家賃収入とは

家賃収入とは、主にアパートやマンションなどの賃貸用不動産を保有し、入居者から支払われる賃料を得ることを指します。毎月定期的に家賃が振り込まれるため、安定的なキャッシュフローを期待できる一方、維持管理や入居者募集などの作業も必要です。

ここでは、家賃収入がどのような性質を持ち、実際に得られる利益との関係、さらには不労所得との違いや注意点などを掘り下げていきます。初心者の方にはやや複雑に感じるかもしれませんが、仕組みをしっかりと把握することで、リスク管理にもつながります。

家賃収入の定義と不動産所得

物件を所有するオーナーにとって、家賃収入は毎月の大きな収益源です。受け取った家賃から経費を差し引いた額は「不動産所得」と呼ばれ、確定申告の際には所得税や住民税の課税対象になります。ここを正確に理解しておくことで、後々の税務手続きで困らないよう準備できます。

家賃収入は月々の家賃を受け取るだけで終わりではなく、さまざまな経費や維持コストを考慮したうえで初めて正味の利益が見えてくるものです。例えば固定資産税や火災保険、管理委託費や修繕費などが差し引かれるため、単純な家賃の合計額と可処分所得には差が生じます。

不労所得との違いと注意点

家賃収入は「不労所得」として紹介されることが多いですが、実際には完全に何もしないで得られるわけではありません。入居者募集や家賃の回収、物件設備の修理対応など、労働的な要素も多く含まれます。不動産経営は放置して収益を得るものではないという認識をもっておくことが重要です。

初心者が特に注意したいのは、家賃滞納や空室率の上昇といった収益ダウンのリスクです。入居者の審査や賃貸条件の設定を誤ると、安定収入が得られずにローン返済に苦しむ場合もあります。想定外の事態にも対応できるよう、収支計画は余裕をもって立てましょう。

賃貸経営における家賃収入の内訳

家賃収入と一口にいっても、その中身は単に月々の賃料だけではありません。実際には共益費や礼金、更新料、駐車場代など、複数の要素から成り立ちます。ここでは主だった収入源を整理し、各項目がどのように収益に影響するのかを見ていきましょう。

家賃と共益費の仕組み

メインとなるのは毎月支払われる家賃です。通常、入居者からは前払いで家賃を徴収し、固定収入を確保します。しかし空室があると、その分の家賃収入がゼロになり、キャッシュフローが大きく変動するので注意が必要です。

加えて、共用部分の維持管理費として共益費を徴収するケースもあります。ここで得た収入は廊下やエレベータの電気代、定期清掃、さらには庭の手入れなどに充てられ、管理状態を良好に保つために重要です。共益費の設定が適切でないと、入居者満足度を下げるリスクもあるため、賃貸市場や運営コストに合わせた徴収額を見極めましょう。

礼金・更新料とその他収入

礼金は新規入居時の謝礼金として受け取りますが、退去時には返還不要です。近年では入居促進のため礼金ゼロの物件も増えており、市場動向に合わせた設定が求められます。また、契約更新の際に支払われる更新料も収益の一部となりますが、地域によっては競争力を高めるために設定しないオーナーも増加中です。

駐車場代や自動販売機設置料といった付随収益も見逃せません。これらは月々の家賃ほど大きくはないものの、積み重ねると大きなプラス要素です。少しでも収益源を多様化しておくことで、家賃収入の不安定さを補い、経営全体のリスク分散につながります。

家賃収入を得るための支出構造

家賃収入ばかりに目を向けていると、支出面がおろそかになりがちです。しかし、実際には税金や保険料、修繕費、ローン金利、管理費や専門家への報酬など、さまざまな支出が発生します。これらを正しく把握し、無理のない経営をすることが成功の鍵です。ここでは、賃貸経営において代表的な費用項目について確認し、実際にどれほどの負担がかかるかを押さえておきましょう。

税金や保険料を正しく把握する

賃貸経営では不動産取得税や固定資産税、都市計画税などがかかるため、物件を取得する前に算出しておく必要があります。特に固定資産税は毎年発生し、キャッシュフローに大きな影響を与えます。忘れずにシミュレーションし、資金計画に組み込みましょう。

