北海道最大の都市「札幌」の魅力 北海道新幹線の開業予定・再開発など 将来性も高いエリア

日本最北の大都市である「札幌」は長い歴史を持つ都市です。 北海道最大の都市であり経済的にも大きく発展しています。 そんな札幌の魅力について検証してみましょう。

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「札幌」の位置と歴史は

北海道は日本の都道府県の中で最も北に位置します。明治2年(1869年)に蝦夷地から北海道へと改称され、札幌本府が設置されました。その後、屯田兵と呼ばれる開拓民が入植し札幌の開拓が進みました。明治9年には現在の北海道大学となる「札幌農学校」が開校しています。「Boys, be ambitious!」で有名なクラーク博士が教鞭をとっていました。

北海道の面積は83,424㎢で、都道府県の中で最大で国土の約22%を占めます。札幌は北海道の道庁所在地であり日本最北の大都市と言えます。わずか150年の間に札幌は近代的な大都市として発展してきました。

東京・羽田空港からは飛行機で約1時間半で新千歳空港に到着し、さらに札幌まで35~50分で到着できます。北海道新幹線の開業も予定されている将来性の高いエリアです。

筆者は以前北海道に行く際、羽田空港でのトラブルにより空港が閉鎖され急遽「東京」駅から新幹線で「新青森」まで行きそこからさらに北海道新幹線で「新函館」まで行きましたが、さらに「札幌」まで在来線で3時間という何とも北海道の広さを感じた経験があります。

<画像:札幌市「札幌市のあらまし」>

https://www.city.sapporo.jp/city/aramashi/index.html

札幌の歴史

・明治2年(1869年)開拓使が設置

・明治8年(1875年)最初の屯田兵が移住

・明治9年(1876年)札幌農学校(現北海道大学)が開校

・明治19年(1886年)北海道庁が札幌に設置

・大正11年(1922年)市制施行

・昭和45年(1970年)人口が100万人を超える

・昭和47年(1972年)政令指定都市へ移行

・昭和47年(1972年)札幌オリンピック開催

 

「札幌(さっぽろ)の地名の由来

「札幌」の名の語源については、札幌市の資料によるとアイヌ語の「サリ・ポロ・ペッ」(その葦原が・広大な・川)とする説と「サッ・ポロ・ペッ」(乾いた・大きな・川)とする説などがあるそうです。いずれもアイヌ語が語源となっているようです。

<参考資料:札幌市「札幌市のあらまし」>

https://www.city.sapporo.jp/city/aramashi/index.html

札幌エリアの経済規模は全国で第5位

札幌エリアの経済規模を見て見ると、政令指定都市の中では福岡市に次いで全国で第5位となっています。神戸市や京都市などよりも規模が大きく、札幌市の経済力が全国的に見ても大きい事が分かります。

札幌市の「令和2年「国勢調査」就業状態等基本集計 結果の概要」によると、札幌市の「労働力人口」(就業者及び完全失業者)の数は2020年には105万9,582人で、前回(2015年)より4.8%増加しています。また増加率は女性の方が多く札幌は女性の社会進出の多い都市であると考えられます。住宅も女性が好むようなセキュリティなど安全性の高いものの需要が高くなると考えられます。

市内総生産(名目)のランキング

順位

政令指定都市

市内総生産

1位

大阪市

20.2兆円

2位

横浜市

13.9兆円

3位

名古屋市

13.6兆円

4位

福岡市

7.8兆円

5位

札幌市

7.1兆円

6位

神戸市

6.7兆円

7位

京都市

6.6兆円

8位

川崎市

6.4兆円

9位

広島市

5.6兆円

10位

仙台市

5.2兆円

<2018年度各都市「市民経済計算」より作成>

男女別15歳以上労働力人口(各年10月1日現在)

