不動産投資における経費の判断基準は?経費になる支出とならない支出を詳しく解説!

正しい経費計上は、不動産投資の利益を最大限高めるためにも非常に大切です。 不動産投資にかかった費用を正しく計上して確定申告を行えば、住民税や所得税の節税にもつながり、結果的に不動産投資によって得られる利益からの納税額を減らせるでしょう。 この記事では、不動産投資における支出を経費計上するポイントや、経費になる支出・経費にならない支出について解説します。

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不動産投資における経費計上のポイント

不動産投資にかかった支出を経費計上する際は、経費として認められるものだけを計上して確定申告が必要です。

ここでは、不動産投資における経費計上のポイントを解説します。

経費になるのは不動産投資で利益を得るために使った支出

不動産投資で経費として計上できるのは、基本的に不動産投資で利益を得るために使った支出のみです。

ローンの金利や保険料、管理費といった、あくまでも不動産投資と直接関係のある支出のみが経費として認められます。

そのため、プライベートの食事代や交通費などは不動産投資の経費として扱われません。

不動産投資にかかった費用を正しく計上することで年間の所得金額を抑えられ、所得税や住民税の納税額を下げられるため、不動産投資において経費計上は大切なポイントです。

不動産投資に関係のある支出なのかどうかをしっかりと判断して計上することで、不動産投資において発生する納税の無駄を減らせるでしょう。

家賃収入を確定申告しなかった場合に課せられるペナルティについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

家賃収入を確定申告していない!課せられるペナルティとは

経費を証明する領収書が必要

不動産投資に経費として計上するのであれば、支払いを証明する領収書が必要です。

確定申告の際に提出義務はありませんが、白色申告者は5年間、青色申告者は7年間の保存義務が生じます。

また、税務調査の際に証明として領収書の提出を求められる場合があります。

保管していなかった場合は経費として認められないため、支払いの際に受け取った領収書やレシート、支払明細は大切に保管しておきましょう。

2024年1月から義務化された電子帳簿保存法の電子取引に注意

電子帳簿保存法とは、領収書などの経費を証明するための書類を電子データとして保存することを定める法律です。

2024年1月からは電子帳簿保存法の電子取引が義務化され、電子取引で受け取った領収書などのデータは印刷しての保管が原則できなくなりました。

ECサイトで購入した際の領収書、会計ソフトの領収書、不動産会社からメールで送られてくる領収書などは、データのまま保存しなければいけません。

電子取引に該当する主なデータは以下の通りです。

・メールやLINEで受け取った請求書や領収書のデータ
・インターネット上からダウンロードした請求書や領収書のデータ
・キャッシュレス決済による取引のデータ
・DVDやUSBメモリなどを使って受け取った請求書や領収書のデータ

法人や個人事業主など、すべての事業者が電子帳簿保存法に当てはまるため、不動産投資を運用する際に発生する領収書の保管方法には注意してください。

電子帳簿保存法に違反した場合は、青色申告の取り消し、追徴課税、推計課税、過料などのペナルティが課せられるケースもあります。

不動産投資で経費になる支出

不動産投資で経費になる主な支出は以下の通りです。

・減価償却費
・固定資産税などの一部の税金
・不動産ローンの金利
・保険料
・管理費や修繕費
・管理会社への委託料
・司法書士や税理士の報酬
・旅費交通費

ここでは、それぞれの支出について詳しく解説します。

減価償却費

購入した不動産の減価償却費は経費として計上できます。減価償却費とは、購入した不動産の費用を法定年数で定められた期間経費計上できる制度です。

法定年数は建物の構造によって異なり、木造は22年、鉄骨造は34年、RC造は47年と定められています。

減価償却費は実際の支出がなく計上できるため、節税効果の高い経費のひとつです。また、仲介手数料も不動産の購入費用と合わせて減価償却費として扱われます。

減価償却の詳しい仕組みについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資での減価償却の仕組みとは?節税になる理由や注意点を知ろう!

