投資マンションの売却には、最適なタイミングが存在します。売却のチャンスを逃せば、思うような価格で売れない可能性が高くなるでしょう。
多くの投資家は、「今が売り時なのか」「いつ売却すればいいのか」判断に迷うものです。
この記事では、投資マンションの売却に成功しやすい7つのタイミング、売却方法や具体的な流れについて詳しく解説します。
投資マンションの売却が成功しやすいタイミング
投資マンションを売却する際は、タイミングの見極めが重要です。市場環境や物件の状態、税制上の優遇措置など、さまざまな判断材料を総合的に考慮する必要があります。
特に築年数や金利動向、修繕計画の有無は、売却価格に大きく影響します。また、入居率や減価償却の状況も重要な判断基準です。
売却を検討する際は、これらのポイントをひとつずつ精査し、自身の投資戦略に照らし合わせて決断しましょう。
ここでは、投資マンションの売却が成功しやすい7つのタイミングを解説します。
投資マンションを5年以上保有しているとき
5年の保有期間を経過した投資マンションは、税制面で大きな優遇を受けられるのがメリットです。所有期間が5年以下の場合と比較すると、譲渡所得にかかる税率が39.63%から20.315%へと大幅に軽減されます。
具体的には所得税が30.63%から15.315%へ、住民税が9%から5%へと下がります。
売却益に対する課税が軽減されると、手元に残る利益を最大化できます。したがって、売却時期を決める際は、税率の違いを考慮に入れるべきです。
所有期間が5年を超えてから売却すれば、税負担を約19%も抑えられます。税制優遇を活用し、効率的な売却計画を立てましょう。
築20年を超える前
築20年を迎える前の投資マンションは、売却しやすい特徴があります。
この時期を過ぎると、給排水設備の劣化や外観の経年変化も著しくなるため、資産価値が下がりやすいです。
一方、築20年未満であれば35年ローンの対象となり、購入検討者の幅が広がります。特に投資用マンションはローンでの購入が一般的です。したがって、融資条件の良さは、売却のしやすさに直結します。
また、設備の状態も良好なうえに、大規模な修繕も先になるため、購入者にとって魅力的な物件になるでしょう。
金利が下がっているとき
金利の動向は、投資マンションを売却するうえで重要な判断材料です。
低金利時では購入者のトータルコストが抑えられるため、需要が増加し売却が進めやすくなります。2013年からのアベノミクスによる金融緩和政策で、住宅ローン・投資用不動産ローンともに低金利が続いています。
ただし、2024年7月以降は利上げの可能性が指摘されているため、金融政策の動向には注視しなければなりません。
日銀の金融政策の方向性も見極めながら、売却のタイミングを検討しましょう。
大規模修繕を行う前
大規模修繕を行う前の売却もおすすめです。
大規模修繕工事は、投資マンションの価値を維持するために欠かせませんが、多額の費用負担が発生します。近年は工事費用相場の上昇により、修繕積立金だけでは足りない場合が多く、オーナーが追加で負担するケースが増えています。
また、大規模修繕をきっかけに修繕積立金が値上げされるケースも少なくありません。
工事費用の負担が確定する前に売却すれば、将来の支出を回避できます。修繕工事の計画が具体化してきた段階で検討すると、費用負担を抑えながら売却できるでしょう。
大規模修繕を行う理由や頻度について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→不動産投資に大規模修繕は必要?行うべき理由・頻度・注意点を解説
入居率が高いとき
投資マンションが満室に近い状態は、売却に最適なタイミングです。入居者付きの物件はオーナーチェンジ物件として取引され、内覧なしで契約が進むケースも珍しくありません。
入居者がいることで安定した賃料収入が見込めるほか、購入後すぐに運用を開始できる点が評価されます。さらに、空室リスクを考える必要がないため、購入検討者には魅力的な投資対象といえるでしょう。
入居率の高さは物件の収益性を示す重要な指標となるため、売却価格の交渉でも有利に働きます。
減価償却の終了前
減価償却は、投資マンションの節税効果を生み出す要素です。建物の耐用年数に応じて費用計上できる減価償却費は、利益を圧縮して税負担を軽減します。
耐用年数は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造で47年、木造では22年です。
しかし、減価償却費は耐用年数を過ぎると計上できなくなるため、税負担が増加します。そのため、減価償却による節税メリットが残っている段階での売却が最適です。
減価償却の仕組みについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→不動産投資での減価償却の仕組みとは?節税になる理由や注意点を知ろう!
