不動産投資はいくらから始められる?自己資金を抑える6つの方法

不動産投資は、自己資金と金融機関からの融資を合わせて実行するのが一般的です。自己資金の割合に関するルールはなく、「いくら貯まっていれば不動産投資を始めてよいのか」と疑問を抱く人は多いのではないでしょうか。 今回は、不動産投資に必要な自己資金をはじめ、初期費用を抑えるコツや資金に合った不動産投資の始め方を解説します。

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不動産投資に必要な初期費用の内訳

不動産投資を始めるのに必要な初期費用の内訳は、以下のとおりです。

・仲介手数料

・ローンの事務手数料・保証料

・印紙代

・火災保険料

・各種税金

それぞれ具体的に見ていきましょう。

仲介手数料

仲介手数料とは、不動産の売買契約が成立したタイミングで、成功報酬として不動産仲介会社に支払う費用のことです。

仲介手数料は、法律で上限が決まっています。具体的には、400万円を超える物件の仲介手数料の上限は「売買価格×3%+6万円+消費税」です。なお、決まっているのは上限額なので、不動産仲介会社によっては、これよりも安価になる場合があります。

ローンの事務手数料・保証料

投資用の不動産を購入するにあたって、ローンを利用するなら金融機関に事務手数料や保証料を支払うことが必要です。

それぞれの目安は、以下のとおりです。

事務手数料

・定額制では3万円程度

・定率制では借入金額の1〜3%程度

保証料

・一括払いの場合は融資総額の2%程度

・金利を上乗せする場合は融資総額の0.2〜0.3%程度

印紙代

不動産を売買するときの契約書や、ローンを利用するときに必要な金銭消費賃借契約書に貼付する印紙の費用です。印紙とは、契約書など国税庁の定める課税文書で必要な印紙税を納めるためのものです。

貼付すべき印紙の額は、売買する金額や年度などに応じて変動するので、国税庁ホームページで確認しましょう。

火災保険料

不動産投資ローンを利用する場合は、融資の条件として、火災保険に加入しなければなりません。

火災保険に加入するための費用は物件の種類などによって異なります。マンションの場合は、10年間で10万円程度が目安です。

各種税金

不動産の取引をすることで、さまざまな税金の支払いが発生します。主な税金を確認しておきましょう。

登録免許税

・不動産登記の手続きをするときに発生する

固定資産税・都市計画税

・物件の契約が成立し、所有権が移るタイミングで必要となる

不動産取得税

・物件の取得後に発生する

 

【種類別】不動産投資に必要な費用

ここでは、不動産投資の種類別に必要な金額を解説します。不動産の金額によって必要な資金も変動するため、必ずしも下記の金額を満たす必要はありませんが、ひとつの目安として参考にしてみてください。

また、そのうちの何割を自己資金で用意できそうか、シミュレーションしてみましょう。

区分マンション

区分マンションの場合、一般的な相場は、1,000万円~2,000万円台です。築年数が古い物件であれば500万円程度、新築かつ人気のあるエリアであれば、ワンルームでも1,000万円以上することがあります。

都内など特に相場が高く設備も良い高級マンションであれば、1,000万円~4,000万円と幅広くなることも想定しておきましょう。

一棟のアパートやマンション

アパートやマンションを一棟購入する場合、必要な金額は千差万別です。

アパートは、中古であれば2,000万円から5,000万円前後で購入できます。マンションは中古であっても最低5,000万円から、エリアや築年数によっては1億円~2億円程度かかることもあります。

戸建て物件

戸建て物件は、立地によって金額が大きく変動します。駅から遠く車の利用が前提のエリアであれば、中古で100万円前後と安価な金額設定がされている物件もあります。

一方、都心から少し離れた郊外の戸建て物件であれば1,000万円~5,000万円程度が相場です。都心など地価が高く人気のあるエリアであれば、1億円を超えることも珍しくありません。

また、ファミリー層に人気なエリアか、高級住宅街かなどによっても変動することがあります。

その他の不動産投資

物件を購入するほかにも、不動産投資の手段は複数存在します。代表的なのは、下記の3つです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は、複数人でひとつの不動産を保有する投資方法です。個人向けだけでなくオフィスビルなどの不動産が投資対象となる場合もあります。一口100万円程度の比較的少額の資金で投資できることから、注目を集めています。

不動産クラウドファンディング

不動産クラウドファンディングは、不動産投資会社のプロジェクトに出資する投資方法です。案件によっては1万円ほどから投資できますが、全額自己資金を前提としています。

REIT(不動産投資信託)

REIT(不動産投資信託)は、証券取引所などが投資家から集めたお金を賃貸不動産に投資して運用する方法です。5万円ほどから投資でき、売却したいときに自由に手放せることが魅力として広がりました。

いずれも少額から始められるメリットがある一方で、物件を自分の手元に残したり、自分で自由に運営したりできないことに注意が必要です。

投資方法によっては元本割れのリスクや、利回りが低いなどのデメリットもあるので、事前調査を欠かさないようにしましょう。

不動産投資に必要な自己資金の目安

自己資金とは、不動産投資を始める際に自分で用意できる資金のことを指します。3,000万円の物件を購入するにあたって、2,000万円をローンで借り入れて残り1,000万円を貯金でまかなう場合、この1,000万円が自己資金にあたります。

自己資金は「頭金+諸費用」に充てられることが一般的です。それぞれ必要な自己資金の目安は以下のとおりです。

費用の項目

必要な自己資金の目安

頭金

物件価格の10~20%

諸費用
(仲介手数料や印紙税など)

