東京で地価の上がりそうな地域は?高騰の理由と今後の動向を解説

日本で最も地価が高い土地とされる銀座をはじめ、東京の地価は例年上昇し続けています。コロナやオリンピックの影響が収束しつつある2023年現在でも、都内全域が7年連続上昇傾向です。 初期費用の都合がつくのであれば、将来性を見越して東京で不動産投資を始めてみるのはいかがでしょうか。 この記事では、東京都内で特に値上がりが予想されるエリアを理由とともに解説します。

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直近の東京における地価の動き

不動産投資において、地価の動きは投資物件やエリアを選ぶときの重要な指標です。例えば高値といわれる土地でも、直近の数年間で下落しつつあるエリアは、投資を慎重に判断する必要があります。

東京の地価の動きを見ると、荒川区や豊島区を中心に土地ひいては居住用物件の上昇が継続しています。

投資失敗のリスクを軽減するためにも、まずは直近の東京における地価の動きを把握することが大切です。地価に大きく影響した世界的な動きとして、「リーマンショック」「新型コロナウイルス感染拡大」の二つがあげられます。

リーマンショック以降は上昇継続

アメリカの投資銀行の経営破綻を発端とするリーマンショックは日本経済にも大きな打撃を与えました。東京の地価も一時期下落したものの、リーマンショックの影響が落ち着く頃には回復傾向を見せています。

コロナ禍など経済活動に大きな影響を与えるイベントに見舞われつつも、東京の地価は継続して上昇中です。地価の上昇要因となっているのが東京五輪の開催決定に関するニュースや富裕層及び海外投資家の存在です。

東京五輪後の地価上昇を期待した投資家による購入、富裕層の相続対策、海外投資家によるマンション購入によって、より東京の地価が上昇したといえます。

コロナ禍もむしろ追い風に

新型コロナウイルス感染拡大は、緊急事態宣言を機に様々な業種へ影響を与えました。一方で、不動産投資の分野では、マイナスのみならずプラスの方向で影響が出るケースもありました。例えば、リモートワークに伴うライフスタイルの変化です。

多くの企業がリモートワークを導入した結果、子育て世代の都下や近県への居住エリアの移転が起こり、地価を左右する需要・供給へと発展しました。住居用の土地が求められる一方で、商業地はコロナ禍で一部下落傾向を見せています。

東京の地価はなぜこれからも上がりそう?

過去の動向を踏まえると、東京の地価は今後も上昇が続くことが見込まれます。地価上昇の根拠となるのは、特に人気の高い都内の3区の状況や不動産投資家からの注目度の高さです。

ここでは、それぞれの事情を解説します。

人気の都心3区の状況

東京都23区の中でも、高い人気を誇るのが千代田区、中央区、港区です。都心3区の不動産価格動向を見ると、下記のような結果が見られました。

・住宅地:6.2%上昇

・商業地:1.2%下落

・中古マンション価格:28.3%

出典:「地価公示」(国土交通省)

注目すべきポイントは、中古マンション価格が大きく上昇していることです。中古マンション価格が上昇する理由として、投資家による需要に加えて、富裕層の相続税対策があげられます。

地価が上がるのは投資対象のエリア

近年はアメリカの金利上昇に伴う円安が進み、海外投資家にとって日本の不動産を手頃な価格で購入できる状況です。一方で、国内の富裕層も相続税対策として現物資産の獲得が注目されていることから、結果的に幅広い層からの中古マンション需要が高まり、価格へと反映されました。

中古マンションは駅前など立地が良く、今後も一定の資産性が期待できる物件が多いのが特徴です。海外投資家や富裕層が購入する中古マンションも立地の良い物件が多く、人気エリアの駅周辺を中心に価格上昇を引き起こしています。

投資家や富裕層が東京の中古マンションに注目している理由は、今後の人口動向に対する期待が高いためです。国立社会保障・人口問題研究所が2018年に発表した資料では、東京都の人口は2025年から2035年の10年間で約5,800人増加すると予測されています。

出典:「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」(国立社会保障・人口問題研究所)

人口が増える分、需要も高まると注目されているのが東京都内の不動産です。先述したように、特に中古マンションは立地の優位性から高い需要が見込まれるため、不動産投資家を中心に高い人気を集めています。

東京で地価の上がりそうな地域は?

