不動産買取は、不動産会社が買主となるため、仲介のように一般の購入希望者を探す必要がなく、売却時期を見通しやすい方法です。一方、国土交通省や国民生活センターは、不動産会社が買主となる取引について、強引な勧誘、相場より安い価格での契約、解約時の違約金、売却後の修繕費請求などの相談例を公表しています。この記事では、不動産買取で起こりやすいトラブル、注意すべき勧誘や契約条件、契約前の確認事項を具体的に解説します。

この記事でわかること

  • 不動産買取で起こりやすい代表的なトラブルの実態
  • 悪質業者が使う典型的な手口とその見抜き方
  • 契約前に必ず確認すべき価格・費用・契約条件のポイント
  • トラブルになりにくい信頼できる業者の選び方と相談先

不動産買取トラブルの基礎知識

不動産会社が直接買い取る場合も、査定額がそのまま契約金額になるとは限りません。価格、費用、解除、引渡しなどの条件を契約前に整理することが、トラブルの予防につながります。

不動産買取と仲介の違い

不動産買取では、不動産会社が売買契約の買主となります。一般の購入希望者を探す仲介とは異なり、販売活動や内覧対応が原則として不要で、契約・決済の予定を調整しやすい点が特徴です。ただし、物件調査や権利関係の状況によって日程は変わります。

買取価格には、買取後の修繕・保有・再販売にかかる費用や価格変動リスクなどが反映されます。そのため仲介で想定する売却価格より低くなる場合がありますが、物件や会社によって差があり、一律の割合では示せません。査定額だけでなく、差し引かれる費用と最終的な手取り額の確認が重要です。

不動産買取が向いているケース

不動産買取は、相続財産の換価、離婚や転勤などで売却希望時期が決まっており、価格だけでなく日程の見通しを重視する場合に検討しやすい方法です。仲介では購入希望者が現れる時期を確定できないため、期限を優先する場合は買取との比較が役立ちます。

売却希望日が決まっている場合は、査定額の有効期限、売買契約日、残代金決済日、引渡日を確認します。「いつ契約し、いつ全額が入金されるか」まで書面で合意することが、期限のある売却では重要です。

売主にクーリング・オフがない点

消費者が自分の不動産を不動産会社に売却する契約には、訪問勧誘を受けた場合でもクーリング・オフはありません。宅地建物取引業法上のクーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となり、消費者が買主となる一定の取引を対象とする制度です。

契約後の解除には、手付解除ができる期限、違約金、相手方の履行状況などが関係します。「後で無条件に取り消せる」と考えず、価格・手付金・解除期限・違約金を理解するまで署名や押印をしないことが大切です。

不動産買取で起こりやすいトラブル

不動産買取では、査定と契約金額の差、費用負担、解除条件、引渡し後の責任、代金決済、強引な勧誘などをめぐってトラブルが起こります。代表例と確認事項を整理します。

相場を下回る価格での売却

国土交通省は、不動産会社が買主となる取引で、提示された価格で契約した後に相場より安いと気づく相談例を紹介しています。1社の査定だけでは、その金額が物件の状態や売却条件を適切に反映しているか判断しにくくなります。

公的な取引価格情報は参考になりますが、個別物件の買取価格そのものではありません。立地、面積、築年数、管理状態、賃貸中かどうかなど、条件の近い事例と比較しましょう。複数社から査定額と算定根拠を受け取り、同じ条件で比較することが安値売却の予防になります。

契約前後の不当な減額

査定時には高い金額を示し、現地調査後や契約直前に減額を求めるケースがあります。査定額は売買契約の代金と同じとは限りませんが、減額理由が物件調査で判明した事実や当初の査定条件と対応しているかを確認する必要があります。

雨漏りや設備不良などを理由に減額を求められたら、調査箇所、写真、見積書、減額の計算方法を書面で求めます。契約後の売買代金は一方の判断だけで変更できません。納得できない減額合意書には署名せず、契約書の条項と根拠資料を確認しましょう。

不明瞭な費用・手数料の請求

不動産会社が自ら買主となる直接買取では、売主と買主の間を媒介する業務がないため、その会社に対する仲介手数料は発生しません。一方、測量、抵当権抹消登記、残置物処分、解体などの費用をどちらが負担するかは契約条件によって異なります。

