初めての不動産投資に1LDKが向いている理由とは

1LDKは一人暮らしに最適な間取りであり、空室率対策をしたい不動産投資家から人気のある物件でもあります。不動産投資の初心者でも挑戦しやすいなどメリットが多く、近年注目を集めるようになりました。 今回は、1LDKでの不動産投資について解説します。初めての不動産投資に向いている理由やメリット・デメリットにも触れるので、チェックしてみてください。

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1LDKとワンルームの違い

1LDKとは、リビング・ダイニング・キッチンに加えて1部屋ある間取りです。リビングの頭文字「L」・ダイニングの頭文字「D」・キッチンの頭文字「K」に加え、「1」が部屋の数を示します。

大まかな目安としてDKに必要な広さは4.5畳・LDKは8畳以上とされています。そのため、キッチンやダイニングが4.5畳未満であれば、1DKではなく「1K」表記になることが多いです。あくまで公益社団法人が取り決めた目安のため、物件によって異なる場合もあります。

今後の不動産投資に1LDKが向いている理由

近年、不動産投資において1LDKが注目を集めるようになりました。

ここでは、不動産投資に1LDKが向いている理由を解説します。

ライフスタイルが多様化している

新型コロナウイルス感染症の流行により、ライフスタイルが多様化して1LDKのニーズが増えました。例えば、「1Kではテレワーク用のデスクを置けないので窮屈」「自宅にいる時間が多いので部屋を少し広くしたい」というニーズが出てきています。

また、「コロナで収入が落ち込んだので、なるべく安く同居できる小さな部屋を探したい」というカップルやDINKsからのニーズも拡大しています。DINKsとは、子どもがいない・子どもを持たない共働きの夫婦のことです。ほかにも兄弟・姉妹での同居など、多彩なシーンで1LDKが使われるようになっています。

高い賃貸需要を見込める

首都圏の中古マンション市場を見ると、下記のとおりワンルームよりも1DKや1LDKの成約率が高いことがわかります。

・ワンルームの成約件数:1,636件(全体の4.3%)

・1DKおよび1LDKの成約件数:5,851件(全体の15.5%)

賃貸ではなくマイホームとしての所有を検討する家族が最も多い「3DK・3LDK(17,671件・全体の46.7%)」です。次いで「2DK・2LDK(10,178件・全体の26.9%)」が高い割合を占めています。1DK・1LDKは3番目に多くのシェアを占めており、安定した人気があると判断できます。

また、1DK・1LDKは購入ではなく賃貸で利用する人の割合も高いことが特徴です。ライフスタイルの変化なども追い風となって、不動産投資で1LDKを検討する人が増えているのです。

参考:公益財団法人東日本不動産流通機構「年報マーケットウォッチ2021年度」

1LDKで不動産投資するメリット

ここでは、ワンルームではなく1LDKで不動産投資するメリットを紹介します。

ワンルームと1LDKのどちらに投資するか迷っている場合は、どのようなメリットがあるか知り、検討に役立てましょう。

トラブルのリスクが少ない

1LDKは、家賃滞納など入居者とのトラブルを防ぎやすいことが特徴です。ワンルームより専有面積が広く設備も整っている1LDKは、ワンルーム以上に賃料が高くなる傾向にあります。

1LDKを選択して居住する人は、年収が高い・自己資金が豊富など一定のステータスを持っていることが多いです。そのため家賃滞納が起こる可能性の低い、質の高い入居者を集めやすくなります。

入居者ターゲットの幅を広げられる

1LDKは単身者だけでなく同棲カップルやDINKsなどによる人気も高いので、入居者ターゲットの幅を広げられます。将来の結婚・妊娠・出産・マイホーム購入を前提に貯蓄に励んでいるカップルは、現在の家賃を抑える傾向にあります。一見手狭に見える1LDKでも、十分なニーズがあるのです。

ターゲットの幅が広がれば空室率を下げやすくなるうえ、空室ができても次の入居者を探しやすいため、1LDKは不動産投資向きといえます。

出口戦略が立てやすい

1LDKは出口戦略が立てやすく、自分と同じ不動産投資を検討している投資家や居住用に購入したい人に売却できます。

ワンルームの場合、購入よりも賃貸需要の方が高いため、売却先は不動産投資家もしくは不動産会社が一般的です。一方、1LDKであれば結婚せず長く一人暮らししたい人やDINKsをターゲットに加えられるので、売却先が多くなり買い手が見つかりやすくなるのです。

不動産投資家のなかには、将来的に自分で住む用の家として1LDKを確保している人もいます。

1LDKで不動産投資するときのデメリット

ここでは、1LDKで不動産投資するときのデメリットを解説します。

不動産投資で成功するためにはメリットばかりに目を向けず、リスクや注意点も学んでおきましょう。

1LDK物件の供給数が少ない

単身者向けの物件は大半がワンルームもしくは1Kであり、1LDKの物件は供給数が少ないです。同じく1LDKを狙う不動産投資家同士で競争が起きやすく、条件の良い物件はすぐに購入されてしまうので注意しましょう。

