目次
投資用ワンルームマンション売却の適切なタイミング
投資用ワンルームマンション売却の適切なタイミングとして、代表的なものが次の2つです。
収支(キャッシュフロー)がマイナス
1つめは、投資用ワンルームマンションの収支(キャッシュフロー)がマイナスになったタイミングです。
毎月の家賃収入とローン返済や諸経費などの支出を比較したときに、収入よりも支出の方が多くなったときは、売却を検討した方が良いかもしれません。
たとえば家賃収入からローン返済分を賄っている場合、空室が続くことで返済が滞る恐れがあります。返済の見込みが立たなくなってからでは損害を免れられないため、キャッシュフローがマイナスになったときに売却を検討しましょう。
景気動向や価格推移が上向きになっている
2つめは、景気の動向が上向いているときや、市場価格の推移が上昇傾向にあるタイミングです。
景気が良くなると、地価やワンルームマンションの価格推移の上昇が期待できます。
市場価格がわからない場合は、路線価や公示価格を参考にしましょう。路線価とは、土地の相続税評価額を計算するときに使用する価格のことで、公示価格の8割程度に設定されています。
一般的に、路線価や公示価格が上がればマンション価格も上昇します。
ワンルームマンションの売却方法は2つ
ワンルームマンションの売却方法は主に2つあります。それぞれのメリット・デメリットを確認し、自身に合った売却方法を見極めましょう。
売却価格を高く設定できる「仲介」
不動産会社に仲介をしてもらい、ワンルームマンションを売却する方法があります。不動産売買に精通した不動産会社に仲介してもらうことで、相場以上の値段で不動産を売却できる可能性があります。
仲介手数料が発生しますが、販売活動や交渉、手続きなどの面倒な作業を業者に任せられるのが大きなメリットです。また、仲介業者のアドバイスや市場情報を活用することで、より適切な価格設定や買い手の獲得につなげられます。
ただし、売却後に見つかった物件の不良を負う責任「契約不適合責任」が発生するほか、部屋が汚い場合はリフォーム代もかかります。また、買い手が見つかるのに時間がかかる場合もあるでしょう。
仲介は、「時間はかかっても高値で売却したい」という方におすすめの方法です。
早く現金化できる「買取」
不動産会社に直接買い取ってもらう方法があります。不動産会社が決めた買取価格に基づき、双方合意のもとで契約が決まるため、仲介よりも早く売却できます。
また、広告に掲載されないため誰にも知られずに売却できるほか、売主の都合に合ったスケジュールで売却できる点もメリットです。また契約不適合責任も基本的に発生しないため、住宅に何かの欠陥が見つかっても責任を負う必要がありません。
買取には多くのメリットがありますが、仲介よりも売却価格が低くなる点に注意が必要です。不動産会社は買い取った不動産をリフォーム・リノベーションなどして販売・運用するため、不動作会社の利益を考慮した金額に設定されます。またワンルームマンションの室内の状態によっては、買取を断られる場合もあります。
買取は売却価格よりも素早く売却することを優先したい方におすすめの方法です。
投資用ワンルームマンションを高く売却する3つのポイント
投資用ワンルームマンションを高く売却するために押さえるべきポイントは、次の3つです。
・競合物件が少ないタイミングで売却する
・高額査定の不動産会社を見つける
・3ヶ月以内を目標に売却する
高値で売却するには、どのようなことに気を付ければ良いのか、具体的に見ていきましょう。
競合物件が少ないタイミングで売却する
近しい条件のワンルームマンションが市場に少ない場合、価格競争が起こりにくいため、少し高めの価格でも売れることがあります。
投資用ワンルームマンションは利回りや立地が重視されるため、売却したいワンルームマンションの周辺物件を調べて、競合する物件の価格設定や売り出し方などを確認し、売却時期が重ならないようにしましょう。
高額査定の不動産会社を見つける
査定価格の付け方は不動産会社で異なるため、複数の不動産会社での査定結果を比較し、より高く売れそうな不動産会社を選ぶことが大切です。
査定では、人気の条件を満たしている物件かどうかが、高額査定のポイントになります。ひとり暮らしの社会人や学生などに需要がある投資用ワンルームマンションでは、以下のような条件が人気です。
・駅から徒歩10分以内などの立地
・バス・トイレ別の間取り
・オートロックや監視カメラなどの防犯対策
このような条件を満たす場合は、売却時に積極的にアピールすることで高値売却を狙えます。
また、投資物件の購入段階から、高値売却の見込める好条件の物件を選ぶようにしておくと良いでしょう。
3ヶ月以内を目標に売却する
