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アパート一棟買いは収益性が高く魅力的な不動産投資方法です。しかし、失敗のリスクも存在します。
この記事では、アパート一棟買いの8つの失敗例や成功のコツ、一棟買いの特徴、向いている人について解説します。メリットとデメリットを正しく理解し、自身の状況に合わせた投資判断ができるよう具体的なポイントを押さえていきましょう。
これから不動産投資を始めようと考えている方、すでに経験がある方も、ぜひ参考にしてください。
アパート一棟買いの魅力とは
アパート一棟買いには、以下のような利点があります。
- 区分マンションより高い家賃収入がある
- リスク分散ができる
- 土地が手に入る
- 自由な運営ができる
アパート一棟買いによって投資家が得られるメリットを紹介します。
区分マンションより高い収入額がある
アパート一棟買いは、部屋数の分だけ家賃収入が得られる可能性があるため、区分マンションで一部屋所有するよりも、高い収益を見込める利点があります。
アパート一棟買いでは入居率に応じて収入も上がるため、区分マンションより収入上限が高く、短期間で高い収益を上げることも可能です。
部屋数が多い分かかるコストはあるものの、入居者確保がうまくいけば収益性が高いのは魅力といえるでしょう。
リスク分散ができる
複数の部屋を同時に所有するアパート一棟買いでは、空室リスクを分散することが可能です。
一部屋しか所有しない区分マンション投資では空室になると家賃収入はなくなってしまいます。しかし、一棟買いの場合は空室ができてもほかの部屋に入居者がいれば家賃収入を得ることが可能です。
このように、仮に空室が何戸かあってもある一定の入居率を保てていれば、相応の収益は見込めるのも魅力といえるでしょう。
土地が手に入る
アパート一棟買いの場合は、建物だけでなく土地も手に入ることがメリットです。
土地を所有していれば、建物が老朽化して使えなくなったとしても、土地活用でほかの事業を始められ、収益化の選択肢を増やすことができます。
ひとつの不動産を長く運用したい場合、土地付き建物は最適な選択肢です。
自由な運営ができる
建物ごと所有するアパート一棟買いには、所有者の判断に従った自由な運営ができる魅力があります。
例えば区分マンションの場合、共用部分は管理できませんが、アパート一棟買いの場合は、共用部分も含めて自由に修繕やリフォームなどを行えます。
ターゲット層のニーズに合わせた設備の導入や魅力ある物件への改修など、自分の意思決定で進められるので、投資の楽しみも増えるでしょう。
アパート一棟買いは区分マンションより失敗のリスクが高い
アパート一棟買いは、区分マンションにはないメリットが多くあります。しかし、区分マンションよりも、失敗したときの損失が大きくなるリスクをもっています。
アパートを一棟買いするには、数千万から数億円の資金が必要になります。入居率の低下や、物件の維持費がかさむなどの理由で収益が上がらなければ、損失が大きくなり、負債を抱えてしまうおそれもあります。
また、災害によってアパートが被災し支出の規模が大きくなることもあります。特に注意したいのが、地震に伴う地面の液状化現象です。一度、液状化によって土地が劣化してしまうと、その地域全体の家賃相場に影響が出ることもあります。
アパート一棟買いでよくある8つの失敗
アパート一棟買いで失敗しやすいのは、次の5つのケースです。
- 中古物件で修繕費がかさんでしまった
- 間取りに魅力がなく入居者が集まらなかった
- 入居者の入れ替わりが激しく出費がかさんでしまった
- エリア需要の変化に対応できず入居者が集まらなくなった
- 災害が起きたとき大きな損失が出た
- いざというとき売却に難航した
- 融資を受けられなかった
- 住民とのトラブルが発生した
どのようなところに注意すべきか説明します。
失敗1.中古物件で修繕費がかさんでしまった
中古物件を購入する際に注意したいのが、修繕費が想定外にかかって利回りが悪化してしまうリスクです。
修繕されていない状態の中古物件は、購入後、多額の修繕費が発生する場合があります。外から見えない配管や内部が傷んでいる場合もあるので、購入価格の安さだけで即決しないことが大切です。