<札幌市「令和2年「国勢調査」就業状態等基本集計 結果の概要」>

https://www.city.sapporo.jp/toukei/tokusyu/documents/r2_syuugyou_gaiyou.pdf

観光エリアも多く訪日客も期待

札幌には多くの観光名所があり、観光客も多く訪れます。札幌市が発表した観光統計データによると2022年度上期(4~9月)に札幌を訪れた観光客は約686万4千人で前年同期と比べて334万人増加しており、増加率は94.8%とほぼ倍増となりました。緊急事態宣言や外出自粛などがなくなり観光客も増加している傾向が読み取れます。

2022年10月以降は新型コロナによる規制も緩和されました。新型コロナ発生前の2019年の上半期には969万8千人の観光客が訪れましたので、インバウンド(訪日外国人)の増加によりこの水準に回復する事が期待されます。特に東南アジアなど雪が降らないエリアからの人気も高くなっています。

札幌のイベントとしては「雪まつり」が大変有名です。札幌では多くの祭りがありますが、2023年2月には3年ぶり73回目の「さっぽろ雪まつり」が開催され175万人の来場があったそうです。多くの雪像や氷像が展示されますが、自衛隊も協力して制作する10メートル以上の像は見ごたえもあります。

1972年には第11回冬季オリンピックも開催されています。2030年にも冬季五輪の開催を目指しています。

札幌の観光客数の推移(上半期比)

 

2019年4~9月

2021年4~9月

2022年4~9月

観光客数

約969万8千人

約352万4千人

約686万4千人

<札幌市「2022年度上期(2022年4月~9月)の来札観光客数について」より作成>

北海道の食文化

北海道は日本最北の特性を活かした多くの食文化があります。北海道は太平洋、日本海、オホーツク海と三つの海に囲まれ、また耕作面積も広く大規模な農業も行われており多くの食材があります。北海道では鮭の水揚げが多くいくらも有名です。北海道の身欠きにしんを使った「にしんそば」は京都で有名です。かつては北海道は多くのにしんが水揚げされ「にしん御殿」が建ったそうです。

またジンギスカン、三平汁、石狩鍋、ちゃんちゃん焼きなど北海道産の魚や肉などを使った料理や、昆布やカニ、ホタテなどの海産物やジャガイモ・メロンなどの野菜・果物、そして乳製品など多くの食材も北海道の名産となっています。

こうした食文化を味わうのも北海道の観光の楽しみの一つと言えます。

以前筆者は函館でイカ刺を食べましたが、向こう側が見える位透き通った弾力性のあるイカに感動した事を覚えています。また北海道の友人が東京のすし屋で刺身を頼むと、そのボリュームのなさに驚いていました。北海道に住む人は東京の人から見たら非日常的な贅沢が食文化を通じて日常的に楽しめる訳です。

北海道新幹線の開業で将来性の高い札幌

現在「北海道新幹線」の建設計画が進んでいます。「東北新幹線」で「東京」駅から「新青森」駅までは約3時間で到着します。その先は「北海道新幹線」となり「新青森」駅から「新函館北斗」駅までの149キロは青函トンネルを通り平成28年(2016年)3月26日に開業しました。

さらにその先「新函館北斗」駅から「札幌」駅までの間の約212kmは、「新青森」「新函館北斗」間の開業から概ね20年後(2035年)までの開業が予定されていましたが5年前倒しとなり、令和12年度末(2030年度末)の開業を目指す事とされています。

途中駅は「長万部」や「倶知安」「新小樽(仮称)」なども予定されています。今からわずか7年後の開業となる訳です。

札幌駅に隣接した商業施設「パセオ」は北海道新幹線の延伸による「札幌」駅の拡張などのために2022年9月に営業を終了しています。

「札幌」は空路を利用すると「新千歳空港」からは若干距離がありましたが、北海道新幹線が開通すれば東京などから直通のアクセスが可能となります。交通利便性が大きく向上し経済的にもますます活性化する事が期待されます。

