不動産投資で目立つ失敗例は?失敗しないためのポイントを解説

不動産投資は安定した収益性を見込める投資方法ですが、必ずしも成功するとは限りません。計画不足や想定した家賃収入を得られなかったり、突発的な費用の発生によって収益が赤字になってしまうケースもあるでしょう。 しかし、不動産投資を失敗しないためのポイントがあります。 この記事では、不動産投資における失敗の定義、失敗例や失敗しないためのポイントについて解説します。

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不動産投資における失敗の定義とは

不動産投資における失敗の定義は、投資期間全体を通じてトータルで赤字になることです。

まず不動産投資は長期的な視点で考える必要があり、短期的な収支だけで判断するべきではありません。例えば、運用期間中は毎月の家賃収入がローン返済額を下回り、キャッシュフローが赤字であっても、最終的に物件を売却した際に利益が出れば、投資は成功と見なせます。

逆に運用中は黒字でも、売却時に大きな損失が出てしまえば失敗です。また、物件の価値が下がっても、長期的に安定した家賃収入が得られ、トータルでプラスになれば成功といえるでしょう。

重要なのは投資開始時から出口戦略までを含めた長期的な計画を立て、基準に沿って運用することです。

不動産投資で目立つ失敗例

ここでは、不動産投資で目立つ失敗例を解説します。

表面利回りでシミュレーションしたことで予定の利益を得られなかった

不動産投資では、表面利回りだけでシミュレーションを行い、予定の利益を得られなかった失敗例が多く見られます。

表面利回りとは、物件価格に対する年間賃料収入の割合を示したものです。しかし、表面利回りは物件の維持管理費用や税金などの経費を考慮していないため、実際の収益性を正確に反映していません。

例えば、表面利回り8%の物件を購入したとしても、固定資産税、修繕費、管理費などを差し引くと、実質的な利回りは大幅に下がる場合があります。さらに空室期間や家賃の値下げなどのリスクも考慮していないため、予想以上に収益が低くなるでしょう。

このような失敗を避けるためには、実質利回りによってさまざまな経費を考慮したキャッシュフローのシミュレーションが必要です。また、将来的な修繕費用や市場の変動なども考慮に入れ、現実的なシミュレーションを行いましょう。

物件のニーズが少なく入居者が集まらなかった

不動産投資において、物件のニーズが少なく入居者が集まらなかった失敗例は珍しくありません。

この問題は物件選びの際に十分な市場調査を行わなかったことで生じます。例えば、学生の多いエリアで家族向けの広めの物件を購入したり、オフィス街にファミリー向けマンションを建てたりするなど、エリアのニーズと合致しない物件選びが原因です。

また、周辺環境の変化を見誤るケースも該当します。大学の移転や企業の撤退など、地域の状況が変わると急激に需要が減少する可能性があります。

さらに競合物件との差別化ができていない点も入居者が集まらない要因です。設備が古かったり間取りが使いづらかったりすると、新しい物件や魅力的な物件に入居者を奪われてしまうでしょう。

このような失敗を避けるためには、物件購入前に徹底的な市場調査を行い、エリアの特性や将来性、競合状況などを細かく分析することが重要です。また、定期的に物件の競争力を評価し、必要に応じてリノベーションなどの対策を講じる必要があります。

安い物件を購入したことで想定よりも修繕費用がかかった

不動産投資では、安価な物件を購入したために想定以上の修繕費用がかかってしまうケースが多く報告されています。初期投資を抑えようとするあまり、物件の状態や将来的な修繕の必要性を十分に考慮しないと起こり得る失敗のひとつです。

例えば、築年数が古い物件や管理が行き届いていない物件を安価で購入したものの、入居者を入れる前に大規模な修繕が必要になるケースがあります。また、見た目は問題なくても、配管や電気設備、外壁など、目に見えない部分の劣化が進んでいる場合もあるでしょう。

このような失敗を避けるためには、物件を購入する前に専門家による建物診断を受け、現在の状態と将来的な修繕の必要性を正確に把握しなければなりません。また、修繕積立金の状況や過去の修繕履歴なども確認し、将来的な修繕計画を立てておく意識も大切です。

安さに惑わされず、長期的な視点で物件の価値と維持費用を考えましょう。

自ら管理を行ったことで入居者から不満が増えた

不動産投資では自らの物件管理によって、入居者からの不満が増加してしまう失敗例があります。

例えば、入居者からの緊急の修繕依頼に迅速に対応できなかったり、家賃の集金や滞納者への対応が適切に行えなかったりする場合が該当します。また、法律や規制の変更に追いつけず、コンプライアンス上の問題が発生するケースも珍しくありません。

さらに入居者とのコミュニケーションが不十分になり、クレームの増加や退去率の上昇につながる場合もあります。

プロの管理会社であれば、24時間対応や専門的な知識を活かした対応ができますが、個人ですべてを行うのは非常に困難です。

このような失敗を避けるためには、自己管理の限界を認識し、プロの管理会社への委託を検討するべきです。管理会社を利用すれば、専門的なサービスを受けられるだけでなく、自身の時間とエネルギーを他の重要な業務に集中させられます。

不動産管理会社へ委託できる業務やメリットを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【全解説】管理会社に委託できる業務やメリット・管理会社の選び方