物件を購入する際は修繕費のことも念頭において、費用対効果を考慮しましょう。
失敗2.間取りに魅力がなく入居者が集まらなかった
間取りに魅力がない物件を購入してしまうと、失敗のリスクが上がります。
例えば、部屋の形や間取りが特殊過ぎる場合や眺望が悪い場合、トイレとバスが一体化しているタイプなど、需要の低い間取りでは入居者が他の物件に流れてしまうでしょう。
入居者を確保するためには、間取りにも付加価値が必要です。
失敗3.入居者の入れ替わりが激しく出費がかさんでしまった
入居者の入れ替わりが激しい物件では、家賃収入が安定せず投資が失敗しやすくなります。
単身者向け物件など入居者が頻繁に入れ替わる物件では、家賃収入が不安定なだけでなく、出費も増加します。主にかかる費用として、入居者募集にかかる仲介業者への報酬の支払い費用、退去にともなう清掃や修繕、鍵の交換費用などが挙げられるでしょう。
失敗4.エリア需要の変化に対応できず入居者が集まらなくなった
アパートが立地するエリアの需要が変化し、入居者が集まらなくなることも珍しくありません。
たとえば、大学が近い立地のアパートなら、ひとり暮らしの学生に合わせた間取りや設備が揃っています。ところが、大学が移転したり、募集を停止したりした場合、学生向けアパートの需要は減少してしまいます。
少子化が進む今、大学は経営を続けていくために複数のキャンパスを整理して移転したり、入学者が少ない学部の募集を停止したりしています。
大学のほか工場、商業施設などもエリアの人口構成に影響を与える要因のひとつです。
区分所有なら、さまざまなエリアの物件を所有することで需要の変化にともなうリスクを分散できます。しかし、アパートの一棟買いは、変化に対応しにくい点で不利といえます。
失敗5.災害が起きたとき大きな損失が出た
災害が起きてアパートが被災すると、大きな支出が発生します。損害保険に入っていても保険金だけでは賄えず、自己負担を強いられることも珍しくありません。
アパートの被災状況が大きかったり、地域全体が大きな被害を受けたりした場合は、入居者が一斉に退去してしまう事態も考えられます。復旧後も入居者が集まらないと、家賃を下げなければならなくなり、当初見込んでいた収益が確保できません。
一棟買いをする物件を選ぶ際は、ハザードマップで物件の災害リスクをチェックしておきましょう。一般的に、台地エリアは沖積平野エリアよりも地震リスクが低いといわれています。河川などの堆積物によって形成されている沖積平野は、地震によって液状化現象が起きやすくなります。
失敗6.いざというとき売却に難航した
物件を購入して賃貸経営を始めると、どこかのタイミングで物件を売却することを考えておく必要があります。たとえば、まとまった金額が必要になったとき、賃貸経営を続けるよりも売却したほうが利益を見込めるときなどです。
しかし、一棟買いは区分所有よりも大きな金額が動くため、売却に時間がかかる傾向にあります。また、売り手側の売却希望額が市場の相場と合わなかったり、売却したい物件そのものの需要が少なかったりといったことも時間がかかりやすい要因です。
まとまった資金が早く欲しい場合、買取業者に購入してもらうことも考える必要があります。この場合、買取価格は市場価格よりも安くなるケースが一般的です。
失敗7.融資を受けられなかった
新規に不動産投資を始める際、多くの人が銀行融資を利用することが一般的でが、不動産投資の経験が少なく、信用を築けていない新規投資家にとって、銀行融資を受けることは最初の障壁になることがあります。
特に、過去に不動産投資ローンを返済した実績がない人の場合、銀行は返済能力を判断できません。
新規投資家は、信用度が低いとみなされ、融資を受けるのが難しくなることを理解しておく必要があります。
自己資金をある程度用意しておくことや、日頃から支払いの延滞がないように気を付けることが大切です。
失敗8.住民とのトラブルが発生した
不動産投資の1棟目は、住民とのトラブル発生で失敗するケースがあります。
住民とのトラブルが発生する理由は以下のとおりです。
- 賃料の支払い遅延や未払い
- 物件の損害
- 騒音や迷惑行為
