ワンルームマンションの不動産投資は儲からない?その理由とは

不動産投資を検討している方で「ワンルームマンションに投資しても儲からない」という話を聞いたことはないでしょうか。実際にワンルームマンション投資を避ける投資家は一定数おり、さまざまな要素からリスクが多いと判断されることもあります。今回は、ワンルームマンションの投資が儲からないといわれる理由と儲けるためのコツを解説します。

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ワンルームマンションでは儲からないといわれる4つの原因

ワンルームマンション投資(もしくはワンルーム投資)は、アパートやマンションを1棟丸ごと購入・建設するのではなく、1戸単位で購入する投資手法です。建物の一部を活用することから、区分マンション投資とも呼ばれます。

購入したワンルームを学生・ビジネスマンなど単身世帯に貸し出せるため、少額ながら安定した収入を得られる手法として確立してきました。手軽に始められるのがワンルームマンション投資の魅力ですが、一方で「儲からない」「やめた方がいい」と敬遠する投資家も少なくありません。

下記では、ワンルームマンションでは儲からないといわれる理由を解説します。

1.利回りが低い

ワンルームマンションが避けられやすい理由のひとつに、利回りの低さが挙げられます。利回りが低いと、当然ながらかけたコストに対して得られる利益が少なくなります。

ワンルームは1戸単位の家賃が低いだけでなく、最安値を求める利用層が多いことから価格競争が激しくなりやすい傾向があります。そのため短期投資だけでは、利益を生み出しにくい投資方法です。管理費・修繕積立金などの支出が多いことも、利回り悪化の要因となっています。

2.安定した収入につながりにくい

ワンルームマンションの場合、所有する戸数が少ないと安定した収入を得られません。アパート1棟丸ごと所有する投資と異なり、空室が収入に直接的な影響を及ぼすので心理的な参入障壁が大きくなります。

また、家賃滞納が起きやすいリスクも存在します。家賃滞納や突然の空室で収入が急激に落ちるリスクも、ワンルームマンションへの投資を避ける人が多い理由です。

3.運用費用がかかる

ワンルームマンションの場合、ローンの返済に加えて管理費や修繕積立金などの諸経費が発生します。固定資産税や火災保険料も所有する戸数に応じてコストが倍増する点は、費用面でのデメリットになるでしょう。

また、退去時はクリーニングやリノベーションなど修繕が必要になることも考えられます。

4.共用部のリノベーションや修繕が困難

ワンルームマンションの共用部は、入居者全員で利用するスペースです。管理会社や組合の判断によって修繕・リノベーションが決定します。オーナーである投資家個人の判断だけで決定することができず、経年劣化や汚れによる見栄えの悪さが入居率に影響しても、スピーディーな対応は困難です。

特にワンルームマンションは共用部が全体のイメージを左右してしまうことも多く、管理会社・組合の方針次第では入居者の獲得が難しくなることも考えられます。自分の判断で設備投資できない部分がある点も、懸念ポイントです。

ワンルームマンションの不動産投資で生じる主なリスク

前述した、ワンルームマンションでは儲からない理由のほかにも、投資の際に不安視する要素はいくつか挙げられます。

ここでは、ワンルームマンションの不動産投資で生じやすいリスクを解説します。

家賃の下落リスク

新築のワンルームマンションを購入する場合、その後の家賃下落リスクを正しく把握しておかなくてはなりません。ワンルームに限らずマンション投資全体に共通するリスクとして新築時の賃料が最も高い一方、年数とともに徐々に価格が下がることが挙げられます。

最初の入居者が退去した後、次の入居者を募る場合は「新築」「まだ誰も利用していない」という付加価値が下がり、入居希望者自体が減ってしまう可能性があります。新築時の賃料をもとに収益性を計算するだけでなく、家賃が下落したときのことも考慮した判断が求められます。

売却価格の下落リスク

売却価格が購入価格より下がってしまう可能性も、把握しておくべきリスクです。建物は経年劣化に伴い、価値が徐々に下がっていきます。家賃収入が安定していても、最終的な売却代金が低ければトータルでの収益性は確保できません。