費用の名称だけで判断せず、金額、算定根拠、支払先、支払時期、契約不成立時の返金条件を確認します。見積書と売買契約書の両方で費用の内訳と負担者を明確にし、最終的な手取り額を確認しましょう。

口頭説明と契約内容の相違

「残置物はそのままでよい」「測量は不要」「引越し費用を負担する」などの説明が契約書に反映されていないと、後から合意内容を確認できません。口頭説明と契約書の記載が違う場合は、署名・押印前に修正を求めます。

解除条件、違約金、引渡し条件、費用負担は、契約書本文だけでなく特約にも記載されます。口頭の約束を特約や覚書に反映し、誰が・何を・いつまでに行うかを書面で確認することがトラブル防止の基本です。

引渡し後の修繕費・損害賠償請求

引渡し後、雨漏りやシロアリ被害などを理由に、修繕費や損害賠償を請求されることがあります。契約不適合責任とは、引き渡した物件の種類・品質・数量などが契約内容に適合しない場合に、売主が負う可能性のある責任です。

責任の範囲や通知期間は契約で調整されることがあります。ただし民法572条により、責任を負わない特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実などについては免責されません。契約不適合責任の範囲を確認し、把握している不具合は書面で開示しましょう。

境界・測量をめぐる紛争

土地や戸建てでは、境界標の有無、隣地からの越境、確定測量の要否が契約条件になります。境界を確定しない条件で売却する場合も、その事実と責任範囲、測量費の負担者、引渡し期限への影響を明記する必要があります。

登記上の面積と実測面積が異なることもあります。公簿面積と実測面積のどちらを基準に売買するか、差が出た場合に代金を精算するかまで契約書で確認しましょう。

強引な勧誘による契約

宅地建物取引業法では、宅建業者による威迫、断定的判断の提供、私生活や業務の平穏を害する勧誘、契約しない意思を示した後の勧誘継続などを禁止しています。「今日中に決めないと価格が下がる」などと判断時間を与えず契約を迫る対応には注意が必要です。

国民生活センターが2025年に公表した住宅リースバックの相談資料では、契約当事者の約7割が70歳以上でした。長時間の勧誘や執拗な売却勧誘も相談例として挙げられています。即決を迫られたらその場で署名せず、家族や第三者と契約条件を確認しましょう。

代金未払い・決済をめぐるトラブル

残代金の入金確認前に、登記識別情報など所有権移転に必要な書類を渡したり、登記申請を先行させたりすると、代金未払い時の回収が難しくなるおそれがあります。決済日は、残代金の支払いと所有権移転登記の申請を連動させるのが基本です。

分割払い、第三者名義からの振込、小切手払いなどを提案された場合は、支払条件と不履行時の対応を慎重に確認します。決済当日の着金確認方法と登記申請のタイミングを契約書で定め、司法書士を含む関係者と事前に共有しましょう。

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不動産買取トラブルを防ぐ確認ポイント

契約前の情報収集と書面確認により、条件の見落としや説明の食い違いを早期に発見できます。査定から決済までの確認ポイントを順に見ていきましょう。

取引価格と査定額の事前確認

国土交通省の不動産情報ライブラリでは、地域や物件種別を指定して不動産の取引価格・成約価格情報を確認できます。所在地だけでなく、面積、築年数、用途、取引時期などが近い事例を選ぶと比較しやすくなります。

ただし、公表された取引価格は個別物件の買取保証額ではありません。建物状態、賃貸借契約、修繕履歴、引渡し条件によって査定額は変わります。公的な取引価格を基準の一つにし、査定額との差が生じる理由を確認しましょう。

複数社の査定条件の比較

複数社に同じ物件資料と希望条件を伝え、査定額、査定の有効期限、費用負担、契約・決済予定日を比較します。提示条件が違うまま金額だけを比べると、手取り額や引渡し条件の差を見落とすおそれがあります。

査定額に大きな差があっても、それだけで不当とは判断できません。どの取引事例を使い、修繕費や再販売リスクをどう見込んだかを尋ねます。査定額ではなく、根拠が示された最終契約金額と手取り額で比較しましょう。

査定額の根拠確認

査定では、近隣の取引・成約事例、面積、築年数、建物や設備の状態、管理状況などが確認されます。収益物件では、賃料収入、空室状況、管理費・修繕積立金などの収支も査定材料になります。

