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タワーマンションの資産価値の30年後
「30年後、タワーマンションの資産価値は下がるの?」と不安に感じる方もいるでしょう。
一般的な不動産には耐用年数があり、期間が経つにつれて評価額がマイナスになる傾向があります。
タワーマンションの資産価値に関しても、原則としては同じように資産価値は低下してしまいます。
なぜなら、築年数が古くなるにつれて建物の老朽化や設備の陳腐化が進み、物件としての価値が低下するためです。
建物の老朽化や設備の陳腐化が進むと、大規模修繕工事を含めた長期修繕計画や修繕積立金の管理が必要になります。
特に立地が悪いタワーマンションの場合、購入時の価値を保つことは難しいといえるでしょう。
ただし、都心の一等地や人気のエリアに立地するタワーマンションにおいては、一般的な物件と比べて資産価値は下がりにくいと考えられます。立地の優位性が高く、需要が安定しているからです。
また、タワーマンションは高級感があり、ブランド力も比較的高いため、一定の価値を維持しやすい傾向にあります。
タワーマンションにおける30年後の修繕費・管理費
タワーマンションの30年後を見据えた場合、修繕費・管理費は資産価値における大きな不安要素となります。
修繕費とは、建物の経年劣化に伴う修理・改修にかかる費用のことです。具体的には、屋根の防水工事の再施工や、外壁のひび割れ補修、エレベーターの交換などが挙げられます。
期間が経つにつれて建物が老朽化するため、それに比例して修繕にかかる費用も増える傾向にあります。
また、これらの修繕を管理するための費用も含めて、今後は徐々に高くなることが予想されているのです。
30年後に突然高くなるわけではなく、5年後、10年後と段階的に高くなると考えられます。
⇒不動産投資には修繕費が不可欠?必要な理由や費用目安、注意点を紹介
タワーマンションの修繕費・管理費が高い理由
タワーマンションの修繕費・管理費が高い主な理由は、建物の高さや設備の特殊性にあります。
高層階に人や物を運ぶための大型エレベーターは、安全性を確保するため、定期的なメンテナンスが欠かせません。
また、高層階までの給排水設備も、一般的な物件と比べて複雑で大がかりなものになります。
これらの設備を維持管理するためには、専門的な知識を持った管理会社への委託が必要となり、そのための費用が割高になるのです。
さらに、タワーマンションは外壁面積が広いため、定期的な補修や塗装にかかる費用も高くつく傾向にあります。
こうした理由から、タワーマンションの修繕費・管理費は一般的な物件と比べて高水準になります。
修繕費の値上げタイミング
タワーマンションの修繕費は、一般的に10年から15年ごとに行われる大規模修繕のタイミングで値上げされることが多い傾向にあります。
大規模修繕では、建物の経年劣化を補修するために多額の費用が発生します。修繕積立金の残高が不足する場合、修繕費の値上げを行って対応するのが一般的です。
ただし、タワーマンションの場合、設備の特殊性などから大規模修繕の周期が短くなる傾向にあります。
また、タワーマンションでは設備の維持管理コストが年々上昇しているため、大規模修繕とは別に管理費の値上げが行われるケースもあります。
修繕費・管理費の推移を把握し、その負担増加を想定しておくことが賢明です。
タワーマンションの大規模修繕は難しく老朽化が進む
マンションの大規模修繕は独断で進められず、総会の場での議決が必要です。決議方式には「普通決議」と「特別決議」の2種類があり、いずれかの方式が用いられます。
それぞれの方式では決議を取るために必要な要件が異なり、普通決議よりも特別決議の方が成立条件が厳しくなっています。
特別決議の場合、議決権数の4分の3以上が必要であり、タワーマンションの大規模修繕は共用部分の重大変更に当たるため、住民の75%以上の合意が必要です。
しかし、タワーマンションの住居者構成の特性から、大規模修繕の合意形成が難しいケースも少なくありません。
階層によって設備の重要度が違う
タワーマンションの高層階と低層階では、設備の重要度に対する認識が異なります。
例えば、低層階の住民にとってはエレベーターの更新の必要性は感じにくく、「大規模修繕は必要ない」と判断する方が一定数います。
一方で、高層階に住む住民にとって、エレベーターは欠かせない設備です。エレベーターが故障すれば、日常生活に大きな支障が出ることになります。
このような住民間の意識の違いから、大規模修繕の合意形成が進まず、建物の老朽化が進んでしまう恐れがあるのです。