日頃から希望エリアでの情報収集を欠かさず、早めに決断する行動力が求められます。

出口戦略として売却しにくい

1LDKは単身・カップル・夫婦に人気の間取りですが、最も購入されているのは3LDKなどファミリー向けの間取りです。ターゲット層を広げられるといっても必ずしもマッチするとは限らないので、3LDKより出口戦略が限られてしまうリスクが出てきます。

とはいえ、1LDKは賃貸ニーズも高まってきているので、個人ではなく不動産投資家や不動産会社に売るという出口戦略も可能です。スムーズなオーナーチェンジができればリスクを避けられるので、検討してみましょう。

不動産投資するときの1LDK物件の選び方

1LDKを不動産投資に利用する場合、下記を物件選びの基準にすることをおすすめします。

・立地の良さ

・ニーズのあるエリア

・相場で賃料設定できる物件

・利回りの良さ

・将来の資産価値

駅やバスの利便性が良い・商業施設が多い・治安が良いなどエリア全体が魅力的であれば、入居者はもちろん出口戦略としての買い手も見つかりやすくなります。建物に極端な劣化・設備の不足がなく、相場で賃料設定ができる物件も有利です。

また、売却を見据えて将来の資産価値を考えたり、利回りの良さを考えたりすることも重要です。条件の良い物件は取り合いになってしまうので、早めに決断できるよう知識を蓄えておきましょう。

不動産投資するときの1LDK物件の選び方 

1LDKの物件を不動産投資に利用する場合、以下を選び方の基準にするのをおすすめします。

  • 立地の良さ
  • ニーズのあるエリア
  • 相場で賃料設定できる物件
  • 周辺競合物件の調査
  • 設備の充実度
  • 利回りの良さ
  • 将来の資産価値

ここでは、1LDKの物件で不動産投資するときの選び方を解説します。なお、条件の良い物件はすぐに売却先が決まってしまうケースが多いため、早めに決断できるように知識を蓄えておきましょう。

立地の良さ

立地の良さは1LDKの物件を選ぶうえで重要なポイントです。立地が良いほどニーズの高い物件となり、高い収益性を期待できます。

例えば、駅やバス停が徒歩圏内の物件は、入居希望者からのニーズも高く、賃貸需要だけでなく売却益(キャピタルゲイン)を目的にする場合でも買い手が見つかりやすくなるでしょう。

このように、ニーズの高いエリアは不動産投資における空室リスクを最小限に抑えられます。空室時には家賃収入がゼロになってしまうため、いかに空室期間を減らせるかがどうかが不動産投資のカギを握るため、できる限りニーズの高いエリアを選定してから1LDKの物件を検討するとよいでしょう。

ニーズのあるエリア

ニーズのあるエリアを選ぶことで、不動産投資を運用するうえでの空室リスクをカバーできます。

商業施設や公共施設が多い・治安が良いなどエリア全体の魅力が高いエリアは、1LDKの物件で不動産投資を始めるのに最適です。周辺環境の整ったエリアは、住むうえで利便性が高く、「住みたい」と思う方も多くいるでしょう。

また、エリアのニーズの把握も物件選びには重要です。1LDKは物件の特性上、一人暮らしまたは二人暮らしの世帯にニーズが高いため、ファミリー層の多いようなエリアでの不動産投資は向いていません。ファミリー層の多いエリアで1LDKの不動産投資を始めても、空室リスクの上昇が懸念されるでしょう。

そのため、単身者が多いエリアなどを選ぶのが、1LDKを利用した不動産投資を成功させるためのカギとなります。

相場で賃料設定できる物件

1LDKの物件を選ぶ際は、相場で賃料設定できる物件を選びましょう。

おおよその賃貸相場はエリアごとに決まっており、間取りや設備、築年数や状態によって決まります。

しかし、極端な劣化や設備の不足、築年数の古さは設定できる賃料が相場以下になってしまう原因です。相場以下に賃料を設定しないと入居者を募れないような物件は、家賃収入が低下し、利回りの低さにも影響を与えます。

そのため、賃料設定を低下させるようなマイナスポイントの多い1LDKの物件は避け、エリアの相場と同等の金額にできる物件を選ぶと不動産投資を有利に進められます。

また、物件の状態を確認するためには、購入前の現地調査や内覧が非常に大切です。資料や写真だけでは分からない部分を実際に目で見て確認することで、賃料設定が低くなる原因や不要なトラブルを避けられるでしょう。

周辺競合物件の調査

周辺競合物件の調査は、1LDKの物件選びには重要です。

ライフスタイルの多様化によって需要が高まっている1LDKですが、物件の設備や状態が競合物件に劣っていた場合、賃料設定を下げない限り高いニーズは望めません。例えば、設備や状態が同等の物件であれば、家賃の安い物件を選ぶケースが多いでしょう。

そのため、購入する物件と同等条件となる周辺競合物件の調査を行い、差別化を図ることが必要です。

競合物件には、どのような設備が設置されているのか、セキュリティ面は強いのか、賃料設定はいくらなのかなどを調査してください。調査の結果、周辺競合物件に不足している設備などが分かれば、導入を検討して差別化を図っていくとよいでしょう。

