不動産投資における管理費の相場!管理会社に委託するメリットは何?

不動産投資では運用中にさまざまな経費がかかります。特に気を付けておきたいのが管理費です。管理費を甘く見積もると、空室率が低く安定した家賃収入があったとしても、実際には思うような利益が出ない可能性があります。 この記事では、不動産投資における管理費の基本や相場、管理会社に委託するメリットなどを解説します。

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【2種類】不動産投資にかかる管理費とは

不動産投資における管理費は、大きく2種類に分かれます。まずは、それぞれの管理費の内訳と違いについて見ていきましょう。

賃貸管理会社への委託費用

不動産投資にかかる管理費として第一に挙げられるのが、賃貸管理会社へ支払う管理委託費です。

投資用物件で収益を上げるには、入居者に心地よく住んでもらえるよう、専有部分を適切に管理していくことが大切です。水回りやガス、電気など設備の故障など、入居に関わるトラブルをスムーズに解決することで、空室リスクを未然に防げます。

また、賃貸契約から隣人とのトラブル、家賃滞納にも対処しなければならない場合もあります。ほかにも、空室が出たときの入居者募集も重要な管理費のひとつといえるでしょう。

こうした管理は日々発生するため、特に副業として不動産投資をする方にとっては対処の難しい場面が珍しくありません。そこで、賃貸管理会社と契約し、家賃に対する一定割合を管理委託費用として支払い、業務を代行してもらうのが一般的となっています。

管理組合に支払う管理費

投資物件が分譲マンションの場合、もう一つ忘れてはならない管理費が、管理組合や物件の管理会社に毎月支払う管理費です。

分譲マンションでは個々が所有する専有部分以外の共用部、たとえばエレベーターや階段、エントランス、廊下、照明などの保守や修理にかかるお金を管理費として入居者全員で出し合うことになります。

こうした管理費は修繕積立金とも呼ばれ、日常的な修繕だけではなく、外壁塗装など10~15年に一度の割合で行われる大規模修繕にも使われます。

修繕積立金は、物件の規模や築年数などによって金額は大きく異なります。物件によっては、修繕積立金が家賃収入に対して大きな割合を占めることもあるでしょう。

費用はいくら?賃貸管理会社に支払う管理費の相場と内訳

修繕積立金にあたる管理費は、物件の所有者に一律で課せられるものです。しかし、賃貸管理会社に支払う管理費については、どれくらいの金額を支払うのが妥当なのか、分かりにくさを感じる方もいるかもしれません。

ここでは、賃貸管理会社にオーナーが支払う管理費の相場について解説します。

相場

賃貸管理会社へ支払う管理委託費の相場は家賃の5%前後が一般的だとされています。ただし、会社により設定の違いはあり、10%前後としている場合や1部屋ごとに料金を設定するところもあります。

管理委託費で知っておきたいのが、物件が空室期間中の場合は原則管理費の支払いはありません。しかし、空室期間中は当然ながら家賃収入は途絶えます。そのまま空室期間が長引けば、管理委託費の支払いでキャッシュフローが悪化するリスクがあります。   

内訳

管理委託費に含まれる業務は以下のとおりです。

・入居者からの家賃回収、未払い時の督促

・契約や更新、退去時の手続き

・入居者からのクレーム対応

・入居者募集

上記の業務は基本的なものですが、管理会社によって管理委託費に含まれる業務には違いがあります。家賃回収は行っているが未払い時の督促は別途料金が必要など、オーナーが思ったとおりのサービスを受けられないこともあるでしょう。

毎月のランニングコストを左右する管理委託費ですが、料金設定だけではなく、業務内容が理想的なものかどうかもきちんと確認しておくことが重要です。

管理費が高い?管理会社に依頼するメリットとは

賃貸管理会社に支払う管理費が、わずか5%だとしても、決してお手頃な費用とはいえません。とりわけ多くの物件や部屋を運用しているなら、管理費の負担を重く感じるでしょう。

毎月のランニングコストを抑えるために、管理会社を頼らず、オーナー自身で物件を管理する方法もあります。自分で管理すれば管理費を節約できるものの、不動産投資を円滑に行うことを優先するのであれば、管理会社に業務を委託するのがおすすめです。

最後に、賃貸管理会社に管理業務を依頼するメリットをお伝えします。

面倒な手続きを任せられる

投資用物件の管理には、時間や手間がかかります。

分譲マンションの数室など、投資先が少なければ毎月の家賃管理や設備が故障したときの対応くらいだと思うかもしれません。しかし、不動産管理にはさまざまなトラブルがつきものです。

たとえば家賃を滞納されてしまった場合、オーナー自身が入居者と交渉する必要があります。これは心理的に大きな負担となるでしょう。

ガスや配管といった設備修理についても、日中だけとは限らず、夜間の対応を迫られて苦労する可能性もあります。

さらに、物件一棟をまるごと運用していれば、共有部分の清掃や修繕をはじめ、管理すべき対象が多岐に渡るため、オーナーの負担はさらに増します。

こうした業務を専門家でもある賃貸管理会社に任せられれば、不動産投資にかける時間や心理的負担を大きく軽減できます。副業で不動産投資をしている人なら、本業にも専念しやすいでしょう。

入居者の不満や不安を軽減できる

不動産管理では、物件や設備だけではなく、入居者の管理も含まれます。不動産投資で収益を上げるためには、家賃を支払う入居者を大切にすることが前提となります。

オーナーにとって物件は投資対象ですが、入居者にとっては大切な住まいです。そのため、より快適に暮らすために設備の修繕、隣人トラブルなど、いち早く解決してほしい問題をオーナーに訴えてくることもあります。

