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住宅ローンの不正利用とは?
住宅ローンの不正利用とは、住宅ローンをマイホームの購入以外の目的で利用する行為のことです。
住宅ローンは、国民がマイホーム取得をしやすいようにという観点から融資条件が有利になっています。そのため、自らは居住するつもりがないにも関わらず、住宅を投資目的で購入するようなケースもあります。
自分で住まない物件を投資用に購入したいとき、本来であれば不動産投資ローンを組むのがほとんどです。しかし、この不動産投資ローンは借り入れ条件が厳しく設定されており、金利も高めに設定されています。
住宅ローンも不動産投資ローンも対象となるのは物件ですが、条件のいい住宅ローンを不正に利用するケースがあります。
住宅ローンの審査基準と審査通過ポイントは、以下の記事でも詳しく解説しています。
住宅ローンの不正利用に巻き込まれるケースと手口
住宅ローンの不正利用は個人で行われることは少なく、悪質な不動産会社から提案されて巻き込まれるケースもあります。
ここでは、住宅ローンの不正利用に巻き込まれるケースと手口を紹介します。
住民票の移動や虚偽報告
住宅ローンの不正利用の中でも多い手口は、投資用物件の住所に住民票を移して、マイホームと偽装する方法です。
住民票を移すだけという簡単にできる方法であるため、不正の手口として多くなっています。しかし、実際にそこに住んでいるわけではないため、調査が入ったときにはすぐに発覚しやすいのも特徴です。
数年生活してから賃貸物件にする
数年生活してから賃貸物件にするのも、住宅ローンの不正利用で多いケースです。
住宅ローンは、居住を条件に優遇されているローンであるため、完済するまで他人に貸し出すことはできません。
一方、転勤や近隣トラブルなどの理由で引っ越しを余儀なくされた場合、住宅ローンを完済せずに賃貸物件として貸し出しても不正にならないケースもあります。
このようなルールを悪用し、数年生活してから賃貸物件にするようなケースもあります。
悪質な不動産会社に任せきりにしてしまうケース
住宅ローンの不正利用に巻き込まれるケースとして、悪質な不動産会社と気づかずに、すべての手続きを任せてしまう場合です。
プロだからと根拠なしに信頼して任せていると、知らない間に不正利用してしまっているケースもあります。悪質な不動産会社の手口としては、「誰でも簡単に不動産投資で儲かる」という甘い言葉で勧誘するのが一般的です。
バレることはないと安全性を強調するのもよく使われる手口ですが、実際には発覚のリスクも高いです。
また、高額な不動産を買わされるような場合もあるため、不動産投資を行う際には信頼できる不動産会社選びも重要となります。気になることや不安なことがあれば、不動産会社に質問していくのも方法の一つです。
住宅ローンの不正利用はどのようにバレるのか?
住宅ローンの不正利用はどのようにバレるのでしょうか。
ここでは、住宅ローンの不正利用がどのようにバレるか解説します。
郵便物が届かない
住宅ローンの不正利用が疑われるのは、物件の住所と本人の住所が異なる場合です。
自分が住むために取得した住宅なら、その住所あてに郵便物を送ることによって、住宅ローン利用者本人に届きます。しかし、住宅ローンを不正利用しているなら、そこには他の入居者が住んでいるため郵便物は差し戻されるというわけです。
金融機関は住宅ローンの利用者にローンに関する書類を郵送する場合があり、宛先の住所に受取人がいない場合は不着となって戻され、契約者の居住状況の調査が行われる場合があります。
内部告発
悪質な不動産会社や金融機関などの関係者が、不正の実態を告発して不正利用がバレるケースがあります。
内部告発は大規模な不正発覚につながるケースも少なくありません。
また、長期間人が住んでいない様子を不審に思った近隣住民が、関係機関に連絡して発覚する場合もあります。
データ分析
AI技術の普及に伴い、近年では住宅購入目的でない可能性のあるローンの申込みを検知し、
不正利用が発覚する場合もあります。
例えば、過去の審査データを学習済みのAIモデルが、住宅購入目的ではない住宅ローンの不正利用に該当する可能性を可視化するツールです。
このケースであれば、住宅ローンの審査担当者が審査時にスコアを参照し、不正利用の見落としを防げます。
金融機関や住宅金融支援機構の調査
