額に上乗せされます。同じ金利上昇であっても680,751円の差が生まれ、フルローンのほうが大きな影響を受けてしまうでしょう。

また、金利が2.0%上昇するとフルローンの場合は11,339,867円、頭金を入れた場合は8,504,849円が総支払額に上乗せされます。差額は2,835,018円となり、金利上昇の影響は顕著に表れます。

このようなリスクがあるため、変動金利タイプのフルローンを検討するのであれば金利上昇のリスクを計算した計画が重要です。

低金利で不動産投資ローンを組むためのコツ

不動産投資ローンの金利を低く抑えるコツは、次のふたつです。

・複数の金融機関に相談して金利を比較する

・金融機関と提携している不動産投資会社を選ぶ

・自分の属性をアップさせる

それぞれ、どのようなところがポイントとなるのか確認してみましょう。

複数の金融機関に相談して金利を比較する

ローンの借入先ははじめから1ヶ所に絞るのではなく、複数の金融機関に相談して金利を比較しましょう。金融機関によって、以下のようにさまざまな条件が異なるためです。

・ローンの金利や借入額

・返済期間

・事務手数料や保証料

・審査の基準

上記に加えて、複数の返済シミュレーションを確認することで、自分の希望や重視したいポイントから見て最適なローンを判断しやすくなります。

金融機関と提携している不動産投資会社を選ぶ

金融機関と提携している不動産投資会社を選ぶことも大切です。

金融機関は借主との取引実績を重視するため、初回の融資時はどうしても金利が高めに設定されやすい傾向があります。

しかし、不動産投資会社が金融機関と提携している場合は、比較的好条件で融資を受けやすくなります。提携している金融機関が複数あれば、より物件や条件に合った銀行を紹介してもらえるでしょう。

金融機関との取引実績がない場合は、融資に強い不動産投資会社を選ぶのがおすすめです。

自分の属性をアップさせる

金利は属性によって変動するため、自分の属性をアップさせることに注力するのも大切です。安定した収入があれば高い評価を得られるとはいえ、収入を上げるためだけに安易に転職を決意するのはおすすめしません。

手軽にできる方法として、クレジットカードの限度額を引き下げることが有効です。また、利用していなくても複数のクレジットカードを持っているだけで、属性が下がる可能性もあります。限度額の設定やクレジットカードの登録枚数を見直しましょう。

アパートではなくマンションで不動産投資を始める

低金利で不動産投資ローンを組むのであれば、アパートよりもマンションへの投資がおすすめです。一般的に不動産投資ローンの金利は、本人の属性とともに投資先の建物の資産価値も審査の基準としています。

マンションはアパートと比較すると、駅チカなど好立地に立っているケースが多いだけでなく、構造上でも資産価値が高くなりやすい傾向があります。アパートの場合、木造や軽量鉄骨で作られている場合が多い一方で、マンションは鉄筋コンクリート造が多いため、より高い資産価値を持っています。

そのため、資産価値の高いマンションのほうが低金利で不動産投資ローンを受けやすいといえるでしょう。

しかし、アパートよりもマンションのほうが物件価格が高い傾向があります。低金利で不動産投資ローンを利用できる可能性が高いからと選んだ場合、キャッシュフローの悪化も懸念されるため、自己資金比率などを考慮したうえで選択しましょう。

利用経験のある金融機関へ相談する

利用経験のある金融機関があれば、事前に相談してみるとよいでしょう。過去に融資を受けた経験があれば、個人の属性を把握しているため、審査の手間が減りスムーズに不動産投資ローンを利用できる可能性が高まります。

とくに、今まで利用した融資を滞りなく返済していれば、金融機関からの信用度も高いため、低金利で好条件の不動産投資ローンを提案されるかもしれません。

経営者であれば事業用の融資、そうでなければマイカーローンなど、どのような金融商品であっても付き合いがあるほうが有利に審査を進められるでしょう。

ただし、経営者でもない限り、金融機関との付き合いがない方がほとんどです。

もし相談できる金融機関がない場合は、物件を購入する不動産会社に相談してみましょう。取引実績のある不動産会社からの紹介であれば信用度も厚く、通常よりも好条件で不動産投資ローンを組める可能性が高まります。

低金利の不動産投資ローンは、今後の利回りにも大きく影響を及ぼすため、どのような方法であれ好条件で利用できるように施策しましょう。

自己資金比率を上げて頭金を入れる

直接的に金利が下がるわけではないものの、自己資金比率を上げて頭金を用意すれば借入額が下がります。

また、頭金の支払いは不動産投資のローン審査にも関係するため、できるだけ確実に通過を目指す場合は無理のない範囲で用意しておきましょう。

ただし、無理をして頭金を支払った場合、運用中に起こる何らかのトラブルに対応できなくなってしまうため注意してください。頭金の金額は、あくまでも余剰資金から支払い、万が一の事態に対応できる資金は残しておきましょう。

まとめ

不動産投資ローンの金利は、借主の年収や社会的信用度、投資物件の収益性などの要因によって変動します。一概に◯%という相場はなく、金融機関の商品によっても金利の大小には差があります。

基本的にメガバンクや都市銀行は、金利が安く返済期間を長く設定できる傾向があるため、不動産投資を始めるうえでは有利なローンとなるでしょう。低金利で不動産投資ローンを利用できれば、総支払額が下がるため、利回りの改善にも寄与しますが、審査基準が厳しいケースがほとんどです。

そのため、自身の属性や投資対象にあった不動産投資ローンを選ぶ必要があります。また、固定金利よりも変動金利のほうが低金利で利用できるため、選択肢のひとつとして視野にいれておくのもよいでしょう。

ただし、不動産投資を成功させるためには、金利に着目するだけでなく管理や運用を適切に行うことが大切です。

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