査定書には、採用した事例、評価した強み・弱み、想定費用、価格の有効期限を記載してもらうと比較しやすくなります。査定額の算出根拠が確認できないまま契約に進まないことが重要です。

売買契約書の確認

売買契約書の案を事前に受け取り、査定書や担当者の説明と照合します。特に売買代金、手付金、解除、違約金、費用負担、契約不適合責任、引渡し・登記の時期は、意味がわからないまま署名しないことが大切です。

契約前に確認したい主な項目は次のとおりです。

確認項目 チェック内容
解除条件 手付解除の期限、解除できる条件
違約金 発生条件、金額、計算方法
引渡し条件 引渡日、残置物・設備・境界の扱い
契約不適合責任 責任範囲、通知期間、既知の不具合
支払方法・入金日 手付金・残代金の額、入金日、振込先
費用負担 測量・登記・残置物・解体費の負担者

支払方法・入金時期の明確化

手付金と残代金について、金額、入金日、振込先、振込手数料の負担、入金遅延時の扱いを契約書で確認します。抵当権がある場合は、残代金で完済して抹消する手順も金融機関や司法書士と調整します。

銀行振込でも、振込画面や明細だけではなく売主口座への着金を確認する必要があります。所有権移転に必要な書類を渡す時点と、残代金の着金確認時点を一致させる手順を事前に決めましょう。

やり取りの記録

査定書、見積書、契約書案、物件調査の結果、担当者とのメールやメッセージを保存します。電話や面談で重要な説明を受けたときは、日時・担当者・説明内容をメモし、認識が合っているかメールなどで確認します。

価格、費用、残置物、測量、引渡しなど契約判断に影響する約束は、契約書や覚書に反映してもらいます。重要な説明と合意内容を後から確認できる形で残すことが、紛争時の事実確認に役立ちます。

境界・越境・告知事項の整理

土地・戸建てでは境界確認書や確定測量図、越境に関する覚書の有無を確認します。マンションでは管理規約、総会議事録、長期修繕計画などを用意し、収益物件では賃貸借契約書、レントロール、管理委託契約も整理します。

共有持分、抵当権、差押え、相続登記未了などがある場合は、売却に必要な手続きと日程を確認します。物件・権利・賃貸管理の資料を査定時から開示し、契約条件に反映させることが重要です。

既知の不具合・告知事項の開示

雨漏り、シロアリ被害、給排水管の不具合、越境、騒音、過去の事故など、把握している事実は告知書などに記載します。判断に迷う事項は自己判断で省かず、担当者や必要に応じて専門家に確認しましょう。

契約不適合責任を制限する特約があっても、知りながら告げなかった事実について免責されない点に注意が必要です。不具合を開示し、買主が把握した内容を契約書や告知書に残すことが売主自身の保護につながります。

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トラブルを避ける不動産買取業者の選び方

業者選びでは、免許情報だけでなく、査定の根拠、契約条件の説明、物件種別への対応力を確認します。公的情報と実際の対応を組み合わせて判断しましょう。

宅建業免許・行政処分歴の確認

国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、宅建業免許番号、商号、所在地、代表者などを確認できます。広告や担当者の名刺に記載された会社情報と一致するか照合しましょう。

国土交通省のネガティブ情報等検索サイトや免許行政庁の公表ページでは、掲載期間内の監督処分情報を確認できます。処分の有無だけでなく、処分内容、時期、改善状況を業者選びの判断材料にしましょう。

買取実績・対応エリアの確認

自分の物件と近い地域・種別・築年数の買取実績があるかを確認します。全国対応という表示だけでなく、現地調査を誰が行うか、契約・決済・管理引継ぎをどこまで担当するかも質問しましょう。

実績件数だけでは、自分の物件に合うかは判断できません。物件特性をどう評価し、どのような資料を査定に使うかまで確認します。実績の表示と、今回の査定・契約条件を分けて検討することが大切です。

物件種別に合う専門性

投資用不動産やオーナーチェンジ物件では、所有権移転に加えて、賃貸借契約、敷金、家賃、管理委託契約、保証会社などの引継ぎ確認が必要です。戸建てや土地では、境界・越境・測量への対応力も確認ポイントになります。

