不動産投資における平均利回りの目安は?エリア別に詳しく解説!

利回りとは、投資金額に対する収益の割合を数値で表した指標です。物件価格に対してどのくらいの利益を期待できるかが分かるため、必ず確認すべき数値です。 しかし、利回りは物件の構造やエリア、立地などによっても異なるため、利回りだけを比較して収益物件を見つけるのは簡単ではありません。 また、利回りが高いからといって必ずしも利益が出る物件とは限らないため、物件価格やエリア、周辺施設、立地など、さまざまな条件と合わせながら物件を選ぶ必要があります。 この記事では、利回りの意味や計算方法、ワンルームとファミリー向けマンションの2023年の平均利回り、利回りを比較する際に確認すべきポイントついて解説します。

この記事は約9分で読み終わります。

不動産投資で重要になる利回りとは

利回りとは、物件価格に対して年間で得られる割合を数値で表した指標です。

不動産投資では収益物件を見つけるために欠かせない指標となり、どの程度の収益性を見込めるのか、投資資金はどの程度の期間で回収できるのかを把握する目安となります。

単純に利回りの数値が高いほど大きな利益を期待できますが、その分高いリスクも伴います。また、不動産投資では主に以下2つの利回りが使われます。

表面利回り

物件購入価格と年間の家賃から算出する利回り

実質利回り

物件価格と年間の家賃、1年間にかかるランニングコストや購入時に必要な諸経費を含めて計算する利回り

表面利回りは、物件購入価格と年間の家賃から算出するため、おおまかなシミュレーションを行う際に用いられます。

一方、実質利回りは購入時に必要な諸経費や年間のランニングコストを考慮して計算するため、より精度の高い指標です。

表面利回りよりも実質利回りのほうが数値が低くなってしまうため、不動産投資を始める前のシミュレーションでは実質利回りの利用をおすすめします。

表面利回りの計算方法

物件購入価格と年間の家賃から算出する表面利回りの計算方法は、以下の通りです。

『年間の家賃収入 ÷ 物件の購入価格 ✕ 100 =表面利回り(%)』

例えば、3,000万円の物件を購入して家賃収入が月100,000円の場合は、以下のような計算式で利回りが4%になります。

『1,200,000 ÷ 3,000万円 ✕ 100 = 4%』

諸経費などを含めない計算となるため大まかな数値ですが、販売されている物件の利回りとして表示されているのは、この表面利回りがほとんどです。

実質利回りの計算方法

物件購入価格だけでなく、1年間にかかるランニングコストや購入時の諸経費を含めた実質利回りの計算方法は以下の通りです。

『(年間の家賃収入 - 1年間のランニングコスト) ÷ (物件の購入価格 + 購入時の諸経費) ✕ 100 = 実質利回り(%)』

ランニングコストには管理費や修繕費などを含め、購入時の諸経費には仲介手数料や司法書士への報酬などを含めます。

表面利回りよりも数値は低くなりますが、実際の運用時に近い数値を算出できるため、より正確なシミュレーションが可能です。

ワンルームマンションのエリア別平均利回り

一般社団法人日本不動産研究所の不動産投資家調査によると、ワンルームマンションのエリア別平均利回りは以下の通りです。

なお、ワンルームの条件は次の通りです。

・交通アクセス:最寄り駅から徒歩10分以内
・築年数:5年未満
・平均専用面積:35~30㎡
・総戸数:50戸程度

地区

期待利回り(2023年4月)

期待利回り(2023年10月)

前回差

東京都城南地区

3.8%

3.8%

0%

東京都城東地区

4.0%

4.0%

0%

札幌

5.0%

5.0%

0%

仙台

5.1%

5.0%

-0.1%

さいたま

4.7%

4.6%

-0.1%

千葉

4.7%

4.7%

0%

横浜

4.5%

4.4%

-0.1%

名古屋

4.6%

4.5%

-0.1%

京都

4.8%

4.7%

-0.1%

大阪

4.4%

4.4%

0%

神戸

4.8%

4.8%

0%

広島

5.2%

5.2%

0%

福岡

4.7%

4.6%

-0.1%

出典:第49回不動産投資家調査第48回不動産投資家調査

2023年10月の調査で最も低いのは、3.8%の東京都城南地区です。一方、最も利回りが高いのは広島の5.2%となっています。

地方の物件のほうが利回りが高くなる理由は、主に物件の価格です。物件の価格が低いことによって利回りが高くなっています。

しかし、都心部の物件と比較して入居率が決して高いわけではないため、ハイリスク・ハイリターンの投資となる可能性が高いでしょう。

また、どの地区でも利回りは低下傾向にあり、現在は最も低い水準となっています。ワンルームマンションの不動産投資のコツを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ワンルームマンション投資で収支をプラスにするコツ|注意点もチェック

