高い収益性が期待できる不動産投資は資産運用を検討中の人から注目を集めています。反面、空室の増加やローンの金利上昇、資産価値の下落などリスクの多さも特徴です。
不動産のオーナーは賃貸経営に伴う危険を漏れなく把握して、事前に対策を練る対応が求められます。今回は不動産投資で知るべき8つのリスクとリスクヘッジの方法を紹介します。
マンション経営がうまくいくか不安で中々始められない人は、ぜひご一読ください。
1.空室リスク
空室リスクとは、入居者を獲得できず賃料収入が入らなくなる危険のことです。基本的に収入源が家賃しかない賃貸経営では、空室の発生はキャッシュフローの悪化に直結します。
収入が途絶えても、ローンの返済や管理会社への手数料といった固定費は支払う必要があります。賃貸経営の成否を左右することから、空室リスクは「不動産投資における最大のリスク」とまで称されるほどです。
リスクの有無を判定する一つの基準が空室率です。空室の数÷総戸数×100で算出した空室率が他の物件よりも高い場合、マンションやアパートは空室リスクがある物件だと判定できます。
家賃収入が減るとリノベーションや修繕の実施に必要な費用も捻出できず、物件自体の価値の低下を引き起こすのも空室リスクの恐ろしさです。
リスクヘッジの対策:賃貸需要が安定する首都圏で物件を選ぶ
リスクを減らすには賃貸需要が高いエリアで経営を始める必要があります。特に東京23区内にこだわると良いでしょう。
人口減少社会を迎えた日本では全国的に賃貸需要の低下は避けられません。現時点では人口が増えている街でも、将来的には首都圏以外は賃貸経営が立ち行かなくなるといわれています。
国の構造に起因する問題のため、いくら物件選びに気を使っても個人の力ではどうにもなりません。
これからの日本で賃貸経営の空室リスクに備えるには、人が集まりやすく人口減少の影響が少ない東京エリアに物件を構えることが重要です。
2.金利上昇リスク
不動産経営の金利上昇リスクとは金利が上昇した結果、ローンの返済額の増加を招くことです。上昇幅しだいでは、総返済額に数百万円の違いが出るケースも決して珍しくありません。
不動産投資ローンの金利は、一般的な住宅ローンの金利と比べて高く設定されています。1%や2%の上昇でもオーナーに多大な負担を与える可能性があるものだと念頭に置きましょう。
一般的には不動産価格と金利には負の相関関係があり、金利が上昇すると土地や建物の価格が下がる傾向があります。
日銀のゼロ金利政策の影響でゼロ金利時代が続いてきた日本では、上記を裏付けるように年々不動産の価格が値上がりしています。
リスクヘッジの対策:繰り上げ返済を検討する
不動産投資の金利上昇リスクに備えるには、繰り上げ返済の活用が効果的です。マンションやアパートの購入には数億円規模の投資が必要なため、すべて自己資金で賄うのは現実的ではありません。
ローンの活用は半ば避けられない行為ですが、借入の割合を低く抑える意識は必要です。総資産に占める借入金の比率を抑えるには、キャッシュフローの逼迫を招かない程度で早期返済を試みたいところです。
金利上昇時の返済額の増加を最小限にとどめたい場合、月々の返済額は変えずに返済期間を短くする期間短縮型の活用をおすすめします。
利息の軽減効果が大きいうえに、早期に借金を返済して次の物件を購入する戦略をとれるためです。
⇒金利上昇と不動産価格下落の関係性とは?金利上昇の影響を抑える方法
3.物件の価値下落リスク
物件の価値下落リスクは物件の価値が低下して、想定より低い売却益しか得られなくなる危険です。
特に新築物件で賃貸経営を始めた場合、売却の頃には資産価値が大きく目減りしている可能性があります。人口減少が深刻な日本において将来的な賃貸需要の低下はほぼ避けられません。
首都圏を除くほとんどのエリアで不動産価格の低下が予想されるほどで、賃貸経営のオーナーは誰しも収益物件の価値下落リスクへの備えを意識すべきだといえます。
リスクヘッジの対策:都心の中古ワンルームを選ぶ
都心に位置する、空室リスクが低い高収益物件を狙いましょう。23区内・駅から徒歩10分圏内という条件を満たす利便性に優れたアパートやマンションがおすすめです。
特に供給が限られる中古ワンルームは希少価値の観点から、将来的な資産価値の維持が期待できます。東京23区内では条例や建築指導要綱に基づき、単一の建物におけるワンルームの部屋数に上限が設けられています。
規制の影響で新たにワンルームを増やすことが難しい状況になりましたが、一方で都心に住みたい単身者のニーズは高いままです。
需要が高く供給が少ない都心の中古ワンルームなら今後も資産価値が減るとは考えにくく、将来の売却を見据えた不動産投資に適しています。
4.家賃下落リスク
家賃下落リスクは入居者が来ないため家賃を低く設定せざるを得なくなり、収益の低下を招くことです。
築年数の経過につれて賃料が下がるのは一般的な現象ですが、下落幅が大きすぎる場合、資金繰りの悪化につながります。基本的に家賃は需要と供給のバランスに応じて決定するものです。
入居希望者に対して物件の供給量が多すぎるエリアや、経年劣化で人気がなくなった物件、近隣にマンションが増えて競争が激しくなったエリアは家賃下落のリスクが高まります。
リスクヘッジの対策:中古マンションを検討する
家賃が下がるリスクに備えるには中古マンションの購入がおすすめの方法です。新築の物件は時間の経過で価値が下がるため、家賃の下落はどうしても避けられません。