設備の充実度

1LDKの物件選びでは、設備の充実度も視野に入れておきましょう。

食器洗浄乾燥機、浴室乾燥機、宅配ボックスなど、利便性の高い設備が導入された物件は、高い需要を期待できます。ほかにも、防犯カメラやカメラ付きインターフォンなどが設置されたセキュリティ面の強い物件であれば、一人暮らしの女性にも高いニーズを見込めるでしょう。

また、基本的に1LDKの物件を求める入居者は、一人暮らしや二人暮らしの少人数世帯が大半です。世帯人数の少ない家庭は、日中働きに出ているケースが多いため、不在でも荷物を受け取れる宅配ボックス、家事の時短につながる食器洗浄乾燥機などの設置を希望するケースが多くなっています。

そのため、普段の生活をより便利にできるような設備が導入された物件を選んだり、設置を前提として購入を検討するのがよいでしょう。

利回りの良さ

1LDKを利用した場合に限りませんが、不動産投資では利回りの良さがとても重要になります。

利回りとは、物件価格に対して1年間でどれだけのリターンがあるのかを示す数値です。年間の家賃収入から1年間のランニングコストを引き、物件価格(購入時の諸経費を含む)で割ると算出できます。

例えば、3,000万円(諸経費30万円)で購入した物件を家賃15万円で運用。1年間のランニングコストが10万円だった場合の計算は以下の通りです。

(180万円 - 10万円) ÷ (3,000万円 - 30万円) =約0.057(5.7%)

このように計算された数値は高ければ高いほど、大きな収益性を見込めます。とくに購入時の初期費用の影響が大きいため、できるだけコストを抑えられば利回りの改善も期待できるでしょう。

例えば、中古物件を購入するのであれば、追加でコストが発生しないようなメンテナンスが行き届いた物件がベストです。

将来の資産価値

不動産投資は賃貸として家賃収入を得るだけが目的ではありません。最終的に売却を視野に入れた計画も必要になります。

そのためには、将来の資産価値が低下しないような物件選びが重要です。

例えば、公共交通機関の利便性が高く、周辺に商業施設の多い物件は、今後も大きく値崩れしてしまう心配は低いでしょう。一方、過疎化の進んだエリアは物件価格が安くても、今後も同様に下落する可能性が高いため、出口戦略が難しくなります。

また、将来の資産価値上昇を狙うのであれば、開発・再開発エリアを狙うのがおすすめです。現在の物件価格が安くても、将来的にエリア開発が予定されている地域であれば、資産価値の上昇も期待できるでしょう。

1LDKの物件で不動産投資を始める際の注意点

1LDKを利用した不動産投資は、他の物件同様に注意すべき点があります。

ここでは、1LDKの物件で不動産投資を始める際の注意点について解説します。

少ない自己資金で始めるとリスクが高くなる

1LDKの物件で不動産投資を始める場合、最低限の自己資金が必要です。基本的に多くの方は不動産投資ローンを利用しますが、自己資金の少なさは失敗のリスクを上げてしまいます。

不動産投資に必要なコストは初期費用だけではなく、運用時にかかる修繕費などのランニングコストも発生します。不動産投資ローンは基本的に初期費用のために利用するため、自己資金が少ない場合は運用時のコスト算出が難しくなるでしょう。

また、不動産投資では空室リスクや滞納リスクが発生します。想定した家賃収入を得られない場合は、自己資金から不動産投資ローンの返済を行わければなりません。

また、自己資金の多さは不動産投資ローンの審査にも影響を及ぼします。自己資金のない方は返済能力がないとみなされ、ローンの利用が困難になる場合もあるでしょう。

そのため、不動産投資において自己資金の準備は非常に重要です。

物件の広さとターゲット層を明確にする

1LDKを利用した不動産投資を成功させるためには、物件の広さからターゲット層を明確にすることが大切です。

需要の高まる1LDKといっても、部屋の広さはさまざまです。一般的に30~50㎡ほどの1LDKが多くなっていますが、広さによってもターゲット層が異なります。

例えば、30㎡ほどの1LDKは二人暮らしには不十分な広さとなるため、一人暮らし向けの物件となるでしょう。また、50㎡以上の1LDKであればやや広めとなるため、二人暮らし以上の家庭へのニーズを見込めます。

このように、物件の広さに対するターゲット層を明確にし、ニーズにあった設備などを合わせて充実させれば、空室リスクを最小限に抑えられ、より効率的な運用が可能となるでしょう。

まとめ

1LDKは、ライフスタイルの多様化によってニーズが拡大中の間取りです。賃貸だけでなく購入のニーズも高まっており、幅広いターゲット層を狙えるのが魅力です。

出口戦略も計画しやすく、将来的に自分で住む選択肢もあるでしょう。

ただし、需要の高い1LDKだからといって購入するだけでは利益を望めません。立地の良さやニーズのあるエリア、設備の充実度の高い物件を選び、空室リスクを抑えることが重要です。

また、運用開始とともに適切な管理を行い、入居者の満足度をアップさせることが安定した利益の獲得につながるでしょう。

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