アパート一棟買いは失敗しやすい?6つの失敗例から学ぶ成功のコツ

「アパートの一棟買いに挑戦してみたいけれど、失敗しないか心配」と考える方は多いでしょう。アパートの一棟買いは高いコストパフォーマンスが魅力であるものの、リスクも把握しておかなければ、不動産投資を失敗させてしまうこともあります。 今回は、アパート一棟買いの失敗例と成功のコツなどを紹介しますので、参考にしてみてください。

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アパート一棟買いの魅力とは

アパート一棟買いには、以下のような利点があります。

・区分マンションより高い家賃収入がある  

・リスク分散ができる

・土地が手に入る

・自由な運営ができる

アパート一棟買いによって投資家が得られるメリットを紹介します。

区分マンションより高い収入額がある

アパート一棟買いは、部屋数の分だけ家賃収入が得られる可能性があるため、区分マンションで一部屋所有するよりも、高い収益を見込める利点があります。

アパート一棟買いでは入居率に応じて収入も上がるため、区分マンションより収入上限が高く、短期間で高い収益を上げることも可能です。

部屋数が多い分かかるコストはあるものの、入居者確保がうまくいけば収益性が高いのは魅力といえるでしょう。

リスク分散ができる

複数の部屋を同時に所有するアパート一棟買いでは、空室リスクを分散することが可能です。

一部屋しか所有しない区分マンション投資では空室になると家賃収入はなくなってしまいます。しかし、一棟買いの場合は空室ができてもほかの部屋に入居者がいれば家賃収入を得ることが可能です。

このように、仮に空室が何戸かあってもある一定の入居率を保てていれば、相応の収益は見込めるのも魅力といえるでしょう。

土地が手に入る

アパート一棟買いの場合は、建物だけでなく土地も手に入ることがメリットです。

土地を所有していれば、建物が老朽化して使えなくなったとしても、土地活用でほかの事業を始められ、収益化の選択肢を増やすことができます。

ひとつの不動産を長く運用したい場合、土地付き建物は最適な選択肢です。

自由な運営ができる

建物ごと所有するアパート一棟買いには、所有者の判断に従った自由な運営ができる魅力があります。

例えば区分マンションの場合、共用部分は管理できませんが、アパート一棟買いの場合は、共用部分も含めて自由に修繕やリフォームなどを行えます。

ターゲット層のニーズに合わせた設備の導入や魅力ある物件への改修など、自分の意思決定で進められるので、投資の楽しみも増えるでしょう。

アパート一棟買いは区分マンションより失敗のリスクが高い

アパート一棟買いは、区分マンションにはないメリットが多くあります。しかし、区分マンションよりも、失敗したときの損失が大きくなるリスクをもっています。

アパートを一棟買いするには、数千万から数億円の資金が必要になります。入居率の低下や、物件の維持費がかさむなどの理由で収益が上がらなければ、損失が大きくなり、負債を抱えてしまうおそれもあります。

また、災害によってアパートが被災し支出の規模が大きくなることもあります。特に注意したいのが、地震に伴う地面の液状化現象です。一度、液状化によって土地が劣化してしまうと、その地域全体の家賃相場に影響が出ることもあります。

アパート一棟買いでよくある6つの失敗

アパート一棟買いで失敗しやすいのは、次の5つのケースです。

・中古物件で修繕費がかさんでしまった

 ・間取りに魅力がなく入居者が集まらなかった

 ・入居者の入れ替わりが激しく出費がかさんでしまった

・エリア需要の変化に対応できず入居者が集まらなくなった

 ・災害が起きたとき大きな損失が出た

 ・いざというとき売却に難航した

どのようなところに注意すべきか説明します。

失敗1.中古物件で修繕費がかさんでしまった

中古物件を購入する際に注意したいのが、修繕費が想定外にかかって利回りが悪化してしまうリスクです。

修繕されていない状態の中古物件は、購入後、多額の修繕費が発生する場合があります。外から見えない配管や内部が傷んでいる場合もあるので、購入価格の安さだけで即決しないことが大切です。

物件を購入する際は修繕費のことも念頭において、費用対効果を考慮しましょう。

失敗2.間取りに魅力がなく入居者が集まらなかった

間取りに魅力がない物件を購入してしまうと、失敗のリスクが上がります。

例えば、部屋の形や間取りが特殊過ぎる場合や眺望が悪い場合、トイレとバスが一体化しているタイプなど、需要の低い間取りでは入居者が他の物件に流れてしまうでしょう。

入居者を確保するためには、間取りにも付加価値が必要です。

失敗3.入居者の入れ替わりが激しく出費がかさんでしまった

入居者の入れ替わりが激しい物件では、家賃収入が安定せず投資が失敗しやすくなります。

単身者向け物件など入居者が頻繁に入れ替わる物件では、家賃収入が不安定なだけでなく、出費も増加します。主にかかる費用として、入居者募集にかかる仲介業者への報酬の支払い費用、退去にともなう清掃や修繕、鍵の交換費用などが挙げられるでしょう。