リスクを避けるためには、購入から売却までのトータル収支を判断して物件を選ぶことが大切です。ワンルームマンションでの投資の成否は、家賃収支の高低だけではないことを理解しておきましょう。

出口戦略が限られるリスク

ワンルームマンションでは、出口戦略が売却に限られることが多い点も特徴です。ほとんどが賃貸での利用となり、主な売却先は投資家に限られてしまいます。

30平方メートル以上のファミリータイプマンションであれば、中古物件を求める個人家庭が購入してくれる可能性がありますが、ワンルームを購入する個人は多くありません。

将来的にオーナー自身が住む家として確保したり、贈与・相続の対象にしたりすることもできますが、売却時はターゲットが限られてしまうことを視野に入れておくべきです。

ワンルームから不動産投資を始める利点とは

ワンルームマンションの不動産投資にはリスクがあるとはいえ、利点も明確に存在します。ここからは、ワンルームから不動産投資を始める4つのメリットを紹介します。

初期費用を抑えられる

不動産投資をワンルームマンションから始める利点のひとつに、比較的誰でもチャレンジしやすいことが挙げられます。

地方都市のワンルームマンションであれば、200~300万円でスタートできる物件も多く、新車を1台買うくらいの金額で不動産投資を始められるのです。

一方で家族をターゲットにしたファミリーマンションや一棟マンションを購入するとなると、頭金だけで数百万円用意しなければなりません。

さらに、数千万円規模のローンを組むことになるので、初めての投資や資金面に不安がある状態で始めるには大きな負担となるでしょう。

資金力があまりない方や不動産投資の経験が浅い初心者にとって、初期費用を抑えられることは大きな利点です。

入居者が見つかりやすい

ワンルームマンションは、都市部や駅から近い場所など、利便性の高い場所にあるのが一般的です。そのため、入居者のニーズに合いやすく、選択肢に入りやすいといえます。

例えば、通勤や通学において利便性が高いかどうかは入居を決める際の判断基準になりやすいです。その点、ワンルームマンションは電車の沿線のような好立地にあることが多く、新生活を始められる方をはじめ候補として上がりやすい傾向があります。

また、柔軟性の高いワンルームは、小規模の会社や個人事業主などにも人気で、オフィス代わりとして使われることもあります。

住居だけでなく簡単なオフィスとしても使いやすいワンルームは、さまざまなニーズがあり入居者が限定されない点が大きな魅力といえるでしょう。

仮に入居者が退去したとしても、単身赴任の会社員や学生などをターゲットにして募集をかけられます。ターゲットが限定されてしまうファミリーマンションに比べ、退去があってもすぐに入居者を見つけやすいのは、大きな利点のひとつです。

現金化しやすい

通常、不動産投資自体は、株式のような投資債権と比較して流動性が低いといわれています。これは、一棟マンションやファミリーマンション、一軒家の場合、取引価格が高額で買い手がすぐに見つからないためです。

しかし、ワンルームマンションの場合は、ほかの不動産に比べて投資としての流動性が高いといわれています。

ワンルームマンションは、少ない初期投資で初心者でも比較的始めやすい不動産投資であることから、購入者を見つけやすく売却しやすいため、現金化しやすいです。

ワンルームマンションは、立地条件が良いこともあり、実際に不動産投資物件として購入を考えている人が多くいます。

多くの資産を持つ投資家だけでなく、これから不動産投資を始めたいと考える初心者や、住居用に購入したいと考える方もいるため、短期での売却が可能なのです。

リフォーム費用を節約しやすい

不動産を持つ人が頭を悩ませる問題のひとつとして、リフォーム費用が挙げられます。経年劣化はもちろん、入居者が退去したあとのクリーニングや補修も貸主が負担するのが一般的です。

