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不動産投資で不労所得を得られる理由とは
サラリーマンが会社で働きながら資産形成をするなら、アパートやマンション経営といった不動産投資がおすすめです。成功すれば、不労所得で安定した収入が目指せます。
まずは、不動産投資で不労所得が得られる理由をご紹介します。
家賃収入が得られるから
不動産投資で不労所得を得られるのは、家賃収入があるからです。入居者がいる限り、投資家は毎月一定の家賃収入が見込めるため、資産形成ができるでしょう。
不動産投資はローンを組んで始めるのが一般的で、維持費などにもお金がかかります。必要経費や金融機関への返済を差し引き、手元に残った金額が不労所得で得られる収入となります。
節税効果があるから
不動産投資では、運用していく上でかかった費用を経費として計上できます。その中でも、アパートやマンションなど不動産を購入する際にかかった費用をはじめ、長期間利用する前提のものは一度に経費計上せず、何年かに渡り分散して計上することが可能です。
この経費計上方法を減価償却費と呼びます。減価償却費として計上すると不動産所得がマイナスになり、本業の給与所得と損益通算すると課税所得が少なくなるため、課税金額を圧縮できるのです。
不動産管理を委託できるから
物件にかかる手間のほとんどを管理会社に委託できることも、不動産投資が不労所得を得るのに向いている理由の一つです。入居者募集、家賃回収、建物の点検、メンテナンスといった幅広い業務を代行できるので便利です。
月々の家賃の総額に対して3~8%程度の委託費用がかかるものの、サラリーマンとして本業を続けながら、新たな収入を得られるのは大きな魅力です。
不労所得はそう甘くない、不動産投資における6つのリスク
不動産投資で不労所得と聞くと、なんとも甘い響きですが、簡単に不労所得が得られるわけではありません。不動産投資を成功させるには、リスクも理解しておかなければならないのです。ここからは、誰にでも起こりうる6つのリスクを紹介します
空室リスク
不動産投資の不労所得といえば家賃収入ですが、一度入居者が決まったからといって永遠に住み続けてくれるわけではありません。入居者が退去すると空室になり、次の入居者が決まるまで収入がなくなります。
空室が増え次の入居者が決まらないと、家賃収入が入らなくなるため、ローンを組んで不動産投資をしている場合は、貯金や給与から返済をすることになるでしょう。空室期間が続けば続くほど、赤字経営の長期化や破綻の恐れが出てくるのです。
資産価値の下落リスク
不動産投資物件は、築年数の経過や周囲の競合物件の増加などで、資産価値が下がることがあります。株価のような急下落はないものの、物件の需要が下がれば必然と下落していきます。
物件の需要が低下すると、家賃を下げるなどして入居者を募集しなければならなくなるため、収入も下がってしまうでしょう。
また、物件自体を手放す場合には、自分が思う価格で売れないという問題もあります。地域の人気不人気にも左右されるので、不動産投資物件を選ぶ際には、慎重に検討する必要があります。
設備の故障や老朽化リスク
現物資産となる不動産は、新築で購入しても年数が経つにつれ当然劣化していきます。建物自体の老朽化はもちろんですが、室内に設置しているキッチンや浴室、洗面台などの設備は10年を目処に修理や交換の必要があります。
所有している物件数や部屋数が多いほど、修繕や交換の件数も増えるため、当然支出も多くなります。
老朽化への修繕費や設備のメンテンス費、交換にかかる費用なども考慮して収支計画を組んでおきましょう。
災害リスク
災害リスクでは地震や火災、津波、台風などの自然災害によって物件が滅失・倒壊する現象に備えます。地震大国日本ではマグニチュード7を超える大規模な地震がいつどこで起きるか分かりません。
現に2011年の東日本大震災では揺れによる液状化現象や火災後の滅失が至る箇所でみられました。
