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不動産クラウドファンディングは分配金に税金がかかる
不動産クラウドファンディングの場合、投資額には税金がかかりません。ただし、利益である分配金を得た際に、分配金に対して税金がかかることを覚えておきましょう。
分配金にかかる税金の種類
不動産クラウドファンディングで投資家が得られる利益が分配金です。分配金は所得の一部であり「雑所得」とみなされるため、20万円を超える場合は確定申告が必要です。
税制上の所得は、雑所得のほかに9種類あります。
・利子所得
・配当所得
・不動産所得
・事業所得
・給与所得
・退職所得
・山林所得
・譲渡所得
・一時所得
上記に当てはまらない所得が雑所得となると認識していれば問題ありません。
運営会社が源泉徴収する税率
不動産クラウドファンディングの分配金は、事業者によって源泉徴収されています。そのため、分配金を受け取っても自分で納税手続きをする必要はありません。
不動産クラウドファンディング事業者が源泉徴収する税率は以下の通りです。
源泉徴収額:所得税20%+復興特別所得税0.42%=20.42%
例えば、分配金が1万円の場合「1万円×20.42%」の計算で、源泉徴収額は2,042円となり、
実際に受け取れる分配金は、7,958円になります。
不動産クラウドファンディングで確定申告が必要なケース
次に、不動産クラウドファンディングにおける確定申告の要否を解説します。原則として、不動産クラウドファンディングの利益は源泉徴収されるので別途の手続きは要りません。
また、会社員の場合はほとんどが年末調整で対応できるので、別途手続きする必要がないことが多いです。
ただし、下記に該当する人は確定申告の必要があります。うっかり手続きを忘れて納税漏れや損をしないよう、情報を把握しておきましょう。
1.雑所得が合計20万円以上ある
不動産クラウドファンディング以外の雑所得も含めて合計20万円以上ある場合は、確定申告が必要です。
雑所得に分類されるのは、分配金だけではありません。下記のような収入も雑所得になるので注意しておきましょう。
・年金収入
・非営業用貸金の利子
・副業収入(原稿料・シェアリングエコノミー所得など)
・インターネットオークションやフリマサイトでの収入
・暗号資産取引などによる収入
分配金が20万円以下であっても、雑所得の合計が20万円を超えていれば確定申告が必要です。
2.課税所得金額が694万円まで
課税所得の金額が合計694万円以下であれば、確定申告することで還付金が得られるケースが多いのでおすすめです。
先述したように、不動産クラウドファンディングで利益を得ると、20.42%の税金が源泉徴収されています。しかし、課税所得金額が694万円以下であれば所得税率が20%になるので、払いすぎている税金を確定申告で還付してもらうことが可能です。
なお、課税所得金額が330万円以下であれば10%、195万円以下であれば5%に所得税率が下がります。
これらの場合、確定申告は必須ではありませんが、節税効果を期待したいのであれば必ず手続きしておきましょう。
3.他の理由で確定申告が必要
そのほかの理由で確定申告が必要なパターンもあるので、あわせてチェックしておく必要があります。例えばフリーランスなど会社員以外の仕事をしていて普段から確定申告している場合、そのまま引き続き確定申告を続ける必要があります。
会社員であれば、所属企業で年末調整してくれるので確定申告の必要はありません。ただし、前述したように雑所得が20万円を超える人、及び年収2,000万円を超える会社員の人は別途確定申告する必要があります。
また、医療費控除や寄付金控除(ふるさと納税)を手続きするために確定申告する人もいるので、注意が必要です。
不動産クラウドファンディングで確定申告する流れ
ここからは、不動産クラウドファンディングの分配金を受け取ってから確定申告するまでの流れを解説します。
所得額を確認
まずは、確定申告が必要かどうか所得額を確認します。不動産クラウドファンディングで得た利益に関係なく、確定申告が必要なのは、給与以外の所得が20万円を超える場合です。もしくは、還付金が期待できる、課税所得金額が694万円以下であるのかを確認しましょう。