- 退去トラブル
特に多いのは家賃の滞納トラブルで、家賃の支払いが滞ると急激に収支が悪化します。
対応方法としては法的措置をとることが考えられますが、弁護士費用などが嵩むため事前に対策しておきたいところです。
家賃滞納トラブルへの対策としては、自分自身が管理しきれない部分を質の高い管理会社に依頼することや、物件選びの際に治安のよいエリアを選ぶなどが挙げられます。
物件購入前に地域の特徴を念入りに調査し、問題を抱えている住民との居住トラブルが起こりにくい地域を選ぶようにしましょう。
アパート一棟買いを成功に導く10のコツ
失敗のリスクを下げ、アパート一棟買いを成功に導くには、4つのコツがあります。
- 不動産投資の目的を明確にしておく
- キャッシュフロー計画を立てる
- 物件を自分の目で確認する
- 物件の周辺環境をチェックする
- 入居者を確保しやすい物件を見極める
- 家賃下落などのリスクが低い物件を選ぶ
- リフォームやリノベーションを前提に考える
- 実質利回りを計算しておく
- 1棟目は規模を大きくしすぎない
- 不動産会社選びは慎重に行う
不動産投資の目的を明確にしておく
不動産投資を始める際、投資目的を明確にすることで、今後の投資の指針となるため物件選びがしやすくなります。
不動産投資の目的は人それぞれ異なりますが、以下のようなものがあります。
- キャッシュフローを得る
- 資産価値の増加を見込む
- 節税対策
キャッシュフローを重視するなら、高い賃貸需要と安定した収入が見込める物件を選ぶことが大切です。
明確な目的は投資指針を定め、無駄な投資や目標からの逸脱を避けましょう。
キャッシュフロー計画を立てる
購入時の初期費用だけでなく、運営開始後までを見越したキャッシュフロー計画を立てることが重要です。
不動産投資では、家賃収入ばかりに目が行きがちですが、入居者を募集するための経費・修繕費などの支出やローンの返済額も試算し、無理のない運営ができるかどうかを確認しておきましょう。
物件を自分の目で確認する
投資対象とする物件は、必ず現地に赴き自分の目で実物を確認してください。
使いやすい間取りかをはじめ、眺望・採光・騒音・物件の状態など、実際に見てみないとわからないことは多くあります。
不動産投資で失敗しないためにも、現物を確認し納得してから決めるのがおすすめです。
物件の周辺環境をチェックする
物件自体だけでなく周辺環境のチェックも、投資を成功させるうえで欠かせません。
周辺環境を調べることで、ライバル物件の多いエリアか、立地条件が悪くないかなどの空室リスクに影響する要因の有無を確認できます。
実際に現地を確認したり、インターネットで情報収集したりして、充分にチェックしておきましょう。
入居者を確保しやすい物件を見極める
アパートの一棟買いを成功させるなら、とにかく入居者の確保しやすさを重視して選びましょう。
ほかの物件と差別化して入居者の募集を有利に進められる物件かチェックする主なポイントは以下の3つです。
- 魅力的な間取りや設備か
- 人気のある立地か
- 利便性が高いエリアか
間取りや設備が平凡な場合は、リフォームやリノベーションを行うことも視野に入れて考えるとよいでしょう。
家賃下落などのリスクが低い物件を選ぶ
不動産投資において、以下のようなリスクが考えられます。
- 空室
- 金利上昇
- 家賃滞納
- 自然災害
- 修繕
- 家賃下落 など
この中でも、注意したいのは家賃下落です。
不動産投資の収入源である家賃が当初の予定を下回ってしまうと、ローン返済や収支計画に影響を及ぼします。
家賃は一般的に、築年数が1年経過すると1%下落するとされています。また、地価が高い場所ほど家賃下落が起こりづらいのも特徴です。
物件を選定する際は、利便性の高い駅チカの物件、その地域に暮らす層に合った間取りなどを考慮し、家賃下落リスクを回避しましょう。
リフォームやリノベーションを前提に考える
新築・中古にかかわらず、物件は時間とともに劣化し、入居者が集まりにくくなります。購入計画を立てる際、リフォームやリノベーションを含めた修繕費用も含めて考えておきましょう。
経年劣化やトレンドに応じたリフォームやリノベーションを行えば、築年数を重ねた物件でも高い入居率を保つことができます。