30年後を考えた場合、老朽化が深刻な問題になることは十分に考えられます。
タワーマンションの資産価値に関する不安要素
タワーマンションの資産価値を考えるうえでは、災害発生時の脆弱性や節税対策を防ぐ国税庁の動きなど、いくつかの不安要素があります。
ここでは、資産価値に関する主な不安要素を3つ紹介します。
災害発生時の脆弱性
タワーマンションは、地震などの災害発生時に脆弱性を抱えているといわれています。
高層階に居住している住民は、災害発生時の避難に時間がかかり、被害に遭うリスクが高いといわれているのです。
また、エレベーターが停止した場合、高齢者や障がい者などの避難が困難になる恐れもあります。
さらに、タワーマンションは周辺の建物と比べて突出した高さがあるため、強風による被害を受けやすいとされています。
こうした災害リスクは、タワーマンションの資産価値に大きな影響を与える可能性があるのです。安全性という観点から、災害対策の充実度は今後さらに重要視されるでしょう。
節税対策を防ぐ国税庁の動き
これまで、タワーマンションは節税対策として活用されるケースがよくありました。
しかし、国税庁はこうした節税対策を防ぐために、タワーマンションの評価方法を見直す動きをみせています。
具体的には、2024年から相続税評価額の計算方法が変更され、節税効果が限定的になることが予想されるのです。
2024年の改正により、タワーマンションの相続税評価額と時価の価格差が小さくなります。相続税評価額が時価の6割未満になっている場合、6割まで引き上げされます。
タワーマンションの相続税評価額が高くなることで、結果として相続税額も増えてしまうのです。
この改正により、タワーマンション購入のメリットが薄れ、資産価値に影響を与える可能性があります。節税対策を目的としたタワーマンションの購入は、より慎重な検討が必要となります。
⇒タワーマンション節税とは?節税の仕組みやルール改正の詳細を解説(未公開)
資産価値維持のための管理の難しさ
タワーマンションの資産価値を維持するためには、設備の適切な管理が欠かせません。
しかし、タワーマンションの管理は、一般的なマンションと比べて難しい面があります。高層階ならではの特殊な設備の維持管理には、専門的な知識と経験が必要とされるためです。
また、修繕費や管理費の負担も、一般的なマンションと比べて重くのしかかります。
特にエレベーターや給排水設備の更新には多額の費用がかかるため、計画的な修繕積立金の積み立てが重要となります。
さらに、区分所有者間の合意形成の難しさから、大規模修繕の実施が遅れがちになるという課題もクリアしなければなりません。
こうした管理の難しさは、タワーマンションの資産価値に影響を与える大きな要因の一つだといえるでしょう。
タワーマンションを売却するタイミング
タワーマンションを売却する際は、適切なタイミングを見極めることが非常に重要です。物件の売却を検討すべき主なタイミングは以下の通りです。
- タワーマンション購入から5年が経過した
- 大規模修繕を実施する前
- 増税前・金利上昇前
まず購入から5年が経過したタイミングは、売却益が税制上「長期譲渡所得」として扱われるため、大きな節税に期待できます。
また、大規模修繕を実施する前のタイミングで売却することで、修繕による資産価値の向上を見越した利益を得られる可能性があります。
さらに増税前や金利上昇前のタイミングを狙えば、経済環境の変化が不動産価格に与える影響を回避できるというメリットもあるでしょう。
ただし、こうしたタイミングの選択は個人の状況や運用目的によって異なるため、「このタイミングが絶対」と一概に断定することはできません。
目先の利益だけでなく、物件の将来性や自身の長期的な資産運用方針を踏まえたうえで、慎重に判断することが求められます。
⇒【プロが語る】不動産売却のベストタイミング|時期や市況の見極め法
まとめ
この記事では、タワーマンションの30年後の資産価値について、修繕費・管理費の推移、資産価値に関する主な不安要素を解説しました。
タワーマンションは、立地の優位性やブランド力から、一般的な物件に比べて資産価値は下がりにくい傾向にあります。
ただし、30年後を見据えた場合、修繕費・管理費の負担増加や建物の老朽化、災害リスクなどが資産価値に影響を与える可能性があるでしょう。
タワーマンション購入を検討する際は、こうした長期的な視点を持つことが重要です。また、不安要素を少しでも減らすため、自分で物件を管理するという方法もおすすめです。
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