大地震に備えて不動産のオーナーがとるべき対策は、新耐震基準を満たす物件を選ぶことです。東日本大震災で倒壊した物件の大半を占めたのは津波の影響でした。地震の揺れが原因で崩壊した建物の多くは旧震災基準を基にした古い建築物です。
新耐震基準では震度5程度の振動では倒壊せず、震度6〜7の振動にも耐えうる強固な耐久性を備えています。
購入を検討する物件の耐震基準は建築確認日で判断できます。新耐震基準が制定された1981年以降の日付であれば、耐久性が強固な安全な物件だと判断して差し支えありません。
家賃滞納リスク
マンションやアパートの経営で不労所得を得るには、入居者を獲得した時点で安心してはいけません。
経済力の乏しさを理由に家賃を払えない、本当は資金があるのに家賃を払わない人が出る可能性があるためです。
今まで真面目に払い続けていた入居人から突然支払いが滞る場合もあります。
単純に収益が悪化する他、家賃滞納者が占拠し続けて新たな募集をかけられない困った事態に直面するケースも珍しくありません。
賃貸物件の入居者は借地借家法の保護を受け、滞納の事実を確認しても即座に立ち退きを命じられません。立ち退き要求には3か月以上の滞納歴が求められます。
オーナーに大切な心がけは事前に支払い能力が低く、家賃の負担で問題を起こす可能性が高い者を入居させないことです。家賃滞納リスクに未然に備えるための有効な対策は次の通りです。
- 契約時に連帯保証人をつける
- 家賃保証会社への加入を義務付ける
実際に入居審査の事務を担うのは委託を受けた管理会社ですが、オーナーが要望を伝えて未然の防止策を取り入れる要求を出すのは問題ありません。連帯保証人を付ければ入居人の支払いが滞った時、保証人に対して賃料を請求できます。
家賃保証会社は滞納があった時に家賃の支払いに応じ、オーナーの代わりに入居人に督促を出します。保証料は連帯保証人を付けない入居人から徴収され、物件の所有者に負担が生じることはありません。
流動性リスク
不動産投資の特徴は容易に換金できない流動性の低さです。今の物件を諦めて、新たにマンションを購入する目的をもって売却に出そうとしても、支払いまで相当な時間を有します。
流動性が低い理由は単価の高さと手続きの煩雑さにあります。株や債券などその他の資産形態と比較して価格が高く、欲しくても手が届かない人が少なくありません。
証券で取引する無形資産なら分割によって1口当たりの単価を下落させられますが、現物の不動産で同様の対応は難しくなります。
取引が煩雑で1件の契約を完了させるまで価格の査定から仲介業者との媒介契約の締結、購入希望者との価格交渉、売買契約の締結と盛りだくさんです。
購入者の選別や物件の選定には仲介業者が窓口になるとはいえ、売却の完了まで低く見積もっても3か月程度の時間をみておく必要があります。
実は「不労」ともいえない不動産オーナーの役割
不動産投資で収益を出す際には入居人の募集やクレーム対応、家賃の回収、共用部分の管理や清掃は管理会社に任せられます。
しかし事業計画を立案し、収益性があるか精度が高い分析をするのは他でもないオーナーの役割です。
収支計画とは、収入から支出を差し引いた利益がどの程度の金額に達するかを年単位でまとめた計画です。
家賃収入は正確にいえば、駐車場の利用料や共益費、礼金、更新料が含まれます。支出はローンの返済額や火災保険・地震保険の保険料、固定資産税、諸経費です。
賃貸物件のオーナーが収支計画を練る際に特に重要な要素が賃料です。周辺より家賃相場を上げると入居者が中々決まらず、空室リスクによる資金繰りの悪化に悩まされます。
安く抑えれば人が集まるかもしれませんが、利回りが低くなるでしょう。収支計画の立案では平均的な入居率と最悪のケースの両方を想定しておくと好ましいとされます。
新築の設備が充実した物件なら満室で埋まる場合も考えられますが、空室を完全にゼロにするのは考えにくい事柄です。
