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不動産の広告料(AD)とは
不動産の広告料(AD)とは、大家や管理会社が客付けの仲介業者に支払う広告料のことです。通常の募集活動に加えて、特別に広告を出稿する際に発生します。広告料の仕組みやルール、仲介手数料との違いについて見ていきましょう。
広告料の負担者
広告料(AD)の費用を負担するのは、基本的に入居者の募集元である大家です。サブリース契約で管理会社が一括借り上げしている場合などには、管理会社が仲介業者に支払うこともあります。
広告料のルール
広告料(AD)は、国土交通省の定めによると「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額」です。大家の希望により通常の募集活動に加えて大手賃貸情報サイトへの広告掲載やコンサルティングを行う場合には、仲介手数料のほかに広告料の支払いが必要になります。
なお、大家が希望しない限り、仲介手数料とは別に広告料の費用を請求するのは宅建業法違反です。
広告料(AD)と仲介手数料の違い
広告料(AD)と仲介手数料の大きな違いは、料金が発生する仕組みにあります。
大家が物件の仲介を仲介業者に依頼するとき、仲介業務そのものに対して仲介手数料を支払う必要があります。一方、広告料(AD)は大家が追加で広告活動を依頼する場合に発生するものです。そのため、大家が追加で依頼をしない限りは、広告料(AD)は発生しません。
仲介手数料の上限は「賃料1ヶ月分+消費税」と宅建業法に規定されています。仲介業者は貸主・借主の両方から仲介手数料を受け取れますが、合計で上限を超えてはいけません。しかし、広告料(AD)には上限がなく、大家と仲介業者の話し合いによって、金額を決められます。
広告料(AD)の表記
仲介業者は、広告料(AD)のある物件を優先的に紹介してくれます。そのためには、賃貸募集図面(マイソク)にADを記載して、仲介業者にADつき物件であることを知ってもらう必要があります。
広告料(AD)は、家賃1ヶ月分を100%として記載します。「AD100」であれば賃料の1ヶ月分、「AD200」であれば賃料の2ヶ月分です。また、「AD1」「AD2」 のように、月数を記載することもあります。
不動産の広告料(AD)の相場
広告料(AD)の相場は、物件の環境や賃貸募集をする時期によって異なります。
相場は一般的に賃料の1ヶ月分ですが、賃貸需要の高い都市部では安く、郊外では高めに設定されることが多くなっています。
また、1~3月ごろの繁忙期は広告を出さなくても集客できるため広告料を設定しないことも多いです。
地域差もありますが、閑散期や物件条件が不利な場合、競合が多く目立たせる必要のある物件においては2~3ヶ月分の広告料が設定されることもあります。
不動産の広告料(AD)のメリットとデメリット
入居者募集にあたり、コストがかかる広告料(AD)を付けるか付けないか迷う大家もいるでしょう。適切な判断を行うには、仲介会社側と大家・管理会社側それぞれのメリット・デメリットの理解が不可欠です。
【仲介会社】メリットとデメリット
仲介会社側のメリットは、会社としての利益が上がることです。広告料(AD)がついている物件はそれだけ売り上げが大きくなり、営業担当者がもらえるインセンティブ額も増加します。
また、広告料を受け取れることで、入居希望者との価格交渉にも柔軟に対応でき、機会損失を防げることもメリットです。
たとえば、初期費用に関する交渉があった場合、広告料がなければ会社の利益を確保するのが難しいため、断らざるを得ません。広告料付きの物件であれば、広告料から補填できるため、対応の余地が出てくるのです。
また、賃料の値下げに応じられない場合でも、代わりに仲介手数料を割引するといった方法も取れるでしょう。
物件に広告料(AD)が付くことによる、仲介会社側のデメリットは特にありません。
【大家・管理会社】メリットとデメリット
貸主側である大家や管理会社のメリットは、紹介の頻度や物件の成約率が上がりやすくなることです。客付けの仲介業者は、より利益を上げやすい広告料付きの物件を優先的に紹介することが、その背景にあります。
ただし、広告料のコストを負担しなければならないため、キャッシュフローが悪化することもあります。とはいえ、広告料なしで募集をかけて空室期間が長引くよりは、費用がかかっても早く入居者が決まる方がトータル的には良い結果となるため、一概にデメリットともいいきれません。
賃貸経営で広告料(AD)を出す際の注意点
賃貸募集で広告料(AD)を付ければ、早期に空室を解消できる可能性が高まるなどのメリットがあるので、広告料を付けようと検討している方もいるでしょう。しかし、広告料を出すには注意しておきたいポイントもあるので、紹介します。
広告料(AD)の必要性を見極める
広告料(AD)を付けずとも、通常の募集活動は仲介業者に行ってもらえます。本当に広告料を付けなければならないのか、空室期間の損失と広告料の支出を比較し、どちらが有利となりそうかをよく見極めましょう。
賃貸需要は、閑散期や繁忙期などタイミングによって変わります。繁忙期の場合には、まず広告料なしで募集してみるのも良いでしょう。
また、広告料を使うのではなく、家賃や敷金・礼金などのほかの条件を見直すことで、反響率が変わることもあるので、これらもあわせて検討すべきでしょう。
ADの支払先
管理会社を通じて広告料(AD)を支払う場合は、支払先が仲介業者になっているか確認しましょう。
仲介会社は利益が多く得られる物件を優先して客付け活動を行います。なので、広告料が支払われない、あるいは管理会社との折半になっている場合には、紹介頻度や物件の成約率が下がる可能性があります。
まとめ
広告料(AD)とは、仲介業者に追加で広告活動を行ってもらうときに支払う費用のことです。広告料(AD)を出すことで、仲介業者は優先的に客付け業務を行ってくれるので、空室期間を少しでも短くしたいとき、広告料(AD)をつけることは有効な対策になり得ます。
しかし、もともと賃貸需要の高い時期や駅近など有利な条件の物件には、必ずしもコストのかかる広告料の設定は必要ないかもしれません。費用に見合った効果があるか、ほかに客付けに有効な対策はないかを考えてみることも大切です。
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