壁紙の張り替えやフローリング、畳の張り替えなど、定期的に発生するこのような費用も、ファミリータイプの物件と比較するとワンルームマンションでは比較的安く済みます。

また、ワンルームマンションの場合はリフォームの工期も短くなるため、退去後の原状回復作業も早く、空室期間を最小限に抑えられます。

好立地の物件を見つけやすい

入居者が見つかりやすいという項目でも紹介したように、ワンルームマンションは電車の沿線など好立地に建てられているのが一般的です。

住居を探している人の多くは、最寄り駅から自宅マンションまでの距離や通勤通学の利便性を重視して決めます。

ワンルームマンションの多くは、このようなニーズを満たしている場所に建っていることが多いので、好立地の物件を見つけやすいといえるでしょう。

ワンルームマンションの不動産投資で成功する5つのポイント

ワンルームマンションの不動産投資はリスクや不確定要素が多く、投資に踏み切れない方もいるでしょう。しかし、アパート1棟丸ごと購入したり戸建てを買ったりする方法よりも初期コストを抑えられるメリットがあるのも事実です。

リスクを抑えて、ワンルームマンションの不動産投資で成功するポイントを5つ紹介します。

1.長期的な視点で投資を行う

不動産投資は、長期的な運用が一般的です。ワンルームマンションであっても同様です。ワンルームマンション投資をスタートさせたら、数十年単位のキャッシュフローを把握しておきましょう。

ワンルームマンションの投資では、利回りや売却のしやすさから短期的な収益を追いがちです。しかし、目先の利益ばかりにとらわれていると、失敗してしまうリスクが高くなります。

賃貸経営では、ローン返済や管理費などの継続的な出費もあるので、小さな利益をコツコツと積み重ねていくことが成功の秘訣といえるでしょう。

2.ワンルームマンション投資について情報収集する

ワンルームマンションは、戸建てやアパート1棟買いとはターゲットが異なります。考慮すべきリスクも異なるので、まずは情報収集から始めましょう。

ワンルームマンション投資向けのセミナー・勉強会は多数開催されており、近年はオンラインで気軽に参加できるイベントも増えています。不動産会社が主催することも多く、掘り出し物件情報を仕入れられるのが大きなメリットです。

予定の空いている日にイベントが開催されていれば、積極的に参加してみることをおすすめします。

3.需要が高い物件を選び空室リスクを抑える

物件の価格ばかりを気にして、立地の悪いマンションを選ぶのはおすすめしません。物件の価格が安いことは、短期的な目線で考えれば魅力的ですが、空室リスクが高まるため注意が必要です。

物件を選ぶ際には、入居者が入りたいと思える物件かどうかを重視して選ぶようにしましょう。

入居者のニーズは、地域によっても異なります。地域の物件相場をチェックしながら、人気物件の特徴を調査し、ポイントを絞って購入することで空室リスクを避けられます。

さらに注意したい点は、不動産投資会社の営業が勧めるから良い物件というわけではないことです。

営業の言葉を鵜呑みにして決定するのではなく、必ず自分でも調査して見極めることが重要です。

4.入居しやすい条件に変える

入居しやすいよう、築年数が経った物件や入居率の低い物件は家賃を下げてみるのがポイントです。敷金・礼金を安くする、フリーレント期間を設けてみる、家具・家電付きにしてみるなどで、初期費用を抑えたい層へ効果的にアプローチできます。

同エリア・同価格帯の部屋と比べてメリットがあるようにすることが重要であり、競合調査が欠かせません。

5.不動産の価値を向上させる

不動産の価値自体を向上させられるよう、老朽化が激しいときはリフォームや修繕を検討してみましょう。玄関ドアから内側の専有部分であれば、比較的自由にリフォームできます。

ただし、管理組合によってルールが異なるので、事前に確認しておきましょう。物件購入時にローンを組んでいる場合は、金融機関への相談も必要です。

まとめ

ワンルームマンションへの投資は、「儲からない」と避けられることが少なくありません。しかしワンルームマンション投資向きの方や入念に周辺の情報収集できる方にとっては、低リスクで始めやすい投資手法といえます。

今回紹介した内容をもとに、ワンルームマンション投資のメリット・デメリットを理解しておくことをおすすめします。