唯一無二の魅力を有する 大阪「ミナミ」の魅力

筆者は仕事柄大阪を訪れる機会がとても多く、ピーク時には年間で50回以上にもなります。大阪の北エリアもとても魅力的な街ですが、とりわけ「ミナミ」は日本のどこの都市にもないような唯一無二の独特な雰囲気を併せ持っています。 大阪は昔から商業が発達してきたエリアです。「天下の台所」とも言われ、江戸時代には米や食料などの物流の中心ともなっていきました。 現在は大阪の「ミナミ」エリアでは多くの商店街や商業施設があり、経済的にも大きく発展してきました。こうした大阪「ミナミ」エリアや「天王寺・阿倍野」エリアなどの魅力と将来性について見てみましょう。

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①大阪「ミナミ」とは

大阪の「キタ」と呼ばれる大型商業施設・ビジネス街が広がる大阪駅や北浜・淀屋橋などの金融街を含むオフィス街が多いエリアに対して、「ミナミ」は難波や道頓堀などビジネス街と共に商業施設の多いエリアです。

特に難波・心斎橋・道頓堀・千日前など大阪市中央区や浪速区などに多くの商業施設があります。

大型商業施設や古い歴史を持つ大阪を代表する飲食店だけではなく、お笑いを始めとするエンターテインメント、歴史を有する劇場などの文化施設など様々な表情を併せ持った街並みが広がっています。

それだけ就業人口も多く、住宅需要が多いエリアと言う証と言えます。

2023年「なにわ筋線」開業予定でますます活性化するミナミエリア

現在でも充実した鉄道ネットワークを有する「ミナミ」エリアですが、今後さらに「なにわ筋線」の開業でうめきたに開業する「大阪」駅から「中之島」「西本町」を通りJR「難波」駅と南海電鉄「新難波」駅が繋がります。「ミナミ」と「キタ」が繋がる新路線が運行する事により「ミナミ」の交通利便性もさらに向上します。

また関西空港や新大阪駅などから「難波」「天王寺」駅など「ミナミ」へのアクセスも向上する事により国内外からの来訪者の増加も期待されます。

さらに「大阪関西万博」も予定されています。万博への来場者もミナミに来訪する可能性も高いので、万博に合わせて多くの人が訪れる可能性があります。

「なにわ筋線」は「ミナミ」エリアの発展にも大きく寄与するのではないでしょうか。

なにわ筋線路線図

<JR西日本「なにわ筋線」>

https://www.westjr.co.jp/railroad/project/project16/

③インバウンドと商業地域の関係は

訪日外国人の数は新型コロナ発生前の2019年にかけて大きく増加していき、2018年、2019年には3000万人を超えました。大阪の道頓堀を始めとする商業エリアは新型コロナ発生前まで多くの訪日外国人客でにぎわっていました。こうした訪日客は大阪の繁華街・観光地であるミナミにも多く繰り出し、多くの人が集まるエリアでもあります。

訪日外国人旅行者数

2011

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

訪日外客数

622

836

2036

1341

1974

2404

2869

3119

3188

(単位:万人)

<日本政府観光局「年別訪日外客数の推移」より作成>

来訪者が増え商業施設も多く開業した事から土地の需要も非常に多くなり、2019年頃にかけて地価も大きく上昇していました。

中央区の地価動向を見ると住宅地では上昇傾向が続いており、2021年には新型コロナの影響で地価上昇率は縮小したものの地価上昇をキープしました。

商業地ではアベノミクス開始以降の2014年から地価上昇が続いていました。特に商業地では2016年から2020年にかけて平均で10%を超える高い上昇率となりました。2021年には新型コロナの影響で地価が大きく下がりましたが、2022年には下落率も縮小しています。地価が大きく下落したのは高い上昇率が続いていた反動もあり、現在も地価は高い水準にあると言えます。

公示地価

大阪市中央区の地価変動率の推移

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

住宅地

1.6

2.9

3.3

3.1

3.1

3.6

5.8

6.4

0.9

3.5

商業地

△0.4

5.2

4.9

12.8

14.4

13.0

15.1

18.2

△8.1

△3.2

単位:%

<国土交通省「地価公示」より作成>

今後は「アフターコロナ」を見越してホテルの開業計画なども進んでいます。インバウンドや国内旅行者などが新型コロナ前まで復活すれば、大阪「ミナミ」エリアの地価も再び大きく上昇する可能性もあります。