火災保険や地震保険の保険料も、賃貸経営では不可欠な支出です。物件の立地や構造にもよりますが、万一のトラブル時に大きな損失を回避できる保険は重要なリスクヘッジとなります。契約期間に応じて保険料を年割りして経費計上できることも覚えておきましょう。

ローン金利と修繕費の取り扱い

多くの投資家が物件取得にあたり、アパートローンや住宅ローンを利用します。この際、毎月のローン返済元金は経費になりませんが、利息部分は経費として計上が可能です。返済計画をどう組むかによってキャッシュフローが大きく変化するので、複数の金融機関を比較検討することが賢明です。

修繕費も見落としがちな支出で、大規模な修繕が必要になった場合は一時的に大きなコストが発生します。クロスの貼り替えや設備の交換費用など、積み重ねれば高額になりやすいので、定期的に積立を行い、急な出費に対応できる余力を持つことが大切です。

家賃収入が生まれる基本の流れ

家賃収入を得るためには、物件を手に入れ、入居者を確保し、家賃を回収するという流れを確立する必要があります。どの段階もスムーズに進められれば安定経営に近づきますが、融資の審査や入居者募集の難航など、つまずく要因は少なくありません。

まずは物件購入と資金計画、次いで入居者募集から家賃の受け取り、さらには確定申告に至るまでの一通りのプロセスを理解しておきましょう。流れを把握することで、次にどのようなアクションをとればよいのか明確になります。

物件の購入と融資の活用

家賃収入を得る第一歩は、アパートやマンションなどの収益物件を購入することです。現金一括で買える場合は問題ありませんが、通常はアパートローンなどの融資を利用し、長期的に返済していくスタイルが一般的となります。融資を受けられる条件や金利は個人の信用力や物件の評価によって変動するため、複数の金融機関に相談するとよいでしょう。

融資の審査では物件の立地や資産価値に加え、個人の年収や信用情報も詳細にチェックされます。借入が可能になったら、物件の購入契約を結び、登記や火災保険の手続きなどを進めます。ここで司法書士や不動産会社のサポートを利用するとスムーズです。

入居者募集と家賃収入発生の実際

物件を取得したら、次は入居者募集を行います。不動産管理会社に委託すれば、広告や物件案内、契約手続き、集金業務などを代行してくれます。手数料は家賃の2%~5%程度が相場ですが、人件費や手間を考慮すれば妥当と考えるオーナーも少なくありません。

入居者が決まり家賃が振り込まれるようになると、いよいよ人からの信頼を受けて家賃収入を得ている実感が高まります。ただし、給与所得とは別の所得が20万円を超える場合は確定申告が必要なので、早い段階から経費や帳簿の管理を徹底しておきましょう。

家賃収入だけで暮らすための必要金額

将来的に家賃収入だけで生活を成り立たせたい場合、その目安となる金額を把握しておくと計画が立てやすくなります。たとえば、目標とする年収が500万円なのか1,000万円なのかによって、必要な物件数や投資金額は大きく異なります。

年収1,000万円の家賃収入を目指すケースを想定し、具体的なキャッシュフローを試算することで、自分がどの程度の融資を用意し、どのくらいのリスクを負う必要があるのか判断できるでしょう。ここでは、利回りやローン返済額などを交えながら考えていきます。

利回りとキャッシュフローの考察

家賃収入の投資効率を表す指標として「表面利回り」が用いられます。これは年間家賃収入を物件価格で割った数値ですが、実際の経費を考慮していないため、実質利回りとは異なることに注意しましょう。重要なのは最終的なキャッシュフローであり、ローン返済や管理費、税金などを差し引いた手残りを最優先に確認する必要があります。

表面利回りが10%の物件でも、経費を差し引くと実質利回りが5%台まで下がるケースは珍しくありません。想定していた家賃収入は経費次第で大きくぶれるため、表面利回りだけに惑わされず、詳細な支出項目を含めてシミュレーションすることが大切です。

具体的イメージと試算事例

たとえば、物件価格1億円、表面利回り10%で年1,000万円の家賃収入を得ているケースを想定しましょう。ローン返済が年間500万円、修繕費や管理費を含む経費が300万円かかると仮定すると、実質の手残りは200万円ほどになります。同条件で年収1,000万円を狙うなら、理論上は物件を複数棟保有する必要があります。