東京は大きく分けて23区と多摩地区、島しょ部(小笠原諸島など)の3つで構成されています。東京といっても、すべてのエリアで今後も地価上昇が期待できるとは限りません。東京で不動産投資をする際も、地方と同じくエリア選びが重要です。

ここでは、東京の中で特に地価上昇が期待できる地域を紹介します。

荒川区と豊島区が引き続き上昇か?

23区の中でも、不動産投資の観点から注目すべきは荒川区と豊島区です。また、文京区は子育て世代を中心に根強い人気があります。

3区の地価動向を見ると、それぞれ2023年時点の公示地価変動率は下記のとおりでした。

・荒川区:+4.71%

・豊島区:+4.67%

・文京区:+4.51%

出典:「土地代データ」(株式会社Land Price Japan)

上記の他にも、北区や中野区、目黒区など複数の区が変動率4%以上となっています。

公示地価変動率に加えて、注目したいのが各区の子育て環境です。近年は子育て環境を重視する家族層の取り込みに力を入れる区も多く、実際に高い評価を受けて転入率を上げているところもあります。

子育て環境が評価されている区の動向を見ると、上昇を継続しているのは足立区です。同じく子育て環境の整備に力を入れている江戸川区も、今後は家族単位での転入者増の波に乗ると期待できます。

多摩地区の駅近エリア

子育て世代の中には「子どもを自然豊かな地でのびのびと育てたい」と考える層も一定数います。自然環境を求めつつ、将来の通学に関する利便性も重視したい層に人気なのが都心にアクセスしやすい多摩地区です。

23区内よりも価格が手頃で、戸建てやマンションの購入が現実的な点も人気を集める理由です。子育て世代の居住ニーズを満たしていることから、都下・多摩地区も駅近物件を中心に上昇が見込まれます。

エリアで見ると、中央沿線よりも価格が安い、京王線調布駅周辺が公示価格変動率+4.38%と期待大です。他には府中、稲城あたりも選択肢に加わります。

これからは東京以外の都市部へ の投資もおすすめ

東京は将来的にも大幅な地価上昇が期待できる一方で、高騰ゆえに「外国人投資家に買われる」「国内の投資家が手を出しにくい」などの問題点もあります。特に中古マンションは立地の良さからも資産価値が落ちにくく、一般の方や不動産投資初心者には手が出しづらい物件です。

高い公示価格変動率を出している区もいくつかある以上、これから不動産投資を始める方には安易に手を出せない地域ともいえるでしょう。

「価格が上がりやすいエリアで投資したい」「売却時の収益もしっかり確保したい」と考える方は、東京以外の都市部に目を向けてみてはいかがでしょうか。特に大阪・名古屋・福岡の3都市は、東京に比べて手頃な価格の物件も多く、将来的にますます発展が期待できるエリアです。

ただし、3都市ならどこの区や市を買っても良いとは限りません。投資を始めるときは各エリアの事前調査をしっかりと行いましょう。大阪・名古屋・福岡も東京と同じく、子育てしやすい環境やアクセスの良さ、将来的な価格上昇など様々な視点から注目を集めるエリアが複数あります。

遠方で事前調査がうまくいかないときや土地勘のないエリアで不動産投資を検討している方は、専門家への相談もおすすめです。

まとめ

東京は都心3区以外にも豊島区や文京区など23区北部や東部も注目されています。しかし初期費用などコスト面も考慮すると、東京以外のエリアにも目を向けて、不動産投資を検討する必要があります。

不動産投資に初めて挑戦する方は、エリア選びで迷わないように、専門家に相談したり、セミナーに参加したりするなどして、情報収集することから始めましょう。