市場が活発な引っ越しシーズン前後
新生活が始まる1〜3月や、人事異動の多い7〜9月は、不動産市場が活発化する時期です。買主が見つかりやすく、強気の価格設定でも売却を期待できるでしょう。
市場に出す物件への問い合わせも増加し、値引き交渉も少なくなるのが魅力です。
ただし、売却から成約までは3〜6ヶ月程度かかるため、1〜3月の売却を目指すなら9〜12月頃から準備を始めるとよいでしょう。
投資マンションを売却する3つの方法
投資マンションの売却方法には、不動産会社に依頼する仲介、買取、個人間での売買の3つが挙げられます。
ここでは、投資マンションを売却する3つの方法を解説します。
不動産仲介
不動産仲介は、専門家のサポートを受けながら適正価格での売却を目指せる方法です。不動産会社が持つネットワークを活用し、幅広い購入検討者に物件情報を提供できます。
また、価格交渉や契約手続きなど、専門知識が必要な部分をプロがサポートしてくれます。
成約までの期間は、マンションの場合で平均3ヶ月程度です。仲介手数料は売却価格に応じて発生しますが、高値での売却が期待できます。
不動産買取
不動産買取は、スピーディーかつ確実に売却できる方法です。不動産会社が直接購入するため、一般的な売却期間よりも大幅に時短ができるほか、最短1週間ほどで現金化ができます。
ただし、買取価格は仲介売却と比べて7〜8割ほどになるのが一般的です。早急な資金調達と、物件の売却を急ぐ必要がある場合に適しています。
個人間での売買
個人間売買は、不動産会社を介さずに直接取引を行う方法です。仲介手数料が不要となるため、コスト面でのメリットがあります。
ただし、取引に関する法律や税務の知識が必要です。価格交渉や契約手続きなどは、すべて自身で行う必要があります。
また、広告や購入者の募集も自力で行わなければならないため、売却価格の設定は難しくなるでしょう。
投資マンションを売却する流れ
ここでは、投資マンションを売却する具体的な流れについて詳しく解説します。
売却計画を策定
売却計画の策定では、希望価格や売却時期、売却方法など、具体的な条件を明確にします。売却の理由や急ぎ具合、売却後の資金計画なども考慮に入れながら、実現可能な計画を立てなければなりません。
市場動向や価格相場も調査し、適切な売却価格の設定につなげる必要があります。また、値下げ交渉に対する最低ラインも決めておくべきです。
売却計画が曖昧だと冷静な判断ができず、想定外の価格で売却してしまう可能性があります。
必要書類の準備
投資マンション売却に必要な主な書類は、以下の通りです。
- 身分証明書
- 印鑑証明書
- 権利証
- 登記簿謄本
- 賃貸契約書
- 固定資産税や都市計画税の納税通知書
- ローン残高証明書
書類を早めに準備しておくことで、スムーズな売却活動を実現できます。管理会社への連絡も忘れずに行い、組合員の資格喪失届や管理費・修繕積立金の精算も済ませておきましょう。
不足書類があると手続きに遅れが生じるため、注意が必要です。
不動産会社に査定依頼
不動産会社への査定依頼は、適正価格を把握するために欠かせないステップです。投資マンションの売却では、利回りや税金、賃貸契約の引継ぎなど、独自の要素があるため、専門会社への依頼が理想といえます。
複数の不動産会社に査定を依頼して、適正価格で売却できる業者を選びましょう。
媒介契約を締結
媒介契約には、専属専任媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約の3種類があります。
専属専任媒介契約と専任媒介契約は、有効期限が3ヶ月以内でレインズへの登録が必要です。一般媒介契約は複数の不動産会社と契約できますが、売却活動に力が入りにくい特徴があります。
投資用マンションは購入者層が限定されるため、専属専任媒介契約か専任媒介契約を選択すると売却が進みやすくなります。
売却活動の開始
売却活動では、投資家に向けたアピールポイントを明確にする必要があります。賃貸需要や利回りの実績、近隣の再開発計画など、投資判断に必要な情報を整理しましょう。
オーナーチェンジ物件の場合は内覧ができないため、修繕履歴や住宅診断結果報告書、耐震基準適合証明書などの資料を用意し、安心材料として提示してください。
不動産会社のネットワークを活用し、広告展開や物件紹介を効果的に行えば、購入者との出会いを促進できます。
契約条件の交渉および売買契約の締結
契約条件の交渉では、売却価格を中心に具体的な条件を詰めていきます。値下げ交渉に備え、売出価格は少し高めに設定するのが一般的です。
投資用不動産ローンの残債を、売却価格で完済できるかも確認しましょう。
条件が合意に達し売買契約を締結すると、買主から売買代金の10%程度が手付金として支払われます。同時に、不動産会社へ仲介手数料の半金を支払うのが一般的です。
残金の決済および物件の引き渡し
決済は平日の日中に関係者が集まって実施します。買主から残金を受け取り、売主は物件の鍵や関連書類一式を引き渡すのが一般的です。
投資用不動産ローンが残っている場合は、この時点で一括返済を行います。その後、司法書士が所有権の移転登記を実施し、すべての手続きが完了となります。
オーナーチェンジ物件の場合は、賃貸借契約も買主に引き継がれる流れです。したがって、賃借人への説明や手続きも必要になります。
まとめ
投資マンションの売却は、市場環境や物件状況、税制面など、さまざまな視点から最適なタイミングを見極める必要があります。
特に、5年以上の保有期間による税制優遇、築20年前の売却、金利環境、大規模修繕のタイミングは考慮すべきポイントです。
売却する際は専門家のサポートを受けながら、慎重に準備を進めましょう。
アセットテクノロジーでは、不動産管理業務をオーナー様に代わって代行するサービスとともに、買い取り事業も手掛けています。弊社で買い取りする場合は、売主様からの仲介料はいただいておりません。さらに買い取りした物件は弊社で保有するため、他社よりも高額な査定を実現しています。
投資マンションの売却でお困りごとがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。