サブリース7つのデメリットを解説|実際にあった失敗事例を紹介

不動産投資において、入居者が決まらず空室が続く状態は、最もリスクが高く避けたいものです。所有物件の空室が増えると家賃収入が得られなくなってしまいます。空室の状態が続くと収入源を失うため、毎月支払う管理費やローン返済が滞ってしまう可能性もあるでしょう。 このようなリスクを防ぐためにも家賃保証を受けられるサブリースを検討する方も多いのではないでしょうか。家賃保証は大きなメリットになりますが、デメリットも考慮する必要があります。知識がないままサブリース契約を結んでしまうと、トラブルに発展するおそれがあるからです。 そこで今回は、サブリース契約の7つのデメリットと、過去に起きたトラブル事例を紹介します。

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【不動産投資】サブリース契約は危ない?7つのデメリット

サブリース契約は、賃貸管理会社が不動産運用するため、オーナーは手間がかからず、一定の家賃収入を得られるメリットがあります。しかし、サブリース契約は過去にトラブルが発生していることもあり、「サブリースは危なくてデメリットも多いのでは?」と考える方も多いです。

この項目では、サブリース契約を結ぶことで生じるデメリットを紹介します。メリットとデメリットを把握してサブリース契約を検討しましょう。

1.家賃収入が少なくなる

サブリース契約を結ぶ場合、不動産を運用する賃貸管理会社に手数料を支払う必要があります。一般的に入居者から得た家賃(転貸賃料)の10~20%が差し引かれると考えておきましょう。

そのため、空室がない場合は、賃料を満額得られません。また、サブリース契約を結ぶ賃貸管理会社は家賃収入のほか、礼金や更新料、などを収入源として見込んでいます。

2.一定期間ごとに家賃の見直しがあることも

契約形態に関係なく、建物が古くなるにつれて、建物の傷みや変化する周辺環境への対応が必要になります。一般的に経年劣化により家賃は下がる傾向にありますが、リフォームしたり、設備を整えたりと、家賃の急激な下落を防ぐ方法はあります。

しかし、サブリース契約において、家賃の見直しは不動産を運用している賃貸会社が行いますので、オーナーに家賃設定の権限はありません。家賃の見直しは契約書に記載されており、2年ごととしている契約書が一般的です。

3.サブリース会社が倒産する可能性がある

サブリース会社が倒産してしまうことも考えておかなければなりません。サブリース会社が倒産すれば、物件管理をオーナーが引き継がなければなりません。これまで任せていた管理や運用業務をすべてオーナーが引き受ける必要があります。

また、所有物件の空室が多い状態で倒産してしまうと家賃保証もなくなるため、収入がゼロになるリスクも考えられます。収益性の悪化によりローンの返済が困難になってしまうでしょう。

4.中途解約が難しい

サブリース契約も一般的な賃貸借契約と同様、借地借家法が適用されます。借地借家法は弱い立場の借主を保護しており、家賃の滞納が続くなどの正当な事由なしでは貸主は契約の解約ができません。

サブリース契約においては、オーナーが貸主、サブリース会社が借主になります。そのため、収益性の低下を理由に解約するのは困難です。

5.免責期間がある場合も

空室や滞納があっても賃料を得られる家賃保証は、サブリースのメリットのひとつです。しかし、契約によってはこの家賃保証に、入居者が退去したあと一定期間は保証されない免責期間が設けられていることがあります。

免責期間の長さによっては、サブリースのメリットが無くなりますので、契約書を確認しておきましょう。

6.入居者を選べず治安が悪化する

一般的な不動産運用では、管理を委託していてもオーナーが入居者を選べるため、治安を保つために入居の可否を判断できます。一方、サブリース契約の場合は、不動産運用をサブリース会社が行うため、オーナーは入居者を選ぶことができません。

マナーの悪い入居者が増えると、入居者の間でトラブルが増えたり、修繕費の負担が増えたり資産価値の低下を招いたりします。

7.売却が難しくなる

サブリース契約中の売却はおすすめできません。サブリース契約中の物件を購入しても、家賃収入はサブリース会社の手数料として10~20%差し引かれるため、買い手は物件に魅力を感じないでしょう。そのため、査定額は低くなったり、買い手がつかなかったりするケースも多いです。

サブリースが原因でトラブルになったかぼちゃの馬車事件

サブリース契約は借地借家法の適用を受ける契約方法にもかかわらず、オーナーに十分な説明がなされていないなど、不動産管理会社に有利な運用がなされていたことから、トラブルに発展し、裁判になったケースもあります。

過去のサブリースに関わるトラブルを振り返り、これから不動産投資を始める方の参考にしていただければと思います。

かぼちゃの馬車(2018年)

2018年5月、株式会社スマートデイズがシェアハウス「かぼちゃの馬車」をめぐる投資で破綻しました。投資家(オーナー)が購入したシェアハウスをサブリース契約で一括借り上げして、賃料の一部を投資家に支払う仕組みです。

しかし、多額のローンを組みシェアハウスを建築しましたが、うまくいかず破綻します。オーナーも家賃保証を信頼し、高額なローンを組んで投資していました。事業の破綻により、オーナーはローンの返済ができなくなり、自己破産したケースもあります。

加えて、融資をしたスルガ銀行が審査を融通し、無理な融資を続けていたため、被害が拡大しました。審査が通常通り行われていれば、融資される範囲は限定され、被害を最小限にできた可能性があります。

某サブリース会社(2017年)

「かぼちゃの馬車」事件の前年には、あるサブリース会社の家賃保証が問題になりました。30年家賃保証を謳ったこのサブリース契約では、契約書に家賃の見直しの可能性は書いてあったものの、具体的な説明はありませんでした。

しかし30年間も家賃が固定できるはずもなく、契約から10年後には家賃の見直しが行われます。同エリアに類似した建物を乱立させ空室が増えたことが原因で、家賃を大幅に値下げされました。

これがオーナーによる集団訴訟に発展します。100名を超えるオーナーが総額4億7000万円の返還を求めた大規模な訴訟で、大きな話題となりました。

まとめ

サブリース契約は不動産管理を一切任せられ、家賃収入を得られるなど、メリットに注目すれば気になるかもしれません。しかし、オーナーは家賃設定できず、2年ごとに家賃が見直されるデメリットについても考えておく必要があります。

今回紹介した過去のトラブルなども参考に、サブリース契約の特徴を十分確認しておきましょう。