また、最初からリフォームやリノベーションすることを念頭に置いて中古物件を選ぶ「リフォーム投資」「リノベーション投資」とよばれる投資方法もあります。これらの投資方法を行う場合、空室物件が狙い目です。空室物件を購入すれば、すぐにリフォームやリノベーションを施すことができるからです。
なお、リフォームやリノベーションをともなう賃貸経営には、ノウハウが必要になるため、リフォームやリノベーションに強い不動産会社を見つけることがポイントです。
1棟目は規模を大きくしすぎない
不動産投資の1棟目は、入居者管理やメンテナンスが容易で、初心者でも扱いやすい小規模物件を検討しましょう。
小さなアパートは、数人の入居者だけを管理すれば良いですが、大規模な物件は小さなアパートに比べて数十倍の管理が必要になります。
また、1棟目に投資金額を投入しすぎないことで、自己資金の余力がある状態で黒字化を目指せるため、2棟目に手を広げやすくなるでしょう。
不動産会社選びは慎重に行う
投資の疑問や不安を解消して成功させるためには、不動産会社のサポートが欠かせないため、不動産会社選びは慎重に行いましょう。
購入後の物件管理や予期せぬトラブルの対応、税金の相談など、初心者の不動産投資家には難問が多いと感じるでしょう。
初心者の不動産投資家は、サポート体制が整った不動産会社を選ぶことが大切です。
アパート一棟買いのメリット
ここでは、アパート一棟買いのメリットについて詳しく解説します。
マンション一棟買いよりも安くコスパが高い
アパート一棟買いはマンション一棟買いと比較して初期投資が抑えられるため、コストパフォーマンスの高さがメリットです。
調査によると、2020年7月〜9月期の不動産平均価格は一棟アパートが6,566万円、一棟マンションが1億5,824万円となっています。この価格差は建築コストや土地の広さの違いによるものです。
アパートは比較的シンプルな構造で建築されるため、マンションよりも建設費用が抑えられます。また、土地の面積も小さくて済むため、土地代も抑えられるのが特徴です。
区分所有よりも収益性が高い
アパート一棟買いのメリットは、区分所有の投資と比較して収益性が高い点です。
調査によると、2020年7月〜9月期の全国の住宅系不動産の平均利回りは一棟アパートが8.63%、区分マンションが7.8%となっています。この利回りの差は一棟買いのスケールメリットによるものです。
一棟所有では複数の部屋からの家賃収入が得られるため、総収入が大きくなります。また、建物全体の管理や修繕をまとめて行えるため、コスト面での効率化も図れます。
空室リスクを最小限に抑えられる
アパート一棟買いのメリットは、空室リスクを最小限に抑えられる点です。複数の部屋を所有すれば、一部の部屋が空室になっても他の部屋からの家賃収入でカバーできるため、収入がゼロになるリスクが低くなります。
例えば、10室のアパートで1室が空室になった場合、残りの9室からの収入を確保可能です。一方で区分所有の場合は1室しか所有していないため、部屋が空室になると収入がゼロになってしまいます。
アパート一棟買いは一棟所有者として物件全体の魅力を高める施策を講じやすいため、長期的な視点で空室率を低く抑えられます。
経営の自由度が高い
アパート一棟買いのメリットは経営の自由度が高いことです。建物全体の所有権を持てば、物件の運営方針や改修計画などを自由に決定できます。
例えば、市場のニーズに合わせて間取りの変更や設備のアップグレードを行ったり、外観のリノベーションで物件の魅力を高められます。
また、入居者の選定基準や家賃設定なども、オーナーの判断で柔軟に決められます。管理会社の選択や維持管理の方針も自由に決定できるため、コスト面での最適化も図りやすいのが魅力です。
アパート一棟買いのデメリット
ここでは、アパート一棟買いのデメリット7つを解説します。
購入費用が高い
アパート一棟買いのデメリットは購入費用の高さです。
調査によると、2020年7月〜9月期の一棟アパートの平均価格は6,566万円となっています。この金額は一般的な戸建て住宅や区分マンションと比較して非常に高額です。