空室率の判断で重要なのは築年数以外だと立地です。交通の便が悪ければ資産価値の高い新築物件でも高めの数値を見積もった方が良いでしょう。
修繕積立金の金額も、健全で精度が高い収支計画を練る際の重要な要素です。主に共用部分の修繕に備える目的で毎月決まった金額をマンションの管理組合に納付します。
事故や災害による建物の滅損、価値の上昇を目的とした敷地や共用部分の変更のために使用します。積立金の相場は新築では約5%、中古の場合は約5〜15%です。
退去に伴う原状回復費用やエアコンや給湯器の交換などの軽微な修繕費用は、大規模な修繕には含まれません。修繕積立金と別枠で費用を算出する必要があります。
退去時のハウスクリーニングや壁や床の張り替えは敷金から捻出し、不足があれば自己資金から捻出します。不動産投資の収支計画を上手く立案できるか不安な人は次の簡易的なチェックリストを参考にしましょう。
- 家賃の金額は周辺相場とかけ離れていないか
- 建物の劣化に応じて家賃を下げているか
- 築年数に応じた空室率を変更しているか
- 中古物件の場合、十分な修繕積立金の額を設定しているか
- ローンの返済期間は長すぎないか
マンションの購入費用をローンで調達した場合、返済期間は短めに見積もった方が良いでしょう。長いと毎月の負担は減りますが、手取り額が多い楽観的な資産に陥りやすいからです。
最も自己負担額が大きい最悪の事態を想定して、資金計画を立てれば突然の出費でキャッシュ不足に陥る状況を未然に防げます。
不動産投資で不労所得を目指す際の心得
それでは、不動産投資を成功させるための心得をみていきましょう。
不動産投資はサラリーマンが不労所得を得るのに有効な手段です。次の注意点を意識して、ぜひ前向きに取り組んでください。
空室リスクの低い物件を選ぶ
不動産投資の成功を目指すなら、まずは物件選びの対策が必要です。例えば、駅に近い立地や建物の構造、設備などから総合的に判断して、空室リスクが少ない物件を選びましょう。
空室リスクが低ければ入居者が途切れず、長期にわたって安定的な収益が期待できます。物件所有者としての業務が必要最低限で済むため、費用対効果も大きくなるでしょう。
とはいえ、空室リスクの低い物件は人気が高く、費用が高額化する傾向があります。利回りとリスクのバランスを考慮しながら、物件を選んでください。
物件購入後の対策で、空室リスクを抑える方法もあります。敷金や礼金、更新料といった入居者の負担を軽くしたり、リフォームで設備を充実させるなど、費用対効果を考えながら空室対策に取り組みましょう。
信頼できる管理会社を探す
信頼できる不動産管理会社を探すことも大切です。とくに投資初心者の場合は、アパートやマンション経営で集客力があり、対応が迅速な管理会社を選びましょう。
なかでも重要なのが集客力です。入居希望者をたくさん集められる管理会社なら、空室リスクを減らして安定的な収益が期待できます。一般的に、支店が多く知名度のある会社ほど情報の拡散力が高く、入居希望者をたくさん集められます。
逆に、支店がなくても、地域に密着した管理会社のほうがエリアのニーズを深く把握している場合もあります。的確なマーケティングでより多くの入居希望者を集められるため、管理会社のこれまでの実績や取り扱い物件数なども確認して選んでください。
自己資金をある程度用意しておく
自己資金をある程度用意しておくと、不労所得を目指しやすくなります。自己資金が多ければそのぶん借入額が少なく済み、ローンの返済額を減らせるでしょう。
アパートやマンション経営には空室リスクがあり、家賃収入が減ればローン返済が難しくなりがちです。無理のない資金計画で、投資を成功させてください。
余裕があれば複数棟所有してリスクを分散する
資金に余裕がある場合は、複数棟の物件を所有して家賃収入を増やすのも効果的です。収入の柱が多ければ一つのマンションで家賃の滞納が起きても、他のアパートの収益で損失を補填できます。
