保険代わりの不動産投資?そのリスクと投資に対する正しい見方とは

不動産投資をすると、サラリーマンでも不労所得を得られて資産形成ができます。保険代わりになるといわれている不動産投資ですが、なぜ不動産投資が保険になるのでしょうか。 今回は不動産投資がなぜ保険代わりになるのか解説しながら、投資に取り組むときの基本的な考え方をご紹介します。

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「不動産投資が保険になる」といわれるのはどうして?

不動産投資とは、アパートやマンションといった賃貸物件を購入し、希望者に貸し出して家賃収入を得る投資手法です。

まずは、「不動産投資が保険代わりになる」といわれる理由からみていきましょう。

毎月の家賃収入があるから

不動産投資が保険代わりになるといわれるのは、毎月コンスタントに家賃収入が得られるからです。

将来所有者が亡くなっても、物件は財産として遺族が相続でき、収入も引き継がれます。遺族が将来にわたって安定した収入を得られるため、不動産投資は保険と同様と考えられます。

物件を売却すればまとまったお金が得られるから

相続した不動産物件は、不動産ローンの残債がなければ売却できます。生活に困ったときに売却すれば、遺族はまとまったお金を手にできるため、死亡保険金と同じ安心感があります。

また、遺族が物件の経営を望まない場合も売却することになるでしょう。物件によっては数千〜数億という価格帯での取引になることもあるので、物件は慎重に選びましょう。

団体信用生命保険について知ろう!

不動産投資には、団体信用生命保険の加入がつきものです。投資で失敗をしないためにも、団体信用生命保険の特徴を理解しておきましょう。

ここからは、不動産投資における団体信用生命保険と一般的な生命保険の違いを解説します。

団体信用生命保険とは

団体信用生命保険は、ローン返済中の被保険者に不測の事態が起きたとき、生命保険会社が保険金によってローン残債を返済する保障制度のことです。

団体信用生命保険に加入していれば、投資家本人がローンを残して亡くなっても、ローンの残債を生命保険で相殺して、遺族が投資物件を相続できます。

投資物件を 購入する際に不動産投資ローンを組むときは、団体信用生命保険に加入するのが一般的です。不動産物件は高額商品なので、万が一の備えが欠かせません。

団体信用生命保険の掛け金は家賃収入から差し引きされるので確認しておきましょう。

団体信用生命保険と生命保険(死亡保険)の違いとは

団体信用生命保険と一般的な生命保険は、目的が大きく異なります。団体信用生命保険は不動産ローンの債権回収が目的で、融資をしている金融機関が保証金を受け取り、ローンの支払いが済めば契約が終了します。

対して生命保険は、投資者のケガや病気、死亡に備える保険です。現物資産はなく、投資者が亡くなったときは遺族が保険金を受け取ります。

生命保険代わりの不動産投資にはリスクもある!

生命保険の代わりとなる一面があるとはいえ、不動産投資にはさまざまなリスクがあります。不動産投資のデメリットも、しっかり理解しておきましょう。

ここでは、不動産投資につきもののリスクを紹介します。

物件を希望通りに売却できない

同じ投資のなかでも、不動産は株式や外国為替と比較して流動性が低いという特徴があります。売却すればまとまった金額になるものの、買主を見つけて契約するまでに最低限でも数ヶ月かかり、すぐに現金化できるとは限りません。

また、不動産価格は変動が大きく、想定した売却額では買い手がつかないリスクもあります。売却時の税金や不動産会社への仲介料、司法書士への報酬といったコストも大きく、希望する売却益に届かない可能性があります。

家賃が下がり生活資金にならない

不動産物件は、築年数の経過によって家賃が下がるので注意が必要です。将来的に家賃が値下がりし、生活資金が得られないことがあります 。

物件の維持には一定のコストがかかり、収入と収支のバランスが悪くなると資金計画が頓挫してしまいます。とくに、投資物件を複数棟保有していない場合は、遺族が家賃収入だけで暮らしていけない可能性が高いといえるでしょう。

また、空室リスクも無視できません。家賃収入は、入居者がいてこそ得られるもので、需要の変化で空室が発生すると収入が下がり、生活ができなくなることもあります。

運用中に損益を被る

不動産は生命保険と違い、運用中に損益を被るリスクがあります。たとえば、火災や地震、台風による浸水といった被害が発生すると、不動産経営ができなくなります。

災害は、いつ起きるか予測できません。いったん発生すれば家賃収入が途絶えて生活ができなくなるだけでなく、修繕するために大きな支出を求められるため、備えが必要です。

また、入居者がいても、本人の経済事情による家賃滞納のリスクがあります。すでに居住者がいる場合、たとえ家賃を滞納していてもすぐに追い出せません。

空室であれば新しい入居者を募集して家賃収入の不足をカバーできるものの、滞納されるとなにもできず、投資家にとってはデメリットしかありません。最終的には強制退去を求めるしかなく、訴訟費用をはじめとする損失ばかりが増えてしまいます。

不動産ローンを返済中に金利が上昇し、支出が増えるリスクもあります。不動産投資はある程度の資金力を残しておかないと、なかなか難しいのが実情です。

団体信用生命保険の保険金が下りない

団体信用生命保険は不測の事態に備える保険制度ではあるものの、保険金が支払われないケースもあります。たとえば、自分の健康状態を正しく金融機関に伝えていなかった場合、告知義務違反と判断されると保険金が支払われません。

一般の生命保険と同様に、団体信用生命保険も本人の健康状態に問題があると 債権回収ができないと見なされて、加入できなくなります。健康状態は金融機関にとって重要な判断目安なので、正確な報告が義務づけられています。

また、本人が病気や事故で就業不能になっても、死亡や所定の高度障害に該当しないと判断されて、保険金がおりないことがあります。

不動産投資に対する正しい見方とは

不動産投資はたしかに、生命保険の代わりになる一面があります。しかし、不動産投資はあくまでも、事業としてとらえるのが正解です。

不動産投資には、空室や家賃滞納をはじめとするさまざまなリスクがつきものです。保険のように、毎月お金を払っておけば良いわけではなく、リスクを抑えるために、需要の高い地域や資産価値の高い物件を選ぶ必要があります。

また物件の維持管理にもランニングコストがかかるため、収入と支出のバランスを把握して経営に取り組むことが肝心です。

まとめ

不動産投資は不労所得を得るのに有効な手段で、生命保険代わりになる一面があります。ですが、不動産投資は運用中に損失が出る可能性があるため、生活を保障する生命保険として頼り過ぎるのはリスクがあります。

不動産投資は保険とは別物と考えて、あくまでも事業として取り組みましょう。