購入にあたっては不動産投資ローンを利用するケースがほとんどですが、頭金として物件価格の10%〜30%程度が必要です。つまり、656万円〜1,970万円程度の自己資金が求められます。
このような高額な初期投資は多くの投資家にとって大きな障壁となります。
融資を受けるのが難しい
アパート一棟買いでは高額な購入費用が必要になるため、融資を受けるのが難しいデメリットがあります。
金融機関は一棟物件の融資審査において、厳格な基準を設けています。審査では物件の収益性や市場価値だけでなく、借り手の年収や保有資産、事業計画の妥当性など、多角的な観点から評価されます。
とくに事業としての収益性が重視されるため、綿密な収支計画書の作成が必要です。また、融資額が大きくなるため、担保設定や保証人の確保など、追加の条件が課される場合もあります。
管理の手間が増える
アパート一棟買いでは建物全体の管理責任がオーナーにあるため、管理の手間が大幅に増加します。日常的な管理業務には入居者対応、清掃、設備点検、家賃回収などが含まれ、すべてを把握し対応しなければなりません。
また、長期的な視点での建物の維持管理計画の立案や実行も必要です。例えば、外壁の塗り替えや設備の更新など、大規模な修繕工事の計画と実施もオーナーの責任となります。
さらに入居者の募集や契約管理、トラブル対応なども含め、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。
修繕費用が高くなる
アパート一棟買いでは建物全体の修繕責任がオーナーにあるため、修繕費用が高額になるデメリットがあります。一棟全体の外壁塗装や屋根の補修、共用部分の設備更新など、大規模な修繕工事が必要となった場合、費用はすべてオーナーが負担しなければなりません。
例えば、築10年程度の一棟アパートの外壁塗装を行う場合、数百万円から1,000万円以上の費用がかかる場合もあります。また、エアコンや給湯器などの設備更新も、複数の部屋分をまとめて行う必要があるため、一度に大きな出費がかかります。
空室が多いとキャッシュフローを圧迫する
アパート一棟買いでは、空室率が高くなると、キャッシュフローを大きく圧迫するデメリットがあります。一棟所有の場合、複数の部屋からの家賃収入で固定費や借入金の返済を賄う計画を立てているため、空室が増えると収支バランスが崩れやすくなります。
例えば、10室のアパートで3室が空室になった場合、収入が30%減少します。一方で、固定資産税や管理費、ローン返済などの固定費は変わらないため、キャッシュフローが急激に悪化する可能性があります。
災害リスクの分散ができない
アパート一棟買いのデメリットは、災害リスクの分散が難しい点です。アパート一棟の所有は資産をひとつの場所に集中させることを意味します。そのため、地震や台風、水害などの自然災害が発生した場合、建物全体が被害を受ける可能性があります。
例えば、大規模な地震で建物が大きな損傷を受けた場合、すべての部屋が一時的に使用不可能になり、家賃収入が完全に途絶えてしまう可能性があります。
また、災害による修繕費用も一度に大きな負担が必要です。区分所有や複数の物件に分散投資する場合と比較すると、災害リスクが集中するため投資の安全性が低下します。
出口戦略が難しい
アパート一棟買いのデメリットは出口戦略が難しい点です。一棟物件は高額なため、売却時に買い手を見つけるのが困難になる可能性があります。
一般的な個人投資家にとっては手が出しにくい価格帯であり、法人や機関投資家などに限定されがちです。そのため、売却を希望しても適切な買い手が見つからず、長期間売れ残ってしまうリスクがあります。
また、不動産市況の変動によっては、購入時の価格を下回る価格でしか売却できない可能性もあるでしょう。
アパート一棟買いに向いている人
ここでは、アパート一棟買いに向いている人について解説します。
3,000万円以上の自己資産がある人
アパート一棟買いに向いているのは、3,000万円以上の自己資産を持っている人です。3,000万円という金額は物件購入時の頭金や諸経費、さらには運転資金として必要となる額を考慮したものです。
