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【2023年】埼玉県の公示地価の結果は?
埼玉県における住宅地の公示地価は、2021年に少し上昇幅が減少したものの、その後また上昇幅を回復しながら推移しています。
首都圏の1都3県を見ると、過去5年における住宅地の地価推移は、4自治体ともほぼ同じ傾向を示しました。しかし、202 2年の対前年変動率は、千葉県がプラス2.3%に対して神奈川県や埼玉県はプラス1%台と、比較すると緩やかな動きに見えます。
上昇エリア3県揃っての傾向として、地価上昇が著しい東京都の状況を受け、手が届く範囲の東京隣接地域の地価が上昇しています。この「手が届くところ」というニーズを多く受け止めているのが千葉県です。
また、埼玉県の商業地は、変動率では住宅地に比べてやや穏やかな動きながら、やはり東京に隣接したエリアの地価上昇傾向が目立ちます。山間部など土地取引の少ないエリアを多く持つ埼玉県は、神奈川県とともに、平均すると低めの上昇率です。
ただし公示価格ではなく、実際に取引されている実勢価格に注目すると、状況が変わります。
年間の地価変動率でみると首都圏平均7.0%の上昇に対して、埼玉県は12.0%と二桁台のアップと、首都圏のなかでも最も上昇率が高いエリアなのです。一方、神奈川県は3.9%の上昇で、東京23区や都下、千葉県なども一桁台という違いとなります。
出典:野村不動産ソリューションズ「住宅地価格調査・2022年4月1日」
埼玉県の地価変動率が高く推移している要因は、圏央道によるアクセス好転効果や、コロナ禍の影響による東京40km圏の住宅地高騰が挙げられます。加えて根拠となる最大のポイントが、東京・神奈川に比べ地価水準が低いところに消費者の視線が熱くなっている点です。
現在ではコロナ禍の影響も終息をみせているため、東京に近いエリアの上昇率が高い点は、実勢価格も国土交通省の発表と一致しています。
埼玉県内で地価が変動している地域はどこ?
同じ埼玉県内でも、地域によって地価の変動率は大きく異なります。資産性の高い投資用不動産を購入するためには、各地域の動向にも注目することが大切です。
ここでは、埼玉県内で具体的に地価が動いている地域をご紹介します。
埼玉県南部の地価が上がっている理由
埼玉県は南部が東西の長い距離にわたって東京都と接し、地勢上内陸であるために、都心への交通アクセスにも恵まれています。人口も増えており、旺盛な賃貸需要が生まれている地域です。
総務省統計局の『住民基本台帳人口移動報告(2021年)』では、2021年の人口転入超過数が全国1位となったのは、さいたま市の10,527人でした。
出典:総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告(2021年)」
東京都の過剰な地価高騰にコロナ禍の影響も加わり、都心から周辺に移動する人口が増加し、さいたま市、川口市などがその受け皿になっているといえるでしょう。
埼玉県北西部の地価が下がっている理由
埼玉県も北部、西部の中古物件に関しては横ばいか、下落傾向がみられます。下落の理由は、農地の転用開発です。埼玉県内の農地は減少し、宅地転用をはじめ道路、工場、倉庫、ショッピングモールなどに変わる形で、再開発が進んでいます。
新築の供給が継続しているため、中古の地価が上昇しにくい状態にあります。再開発の動向が地価の過剰な上昇を抑えている点も、埼玉人気を支えているといえるかもしれません。
南部のエリアでは、建材の継続した高騰から新築マンション・戸建ての価格が高くなっているため、中古市場でも価格が上昇し続けています。
農地転用が進む北西部において、利便性の良いエリアでは、コロナ禍以降の3年で中古物件の価格が20%〜30%ほど上昇している点も注目すべきポイントです。
2023年以降地価が上がりそうな市区町村とは
前述したように、同じ埼玉県内かつエリアでも、様々な要因によって地価の変動率に差があります。不動産投資で遠方の物件を購入する時は、都道府県単位ではなく地域など範囲を狭めてニーズや価格の動向を探ることが大切です。
埼玉県内で2023年以降に地価が上がりそうな市区町村として、次の2ヶ所があげられます。
さいたま市などの中心部
さいたま市や川口市などは、すでに地価の上昇気流に乗っている状態です。今後もこの勢いは継続すると考えられます。
さいたま市の大宮区・浦和区や川口市、蕨市などの駅近エリアは、通勤の利便性からも人気の高いエリアです。近年は都心部のマンション価格高騰により、23区から移転する人のターゲットとなっています。
また、都内の地価高騰が継続しているため「都心に比べてお買い得」という状態は依然として変わりません。
今後、例えば、株価の暴落や円高などで富裕層の購入が減り、都心のマンション価格の下落が起こらない限り、この傾向は変わらないと考えられます。
所沢市などの人口増加エリア
人口増加エリアも地価上昇が予想されます。埼玉県で2021年の転入超過数が1,000人を超えたのは、さいたま市、川口市、所沢市、川越市、上尾市、草加市の6エリアです。
人口増加エリアが地価上昇を見込める理由として、ここでは所沢市を例に解説します。
所沢市は、さいたま市や川口市に比べて地図上は都心からの距離を感じる位置にあります。しかし、所沢駅から西武池袋線(急行)利用で池袋駅まで21分、西武新宿線(急行)利用で新宿駅まで36分という距離にあり、他社線の乗り入れも進んでいるため、好アクセスなエリアです。KADOKAWAのグループ本社の移転など、ポップカルチャー発信拠点施設の開発が進む東所沢周辺も要注目です。
上記6エリア以外では、巨大ショッピングモールの登場で利便性のアップした富士見市も人口増加率が著しく、注目を集め始めています。
地勢上東京に隣接する上に交通の便も良く、人口増加率も上昇を開始している草加市に加えて、八潮市、三郷市、朝霞市なども今後の発展が期待できます。
まとめ
埼玉県の地価の動きや、県下で今後地価の上昇しそうなエリアについて解説しました。インフレや金利上昇の影響は、今後も注視が必要です。しかし現在の「お買い得感」がある限り、埼玉県の地価の上昇傾向も続くと考えられます。