固定資産税などの一部の税金

不動産投資で運用する際に発生する一部の税金は、経費として計上可能です。

・固定資産税
・都市計画税
・登録免許税
・不動産取得税
・印紙税

不動産購入時に発生する税金だけでなく、毎年課税される固定資産税や都市計画税も経費として認められます。

また、不動産投資を運用するために自動車を購入した場合、利用分のみを按分して経費計上可能です。

なお、経費として計上する際は租税公課の勘定科目を使用します。

不動産ローンの金利

金融機関のローンを使用して不動産を購入した場合は、毎月発生するローンの金利も経費として計上可能です。

ローン返済額のすべては経費計上できませんが、例えば年間150万円の返済のうち、50万円が利息であれば50万円が経費として認められます。

ただし、不動産所得が赤字の場合、土地の購入のために借りたローンの金利については収益通算の対象にはなりません。

保険料

不動産を購入する際に加入する火災保険や地震保険などの各種保険の保険料も、経費として計上可能です。

万が一に備えて保険に加入した際は、経費計上を忘れずに行いましょう。また、経費計上する際の勘定科目は損害保険料です。

管理費や修繕費

不動産を所有する際に発生する管理費や修繕費は、経費として計上可能です。特に賃貸として貸し出している以上、経年劣化は避けられません。

経年劣化をそのままにしていると、入居率にも響いてしまうため、管理費や修繕費は不動産投資の経費として認められます。

例えば、部屋のクリーニングや設備の点検・交換、共有部分の清掃費用などが該当します。ただし、20万円を超える修繕費は減価償却費の対象です。

管理会社への委託料

不動産投資では、物件管理は管理会社へ委託するのが一般的です。建物や賃貸の管理業務、入居者募集などを代行する管理委託料は、経費として認められます。

委託料は管理会社によって異なりますが、不動産投資の利益を得るための支出となるため、経費として計上可能です。

司法書士や税理士の報酬

司法書士や税理士などの専門家への報酬も経費として計上可能です。例えば、司法書士へ不動産登記の依頼、税理士へ確定申告の依頼が経費として該当します。

不動産投資における経費の範囲は判断が難しい部分があるため、税理士へ依頼することで正しく経費計上できるメリットもあります。

旅費交通費

不動産投資において必要となる旅費交通費は経費として計上可能です。

例えば、不動産会社へ向かうための交通費、購入した不動産の確認に行くための交通費、不動産ローンを受けるための面談などが該当します。

公共交通機関の運賃、自家用車のガソリン代や駐車場代、ホテルの宿泊代などの領収書はしっかりと保管しておきましょう。

ただし、公共交通機関の場合は領収書が発行されないため、利用日・金額・目的地を明記した旅費精算書の作成が必要です。

その他経費

その他、不動産投資をするうえで必要な支出であれば、以下のような支出が経費として認められます。

・新聞図書費
・消耗品費
・通信費
・交際費

あくまでも不動産投資に必要な支出だったかどうかが、経費として判断される基準です。

例えば、交際費に関しては不動産会社の担当者との打ち合わせなどであれば認められますが、家族との食事など不動産投資とは無関係の場合は認められません。

領収書を受け取った際は、どのような目的で使われた支出なのかを合わせて記録しておくと、確定申告時に迷うことなく経費計上できるでしょう。

不動産投資で経費にならない支出

不動産投資の経費として認められるのは、不動産投資に必要な支出のみです。そのため、目的によっては経費として計上できないケースも少なくありません。

ここでは、不動産投資で経費にならない支出について詳しく解説します。

不動産投資とは関係のない支出

不動産投資とは関係のない支出は経費として認められません。

あくまでも不動産投資に必要な支出だったかどうかが判断基準となるため、不動産投資とは関係のない交際費や交通費、通信費の扱いには注意してください。

プライベートの支出をむやみに経費として計上すると、税務調査が入るリスクが上がるため、プライベートの支出と不動産投資に必要な支出を混同させないようにしましょう。

所得税や住民税

所得税や住民税は不動産投資の経費として認められません。これらの税金は不動産投資を始めていない方でも課税されるため、経費として計上できません。

なお、不動産投資の経費として認められる税金は、固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税、印紙税など、不動産を取得する際にかかった税金や保有するために発生する税金です。

罰金や過料

罰金や過料は、どのようなケースでも不動産投資の経費にはならない支出です。

不動産会社を訪れる際に自家用車を使用した場合、ガソリン代や駐車場代などは経費として認められますが、スピード違反や駐車違反の罰金や過料は経費として認められません。

ローンの元金

ローンを使って不動産を購入した場合、元金については経費として認められません。毎月発生する金利は経費として計上可能ですが、ローンの元金は減価償却費として計上します。

資格取得のための費用

不動産投資の知識を蓄え、利益の最大化を図るために資格取得をしたとしても、かかった費用は経費として認められません。

宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、マンション管理士など不動産投資において役立つ資格は豊富にありますが、資格の取得は不動産投資に必要な支出にはなりません。

まとめ

不動産投資ではさまざまな支出が発生しますが、すべてが経費として計上できるわけではありません。

あくまでも不動産投資に必要な支出のみが経費として認められるため、不動産投資のための支出とプライベートの支出をしっかりと判断するのが大切です。

支出の判断を正しく行い、経費計上すれば住民税や所得税の節税にもつながり、無駄な出費を抑え、利益を最大限増やせるでしょう。

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