北海道新幹線 駅ルート図

<画像:北海道「北海道新幹線の駅とルート」>

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/skt/eki-route.html

札幌市の人口動向は

札幌市の人口動向を令和2年(2020年)国勢調査から見てみましょう。

札幌市は北海道の道庁所在地であり、北海道の人口の37.8%を占める大都市です。人口も中・長期的に見ると増加傾向にあり、2015年から2020年の5年間にかけて21,039人(1.1%)増加しており、全国の市町村の中では人口増加数が第9位となっています。世帯数は46,957世帯増加しており人口増加数の倍以上となっています。

1世帯当たりの人員も減少しています。札幌市の1世帯当たり人員は2010年の2.11人から2015年は2.06人となり、2020年はさらに減少し1.98人と2人を切っています。この事から札幌市では単身世帯が増加している傾向にあるといえます。

人口増加数の多い市町村(国勢調査)

<総務省「令和2年国勢調査」>

https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2020/kekka/pdf/outline_01.pdf

札幌市の人口の推移(国勢調査)

 

2015年

2020年

増加数

人口

1,952,356人

1,973,395人

21,039人

一般世帯数

920,415世帯

967,372世帯

46,957世帯

<札幌市「令和2年「国勢調査」人口等基本集計結果の概要」より作成>

札幌市の一般世帯の1世帯当たり人員の推移

 

2010年

2015年

2020年

1世帯当たり人員

2.11人

2.06人

1.98人

<札幌市「令和2年「国勢調査」人口等基本集計結果の概要」より作成>

人口の「転入超過」が続く札幌市

札幌市は北海道の中でも人口が集中する傾向が見られる都市です。

総務省の発表した「人口移動報告(住民基本台帳による)」によると、札幌市に2022年に転入した人口は61,251人で、前年(60,710人)より541人増加しました。転出者は 52,338人で転出者より転入者の方が多い8,913人の転入超過となりました。

転入超過数は全国でも4番目の多さになっており、札幌市へ人口が集中している事が分かります。

札幌市の転入超過数の推移

 

2020年

2021年

2022年

転入超過数

10,493人

9,711人

8,913人

<札幌市「令和4年中の札幌市の人口動態(住民基本台帳による)」より作成>

転入超過数の多い市町村

<総務省「住民基本台帳人口移動報告2022年(令和4年)結果」>

https://www.stat.go.jp/data/idou/2022np/jissu/pdf/gaiyou.pdf

札幌の地価動向

地価は新型コロナの影響で都市部を中心に調整局面となっていたエリアも多かったですが、2022年7月1日現在の基準地価を見ると札幌市の地価は住宅地で11.8%、商業地で7.8%となりそれぞれ上昇率が拡大しています。札幌市の地価は一時上昇率が縮小したものの全用途で10年連続の増加となりました。

一般的には都市部では住宅地より商業地の地価上昇率が高い傾向にありますが、札幌市では住宅地の地価の上昇が目立っています。

札幌市では全区、全用途で地価が上昇となり全用途でも10%を超える高い上昇率です。住宅地では清田区が16%、厚別区が15%の上昇を始め10%以上の上昇率の区が10区のうち7区となり、札幌市の住宅地地価が大きく上昇している事が分かります。

商業地では手稲区が9.8%、東区が9.1%など10%近い上昇率となっています。

基準地価

札幌市の地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2021年

2022年

2021年

2022年

札幌市

7.4%

11.8%

4.2%

7.8%

<札幌市「令和4年 地価調査概要(札幌市地価動向)」>

札幌市の地価変動率の推移

<札幌市「令和4年 地価調査概要(札幌市地価動向)」>

https://www.city.sapporo.jp/keikaku/chika/documents/r4chosagaiyou.pdf

札幌駅の周辺へ地価上昇が波及

地点別に地価上昇率を見てみると、地価が最も上昇したのは住宅地では「清田区里塚緑ケ丘」の地点で19%の上昇が2ヵ所となり、以下「厚別区もみじ台北」や「北区新琴似11条」などの地点が18.8%の上昇となるなど多くの地点で地価が大きく上昇しました。札幌市の住宅地は札幌駅周辺などの中心部から周辺へと地価上昇が広がっています。