④今後再開発でさらに魅力を増す「ミナミ」エリア

かつて多くの訪日外国人でにぎわった「ミナミ」エリアは、現在はコロナの影響によりインバウンドは減少しましたが、そのような最中でもアフターコロナを見据えて再開発が多く進行しています。

1)難波(なんば)

「難波(なんば)」駅はJR、南海電鉄、大阪メトロ(御堂筋線・千日前線・四つ橋線)、近鉄(大阪難波)など多くの路線が集まり大阪の各地からのアクセスも良好です。JR「難波」駅と南海「難波」駅は若干離れた位置にあります。

周辺は歴史のある繁華街で商業施設も多く、またオフィスビルも多くあり就業人口の多いエリアで多くの人が訪れるエリアです。

JR「難波」駅周辺及び南海鉄道「難波」駅周辺は「都市再生緊急整備地域」に指定されており、多くの再開発が進行しています。

南海電鉄「難波」駅近くのなんばパークスに隣接する「難波中二丁目」エリアでは、大規模な再開発が進行しています。A敷地では地上34階建てのビルにホテル・店舗などが入居し、B敷地では14階建てのオフィス・店舗等の入るビル、C敷地では9階建てのホテル・店舗等の入るビルなどが計画されており、いずれも2023年竣工予定です。

また、なにわ筋線「新難波」駅の建設が予定されており、駅ビルなど周辺の再開発も予定されています。南海電鉄「新難波」駅周辺には多くの地下鉄駅がありますが、今後ますます交通利便性が高まる事も期待されるエリアです。

「難波」駅前の広場や歩道の整備も計画されています。

JR「難波」駅近くでも再開発が進行しています。湊町地区ではJR難波駅に隣接した40階建ての高層ホテルが建設されており2024年に開業予定です。

ホテルの建設も多く、アフターコロナを目指して既に多くのプロジェクトが進行している事が分かります。

都市再生緊急整備地域<難波・湊町地域>

<内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/kuiki/k_nanba.pdf

2)日本橋・黒門市場

電気街としても有名な「日本橋」はアニメなどのカルチャーも盛んです。こうした点は東京の「秋葉原」にも似ています。

大規模な商店街である「黒門市場」があります。食料品を扱う店が多くあり「大阪の台所」とも言われています。大阪でも有数の商店街です。

再開発計画としては、世界的に有名なホテルチェーンであるハイアットが新型のホテルを2024年に開業を予定しています。

3)千日前

道頓堀の南西、「なんば」駅と「日本橋」駅の間に位置する千日前は古くからの繁華街として発展してきました。1914年には娯楽施設「新天地」が開業しました。「うら難波」としても注目を集めています。

「大阪歌舞伎座」「OSK日本歌劇団」「なんばグランド花月」や「吉本興業」などもこのエリアにあります。

「千日前道具屋筋商店街」は「くおだおれ」の街、大阪の調理道具をそろえた商店街です。東京では浅草近くの「かっぱ橋商店街」に当たるでしょうか。南海電鉄「なんば」駅からも近い位置にあります。

難波千日前、高島屋近くにあった元三菱東京UFJ銀行のあった土地は譲渡され、今後再開発が期待されています。

4)心斎橋

「心斎橋」駅は大阪メトロ御堂筋線と長堀鶴見緑地線が乗り入れています。

駅周辺には「心斎橋オーパ」「大丸心斎橋」「心斎橋PARCO」「心斎橋ZERO GATE」「エトワール心斎橋」「ホテル日航大阪」など商業施設、ホテルなども多いエリアです。周辺には「心斎橋商店街」「アメリカ村(アメ村)」などの商店街も多くあります。またプラダ・ヴィトン・シャネルなどのショップの集まるブランドストリートとなっており、東京の「銀座」にも通じるところがあります。ミナミの中でも高級店の立ち並ぶエリアと言えます。

再開発も進んでおり、心斎橋駅近く、御堂筋と長堀通りの交差点のエリアでは「(仮称)心斎橋プロジェクト」として地上28階建てのビルの建設が計画されており、ホテル・オフィス・商業施設などが入居予定で、2026年竣工予定です。

5)道頓堀・宗右衛門町

大阪の繁華街として大変有名なのが「道頓堀」です。多くの看板やネオンサインなどがある風景は大阪の代表的な観光地となっています。大きなカニやグリコの看板は全国的にも有名で大阪のアイコンともなっています。道頓堀はかつて江戸時代には芝居小屋が多くあった歴史を残す「大阪松竹座」が今もあります。