入居者の募集や物件の管理、クレーム対応は管理会社に任せて問題ありません。運営する物件が増えても作業的な負担はないことから、手間や時間に悩まされる心配はしなくて良いでしょう。
サラリーマンの副業で不動産投資をする際は、複数棟の所有によって勤務先のルールに抵触する可能性がある点に注意が必要です。原則アパートやマンションの経営は資産運用の一種で副業には該当しません。
しかし一定数以上の物件を抱える事業的規模とみなされると話は別です。一戸建ては5棟、アパートやマンションの一室は10戸を超えると本業以外に事業をしていると扱われ、勤務先の副業禁止規定に抵触する可能性があります。
具体的に数字でシミュレーションしておく
不動産投資を成功させるためには、具体的な数字での経営シミュレーションが欠かせません。
理想的な満室の場合だけで考えてしまうと計画が頓挫しやすいため、空室が発生したときや家賃の滞納が起きたとき、災害時などのリスクも想定して、現実的な収支計画を立てて備える必要があります。
このようなシミュレーションは、経営状態が悪化したときに効果を発揮します。トラブルが起きてもローン返済が滞らないか試算することも重要です。
不動産投資で成功したオーナーに共通する特徴
不動産投資で不労所得を得て、安定的に稼ぎ続けると聞けば憧れを抱くかもしれません。
家賃収入が途切れず、継続すればする程収入が上がる成功者には共通の特徴があります。
不動産投資で稼ぎたいなら、実績がある人の習慣を知り、自分も同じように行動すると効果的です。不動産投資の成功者にみられる思考や行動の特徴は次の通りです。
ネットや他人から聞いた情報を鵜呑みにしない
他人から聞いた情報をあてにせず自分で考えて判断できる人は不動産投資で有利です。例えば家賃の設定は相場を考慮する必要がありますが、他と合わせれば良いとは断言できません。
築年数や物件の状態、エリアの利便性などさまざまな事情を複合的に考えて、適切な金額を見極めるべきです。正確な収支計画を策定する際にも自分で考えられる人は判断を誤りません。
将来的な予想を踏まえた無理のない返済計画を立案して、常にゆとりがある状態を保てるでしょう。
自分で精度が高い判断をするには事前の入念な情報収集が不可欠です。勉強して知識を蓄積しないと基準がないため、適切な判断を下したくともできません。勉強が面倒だからと他人から聞いた情報を拠り所にしている人は注意が必要です。
中長期的な目線で物事を考えられる
不動産投資は中長期的な視野に立って、徐々に収益を伸ばす心持ちが求められる活動です。FXのようにチャートの値動きを的中させて、即キャッシュを得る投資とは根本的に異なります。
物件の取得には多額の資金がかかり、不動産投資を始めたばかりは誰しも赤字を強いられます。家賃収入を得て損失を補填する繰り返しを通して、数ヵ月~数年をかけて黒字へと転換する忍耐力が求められます。
空室が減り入居者が解約しない状態を作れれば安定した収益が見込める魅力的なビジネスモデルですが、成功するまでには地道な活動が不可欠です。
物件の質を維持することに積極的
成功する不動産オーナーは修繕や改修をおざなりにせず、所有する物件の価値を向上させる行動に積極的です。
リノベーションや設備投資はキャッシュフローの悪化を招くため、極力避けたいと敬遠する人は少なくありません。
しかし長期的な視座に立てば、物件の資産価値が高くなり、解約者の減少や空室リスクの低減につながります。
入居者が入れ替わるたびに原状回復をするだけでは他の物件と変わらず、人が集うインセンティブにはなりません。
積極的に資産価値の目減りに取り組めば、家賃の値上げを提案したり、値下げを拒んだりと交渉面でも要求を通しやすくなります。
まとめ
不動産収入で憧れの不労所得を目指すならマンション経営のリスクを把握する必要があります。
空室から家賃滞納、老朽化、災害など念頭に置くべき事情はさまざまです。収支計画の立案に関わる重要な要素を見落とさず、高い精度で将来の予測することで失敗を防ぎましょう。