商業地では札幌駅近くの「北区北7条西二丁目」の近くが地価上昇率18.1%と一位となり、「豊平区平岸3条」や「中央区北1条西」など札幌駅の周辺部などの地価が上昇しています。

札幌市の地価上昇率地点順位(住宅地)

<札幌市「令和4年 地価調査概要(札幌市地価動向)」>

https://www.city.sapporo.jp/keikaku/chika/documents/r4chosagaiyou.pdf

札幌市の地価上昇率地点順位(商業地)

<札幌市「令和4年 地価調査概要(札幌市地価動向)」>

https://www.city.sapporo.jp/keikaku/chika/documents/r4chosagaiyou.pdf

都市再生緊急整備地域に指定されている札幌市中心部

札幌市の中心とも言える「札幌」駅の周辺は、「都市再生緊急整備地域」に指定されています。これは規制緩和などで再開発を促進するエリアです。「都市再生緊急整備地域」225haのうち、さらに緊急かつ重要性の高い「特定区域」に145haが指定されています。今後も大きな発展が期待できるエリアと言えます。

<画像:内閣府「都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の一覧」>

https://www.chisou.go.jp/tiiki/toshisaisei/kinkyuseibi_list/pdf/kuiki/k_sapporotoshin.pdf

札幌駅周辺で進む再開発

札幌市の中心とも言える「札幌」駅周辺では多くの再開発プロジェクトが進行しています。

札幌駅直結の「(仮称)北5西1・西2地区市街地再開発事業」では地上43階のビルの建設が計画されており2029年に完成予定です。マリオット系のホテルの入居が予定されています。札幌エスタ2023年夏に営業終了の予定です。

札幌駅前の「札幌駅南口北4西3地区第一種市街地再開発事業」では地上35階、高さ200mのビルが建設予定です。商業施設、オフィス、ホテルなどが入居予定で2028年に竣工予定です。

「北6東2、3地区」は「札幌卸センター」などがありましたが、現在は再開発が進んでいます。医療センターやホテル、タワーマンションの建設が予定され2024~5年の完成が予定されています。

今後「北海道新幹線」の開業に向けて多くの再開発が進行しており、札幌駅周辺も大きく変貌する可能性があります。

名古屋駅周辺はリニア中央新幹線の開通期待で再開発が進み地価が大きく上昇しました。今後は札幌の将来性の高さや就業人口や住宅需要の増加から不動産の資産価値が上昇する可能性もあります。

ボールパーク開業で期待の高い北広島

札幌からも近い北広島市では「北海道ボールパークFビレッジ」の開業が予定されています。北海道日本ハムファイターズが北海道に来て20周年となる2023年3月に新球場とともに開業します。「札幌」駅から最寄りの「北広島」駅までJR快速「エアポート」で約17分で到着します。北海道全体への経済効果は8,000億円とも言われています。札幌への来客も多く見込まれます。ボールパーク内には日本ハムファイターズの本拠地となる「エスコンフィールドHOKKAIDO」や温浴施設や宿泊施設である「TOWER11」、またコテージなどの屋外宿泊施設も開業予定です。さらに「北広島」駅西口周辺エリアでは『キタヒロ・ホームタウン-BASE 2021-2029』として街づくりが進んでいます。

北海道の新名所となり札幌を含め広域的に発展が期待できます。また就業人口も増加する事が期待されますので、周辺の商業用地や住宅などの需要も増加する可能性もあります。

北海道ボールパークFビレッジ

<画像:株式会社ファイターズ スポーツ&エンターテイメント ニュースリリース>

https://www.hkdballpark.com/news/14/

東京や名古屋では「リニア中央新幹線」の開業を控えて再開発が進行し街が大きく変貌してきています。「札幌」では「北海道新幹線」の開業予定や「北海道ボールパーク」の開業などで一層の発展も見込まれます。観光客もさらに回復してくれば、元々経済力の大きい都市ですので今後も不動産投資の立地としても注目度が高まるのではないでしょうか。