ファミリー向けマンションのエリア別平均利回り

一般社団法人日本不動産研究所の不動産投資家調査によると、ファミリー向けマンションのエリア別平均利回りは以下の通りです。

なお、条件は次の通りです。

・交通アクセス:最寄り駅から徒歩10分以内
・築年数:5年未満
・平均専用面積:50~80㎡
・総戸数:50戸程度

地区

期待利回り(2023年4月)

期待利回り(2023年10月)

前回差

東京都城南地区

3.9%

3.8%

0%

東京都城東地区

4.1%

4.0%

-0.1%

札幌

5.2%

5.0%

-0.2%

仙台

5.2%

5.1%

-0.1%

さいたま

4.7%

4.6%

-0.1%

千葉

4.8%

4.8%

0%

横浜

4.4%

4.4%

0%

名古屋

4.7%

4.6%

-0.1%

京都

4.9%

4.8%

-0.1%

大阪

4.4%

4.4%

0%

神戸

5.0%

4.9%

-0.1%

広島

5.3%

5.2%

-0.1%

福岡

4.7%

4.6%

-0.1%

出典:第49回不動産投資家調査第48回不動産投資家調査

2023年10月の平均利回りは、ワンルームマンションとほぼ違いはなく広島の5.2%が最大、東京都城南地区が3.8%と最も低くなっています。

ただし、2023年4月に行われた調査と比較すると、平均利回りが低下している地区がワンルームマンションよりも多い傾向にあります。

これは、インフレや円安の影響で建築に必要な材料費が高くなり、物件価格が高騰していることが原因だと考えられます。

不動産投資の理想的な利回りはどのくらい?

理想的な利回りは収入目標やリスクなど、さまざまな条件によって異なるため、一概に目安となる数値はありません。

ただし、利回りが高ければ大きな利益を期待できるわけではなく、利回りの高い物件にはリスクがともないます。

利回りの高い物件は基本的に物件価格が低い傾向にありますが、人気エリアから外れていたり、築年数が古い物件だったりする場合がほとんどです。

そのような物件は入居者を募るだけでも労力となり、場合によっては空室期間が増えるリスクがあります。

一方、利回りの低い物件は大きな利益は期待できないものの、空室リスクが少なく、安定的な家賃収入を確保できるのがメリットです。

そのため、安定した利益を得たいのであれば利回りの低い物件、大きな利益を得たいのであれば利回りの高い物件といったように、投資目標やリスクを考慮しながら収益物件を決めることが大切です。

利回りを比較する際に確認すべきポイント

利回りは収益物件を探すうえで重要になる指標です。しかし、表示された利回りだけで物件の収益性を判断するのはとても危険です。

ここでは、利回りを比較する際に確認すべきポイントを解説します。

実質利回りでシミュレーションが行われているか

不動産投資を始める際は利回りからシミュレーションを行うのが基本ですが、実質利回りでシミュレーションが行われているかを確認してください。

表面利回りを使ったシミュレーションでは、大まかな結果しか分かりません。

購入時にかかる諸経費や運用時にかかるランニングコストを加味した実質利回りで、シミュレーションを行いましょう。

利回りは常に変動する

不動産投資における利回りは常に変動する点に注意しなければいけません。

例えば、新築の物件であっても、築年数が古くなると入居率を上げるために家賃を下げる必要がでてきます。

購入時に高い利回りであったとしても、年々利回りが低下してしまうことも少なくありません。

そのため、購入時の利回りが長期的に続くとは過信せず、低下する可能性を加味した計画が大切です。

極端に利回りの高い物件には注意

利回りの高い物件は大きな利益を期待できたり、投資金額を早期に回収できる可能性を秘めています。

しかし、極端に利回りの高い物件には大きなリスクをともなう可能性が高いため、注意が必要です。極端に利回りが高く設定されている物件の特徴は以下の通りです。

・家賃相場が平均以上
・立地が悪い
・物件価格が低いが修繕費用がかかる

例えば、家賃相場が平均以上に設定されている物件の場合、よほど入居者のニーズにピッタリの物件ではない限り空室リスクが高まります。

さらに、立地の悪い物件は将来的に資産価値や家賃の低下が懸念されるでしょう。

また、物件価格が低くても大きな修繕費用がかかる物件には注意が必要です。特に表面利回りで計算されている場合、運用を始める前に修繕が必要になるため、実質利回りが大きく下がってしまいます。

このように極端に利回りの高い物件にはリスクがともない、キャッシュフローが難しくなってしまうケースも少なくありません。

修繕費の費用目安について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資には修繕費が不可欠?必要な理由や費用目安、注意点を紹介

まとめ

不動産投資を始めるうえでは、利回りから収益物件を選ぶのが基本ですが、極端に高い利回りの物件はリスクがともないます。

2023年の平均利回りは3.8~5.2%ほどとなっているため、利回りから物件を探す際の目安としておくとよいでしょう。

また、シミュレーションを行う際は、さまざまな諸経費を加味した実質利回りでの計算が大切です。

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