不動産投資は今後どうなる?これから起こり得るリスクや回避するための対策を紹介

今後の不動産投資では、金融政策やインフレ、世界情勢の変化などにより、さまざまな影響が出ると考えられています。 これから不動産投資をはじめる場合は、今後起こり得るリスクと対策を知っておくことが大切です。 この記事では、2024年以降の不動産市況をはじめ、不動産価格が上昇する要因や今後起こり得るリスク、リスクを回避するための対策などについて詳しく解説します。

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2024年以降の不動産市況

ここでは、2024年以降の不動産市況について解説します。

固定資産税評価額の見直し

土地や家などの不動産の固定資産税評価額は、3年に1回見直し(評価替え)が行われており、不動産ごとに時価の変化を課税状況に反映しています。

評価替えが行われることで、それ以降の固定資産税や都市計画税などが変動する仕組みです。

これまでの評価替えでは、大都市圏を中心に土地価格が上昇している一方で、地方では土地価格が下落する傾向にありました。

このような状況を受け、課税の公平性の観点から地域や土地による負担水準を全国的に調整し、固定資産税評価額の見直しを継続していく方針です。

なお、評価補正時に使用する積算の区分や表現方法、地域による特性の区分などは市況に応じて調整されます。

金融緩和とインフレが継続

現在日本では、日銀による金融緩和に伴うインフレ(物価上昇)が発生しており、不動産の価格も上昇しています。

日銀の金融緩和は、政策金利を引き下げることでお金を借りやすくすること、各業界の資金量を増やすことが主な目的です。

資金量を増やして人材確保や設備投資などの資本投下を促し、経済活動を活発にさせることで2%程度の緩やかなインフレが続くと考えられています。

金融緩和はこれからも継続する傾向にあるため、インフレも今後続くことが予想されます。

不動産価格の上昇は今後も続く可能性がありますが、家賃の上昇についてはまだ先になる見込みです。

理由としては、人口減少による賃貸需要の減少している、日本の景気が回復していない、労働者の給与水準が上がっていないことが挙げられ、不動産業界で家賃増額に転じる雰囲気がないことが挙げられます。

建設・物流業界の2024年問題

2024年4月から、建設・物流業界で時間外労働の上限規制が適用されました。

これは「働き方改革」の一環であり、時間外労働の上限を月45時間、年360時間とする施策です。

時間外労働が常態化している建設・物流業界においては、即時に適用するのではなく、段階的に適用することとなっていましたが、2024年3月にその期限をむかえ、適用となりました。

建設・物流業界では、労働者の高齢化と若年層の離職が大きな課題となっており、全体的に労働力不足に陥っています。

労働力不足によってマンションの供給数は減少し、新築マンションの価格上昇を誘発しており、点検やメンテナンスなどの維持管理費も同様に高騰しているのが現状です。

こういった状況下では、不動産の取得と維持にかかるコストが上がるため、不動産投資家は利益の確保が難しくなると考えられています。

不動産価格を上昇させる要因

ここでは、不動産価格を上昇させる要因を紹介します。

円安による外国人投資家の需要増加

日本では、2022年頃から円安が続いています。

以前から比較的安いと評価されていた日本の不動産は外国人投資家によって多く購入されていましたが、円安によってその需要はさらに高まったと考えられます。

現在、外国人投資家は都内の立地が良い土地やマンションなどの不動産を多く購入しており、新築マンションの相場を牽引している状態です。

ここ数年の新築マンションの価格は、共働きの夫婦でさえも手が出しづらい価格水準にまで昇っており、外国人投資家からの需要が失速しない限りは今後も上昇していく可能性があります。

世界情勢の影響

新型コロナウイルス感染症の発生やウクライナ侵攻、アメリカの住宅ローンの金利上昇など、世界各国で起こることはすべて日本の円安につながる要因となります。

コロナウィルスが終息し、世界各国で不動産を含めたあらゆる「モノ」に対する需要が急激に回復したことで物価の上昇がはじまりました。

また、ウクライナ侵攻を境に食料品の物価上昇も発生しており、それは日本にも大きく影響しています。

このような状況を受け、世界各国では物価上昇を抑え込むために金利を上げて対応している状態です。

アメリカでも同様に金利上昇が行われており、その結果住宅ローンの金利も上昇しています。

世界各国では金利上昇傾向にあるなか、日本では金利の上昇は行われていません。

その結果、世界の通貨と円との間で金利差が発生し、現在の円安やインフレにつながっていると考えられます。

前述したように、円安は外国人投資家の需要を高め日本の不動産の価格を上昇させます。

既に投資用の不動産を取得している場合は、利益を生むチャンスと考えることもできますが、これからはじめる方にとっては金額的に不動産の取得が難しくなる可能性があります。

不動産投資で今後起こり得るリスク

ここでは、不動産投資で今後起こり得るリスクを紹介します。

金利上昇

金利上昇が起こると、不動産市況および不動産投資に大きな影響を及ぼす可能性があります。

昨今の金融政策やインフレによって金利が上昇した場合は、不動産投資ローンや住宅ローンの利息部分にかかる負担が増加します。

これは不動産の取得コストの上昇を意味しており、これから不動産を取得しようと考えている方や不動産投資をはじめようと考えている方にとって、高いハードルとなるでしょう。

