エクシア合同会社の出金停止トラブル。原告訴状にみる被害状況

高利回りの投資案件としてエクシア合同会社は注目を集めていましたが、2022年4月に出金停止のトラブルが起こりました。このトラブルは各メディアでも取り扱われていたこともあり、記憶に新しい人もいるのではないでしょうか。そこで今回は、エクシア合同会社の出金停止トラブルの概要や独自の調査結果から民事訴訟の訴状を紹介します。

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エクシア合同会社の出金停止トラブルとは

2022年の4月にエクシア合同会社が「今月の評価額返還上限額到達のお知らせ」と題したIRを発表しました。要約すると返金、配当が出来ないことを発表しました。それを期に「投資運用実態がなかったのではないか?」「ポンジスキームではないのか?」「いよいよ倒産するのでは?」などと様々な意見が出たものの、どれも確証を得ることはできません。

ただし、一つだけ確実にいえるのは、本年4月の一件からエクシア合同会社を相手取った民事訴訟が東京地方裁判所で頻繁に提起され始め、そして、警視庁に対する刑事告訴も数件行われていることです。

これまでも不合理性を問題視する声はあった

これまでにもエクシアの投資の不合理性を述べているサイト、インフルエンサーは多数見られましたが、それらはエクシア発表の数字がいかに不合理であるかを基にした評論が大半を占めていました。「年利30%を超える投資実績を継続することなどは不可能」「このままいけば日本の国家予算を超える」などといった意見は正論だといえるでしょう。

不透明な運用実態でも出資者が集まる仕組み

エクシア合同会社は、法人として社員権購入を名目として投資家に投資(出資)を募っていました。投資運用の実績は7年で平均年利は30%を超えています。

エクシアのWEBサイトによると投資家から集めた資金は、系列会社であるシンガポール法人EXIA PRIVATE LIMITEDや子会社のエクシア・アセット・マネジメント株式会社、暗号資産交換業者であるエクシア・デジタル・アセット株式会社、また、その他の国内外の投資事業者になどに投融資しているとのことですが、グループ会社以外の投資先は具体的に公開されていません。運用実態は表面上のものでしかないにも関わらず、なぜエクシアの社員権を購入(投資)してしまうのでしょうか?

その一つに高利回り、高配当という表面上の数字の魅力が挙げられますが、勧誘方法にも特徴があります。勧誘の多くは出資者の紹介という形で行われ、さらに紹介者は紹介料(キックバック)を得られる仕組みにあるとのことです。その仕組みが現在明らかにされつつあります。

【訴状公開】エクシア合同会社に対する民事訴訟

当方は、これまでと少し違った進め方でエクシア合同会社を徹底調査していきたいと思っています。まずは東京地方裁判所で行われている民事裁判の原告訴状を閲覧して被害状況の実態を調査、分析して本サイトに複数回にわたって公開していく予定です。

エクシア合同会社を被告とした2件の民事訴訟の訴状を掲載いたします。これらを読んでいただいて、それぞれで内容を判断していただけますと幸いです。

原告訴状1:損害賠償請求

原告は被告に対し、558万9,879円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまで年3分の割合による請求を求めました。

原告は令和3年10月知人から被告への出資を進められ、被告社員を紹介されました。被告社員から元利金の出金に関する旨の説明を受けたうえで、出資をすることになりました。

その後、被告が出金拒否しているとの情報をインターネットで得たことから、原告は退社(全解約)申請をし、元利金の払戻を求めました。しかし、被告からは返金上限額が達したとの理由で払戻を拒絶されました。

原告は被告による払戻拒絶は不当である旨を抗議し、被告のいう定款15条の払戻制限は極めて不合理な内容で、出資者の持分払戻請求権を過度に制約するものであることから、消費者契約法10条より無効になることが認められました。

結果的に、被告は原告の全解約申請を受けるよう請求されることになったのです。

令和4年ワ12061 損害賠償請求(第一回弁論)

原告訴状2:持分払戻請求

原告は被告に対し、2,439万1,236円及び令和4年5月23日から支払い済みまで年3分の割合による遅延損害金を請求しました。

背景として、SNSなどで被告がポンジスキームを行っていることに関する疑惑が相次いでいたため、被告は退社社員に対して払戻を制限するような対応をしていたことが挙げられます。

しかし、退社日時点において、原告が出資する際に前提としていた状況が著しく変更されていたことから、原告は当初の合意通りに社員を続けることができず、会社法606条3項に基づき、やむを得ない事由で退社することが認められました。

そのため、会社法611条1項に基づき、退社にともなう持分払戻を被告へ請求することになったのです。

令和4年ワ15095 持分払戻請求(第一回弁論)

まとめ

エクシア合同会社の出金停止トラブルは、いまや民事訴訟が数件にわたって提起される事態となっています。これまでも不合理性を問題視する声は多く上がっており、高利回り・高配当の仕組みについても疑惑の目が向けられている状況です。

次回は第二弾として、エクシアのより詳しい情報と下記の訴状の解説、そして、また別の訴状を公開させていただきます。

当方の本件調査報道により、エクシア合同会社の被害者の方々、類似の詐欺被害者の方々、これから投資をしていく予定だった方々のお役立てになれば幸いです。

これから投資を考えている方は、以下の記事も参考にしてみてはいかがでしょうか。

不動産投資での理想の利回りとは?表面利回りと実質利回りについて