調査によると一棟アパートの平均価格は6,566万円ですが、融資を受ける際には通常、物件価格の10〜30%程度の頭金が必要になります。つまり、約656万円から1,970万円の頭金が必要です。
また、仲介手数料や登記費用などの諸経費、さらには予期せぬ修繕や空室期間に備えた運転資金も考慮すると、3,000万円程度の自己資金が望ましいでしょう。
すでに土地を持っている人
アパート一棟買いに向いているのは、すでに土地を所有している人です。土地を持っている人が一棟アパートを建築する場合、土地代を抑えられるため、初期投資を大幅に軽減できます。
例えば、相続等で市街地の土地を所有している場合、土地にアパートを建てることで効率的な土地活用が可能です。また、土地の固定資産税対策としても有効になるほか、地域のニーズに合ったアパート経営が行いやすいというメリットもあります。
ただし、所有している土地が不動産投資に適しているかどうかの見極めは重要です。
レバレッジ効果を最大限に活かしたい人
アパート一棟買いに向いているのは、レバレッジ効果を最大限に活かしたい人です。
レバレッジ効果とは少額の自己資金で大きな投資を行い、高い収益を得る手法です。アパート一棟買いでは物件価格の70〜90%程度を融資で賄うのが一般的といえるでしょう。
ただし、高いレバレッジは高リスクを伴うため、慎重な資金計画と物件選びが必要になります。
レバレッジ効果について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
アパート一棟買い以外はどのような物件を選ぶのが良いか
アパート一棟買い以外に最適な物件は、一棟マンション、区分マンション、戸建てが挙げられます。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。
1棟マンション
マンションとは鉄筋コンクリートや鉄骨で造られた建物で、高い収益が期待できますがその分購入価格も高額となります。
アパートと比較すると、利回りは大きく違わないため、マンションやアパートという違いよりも立地や需要などの要素が大きく関係すると言えます。
前述したとおり、節税効果を求めるならアパートの方が効果が高いため、収益を求めるか節税効果を求めるかで選ぶ物件が変わってくるでしょう。
区分マンション
区分マンションは、マンションの1室のみを購入し、部屋を貸し出すという投資方法です。
利回りは1棟マンションや1棟アパートのほうが高くなるケースが多いですが、ワンルームマンションであれば1室1,000万円台の物件もあるため、不動産投資をはじめたばかりという人に向いています。
買い手が多い分、売りたいときに売りやすいという利点もありますが、リターンも少ないのが特徴です。
戸建て
戸建て住宅を購入し、入居者から家賃を得る・売却して利益を得るという方法も、個人投資家に人気があります。
中古住宅であれば数百万円あれば投資がはじめられることや、利回りが高いことから、ファミリー層の多い地域などでは空き家リスクなく運営できるでしょう。
ただし、リフォーム工事が高額になることや、物件情報を自分で入手する必要があることから、手間のかかる投資といえます。
まとめ
アパート一棟買いは高い収益性と安定した家賃収入が期待できる魅力的な不動産投資です。しかし、高額な初期投資や管理の手間、災害リスクの集中など、注意すべきデメリットも存在します。
成功させるためには、自身の資金力や経営能力を正確に把握し、物件選びや資金計画を慎重に行う必要があります。とくに3,000万円以上の自己資産がある人や、すでに土地を所有している人、レバレッジ効果を活用したい人にとっては、大きな可能性を秘めた投資方法といえるでしょう。
一棟買いを検討する際はプロの不動産投資アドバイザーに相談するなど、十分な情報収集と分析を行ってください。適切な準備と戦略を立てれば、長期的な資産形成の強力なツールとなり得るでしょう。
アセットテクノロジーでは、アパート一棟買いをしたオーナー様の管理業務をサポートいたします。1部屋月額1,000円(税別)とリーズナブルな価格となっているため、コストを抑えたいオーナー様にも最適です。
管理会社選びでお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。