たとえばアセットテクノロジーは、個人・法人から直接買い取った不動産を、リフォームやリノベーション後に再販売・賃貸活用する事業を行っています。ワンルームからファミリータイプまでの買取実績があり、特に関西・東海の実績が豊富です。簡易査定と詳細査定を用意しています。物件種別と地域に合う実績があるか、査定方法と算定根拠まで確認しましょう。

担当者の説明力・透明性

担当者には、査定額の根拠、査定から契約までに価格が変わる条件、費用の内訳、解除・違約金、契約不適合責任、決済手順を質問します。回答が契約書案や見積書と一致しているかも確認しましょう。

収益物件では、管理会社・保証会社への連絡、賃料・敷金の精算、入居者への通知時期まで整理できる担当者かを確認します。質問への回答が具体的で、口頭説明を書面に反映する担当者かどうかが重要です。

即決を迫る業者への注意

「今日中に決めてほしい」「他社に相談しないでほしい」などと判断時間を制限されたら、その場で契約しないことが大切です。査定の有効期限がある場合も、期限の理由と、期限後に何が変わるのかを確認します。

宅建業者は、契約しない意思を示した相手への勧誘継続や、判断に必要な時間を与えない行為などを禁止されています。断る場合は「契約しない、今後の勧誘も希望しない」と明確に伝え、日時・会社名・担当者名を記録しましょう。

トラブル発生時の相談先

強引な勧誘や契約内容への疑問は、契約前でも相談できます。勧誘に問題がある場合は、日時、会社名・免許番号、担当者名、発言内容を記録し、その宅建業者の免許行政庁への情報提供も検討します。

相談内容に応じて、次の窓口を使い分けます。受付時間や相談範囲は変更されることがあるため、利用前に各窓口の公式案内も確認してください。

  • 消費者ホットライン(188):強引な勧誘や消費者契約に関する相談
  • 不動産適正取引推進機構(0570-021-030):不動産取引に関する電話相談
  • 法テラス・サポートダイヤル(0570-078374):法制度や相談先の案内
  • 警察相談専用電話(#9110):威迫や詐欺など犯罪性が疑われる場合

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よくある質問

Q. 不動産買取で契約後に価格を下げられたら断れますか?

A. 契約後の売買代金を変更するには、原則として売主と買主の合意が必要です。まず契約書の価格調整条項を確認し、調査結果、写真、見積書、計算方法など減額の根拠を求めます。納得できない場合は減額合意書に署名せず、不動産適正取引推進機構や弁護士などに相談してください。

Q. 訪問勧誘で契約した不動産買取はクーリング・オフできますか?

A. できません。宅地建物取引業法上のクーリング・オフは、宅建業者が自ら売主となり、消費者が買主となる一定の取引に設けられた制度です。消費者が自分の不動産を不動産会社に売却する契約には適用されないため、訪問勧誘でも即決せず、契約前に条件を確認しましょう。

Q. 買取なのに仲介手数料を請求されました。支払う必要はありますか?

A. 不動産会社が自ら買主となる直接買取では、その会社に対する仲介手数料は発生しません。別の宅建業者が売主と買主の間を媒介している場合は、媒介契約に基づく仲介手数料が発生することがあります。売買契約の買主、媒介業者の有無、請求名目を確認し、不明な請求は書面で説明を求めましょう。

まとめ

不動産買取では、査定と契約金額の差、不明瞭な費用、解除・違約金、引渡し後の責任、代金決済、強引な勧誘などがトラブルの原因になります。売主にクーリング・オフがない点も踏まえ、契約前の確認が重要です。

公的な取引価格を確認し、複数社の査定を同じ条件で比較したうえで、売買代金、費用負担、解除、契約不適合責任、決済・登記の時期を書面で確認しましょう。宅建業免許や行政処分歴も業者選びの判断材料になります。

不明点が解消されない場合は契約を急がず、消費生活センター、不動産取引の相談機関、弁護士などに相談してください。査定の根拠と契約条件を確認できる業者を選ぶことが、大切な資産を守ることにつながります。

この記事のまとめ

  • 価格・費用・解除条件・引渡し後の責任・決済・勧誘が主な確認項目
  • 査定後の減額や追加費用には書面による根拠確認が必要
  • 公的価格情報と複数社の査定条件を比較してから契約を判断
  • 免許・行政処分歴を確認し、不明点は契約前に公的窓口へ相談

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執筆者

アセットテクノロジー編集部

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