道頓堀川沿いの「とんぼりリバーウォーク」は遊歩道として整備されておりオープンカフェやイベント等にも利用されています。

周辺は老舗の店も多く、大規模な再開発用地の出現は少ないですが、「ニュージャパンなんばビル」の2,000㎡もの跡地を大阪市の不動産会社が買い取り、今後再開発の計画があります。道頓堀近くの大規模再開発と言う事もあり今後の計画に期待されます。

「宗右衛門町」は道頓堀の北側にある繁華街です。大阪名物の飲食店なども多くあり、多くの観光客も訪れます。大阪でも最も地価の高い場所となった事でも有名です。歌の歌詞にもよく登場する地名です。

いずれも日本でも有数の有名な繁華街であり、今後「大阪関西万博」や「リニア中央新幹線」などと合わせて、国内外の旅行者も増加する可能性も高く、新型コロナ発生前のように大きく地価が上昇する可能性もあります。

6)天王寺・阿倍野

天王寺・阿倍野エリアは多くの路線の利用できるターミナル駅で、大阪「キタ」「ミナミ」ともに行きやすい立地です。

都市再生緊急整備地域に指定され、多くのプロジェクトが完成しています。天王寺駅の駅ビルである「天王寺MIO(ミオ)」が2021年にリニューアルし、「HOOP」「あべのand」「あべのベルタ」など多くの商業施設があります。

2011年には「あべのキューズモール」が開業。さらに「あべのハルカス」が2014年に全面開業しました。高さ300mあり開業当時、横浜のランドマークタワーの296mを抜いて日本一の高さのビルとして有名となりました。筆者も年に何度かあべのハルカスの中にある大阪マリオット都ホテルの最上階にあるレストラン「ZK(ジーケー)」に訪れますが、超高層から見る大阪の街には圧倒されます。

天王寺は歴史が古く、聖徳太子の建立した四天王寺があった事が由来と言われています。「天王寺公園」には「天王寺動物園」「大阪市立美術館」「慶沢園」などがある広い公園です。「和宗総本山 四天王寺」など緑や寺院なども多い環境は住居としても人気があります。周辺は学校も多い文京エリアとなっています。今後は住宅地としての開発もますます盛んになるのではないでしょうか。

⑤「ミナミ」エリア、過去の地価上昇の例

大阪「ミナミ」エリアは日本を代表する繁華街で、東京の銀座などに匹敵するか、それを上回る知名度があると筆者は考えます。

海外から見ても魅力が多く、訪日外国人が多く訪れていた事は記憶に新しいと思います。

近年ミナミエリアの商業地や繁華街などで地価が大きく上昇した例を見てみたいと思います。

これは2021年から2022年頃にかけて地価が大きく上昇した反動で調整局面となっていますが、大きく地価が上昇したエリアは再び地価上昇の可能性も高いからです。

過去の公示地価の地価上昇地点を見ると、令和2年の公示地価では宗右衛門町(住友商事心斎橋ビル)の地点の地価が前年比44.9%と非常に大きく上昇しました。過去にも大阪圏の地価上昇率1位をミナミの地点が多く占めていました。

コロナ収束や今後のビッグイベントによって再びミナミ周辺の地価・不動産の資産価値は上昇する可能性も高いと言えるのではないでしょうか。

ミナミの地価上昇地点の例(公示地価・商業地)

地点

地価上昇率

2020年

2020年公示地価 大阪圏商業地の上昇率第1位

大阪市中央区宗右衛門町46番1外

『宗右衛門町7-2』

(住友商事心斎橋ビル)

44.9%

2019年

2019年公示地価 大阪圏商業地の上昇率第1位

大阪市中央区日本橋1丁目16番4外

『日本橋1-21-6』

44.4%

2018年

2018年公示地価 大阪圏商業地の上昇率第1位

大阪市中央区道頓堀1丁目37番外

『道頓堀1-6-10』

(づぼらや)

27.5%

<国土交通省「地価公示」より作成>

このように大阪ミナミエリアは

①住んで楽しく「居住環境」の水準が高い

②今後も続く再開発により「資産価値」の向上が期待される

③不動産においても大切である、全国的な「知名度」が高く、あらゆる場面において人を呼ぶ力がある

④コロナ収束後は地価の再上昇が期待される

などの特長があります。

多くの魅力を併せ持った「ミナミ」エリアは、高い将来性を持つ街と言えるのではないでしょうか。