中古物件は売り出してから時間が経過すると「不人気物件なのではないか」と疑われ、買い手がつきにくくなります。すると、売却価格を値下げして売り出すことになり、成約価格が下落します。このような事象が起こり得る目安が3ヶ月以内といわれているのです。
高く売りたいことを理由に相場より高めに設定すると、なかなか買い手が見つからず、かえって価格が下がることになりかねません。
値下げを続けると、底値になるまで待とうと考えることで、ますます買い手が付きづらくなります。このような事態を防ぐためにも、最初から適正価格に設定することが大切です。
また、早期で売却するためには、広告掲載の写真を見栄えの良いものにすることや、内覧に積極的に対応するなど、物件を良く見せるための活動が有効です。
投資用ワンルームマンション売却の注意点
ワンルームマンションの売却は、不動産会社の選定や売却価格の設定など注意すべき点がいくつかあります。ワンルームマンションの売却益を最大限にするためにも、ここで紹介する6つの注意点を押さえておきましょう。
ローン残債と売却費用を確認する
投資用ワンルームマンションを売却する前に、ローン残債と売却費用を確認しておきましょう。
売却後にローンが残る不動産物件は、基本的に売却できないからです。また、売却時には仲介手数料・抵当権抹消費用・印紙税など、合計で売却金額の4%程度の諸費用がかかります。
ローンの残債を返済する費用や売却時に必要な諸費用を試算したうえで、最低いくらで売却できればローンが残らず、利益を出せるのかを把握することが大切です。
所有期間で売却利益の課税率が異なる
物件の所有期間で売却利益の課税率が異なるため、売却のタイミングには注意が必要です。
譲渡所得税として、投資用ワンルームマンション売却で得られる利益(キャピタルゲイン)には税金が課され、その税率は不動産を所有していた期間によって異なります。
所有期間 | 税率 |
5年以下 | 短期譲渡所得の区分になり税率は「39.630%」 |
5年超 | 長期譲渡所得の区分になり税率は「20.315%」 |
所有期間は、売却した年の1月1日時点の所有期間になるため注意しましょう。
なお、居住用の場合は売却時に「3000万円特例控除」をはじめとした節税方法がありますが、投資用のワンルームマンションにはありません。
リフォームをしない
ワンルームマンションを高く売るためにリフォームする方法があります。しかし、リフォームするにも費用がかかるため、リフォーム代が高額になれば費用の回収が困難になるでしょう。
とはいえ、600万~800万円程度の物件であれば費用を回収できる可能性があります。リフォーム費用とワンルームマンションの売却価格を天秤にかけ、リフォームをしない状態での売却も検討してみてください。
売却までに時間がかかる場合がある
ワンルームマンションの売却には、市場や需要の変動によって時間がかかる可能性がある点を考慮しておきましょう。不動産会社による買取であればすぐに売却できますが、仲介の場合は買い手を見つけるのに苦労する場合があります。
一般的な目安は交渉や契約手続きなど諸々を含めて3〜6ヶ月程度ですが、買い手が見つからなければ1年以上かかる可能性も少なくありません。「すぐに現金が必要」といった場合は不動産会社による買取を検討するとよいでしょう。
悪質な不動産会社がある
世の中には悪質な不動産会社も存在します。悪質な不動産会社とは、仲介で高額な手数料を要求したり、高額な査定価格を提示したりするような会社のことです。
悪質な不動産会社にあたらないよう、信頼性や実績を口コミや評判から確認しましょう。インターネット上や不動産関連の掲示板などで、ほかの人々の体験談や評価を参考にしてみてください。
また不動産会社と交わす契約書は、内容を十分に確認しましょう。特に手数料や費用、売却条件、責任範囲などについて明確な記載があるかどうかを確認し、納得がいくまで検討しましょう。
相場を把握したうえで値段設定する
相場を知らないと売却価格の設定で損をしてしまう可能性があります。ワンルームマンションを売却する前に、不動産市場の状況や類似物件の売却価格を調査しましょう。似たようなワンルームマンションの相場を把握することで、適切な売却価格を設定する参考になります。
不動産の相場の調べ方として、レインズや国土交通省のWEBサイト(土地総合情報システム)がおすすめです。これらのサイトを有効活用することで、過去の取引事例からおおよその相場を予測できるでしょう。
まとめ
投資用ワンルームマンションを高値売却したいなら、高く売れるタイミングを狙うことや、短期売却を目標に売却活動を行うことなど、さまざまなポイントがあります。なんとなく売りに出すのではなく、ポイントを押さえて、少しでも利益を増やせる売り方をしましょう。