出口戦略を計画していなかった

不動産投資では、出口戦略を計画していなかったために失敗するケースが目立ちます。

出口戦略とは、投資物件をいつどのような方法で手放すかを事前に計画することです。出口戦略が欠如していると、市場の変化や自身の状況の変化に柔軟に対応できず、大きな損失を被る可能性があります。

例えば、物件価値が上昇しているにもかかわらず、売却のタイミングを逃してしまい、その後の市場低迷期に売却せざるを得なくなるケースがあります。また、ローン返済が終わるころには建物の老朽化が進み、売却価格が大幅に下落してしまうケースも珍しくありません。

そのため、投資を開始した時点から出口戦略を明確に定めておく意識が重要です。市場動向、自身のライフプラン、税制の変更などを考慮し、柔軟に戦略を見直していく必要があります。

不動産投資を失敗しないためのポイント

ここでは、不動産投資を失敗しないためのポイントについて解説します。

利回りの種類を把握しておく

不動産投資の利回りには、主に表面利回りと実質利回りがあり、それぞれの種類を正確に把握しておくことが大切です。

表面利回りは物件価格に対する年間賃料収入の割合を示すもので、物件の収益性を簡単に比較できる指標です。しかし、表面利回りは維持管理費用や税金などの経費を考慮していないため、実際の収益性を正確に反映していません。

一方、実質利回りは経費を差し引いた後の実際の収益率を示す数値です。そのため、投資判断を行う際には、表面利回りだけでなく実質利回りも重視する必要があります。

さらにCCR(キャッシュオンキャッシュリターン)も重要です。実際に投資した金額(頭金)に対する年間のキャッシュフローの割合を示すもので、投資効率を測るうえでも効果的です。

また、将来的な価値上昇も考慮に入れた総合利回りという概念もあります。

これらの利回りを正しく理解し、物件選びや投資判断に活用すれば、適切な意思決定を行えるでしょう。

利回りの種類について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資は全部で13種類!自分に合う投資方法や利回りも解説

不動産投資で発生するリスクや対処法を知っておく

不動産投資を成功させるためには、発生し得るリスクと対処法を十分に理解する必要があります。主なリスクには空室リスク、金利変動リスク、物件価値下落リスク、修繕費用リスクなどが挙げられます。

例えば、空室リスクに対しては立地や物件の質を重視し、需要の高いエリアや人気の設備を備えた物件を選びましょう。複数の物件に分散投資すれば、ひとつの物件が空室になっても全体の収益への影響を軽減できます。

また、金利変動リスクについては、固定金利型のローンを選択したり金利上昇に備えて繰上返済を行ったりすると対処が可能です。物件価値下落リスクに対しては、将来性のある地域を選び、適切なメンテナンスを行いましょう。

修繕費用リスクについては修繕積立金を適切に設定し、計画的に修繕を行ってください。予期せぬ修繕に備えて、一定の資金を確保しておく意識も重要です。

エリアのニーズに適した物件を選ぶ

不動産投資を成功させるためには、エリアのニーズに適した物件を選ぶ必要があります。単に人気のある地域を選ぶだけでなく、地域の特性や将来性を十分に分析し、需要に合った物件を選ばなければなりません。

例えば、大学周辺であれば学生向けのワンルームマンション、ファミリー層が多い地域であれば2LDK以上の物件が適しているでしょう。また、オフィス街であればビジネスパーソン向けの物件が需要があるかもしれません。

エリアの特性を把握するためには、人口動態、年齢構成、産業構造、交通の利便性、周辺の開発計画などを詳細に調査する必要があります。さらに競合物件の状況や賃料相場も重要な判断材料です。

予期せぬ出費に対応できるキャッシュを残しておく

不動産投資を成功させるためには、予期せぬ出費に対応できるキャッシュを常に確保しておく姿勢が重要です。不動産投資では、計画外の修繕費用や空室期間の長期化、家賃の滞納など、予想外の事態が発生する可能性が常にあります。

一般的には年間の家賃収入の3〜6ヶ月分程度のキャッシュの確保が推奨されています。銀行口座に預けておくだけでなく、すぐに引き出せる形で運用しておきましょう。

物件管理をプロの不動産管理会社へ委託する

不動産投資を成功に導くためには、物件管理をプロの不動産管理会社へ委託するのも有効です。自己管理では対応しきれない多くの業務や責任を、専門知識と経験を持つプロに任せることで、投資の効率と安定性を高められます。

不動産管理会社は、入居者の募集や審査、契約手続き、家賃の集金、滞納対応、日常的な修繕や緊急時の対応、法的問題への対処など、多岐にわたる業務に対応可能です。これらの業務を適切に遂行すれば、入居率の向上や長期入居の促進、物件価値の維持向上につながります。

まとめ

不動産投資は長期的な視点で取り組むべき資産運用です。適切な知識と準備があれば、安定した収益を生み出す可能性を秘めています。

利回りの正しい理解、リスク管理の徹底、エリア分析の重要性、適切な資金計画、そして不動産管理会社の活用は、失敗しないための鍵です。市場動向や法改正などの情報収集を怠らず、必要に応じて戦略を柔軟に見直す意識を持ちましょう。

アセットテクノロジーでは、不動産投資で必要になる管理業務全般をオーナー様に代わってサポートいたします。物件の契約内容や収入状況をスマホアプリやパソコンで確認できるため、煩雑な手間を大幅に削減可能です。

不動産投資でお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。