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サブリースとは
サブリースとは、オーナーの物件を管理会社が一括で借り上げ、入居者に転貸する管理形態です。
サブリース契約を行えば、実際の入居状態にかかわらず、オーナーには規定の賃料が支払われます。物件の管理も管理業者が行うため、経営の手間がほとんどかかりません。
サブリース契約を利用しない場合は、オーナーが直接入居者と賃貸借契約を結びます。そして物件の管理はオーナー自身が行う自主管理か、不動産管理会社に毎月費用を払って管理を委託する委託管理方式のどちらかで行います。
サブリース契約のメリット
サブリース契約によるオーナー側のメリットは、主に以下の3つがあります。
1. 空室・滞納リスクが回避できる
2. 管理業務の手間がかからない
3. 収入が安定するので確定申告の手間が少ない
それぞれ、詳しく解説していきます。
メリット1.空室・滞納リスクが回避できる
サブリース契約は、通常の賃貸借契約と異なり、管理会社が賃借人となり物件を丸ごと借り上げます。管理会社から支払われる賃料は、実際の入居状況にかかわらず一定額となり、不動産投資の大きなリスクである空室や滞納リスクを回避できます。
管理会社は転貸の際に賃料を上乗せし、収益を上げる仕組みです。そのため、オーナー側に支払われる賃料は、近隣の家賃相場より10~20%ほど低めに設定されます。
メリット2.管理業務の手間がかからない
サブリース契約では、本来オーナーが行う以下の業務は、すべて管理会社が担います。
・入居者募集
・家賃集金
・クレーム対応
・契約更新
・退去時対応
つまり、ほとんど手間をかけずに賃貸経営を行うことが可能です。
特に、滞納家賃の督促や入居者トラブル、クレーム対応などの業務は、専門的な知識が必要になります。なによりも精神的に大きな負担がかかります。これらから解放される点は大きなメリットといえるでしょう。
メリット3.収入が安定するので確定申告の手間が少ない
サブリース契約では管理会社がまとめて物件を借り上げるため、毎月振り込まれる賃料は安定します。賃料の入金不安はありませんし、空室や滞納による家賃減収や管理に要する細かな経費を考える必要もなくなります。
収益の計算も楽に行うことができるため、経営状態の管理も簡単です。確定申告の手間も通常の賃貸経営よりもはるかに少なく済むでしょう。
サブリース契約の注意点
さまざまなメリットがあるサブリース契約ですが、当然ながら収益面でサブリースを行わない場合に比べて下がるデメリットはあります。また、管理会社と契約を巡るトラブルが発生する場合もあります。
サブリースを契約する際には、正しく仕組みや内容を理解しておくことが必要です。
ここでは、特に注意したい点について解説します。
収益性が下がる
サブリース契約の場合、オーナーが受け取れる賃料は相場の80~90%程度です。10~20%は管理費や管理会社の収益分などにあてられます。そのため、仮に自身で満室経営できた場合と比べると、収益性は下がります。
サブリース契約を選択するかどうかは、空室・滞納リスクを避けることと収益性のどちらを優先するかということになるでしょう。
また、通常の賃貸借契約で受け取れる、入居者の礼金や更新料は受け取れません。これは、入居者から見た家主はサブリース会社になるからです。
更新時に賃料の見直しがある
サブリース契約も通常の賃貸借契約と同様に、一定期間で契約の更新を行います。2年に1回のペースが多いようです。
契約更新の際には、賃料の見直しが行われることが一般的で、ほとんどの場合賃料は下がります。これは、賃貸住宅は築年数が経過すると家賃が下がることと同じです。
仮に賃料が大きく下がれば、想定していた収益を期待できなくなります。
サブリース契約を行う際は、契約更新時期や賃料の見直し規定など、契約書をしっかり読んで不明な点があれば確認しましょう。
家賃○年保証とうたっていても、契約書に記載されていない限り、減額請求がされないわけではないため注意してください。
免責期間が設けられていることがある
サブリース契約期間中は、すべて家賃が保障されるとは限りません。契約によっては、入居付けの期間を免責期間とし、その間の家賃は保証されない場合があります。
免責期間の対象となる条件は、新築から一定期間、退去から一定期間といったように設定され、期間も1ヶ月~半年などさまざまです。
免責期間は、退去後のメンテナンスや次の入居が決まるまで時間がかかることから設けられています。しかし、すぐに次の入居が決まっても、その間の家賃収入は管理会社が取得することになります。
特に退去後に免責期間が発生する場合には、入居者の入れ替わりが多くなると家賃収入に大きな打撃を受けます。ローン返済にもかかわるため、免責の条件はよく確認しておきましょう。
オーナー側の都合で解約できない
サブリース契約では管理会社が借主となります。借地借家法により借主の権利が保障されるため、原則オーナーからの解約は認められません。家賃が減額されたという理由では解約できないことが大半です。
契約書で解約を認めている場合でも正当な事由が求められるケースや、中途解約による高額な違約金が発生するケースもあります。解約条件などは、契約前に確認しておきましょう。
一方で、管理会社の都合による解約は簡単に行うことができます。
原状回復や設備交換などの費用はオーナーが負担する
サブリース契約であっても、修繕や設備交換などのメンテナンス費用はオーナー負担が一般的です。退去後の原状回復については管理会社が負担する場合もありますが、クリーニングのみのように一部であることも少なくありません。
メンテナンスの費用は高額になります。頻度や費用負担の割合、実施目安などを契約前にきちんと確認しておく必要があります。
管理会社が倒産するリスクがある
サブリース先の管理会社が倒産した場合には、当然ながら家賃保証はなくなります。また、経営不振に陥った場合には、大幅な賃料の減額を求められることもあるでしょう。管理会社が家賃入金を滞納してしまう可能性もあります。
管理会社が倒産した場合には、入居者はオーナーと賃貸借契約を結び直すことになります。しかし、それまでの過程でトラブルが発生することもあるため注意が必要です。
サブリース契約は長期になります。契約前には会社の経営状態や信頼性などを確認しておきましょう。
まとめ
サブリース契約は手間をかけずに不動産投資で安定した収益を得たい方には有効な方法です。しかし、管理会社と契約結ぶ際に注意すべき点もあります。長期的な契約になるため、契約条件の確認はもちろん、サブリース会社の経営状態や収益への影響もよく検討したうえで選択しましょう。