このような場合、どれだけ多忙であってもスムーズかつ適切に対応しなければ、入居者から不信感を抱かれてしまうおそれがあります。

また、入居者同士のトラブルでは、オーナーが介入してもなかなか解決に至らず、思わぬ労力と時間を要することが珍しくありません。解決どころか、入居者の不満や不安をかえって大きくしてしまうことも考えられます。

賃貸管理会社であれば、定期的な点検や清掃を含め、入居者の快適な生活にまつわる業務を任せられます。また、急な修繕依頼やトラブルにも即座に対応してもらえるため、オーナーにも入居者にもメリットが大きいでしょう。

プロのノウハウを学べる

管理会社は賃貸管理のプロであり、法律や経営、建築回りの知識など、賃貸経営に必要なさまざまな知識を保有しています。そのため、管理を委託することで、オーナーとして学んでおきたいノウハウを効率的に学べることもメリットです。

クレーム対応や空室対策、入居者の選び方など、プロがどのように運用しているかを知ることができ、今後の賃貸経営に生かせるでしょう。将来的に自主管理をしたい人にとっても大きな利点といえます。

空室対策を任せられる

どれだけ需要の高い物件であっても、空室リスクはゼロではありません。空室リスクを最小限に食い止める努力も必要ですが、空室が出たときにすばやく入居者を見つけることが不動産投資の成果を左右します。

賃貸管理会社であれば、独自のネットワークや広告宣伝のノウハウから、入居者募集を効率良く行えるでしょう。

さらに、契約や退去時の立会いや書類のやりとりも、毎月はないにせよ、何時間もかかる大仕事となることもあります。こうした事務手続きが不要になるのも、賃貸管理会社を利用するメリットです。

遠方の物件も運用できる

物件が遠方にある場合も委託管理が便利です。物件で急なトラブルが発生した際も、管理会社が対応してくれるため、オーナーが駆けつける必要はありません。そのため、物件の場所に限定されずに不動産投資を行うことが可能です。転勤が多い方や、所有物件の遠方でリモートワークをしている方にも向いています。

また、複数の物件を所有している場合に巡回の手間を省けることもメリットです。不動産投資の規模を広げたい方にもおすすめします。

ここだけは押さえたい!管理会社を選ぶポイント3選

管理会社で不動産投資の成功率は変わるといわれるほど、管理会社選びは重要です。管理会社を選ぶ際に押さえておきたいポイントを3つご紹介します。

ポイント①:管理物件の入居率

不動産投資で高い収益を得るには、いかに空室を発生させないかが重要です。

そこでまず確認しておきたいのが、管理会社が管理する物件の入居率です。入居率は管理会社のWebサイトに掲載もしくは担当者や資料から入手できるので、保有する物件と条件が似た物件の入居率を確認しましょう。

高い入居率を維持している管理会社は、客付け力や管理能力が高いと考えられます。目安として、入居率が95%以上であるなら問題ないと判断して良いでしょう。

ポイント②:担当者の対応

管理を委託する場合、物件ごとに担当者が付くのが一般的です。担当者が物件管理に対する窓口になるため、担当者の対応の丁寧さや相性も重要なポイントになります。相談しやすいか、真摯に対応してもらえるかを確認しましょう。

また、レスポンスの早さも大切です。特にトラブル発生時の対応が遅れると入居者の不満を生み、退去に繋がることもあるため注意が必要です。

ポイント③:業務範囲

管理会社が手がける業務の範囲は、会社によって異なります。

建物管理と仲介の両方を扱う管理会社もあれば、建物管理に特化している会社もあります。管理委託の契約にあたって、事前に業務範囲を確認しておきましょう。

また、Webサイトやパンフレットなどから管理会社が得意とする業務も参考にし、希望する管理を行ってくれる会社かどうかを判断してください。

管理会社の選び方については、以下の記事でもご紹介しています。

【不動産投資】管理会社の選び方!依頼できる業務の種類とは?

管理委託にはサブリース契約もある

管理委託には、オーナーの管理業務全般を委託する一般委託管理契約のほか、サブリース契約という方法もあります。管理委託を検討する際には、サブリース契約についても理解しておきましょう。

サブリース契約とは

サブリース契約とは、不動産管理会社がオーナーから物件を借り上げ、入居者に転貸(又貸し)する方式の管理委託契約です。管理会社は、入居状況にかかわらずオーナーに一定の賃料を保証する「家賃保証契約」が付されるのが一般的となっています。

サブリース契約の特徴

サブリース契約では、オーナーの管理の手間はほとんどかかりません。管理会社に貸し出すため、家賃収入は入居者と直接賃貸契約を結ぶのに比べて低くなりますが、空室が発生していても一定の家賃収入が得られることがメリットです。

ただし、賃料は一定期間ごとに見直しがあり、同額の家賃保証が継続するわけではありません。そのため、過去には管理会社から賃料の減額を求められ、トラブルに発展している例もあります。

また、サブリースの場合は入居付けも管理会社側がすべて行うため、入居者を選べない点にも注意が必要です。入居者のマナーが悪かったり、事故・トラブルが発生したりすると、物件の資産価値が低下してしまうリスクもあります。

このようにサブリースにはデメリットもあるため、契約には慎重に行う必要があるでしょう。

まとめ

不動産投資を成功させるには、ランニングコストとして管理費を想定しておかなければなりません。専有部分の管理については、時間や労力を考慮して、賃貸管理会社に業務を委託しておくと安心です。

ただし、賃貸管理会社によってサービスや料金設定、業務範囲もさまざまなので、比較検討のうえ、ご自身の理想に合う会社との出会いが重要です。

また、管理委託にはサブリース契約という方法もあります。メリット・デメリットを踏まえた上で契約方法を判断しましょう。