金融機関や住宅金融支援機構などは、さまざまな調査を通して、住宅ローンの不正利用を防いでいます。
ローン申込者が申込書類や添付資料の整合性を細かくチェックし、不自然な点がないかを確認します。過去の申込データとの比較分析も行い、収入が急に増加していないかや、住所が頻繁に変わっていないかなども調査対象です。
聞き取り調査も頻繁に行われており、借入者への直接確認はもちろん、取引先や勤務先なども対象となる場合があります。
また、他の金融機関や不動産会社、警察、国税庁が連携し、より広い範囲の調査も行っています。
住宅ローンを不正利用するリスク
住宅ローンの不正利用は知らなかったでは済まされません。
ここでは、住宅ローンを不正利用するリスクを紹介します。
借入金の一括返済
住宅ローンの不正利用が発覚した場合、金融機関からは借入金の一括返済が求められるのが一般的です。
ローン残高によっては多額の資金を用意しなければなりませんが、自己資金でカバーできない場合も出てきます。
その際は、銀行や信用金庫などの金融機関に相談するか、売却する必要が出てくるでしょう。売却しても完済できず、資金が足りない場合は、債務整理が必要になる場合もあるでしょう。
不動産投資の繰り上げ返済については以下の記事でも詳しく解説しています。
不動産投資で繰り上げ返済するメリットは?注意点や向いている人の特徴
金融機関からの信頼を失う
住宅ローンの不正利用が発覚した場合、借りた人に悪意がなくても、金融機関からの信頼を失うことになります。
これまで住宅ローンをしっかり返済してきた場合でも、不正利用が発覚すると、ブラックリスト入りと同じ状態になると覚悟しましょう。不動産投資を再開しようと思っても、新たにローンを組むことができず、新たに不動産投資を行うことはできません。
信用情報は金融機関で共有されることから、どの金融機関にも不正利用の事実が伝わります。ブラックリストになると、融資を受けられないだけでなく、クレジットカードの作成もできません。
損害賠償請求などの法的措置
住宅ローンを利用すると、金融機関や住宅金融支援機構に対して融資金額全額の返還を求められます。
また、金融機関や住宅金融支援機構の信用を傷つけたことによる風評被害として、間接的な損害賠償を求められる場合もあります。
住宅ローンの不正利用にはさまざまなリスクがあるため、自らが不正利用することだけでなく、巻き込まれないようにも注意しなければなりません。
住宅ローンの不正利用に巻き込まれないために
住宅ローンの不正利用に巻き込まれないためにも自衛が大切です。
ここでは、不正利用に巻き込まれないために意識しておきたいポイントを紹介します。
契約前に十分に確認する
住宅ローンの不正利用に巻き込まれないためには、申込書類の内容をきちんと確認しておくことが大切です。
収入や職業、住所などの個人情報が正確であるかどうかを確認し、虚偽の記載を求められていないか注意深くチェックしましょう。
物件の実態把握も欠かせないことの一つで、実際に訪問して、居住できる状態かどうかを確認する必要があります。
また、不動産会社の信頼性確認も重要なポイントです。不動産会社や金融機関の実績や評判を調べ、国土交通省や金融庁の監督下にある不動産会社かどうかを確認しましょう。
疑わしい勧誘や提案への対処法
不動産会社から疑わしい勧誘や提案をされた場合、その場での判断を避けて、複数の不動産会社に相談することをおすすめします。
焦って判断してしまうことで、住宅ローンの不正利用をしてしまい後悔してしまう可能性もあります。
気になる場合は専門家へのセカンドオピニオンを求めてもよいでしょう。弁護士などの専門家に相談し、内容に問題がないかを確認するのもおすすめです。
まとめ
この記事では、住宅ローンの不正利用の状況や手口、ケース、トラブルに巻き込まれないために知っておくべきことを解説しました。
住宅ローンの不正利用は、本来ならマイホームの購入のためにしか使えないローンを、不動産投資用として悪用することです
。住宅ローンは金利が低く設定されていたり、借入期間が長かったりするため、この優遇を不動産投資に悪用するケースもあります。
オーナーに不正利用の意図がなくても、悪質な不動産会社に騙され、知らないうちにトラブルに巻き込まれている場合もあるため注意しなければなりません。
そうならないためにも、不動産投資を行うなら信頼できる不動産会社を選びましょう。
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