下落幅は一定ではなく、最初の10年間は激しく徐々に緩やかになり、25年程度で下げ止まりを迎えるケースが一般的です。また中古物件ならリノベーションや設備の修繕で価値を上昇させて、家賃への影響を抑えられます。
エアコンや給湯設備、トイレなど一部の設備にとどまれば、修繕費は大きな負担になりません。新築の物件よりも自発的に資産価値の上昇に取り組みやすいことは、中古マンションのメリットです。
5.老朽化リスク
老朽化リスクとは投資物件の老朽化が進み、想定以上の修繕コストが発生する危険です。短期的には手出しの増加にとどまりますが、古くなった状態を放置すると致命的な事態を引き起こします。
老朽化した物件・部屋は魅力を失い、入居者が集まらずに家賃収入の低下につながります。売却時も高値での取引は期待できず、購入価格と著しく乖離した金額で泣く泣く手放さざるを得なくなるでしょう。
適切なタイミングで適切な修繕を実施して、老朽化リスクに備えることが重要です。
リスクヘッジの対策:重要事項調査報告書を確認する
物件を選ぶ際に重要事項調査報告書をチェックして、過去の修繕履歴や管理体制をチェックしましょう。修繕が行われたばかりの物件なら直近に修理費用を負担する必要がなく、余計なコストの発生を防げます。
重要事項調査報告書は不動産会社が作成・保管する書類です。新たに不動産のオーナーになる人は不動産会社に問い合わせすれば閲覧できます。
重要事項調査報告書では修繕履歴のほか、将来的な修繕計画、滞納中の修繕積立金の金額などまでわかります。
築年数が経過しているにも関わらず、積立金額が少ない物件は注意しなくてはいけません。修繕が必要になったとき、不足分を補填するのは他でもないオーナーの役割です。
6.災害リスク
災害リスクは地震や火災、台風、津波によって建物が倒壊・破損する危険を表します。いつ何時起こるか予想できない自然災害は不動産投資の大きなリスクの一つです。
特に地震大国と呼ばれる日本では、東海地方や首都圏を中心とした南海トラフ地震の勃発への備えが不可欠です。大地震が発生すれば火災も至るところで引き起こされるため、火事の影響も無視できません。
沿岸部や河川が近いエリアでは水害リスク、山間部や傾斜地では豪雨による土砂崩れや地滑りのリスクにも備えが必要です。
不動産投資では、災害の中でも特に危険が大きい地震や火災への対処法として、火災保険・地震保険に加入するケースが一般的です。
⇒不動産投資用物件の地震保険とは?確定申告時の税務上の取り扱いを解説
リスクヘッジの対策:ハザードマップでリスクが少ないエリアを見つける
物件の購入前に自治体が公表するハザードマップをチェックして、対象地域の危険性を見極めましょう。
地震の程度に応じて倒壊や液状化の危険度を地図上に表した地震ハザードマップ、豪雨時に浸水や土砂災害が想定されるエリアを示した洪水ハザードマップは重要な資料です。
不動産投資の場所選びでは高い震度でも耐久性を有するエリアや、火災被害を避けるために木造住宅が密集していないエリアが適しています。
7.家賃の滞納リスク
家賃滞納リスクは入居者からの家賃収入が滞り、オーナーの収入がなくなる危険を表します。
支払いを求めたのに拒まれた結果、訴訟にまで発展した場合、弁護士費用はオーナー側が負担しなくてはいけません。
滞納者に職がなく、差し押さえる財産もなければ、家賃や賃料相当損害金の返済は受けられません。このように家賃の滞納リスクは単に一時的にキャッシュが減るだけでなく、賃貸経営に著しいダメージを与える可能性があります。
リスクヘッジの対策:入居審査を厳しくする
家賃の滞納を防ぐには元から支払う気がない、または資金力の乏しい入居者を入れないことです。
厳しい入居審査を実施して、入口から悪質な人物をシャットアウトすればトラブルを未然に防げます。不動産投資で入居者の審査を担うのは、オーナーから管理の委託を受けた不動産会社の担当者です。
管理会社選びでは、督促や債権管理をてがける部署が入居審査を担当するかチェックしましょう。督促をしてきた厳しい視点から悪質な入居者を見極める厳正な審査を期待できるためです。
8.管理会社の倒産リスク
管理会社の倒産リスクとはその名のとおり、収益物件の管理を担う不動産会社が経営破綻に陥ることです。万一管理を任せる会社がなくなった場合、入居者が管理会社に支払った賃料は回収できなくなる可能性が高いです。
また入居者の募集や契約手続き、日々の清掃や修理まで一切の管理業務を一任する存在を失います。
新たな管理会社を見つけない限り、オーナー自身が業務をこなす必要があり、本業がある人は大変です。
リスクヘッジの対策:実績が豊富かつ成長中の不動産会社を選ぶ
委託先には管理戸数やオーナー数の絶対数が多く、順調に増加の一途をたどる経営が順調な不動産会社を選びましょう。
事業が伸長し続ける会社であれば少なくとも直近に倒産を起こす心配はなく、自分が利用者の立場でも安心して関わり続けられます。
まとめ
不動産投資は不確実性が大きく、不動産のオーナーは事前にさまざまなリスクに備える必要があります。エリア選びと肩を並べるほど重要なのは、入居者の審査や日々の管理を任せる管理会社選びです。
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リスクに備えて信頼できる不動産会社をお探し中の人は、ぜひお気軽にご相談ください。