不動産クラウドファンディングで得られる分配金に関しては、各事業者の報告書で確認できます。
必要書類を準備
次に、確定申告で必要な以下のような書類を準備します。
・源泉徴収票または支払調書
・公的年金の源泉徴収票
・医療費の領収書
・社会保険料の控除証明書
・その他保険料の控除証明書
適用する控除によって用意すべき書類が異なります。また、確定申告する際はマイナンバーカード・本人確認書類も必要です。自分に必要な書類を確認して、早めに準備しておきましょう。
確定申告書を作成して税務署へ提出
確定申告書は税務署や国税庁のホームページから手に入ります。国税庁のホームページには「確定申告書等作成コーナー」があり、画面の案内に従って入力をするだけで確定申告の作成が可能です。記入漏れやミスがあると受け付けてもらえないため、慎重に作成しましょう。
確定申告書が作成できたら、以下のいずれかの方法で申告します。
・管轄の税務署の窓口に持参
・郵送
・e-tax(電子申請)
確定申告書の申告期間は毎年2月16日から3月15日までです。申告が遅れないように準備しましょう。
納税・還付される
問題なく確定申告書を提出できれば、後日納税・還付されます。源泉徴収額が少ない場合は納税が課せられ、多かった場合は払い過ぎた額が還付金として戻ってきます。
また、確定申告書に不備があると、税務署から電話やはがきで連絡があります。この場合、過少申告加算税として追加本税の5%もしくは10%が課されるため注意が必要です。
不動産クラウドファンディングで節税する方法
不動産クラウドファンディングで節税効果を得る主な手法として、「匿名組合型」による雑所得の節税と、「任意組合型」による相続税・贈与税の節税の二つが挙げられます。
下記では、不動産クラウドファンディングにおける二つの節税方法について解説します。
節税効果の低い匿名組合型とは
匿名組合型とは、出資した投資家と事業者の間で締結する二者間契約のことです。この契約では不動産の所有権は事業者側にあり、投資家は物件を直接所有していないことになります。
そのため、不動産クラウドファンディングの利益は雑所得に分類されるのですが、基本的に雑所得に分類されると節税効果は期待できません。しかし、ほかの雑所得で損失が発生している場合に限り、雑所得同士で損益相殺をすることで節税効果を高められます。
ただ、相続税・贈与税などに対する節税効果はないので、対策したい場合は不動産クラウドファンディングではなく現物不動産投資を視野に入れる必要があります。
ちなみに、匿名組合型の場合は登記に関する費用負担はありませんが、運用には介入できないので注意しておきましょう。
節税効果が期待できる任意組合型とは
もう一つの節税手法として、「任意組合型」が挙げられます。任意組合型とは、同じ不動産を購入する投資家が同じ組合員として締結する契約のことです。
出資して共同持分を購入する方法なので、事業者はあくまで組合の代表者として不動産を運用します。匿名組合型とは違い、投資家側にも登記費用や不動産修繕費用がかかりますが、現物不動産と同じく金融資産の評価圧縮効果が期待できる方法です。
相続税・贈与税対策としても人気なので、雑所得以外の節税対策を希望する場合に検討してみると良いでしょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングをする時は、分配金からあらかじめ20.42%の税額が源泉徴収され、源泉徴収した側である事業者が代わりに納税してくれるので、基本的にそれ以上の納税義務はありません。
ただし、雑所得が合計20万円以上ある人・課税所得金額が694万円以下の人・青色申告や医療費控除をする人など、別途確定申告が求められるケースも多いです。特に不動産クラウドファンディングに慣れてくると雑所得が20万円を超える人も多くなるので、あらかじめ把握しておきましょう。
また、不動産クラウドファンディングにおける節税対策には、「匿名組合型」と「任意組合型」とがあります。自分が納付すべき税金や雑所得を計算したうえで、どの契約手法を取るか検討していくのがおすすめです。
参考:不動産クラウドファンディングでの税金は?確定申告が必要な条件もわかりやすく解説!|Fund Bridge