【不動産投資ローン】3つの審査基準と審査通過のポイント

不動産投資用の物件を買う際、自己資金だけで賄えない場合はローンを利用します。不動産購入のためのローンとなると、一般的には住宅ローンがよく知られていますが、不動産投資ローンと住宅ローンはまったく異なるものです。 ここでは、住宅ローンとの違いや不動産投資ローンの審査基準、審査に通過するポイントについて解説します。

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「不動産投資ローン」と「住宅ローン」は何が違う?

不動産投資用の物件を購入するにあたって、不動産投資ローンを利用する人は少なくありません。不動産投資ローンと聞いて、なかには住宅ローンのようなものをイメージする人もいるのではないでしょうか。

住宅ローンは利用者自身が住む物件に対するものであるのに対し、不動産投資ローンは収益を生むための物件に対するものです。不動産投資ローンは事業目的で借りるものであるため、融資を受けるには明確な事業計画と返済プランを示す必要があります。

不動産投資ローンは一般的に住宅ローンに比べて審査が厳しく、審査期間も長くなる傾向にあります。また、金利も住宅ローンよりも高く設定されており、住宅ローンの金利が約0.5~2%であるのに対し、不動産投資ローンの金利は約1.5~4%になっています。

不動産投資ローンの審査基準は主に3つ

不動産投資ローンの審査では、申込者の信頼性に加えて投資用物件の価値も重視されます。ここでは、3つの審査基準について詳しく説明します。

1.申込者の信用情報と信頼性

住宅ローンと同様、不動産投資ローンにおいても申込者の返済能力や信頼性を審査します。返済能力は与信力によって判断され、具体的には申込者の年齢や職業、雇用状態、年収、借入状況などから審査します。

年収の目安は500~700万円とされていますが、個人事業主の場合は、年収が高くても会社員や公務員などに比べて安定性の面で不利になるケースが多いです。

2.物件の資産価値

申込者の購入物件にどれぐらい資産価値があるか金融機関が審査するのは、ローンの返済が滞った場合に投資物件を担保として回収するためです。

駅前にあったり周辺施設が充実していたりして立地が良く、災害リスクが少ない物件は資産価値が高いうえ、年数を経ても価値が下がりにくい傾向にあります。物件の資産価値は収益の維持にも影響するため、ローン審査では重視されます。

3.物件の担保価値

物件の担保価値とは投資物件の収益力のことです。地価や路線価、固定資産税評価額、耐用年数、実質利回りなどの数字を用いて収益力を審査します。

中古物件よりも新築物件、木造よりも重量鉄骨造りやRC造の物件のほうが担保価値は高くなりやすいです。

不動産投資ローンの審査に通過するためには

不動産投資ローンの審査に通過するには、申込者自身と投資物件の両面で対策を立てる必要があります。

できるだけ自己資金を用意して借入額を減らす

自己資金を増やせれば、おのずと借入額を減額できます。金融機関に返済リスクが小さいと見なしてもらえ、審査に有利に働きます。

クレジットカードやすでに利用しているローンを見直す

不動産投資ローンを利用する前に、現在借りているローンやクレジットカードの利用状況をチェックしておきましょう。ローンが残っている場合、不動産投資ローンで借りられる額にも影響を及ぼします。既存ローンで返済ができそうなものは、先に返済しておくと良いでしょう。

金融機関と提携している不動産会社を利用する

投資物件は不動産会社を通じて探すことになりますが、不動産会社を選ぶ際には提携金融機関も考慮しましょう。

ローンを利用する際、不動産会社が紹介してくれた金融機関であれば審査がとおりやすくなることがあります。また、不動産会社は提携金融機関のローンにとおるための対策も知っています。

利回りが高く運用しやすい物件を選ぶ

不動産投資ローンの審査では、物件の価値が大きなポイントになるため、収益性の高い物件を選べばローンにとおりやすく、融資金額も大きくなる傾向にあります。

不動産投資ローン審査の手順

ローンの審査通過の対策ができたら、いよいよ審査をしてもらうための手続きをはじめます。不動産投資ローンの審査手順を見ていきましょう。

不動産投資ローンの事前準備

まずは、物件を購入する不動産会社や金融機関の融資担当者に、ローン利用を相談します。ローンを組む金融機関が決まったら、審査に必要な書類を準備します。必要書類は主に以下のとおりです。

【物件に関するもの】

・物件概要書

・レントロール(物件の貸借状況一覧表)

・売買契約書

・重要事項説明書

・不動産登記簿謄本(登記事項証明書)

・公図

・建築確認済証

・建築図面など物件資料

【申込者に関するもの】

・身分証明書(写真貼付のもの)

・健康保険証

・住民票

・実印、印鑑登録証明書

・収入証明書類(源泉徴収票や確定申告書など)

・直近3年分の納税証明書

・勤務先の概要、職歴書

・不動産関連資格などの証明書

・既存ローンに関するもの(賃貸借契約書、支払通帳、既存ローンの返済予定表)

・保有財産一覧

審査開始・融資可否の通知

審査は「事前審査」と「本審査」の2段階で行われます。審査期間は約2~4週間程度かかり、事前審査と本審査の間に不動産の売買契約を結びます。審査・契約・融資実行までの流れは以下のようになります。

①事前審査

必要書類を提出し、事前審査が開始されます。申込者の収入や借入状況、物件の資料によって事前審査が行われます。

②不動産売買契約を結ぶ

事前審査に通過したら、不動産売買契約を結びます。事前審査に通過すると、本審査も通過する可能性は高いですが、落ちてしまうこともあります。そのため、ローン審査に落ちた場合は契約を白紙にする条項をつけることが多いです。

※金融機関によっては、事前審査の前に売買契約を結ぶケースもあります。

③本審査

本審査では、物件の資産価値や担保価値について詳しく調査が行われます。

④融資実行

本審査に通過すると金融機関から融資の決定通知が届きます。金融機関で手続きを行い、物件の引き渡しとともに融資が実行されます。

まとめ

住宅ローンが「ローン利用者の住居を買うための資金を借りること」であるのに対し、不動産投資ローンは事業資金の性質が強いローンです。そのため、ローン審査では申込者本人の収入や与信力などに加え、投資物件の価値が重要視されます。

ローン審査に通過するには、申込者本人の収入や借り入れ状況を改善するだけでなく、物件選びが大きなポイントになります。

審査にあたっては、本人に関する書類や物件に関する書類が多く必要になります。書類の不備は審査にも影響するので、しっかり準備をして審査に臨みましょう。