特に都市圏のような不動産価格が高い地域では、金利がわずかに上昇するだけでもローンの総返済額が100万円以上高くなることも珍しくなく、購入意欲の低下につながる恐れがあります。

金利上昇は不動産投資の収益性を低下させる要因でもあるため、不動産投資をはじめようと考える方も減少するかもしれません。

金利が上昇してしまうと新規参入者だけではなく、既存の投資家も減少するため、不動産業界の活性化に悪影響を及ぼすリスクとなり得ます。

高齢化・人口減少

高齢化や人口減少は日本全体が抱えている課題であり、これは不動産業界にも大きく影響します。

特に若年層の減少は不動産業界にとっても問題であり、将来的な住宅需要が低下するリスクがあります。

若年層は自立や新たな家庭の形成など、新たな住まいを求める主要な層です。メインとなる層が減少すれば、当然不動産需要も減少します。

また、日本では高齢者の割合も増加しており、介護施設や高齢者向けの住宅の需要は増加傾向にありますが、全体的な不動産需要は今後減少していくと考えられます。

高齢者の増加と若年層の減少は、経済成長にも悪影響を及ぼすことが懸念されており、企業の収益や個人の所得が減少すれば、不動産投資をはじめる方も少なくなるでしょう。

高齢化と人口減少は都市圏だけではなく、日本全体の不動産市況における課題として今後も続く可能性があります。

経済成長率の低下

前項で解説したように、高齢化と人口減少によって、日本の経済成長率が低下するリスクがあります。

経済成長率が低下すれば企業の収益は減少し、それに合わせて個人の所得も減少してしまいます。

また、新たな雇用の機会も減少すると考えられており、個人の可処分所得が減少すれば、消費意欲もなくなるでしょう。

特に不動産投資の場合は、はじめるにあたって多額のコストがかかるため、日本の経済が不安定な状況では、不動産投資をはじめる方も不動産を取得する方も少なくなります。

経済成長率の低下は、不動産価格の下落や取引量の減少を招く恐れがあるため、不動産市況にとっても大きなリスクといえるでしょう。

国際情勢の不安定化

国際情勢の不安定化は、日本の不動産市況にダイレクトに影響します。

日本の不動産市況は、法的な透明性が高いことや政治的安定性が高いことから、比較的安全な投資先として評価されており、需要も高いです。

しかし、経済危機や地政学的な緊張感など、国際情勢が不安定になれば外国人投資家はリスクを回避するための姿勢を強くし、日本の不動産市況から撤退するリスクがあります。

特にタワーマンションや商業施設など、建設・取得コストが高い不動産は、影響を受けやすいです。

外国人投資家の多くは、国際情勢や為替レートなどの要素を考慮して投資を行うため、必ずしも日本の不動産から撤退するとは限りません。

しかし、国際情勢の不安定化は不動産投資に対する一定のリスクはあるため、注意が必要です。

リスクを回避するための対策

ここでは、今後起こり得るリスクを回避するための対策を紹介します。

徹底的にシミュレーションをする

これから起こり得るリスクに対応していくためには、徹底的にシミュレーションをしてリスク管理をしていくことが重要です。

確定申告をする際に作成する決算書の内容を分析して、管理コストや利回りをシミュレーションし、新年度に発生する管理コストや設備投資の予算書を作成することをおすすめします。

決算書に基づいたシミュレーションと新年度の予算書があれば、不動産投資の現状と今ある課題が明確になり、今後の軌道修正や効率的な投資配分がイメージできるはずです。

また、シミュレーションの結果や予算書を金融機関に提示すれば、今後の計画のアピールと資金調達の示唆にもなるため、不動産投資の安定性を向上させられます。

地方の不動産にも目を向ける

不動産投資をはじめる際は、人口や不動産需要が高い都市圏に注目しがちです。

しかし、都市圏は既に多くの投資家が注目していることに加え、今後は不動産価格も上昇していく可能性があるため、新規参入するには難しい面もあります。

地方の不動産であれば、その地域特有の事情や需要があるため、地方ニーズを正確に把握して応えることができれば、有利な状態で不動産投資ができます。

近年はテレワークの普及の影響もあり、生活拠点を地方に移す方も増えているため、地方の不動産には大きな可能性があるといえるでしょう。

まとめ

金融緩和やインフレが続く日本では、今後不動産投資にさまざまな影響があると考えられます。

今後起こり得るリスクのなかでも、金利上昇は発生する可能性が高いため、特に注意が必要です。

不動産投資に失敗しないためにも、不動産市況の今後を考慮し、状況に合った対策を講じていくことが大切です。

アセットテクノロジーでは、賃貸物件オーナー様のコンシェルジュとして、不動産管理に関係するさまざまな業務を一元サポートしています。

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不動産投資を既にはじめている方やこれからはじめようと考えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。