ただし、融資条件や物件の稼働率、修繕のタイミングなどで結果は変化するため、参考値として捉えるのが妥当です。無理のない範囲で自身の生活コストと照らし合わせ、必要な年収水準を明確にすることが重要といえます。

家賃収入で生計を立てる主な方法

実際に家賃収入で生活を維持するとなると、どのように物件を取得し、どのくらいの規模を目指すのかが大きな課題です。すでに土地を持っている場合はメリットがありますし、まったく土地を持たない状態から土地+建物を購入する方も少なくありません。

ここでは、土地を所有しているケースと、新規で土地と建物を購入するケースの2つを取り上げ、それぞれの特徴や留意点を解説します。

土地を所有している場合の活用

すでに土地を所有している場合、建物を新築するための建築費用のみ、またはリフォーム費用だけの融資で済むことが多いです。その分ローン返済の負担が抑えられるので、キャッシュフローの安定度は高まります。古家がある場合は取り壊しやリフォームの手段を熟考し、土地の潜在価値を引き出すように計画を立てましょう。

所有地の立地条件が悪いと、入居者確保に時間がかかる場合もあります。街の中心部や駅近など利便性が高いほど家賃を設定しやすく、反対に人口減少や交通の便が極端に悪いエリアでは空室リスクが増大します。将来的な賃貸需要を見込めるかどうか、客観的な市場調査を行うことが不可欠です。

土地と建物を新規で購入する場合

もともと土地を持たない方が、投資目的で新規に土地と建物を購入するケースもよくあるパターンです。この場合、土地代も含めて大きな融資を組む必要があり、ローン返済額が高額になりがちです。その分、高い家賃収入を狙える立地や物件を選ぶことが求められます

買い付けの際は、周辺相場や将来の街づくり計画、人口動態などを丹念に調べましょう。特に新興エリアの場合、今後の開発が進めば家賃相場が上昇する可能性もありますが、計画が頓挫したり競合物件が増えたりするリスクもあります。情報収集と慎重な判断がカギとなります。

家賃収入を安定させるポイント

ここでは、家賃が滞納される場合のリスク管理や、日々の物件管理の手間を軽減する方法など、オーナーとして取り組むべき課題の対策方法について解説します。

空室対策と家賃滞納リスクへの備え

空室が続くと家賃収入が激減し、ローン返済に回す資金が確保できなくなる恐れがあるため、常に入居者を確保する空室対策が欠かせません。具体策としては、家賃や礼金の見直し、設備の充実、オンラインによる入居申込の導入などがあります。また、家賃保証会社を利用することで滞納リスクの軽減も可能です。

家賃滞納が発生すると、入金がストップするだけでなく、回収に向けた手続きや法的対応が必要となる場合もあります。このようなトラブルは精神的コストも大きいため、契約時の審査を厳格に行い、保証企業や不動産管理会社と連携してリスクを最小化したいものです。

専門家活用と経営管理スキルの習得

物件を複数棟運営していると、税務申告や契約更新手続き、修繕計画の立案など、業務量が格段に増えます。そこで、税理士や弁護士、不動産管理会社など専門家のサービスを利用することで、業務効率を高めながらリスクを軽減できます。

一方、オーナー自身が経営管理スキルを高めることも非常に重要です。会計や法律、マーケティングの基礎を学ぶことで、専門家に全て任せるのではなく、正しい判断をオーナー自身で下せるようになります。その結果、家賃収入の最大化だけでなく、物件価値の維持・向上にもつながるでしょう。

まとめ

家賃収入は、不動産を所有していれば得られる魅力的な収益源ですが、ローン返済や修繕費、税金などのコストとリスクを正しく把握する必要があります。

物件選びや入居者募集、管理手法を誤ると空室や家賃滞納に悩まされるため、慎重な市場調査や専門家のサポート活用が鍵です。自分の理想とするライフスタイルや目標年収に合わせたシミュレーションを行い、計画的に投資を進めましょう。まずは小さな物件からでも経験を積み、家賃収入で生計を立てる現実に向け、一歩を踏み出してみてください。

執筆者

エンマネ編集部

エンマネ編集部

将来のためにお金を準備したい方に向けて、資産形成の始め方や選び方、そしてリスクに備える方法などを発信しています。資産形成のコツを知って、大切なお金を上手に活かしましょう。