失敗4.エリア需要の変化に対応できず入居者が集まらなくなった

アパートが立地するエリアの需要が変化し、入居者が集まらなくなることも珍しくありません。

たとえば、大学が近い立地のアパートなら、ひとり暮らしの学生に合わせた間取りや設備が揃っています。ところが、大学が移転したり、募集を停止したりした場合、学生向けアパートの需要は減少してしまいます。

少子化が進む今、大学は経営を続けていくために複数のキャンパスを整理して移転したり、入学者が少ない学部の募集を停止したりしています。

大学のほか工場、商業施設などもエリアの人口構成に影響を与える要因のひとつです。

区分所有なら、さまざまなエリアの物件を所有することで需要の変化にともなうリスクを分散できます。しかし、アパートの一棟買いは、変化に対応しにくい点で不利といえます。

失敗5.災害が起きたとき大きな損失が出た

災害が起きてアパートが被災すると、大きな支出が発生します。損害保険に入っていても保険金だけでは賄えず、自己負担を強いられることも珍しくありません。

アパートの被災状況が大きかったり、地域全体が大きな被害を受けたりした場合は、入居者が一斉に退去してしまう事態も考えられます。復旧後も入居者が集まらないと、家賃を下げなければならなくなり、当初見込んでいた収益が確保できません。

一棟買いをする物件を選ぶ際は、ハザードマップで物件の災害リスクをチェックしておきましょう。一般的に、台地エリアは沖積平野エリアよりも地震リスクが低いといわれています。河川などの堆積物によって形成されている沖積平野は、地震によって液状化現象が起きやすくなります。

失敗6.いざというとき売却に難航した

物件を購入して賃貸経営を始めると、どこかのタイミングで物件を売却することを考えておく必要があります。たとえば、まとまった金額が必要になったとき、賃貸経営を続けるよりも売却したほうが利益を見込めるときなどです。

しかし、一棟買いは区分所有よりも大きな金額が動くため、売却に時間がかかる傾向にあります。また、売り手側の売却希望額が市場の相場と合わなかったり、売却したい物件そのものの需要が少なかったりといったことも時間がかかりやすい要因です。

まとまった資金が早く欲しい場合、買取業者に購入してもらうことも考える必要があります。この場合、買取価格は市場価格よりも安くなるケースが一般的です。

アパート一棟買いを成功に導く5つのコツ

失敗のリスクを下げ、アパート一棟買いを成功に導くには、4つのコツがあります。

・キャッシュフロー計画を立てる

・物件を自分の目で確認する

・物件の周辺環境をチェックする

・入居者を確保しやすい物件を見極める

ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

1.キャッシュフロー計画を立てる

購入時の初期費用だけでなく、運営開始後までを見越したキャッシュフロー計画を立てることが重要です。

不動産投資では、家賃収入ばかりに目が行きがちですが、入居者を募集するための経費・修繕費などの支出やローンの返済額も試算し、無理のない運営ができるかどうかを確認しておきましょう。

2.物件を自分の目で確認する

投資対象とする物件は、必ず現地に赴き自分の目で実物を確認してください。

使いやすい間取りかをはじめ、眺望・採光・騒音・物件の状態など、実際に見てみないとわからないことは多くあります。

不動産投資で失敗しないためにも、現物を確認し納得してから決めるのがおすすめです。

3.物件の周辺環境をチェックする

物件自体だけでなく周辺環境のチェックも、投資を成功させるうえで欠かせません。

周辺環境を調べることで、ライバル物件の多いエリアか、立地条件が悪くないかなどの空室リスクに影響する要因の有無を確認できます。

実際に現地を確認したり、インターネットで情報収集したりして、充分にチェックしておきましょう。

4.入居者を確保しやすい物件を見極める

アパートの一棟買いを成功させるなら、とにかく入居者の確保しやすさを重視して選びましょう。

ほかの物件と差別化して入居者の募集を有利に進められる物件かチェックする主なポイントは以下の3つです。

・魅力的な間取りや設備か

・人気のある立地か

・利便性が高いエリアか

間取りや設備が平凡な場合は、リフォームやリノベーションを行うことも視野に入れて考えるとよいでしょう。

5.リフォームやリノベーションを前提に考える

新築・中古にかかわらず、物件は時間とともに劣化し、入居者が集まりにくくなります。購入計画を立てる際、リフォームやリノベーションを含めた修繕費用も含めて考えておきましょう。

経年劣化やトレンドに応じたリフォームやリノベーションを行えば、築年数を重ねた物件でも高い入居率を保つことができます。

また、最初からリフォームやリノベーションすることを念頭に置いて中古物件を選ぶ「リフォーム投資」「リノベーション投資」とよばれる投資方法もあります。これらの投資方法を行う場合、空室物件が狙い目です。空室物件を購入すれば、すぐにリフォームやリノベーションを施すことができるからです。

なお、リフォームやリノベーションをともなう賃貸経営には、ノウハウが必要になるため、リフォームやリノベーションに強い不動産会社を見つけることがポイントです。

まとめ

アパートの一棟買いで失敗しないためには、物件状態・周辺環境の両面から入居希望者に人気がある条件を備える物件を選ぶことが重要です。また、初期費用だけでなく維持費も含めた資金計画を立てることをおすすめします。