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不動産投資で連帯保証人が必要になるケース
原則として、不動産投資では連帯保証人は必要ありません。
ただし、いくつかのケースでは、不動産投資で融資を受ける際に連帯保証人が必要になる場合があります。
不動産投資で連帯保証人が必要となるのは、ローンが返済されないリスクが高いと考えられる場合です。
具体的には、以下の3つのケースが該当します。
- 物件の収益が低い
- 物件の担保価値が低い
- 個人の属性が低い
ここからは、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。
物件の収益性が低い
不動産投資において連帯保証人が必要とされるケースの一つが、購入予定の物件の収益性が低い場合です。
物件の収益性が低いと、後に返済が困難になるリスクが高いと見なされ、融資の際に連帯保証人を求められます。
物件の収益性は債務償還年数などの指標で判断され、基準は金融機関によって異なります。
物件の担保価値が低い
不動産投資では、物件の担保価値が低い場合も連帯保証人が求められます。
担保とは、融資を受ける際、万が一返済が困難になった場合に備えて金融機関に差し出すものです。
物件の担保価値が低いと返済保証として不十分とみなされ、連帯保証人が必要となるケースが多いでしょう。
なお、担保価値は積算法や収益還元法といった方法で計算されます。
旧耐震基準の物件、路線価の低い地域の物件、築年数の古い物件などは、担保価値が低くなる傾向にあります。
個人の属性が低い
契約者個人の属性が低い場合も、連帯保証人が必要となる可能性が高いでしょう。
個人の属性とは、年収(不動産投資では高い年収を求められることが一般的)や収入の安定性、勤続年数、職歴、保有金融資産など、金融機関が融資の際に評価する要素です。
属性が低いと判断された場合、金融機関は返済リスクが高いとみなし、連帯保証人が求められます。
連帯保証人の性質
そもそも、不動産投資における「連帯保証」とはどのようなものなのでしょうか?
似た言葉に「保証人」がありますが、「連帯保証人」と比較するとその違いは非常に大きなものです。具体的には、連帯保証人の方が保証人に比べて重い責任を背負うことになります。
連帯保証人の場合、「ほとんど自分がお金を借りるのと同じこと」とイメージするとわかりやすいでしょう。
- 補充性
- 検索の抗弁権
- 催告の抗弁権
- 催告の抗弁権
連帯保証人の上記の4つの性質について、ここから詳しく解説します。
補充性
連帯保証人には、補充性が認められていません。
補充性とは、主たる債務者(お金を借りた側)がお金を返済しない場合に、初めて保証人が返済する責任を負う性質のことを指します。
保証人の場合、補充性があるため、債権者(金融機関などお金を貸した側)に対してまずは主債務者に返済を求めるよう請求可能です。
しかし、連帯保証人の場合は補充性がないため、債権者がいきなり連帯保証人に「ローンを返済してほしい」と請求できます。
検索の抗弁権
検索の抗弁権とは、主債務者に返済能力があり、執行が容易であることを立証することで、主債務者に返済を求めるよう主張できる権利のことです。
例えば、AさんがBさんの保証人になったと仮定してみましょう。
BさんがC銀行から500万円を借り、これが返済できなくなった場合、C銀行は保証人であるAさんに返済を求めます。
このとき、保証人であるAさんが「Bさんには銀行に1000万円の預金がある」と証明した場合、C銀行はまずBさんからお金を取り立てなければなりません。
しかし、検索の抗弁権を行使できるのは保証人のみです。
連帯保証人の場合、検索の抗弁権も認められていないため、主債務者Bさんが明らかにお金を持っている場合でも「Bさんの財産から回収してほしい」と主張できないということになります。
催告の抗弁権
催告の抗弁権とは、債権者がいきなり保証人に「ローンを返済してください」と請求してきた場合に、「まずは主債務者に請求してほしい」と主張できる権利のことです。
連帯保証人には催告の抗弁権がないため、債権者からいきなり返済を要求される可能性があります。
分別の利益
分別の利益とは、複数の保証人がいる場合、保証人の数に応じて債務額を分割して保証することを指します。
連帯保証人の場合は分別の利益がないため、複数の連帯保証人がいたとしても、全員が100%返済の責任を負うことになります。
連帯保証人は親族を立てる場合が多い
不動産投資で連帯保証人が必要となった場合、親族(配偶者、子、親など)に依頼することが一般的です。
では、なぜ親族を連帯保証人に立てることが多いのでしょうか。理由は主に、以下の2つです。
- 負担する額が多いため
- 相続できるため