新築:物件価格の4~7% 
中古:物件価格の7~10% 

これらの項目をあわせて、物件価格の15~30%の自己資金を用意するのが理想的です。

自己資金が少ない場合

投資対象によっては、自己資金が少なくても融資を受けて不動産投資に踏み切れる場合があります。

金融機関によって異なりますが、不動産投資の場合は一般的に年収の10~20倍の融資を受けられることが多いです。

一棟アパート・マンションの場合は不動産価格の20~30%程度の頭金が必要になりますが、ワンルームマンションであれば物件価格が低いので頭金を抑えやすくなります。ワンルームマンションでは年収の8~15倍近い融資が受けられることが一般的です。

【自己資金の金額別】不動産投資できる物件の種類

自己資金に応じて購入できる物件を絞り込む際は、以下の計算式で目安とすべき数値を算出すると便利です。

「購入可能な物件価格=自己資金÷15%~30%」

自己資金の金額別の目安は以下のとおりです。

自己資金

購入可能な物件価格

購入可能な物件の種類

100万円

300万円~600万円

安価な区分マンション

500万円

1,600万円~3,300万円

区分マンション
戸建て賃貸
一棟アパート

1,000万円

3,300万円~6,600万円

区分マンション
戸建て賃貸
一棟アパ―ト
一棟マンション

3,000万円

1億円~2億円

一棟アパート
一棟マンション
収益ビル

 

自己資金を抑えて不動産投資する方法

下記では、自己資金を抑えて不動産投資を始める方法を解説します。自己資金が足りず、不動産投資を始めるか悩んでいる方は、チェックしてみましょう。

日本政策金融公庫を利用する

日本政策金融公庫とは、100%政府が出資・運営している金融機関です。個人事業主や中小企業のサポートを目的としているため、比較的融資が受けやすくなっています。

ただし融資を受けられるのは事業として投資をおこなう場合のみで、個人では融資を受けられない場合もあります。

フルローンを利用する

フルローンとは、ローン金額がそのまま物件価格となる融資のことです。自己資金がなくても不動産投資を始められるので、初期費用を用意できないときに検討しましょう。

ただし、物件購入時の諸費用(仲介手数料・印紙税・登録免許税・ローンの事務手数料・火災保険料など)は自己資金が必要です。フルローンだと毎月の返済金額も高くなるうえ、返済期間も長くなりやすいので、自分にとって無理なプランになっていないか慎重に検討することが大切です。

また、フルローンは審査が厳しいことにも注意しておきましょう。フルローンを組む際の審査で主に重視されるのは以下の項目です。

・自身の年収が高く勤務先が安定しているか
・将来性の高い職業に就いているか
・投資物件の担保価値が高く利回りの高さが想定されるか

など

不動産投資の成功実績が評価されることもあるので、自分の経歴はあらかじめ整理しておくと良いでしょう。

不動産会社に金融機関を紹介してもらう

自己資金を抑えて不動産投資をするには、不動産会社と信頼関係を築き、ローンを利用するのにおすすめの金融機関を紹介してもらうのも有効です。

不動産会社を通じて金融機関を紹介してもらうと、自己資金や年収が少ないなど条件が不利な場合でも、融資の審査が通りやすくなることがあるからです。

また、不動産会社に相談することで、融資をスムーズに受けるためのアドバイスなどがもらえる場合もあります。

収入に関する属性を活用する

融資の判断基準のひとつである収入に関する属性を高めることで、自己資金を抑えることにつながります。

属性が高いと判断されるのは、平均年収が高い(700万円以上が目安)、安定性の高い職業についている、地位が高い、高い利益を上げている自営業者などです。属性が高いほど、融資の審査に通りやすくなります。

そこで、以下のような方法を試してみるのがおすすめです。

・企業に勤めているうちにローンを組む

・使用していないクレジットカードを解約する、または限度額を下げる

また、ローンの審査が通りやすいのは年収500万以上が目安といわれています。

資産価値が高い不動産を選ぶ

人気の高いエリアの物件や、駅から近い物件、築浅の物件などの資産価値の高い不動産を投資対象に選ぶと、自己資金を抑えることができます。

資産価値が高い不動産であれば、収益性が高く返済能力も高いとみなされるので、フルローンや、少ない自己資金でのローンを組みやすくなるからです。

資産価値の調べ方については、以下の記事でご紹介しています。

評価額を利用したマンションの資産価値の調べ方

少額で始められる不動産投資を選ぶ

自己資金を抑えるには、少額で始められる不動産投資を選ぶという方法もあります。

REIT(不動産投資信託)や不動産小口化商品、不動産クラウドファンディングなどがおすすめです。それぞれの特徴は以下のとおりです。

REIT(不動産投資信託)

・投資家から集めた資金で収益不動産を購入し、得られた収益を投資家に分配する投資信託

・2~5万程度から投資が可能

不動産小口化商品

・複数の投資家が出資して不動産を購入し、出資額に応じて利益を分配する方法

・1口数万円~100万円程度で投資が可能

不動産クラウドファンディング

・インターネット上で募集する匿名組合型の不動産小口化商品

・1口1万程度から投資が可能

少額で始められる不動産投資については、以下の記事でもご紹介しています。あわせてご覧ください。

【少額不動産投資】メリット・デメリットまとめ!運用のポイントは?

まとめ

今回は、不動産投資に必要な自己資金や、金額帯ごとの購入可能物件について解説しました。

自己資金を抑えて不動産投資に着手できる手法もあるので、参考にしてみてください。

自己資金の額に不安がある場合は、まずはプロに相談し、自分がどのような不動産に投資できる可能性があるのか探ってみることをおすすめします。