それぞれの理由について、詳しく解説します。
負担する額が多いため
不動産投資で連帯保証人を親族にする理由の一つが、負担額が多いためです。
不動産投資における融資は大きな金額に及ぶことが多く、万が一の返済不能時には連帯保証人が全額を返済することになります。
責任も精神的な負担も大きいため、他人に依頼するのは難しいケースがほとんどです。
信頼関係の深い親族であれば受け入れてもらいやすいことから、親族を連帯保証人に立てるケースが多く見られます。
相続できるため
不動産投資では主債務者が死亡した場合、不動産は親族に相続されるため、継続的な家賃収入が得られます。
またそもそも、金融機関が親族(法定相続人)に連帯保証人を求めるケースも多いです。
債務が残っていた場合でも、相続放棄されてしまうと貸したお金を回収できなくなってしまいます。
そこで、万が一の貸し倒れを防ぐために親族を連帯保証人に立て、確実にお金を回収できるようにしているのです。
不動産投資で連帯保証人を立てるメリット
不動産投資において連帯保証人を立てることには、いくつかのメリットがあります。主に、以下の2つです。
- 融資が受けやすくなる
- ローンの金利を下げられる可能性がある
ここからは、それぞれについて詳しく見ていきましょう。
融資が受けやすくなる
不動産投資で連帯保証人を立てるメリットの一つに、融資が受けやすくなることが挙げられます。
融資の際に連帯保証人が必要となるのは、金融機関が万が一の際に債権を回収できず貸し倒れになるリスクを抑えるためです。
安定した収入のある配偶者を連帯保証人に立てた場合、夫婦の収入の合計額で融資審査が行われるため、審査を通過しやすいでしょう。
場合によっては、融資可能額が増えることもあります。
不動産投資は住宅ローンなどと比較すると高い年収を求められることがほとんどのため、審査に不安がある場合は連帯保証人を立てるのも選択肢の一つでしょう。
ローンの金利を下げられる可能性がある
属性の高い連帯保証人を立てることで、ローンの金利を下げられる可能性があることもメリットです。
具体的には、連帯保証人が「安定した高収入がある」「平均収入の高い職業」「勤続年数が長い」「保有している資産が多い」「事業継承見込みがある(配偶者や子)」といった場合、低金利でローンを組める可能性があるでしょう。
連帯保証人が立てられない場合は?
「不動産投資を始めるために連帯保証人を立てたいが、どうしても見つからない」というケースもあるでしょう。
連帯保証人を立てることが難しい場合は、以下の2つの対処法があります。
- 団体信用生命保険に加入する
- 法人を設立する
ここからは、それぞれの方法について詳しく解説します。
団体信用生命保険に加入する
連帯保証人が立てられない場合は、団体信用生命保険(団信)に加入することが有効です。
団体信用生命保険とは、返済中に主債務者が高度障害状態に陥るかもしくは死亡した場合に、ローンの残債をゼロにできる保険のことです。
主債務者に万が一のことがあった場合でも、遺族が完済した所有物件を引き継げるため、家族に安心感を与えられるメリットもあります。
ただし、団体信用生命保険の加入時には健康状態を告知する義務があり、持病や病歴など健康状態によっては加入できないこともあるため、注意しましょう。
金融機関によっては、団体信用生命保険の加入を条件としているところもあります。
法人を設立する
法人を設立して不動産投資を行うことも、連帯保証人を立てずにローンを組むための方法の一つです。
法人名義での不動産投資では、法人の代表者(自分自身)が保証人となることで融資を受けられます。
連帯保証人が不要となる他にも「青色申告で赤字(欠損金)を10年間繰り越せる」「個人に比べて経費として計上できる項目が増える」といったメリットもあります。
登記によって社会的信用が高くなる効果も期待できますが、立ち上げ当初は信用力が低く、なかなか融資が組めない、融資枠が増えないといったケースも考えられるでしょう。
法人化には手続きが必要になり、費用も発生するため、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
まとめ
この記事では、不動産投資で連帯保証人が必要となるケースや、そもそも連帯保証とはどのような性質のものなのか、連帯保証人を立てるメリットなどについて詳しく解説しました。
不動産投資のローンでは、基本的に連帯保証人は必要ありません。
しかし、物件の収益性や担保価値、個人の属性が低い場合は、連帯保証人が求められるケースもあります。
もし連帯保証人を立てられない場合は、法人設立や団体信用生命保険の加入といった有効な対策もあるため、検討してみるといいでしょう。
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