福岡エリアの地価動向

筆者は仕事や旅行でたまに福岡を訪れますが、日本の主要都市の中でも福岡は空港と主要エリアが極めて短時間で結ばれており、人の流れがとても活発化してきている印象があります。さらに韓国を始め東南アジアからも比較的近く、インバウンドも多く訪れ消費も活性化しホテルの建設や再開発なども後押しし地価が上昇する要素を多く有するエリアと考えます。 福岡では中心部の再開発が進み、地価も上昇傾向にあります。全国平均や三大都市圏と比較しても地価上昇率の高い福岡エリアの地価と将来性について見てみたいと思います。 ※公示地価は1月1日現在の地価として発表されますので、前年の1~12月の動向を示しています。つまり2023年の公示地価と言った場合は、2022年1~12月の動向を示します。

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福岡県の地価動向、商業地は地価上昇率が全国一位

福岡県の地価は上昇傾向にあり、住宅地で4.2%、商業地で5.3%の上昇となりました。全国の中でも地価上昇率は高く、住宅地の地価上昇率は9年連続上昇で全国2位、商業地は8年連続上昇で全国でトップの上昇率です。新型コロナの影響はありましたが、平均では福岡県の地価上昇が続いています。地価上昇率は東京よりも高くなっています。

公示地価 福岡県の地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

福岡県

3.2%

4.2%

4.1%

5.3%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

2023年公示地価 地価上昇率ランキング

<住宅地>

順位

 都道府県

上昇率

1位

北海道

7.6%

2位

福岡

4.2%

3位

宮城

4.0%

4位

沖縄

3.6%

5位

東京

2.6%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

2023年公示地価 地価上昇率ランキング

<商業地>

順位

 都道府県

上昇率

1位

福岡

5.3%

2位

北海道

4.9%

3位

宮城

3.6%

4位

愛知

3.4%

5位

東京

3.3%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

九州エリアの中でも福岡県の地価上昇率がトップ

九州エリアの地価動向を見ると、九州7県の中で、福岡県の地価上昇率は住宅地・商業地ともにトップとなっています。住宅地・商業地ともに2位は熊本県で1.9%ですが、福岡県は大きく差を付けて地価が上昇しています。九州エリアの中でも本州にも近く、将来性も高いと言えるのではないでしょうか。

熊本県でも地価が上昇しており。これは世界的な半導体メーカーの進出なども要因と考えられます。

公示地価 九州エリアの地価動向

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

福岡

3.2

4.2

4.1

5.3

佐賀

0.9

1.2

0.3

1.6

長崎

0.1

0.6

0.4

0.8

熊本

0.9

1.9

0.8

1.9

大分

1.0

1.4

0.2

0.3

宮崎

0.2

0.1

0.8

0.7

鹿児島

1.0

0.8

1.3

1.1

<国土交通省「令和5年地価公示」>

新型コロナの影響と地価の推移

地価の推移を見て見ると住宅地では全国及び三大都市圏などは新型コロナの影響を受けて地価が下落しているのに対して、福岡県では地価上昇が続いています。

商業地では新型コロナの影響で2021年には全国及び三大都市圏などで地価上昇率が縮小しましたが、福岡県は地価上昇率は縮小したものの、全国や三大都市圏よりも地価上昇率が高く2.4%の上昇となりました。

公示地価 全国及び三大都市圏の地価変動率の推移<住宅地>

 

2019

2020

2021

2022

2023

全国

0.6%

0.8%

0.4%

0.5%

1.4%

三大都市圏

1.0%

1.1%

0.6%

0.5%

1.7%

福岡県

2.6%

3.5%

1.5%

3.2%

4.2%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

公示地価 全国及び三大都市圏の地価変動率の推移<商業地>

 

2019

2020

2021

2022

2023

全国

2.8%

3.1%

0.8%

0.4%

1.8%

三大都市圏

5.1%

5.4%

1.3%

0.7%

2.9%

福岡県

4.9%

6.7%

2.4%

4.1%

5.3%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

福岡市の地価動向

福岡県の中でも福岡市の地価上昇率は高く、住宅地では2022年の6.1%から2023年は8.0%へ、商業地は2022年の9.4%から2023年は10.6%とそれぞれ高い上昇率となり上昇率も拡大しています。

公示地価 福岡市の地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

福岡市

6.1%

8.0%

9.4%

10.6%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

福岡市の区別の地価動向は

福岡市の地価上昇率を区別に見てみると、住宅地では最も地価が上昇したのが「博多区」で12.9%、次いで「中央区」が10.4%とともに10%を超える高い上昇率となりました。住宅地で10%を超える上昇率という事は、住宅価格も10%以上上昇する可能性もあります。

商業地では「博多区」と「城南区」が11.8%とトップで、次いで「東区」11.7%、「中央区」10.8%などが続きます。福岡市の商業地は7区中、5区が10%を超える高い上昇率となりました。

福岡市の区別地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

福岡市

8.0%

10.6%

東区

7.4%

11.7%

博多区

12.9%

11.8%

中央区

10.4%

10.8%

南区

7.2%

7.3%

西区

6.4%

9.7%

城南区

6.5%

11.8%

早良区

7.6%

10.3%

<福岡県「令和5年地価公示の概要」>

福岡市でも地価が高いのは?

福岡市の住宅地で最も地価が高いのは「中央区大濠1丁目」の地点で1㎡当たり97万円となりました。以下「今泉」「薬院」「赤坂」「草香江」などいずれも中央区となり、市中心部の住宅地の地価が高い状態にある事が分かります。

全国の都道府県を見ても多くのエリアで中央区の地価は高い傾向にあります。例えば東京都中央区、大阪市中央区、札幌市中央区、そして福岡市中央区、いずれも多くの行政施設や大手民間企業が集積しています。福岡市における中央区の中でも大濠エリアは東京に置き換えると皇居周辺の千鳥ヶ淵エリアなどの高級住宅地に匹敵するエリアで、億ションが建ち並ぶエリアとしても有名です。

福岡市の地価高価格ランキング<住宅地>

順位

 

地点

地価(/㎡)

1

中央区

「大濠1-13-26」

970,000円

2

中央区

「今泉2-1-40」 

713,000円

3

中央区

「薬院4-17-20」 

690,000円

4

中央区

「赤坂2-2-11」 

674,000円

5

中央区

「草香江2-12-16」

603,000円

<福岡県「令和5年地価公示の概要」>

福岡市の商業地の地価を見てみると、最も高いのは中央区の天神1丁目の地点で1㎡当たり1,130万円となりました。次いで博多区博多駅前3丁目などが続きます。

ちなみに日本で地価が最も高いのは東京都中央区銀座4丁目の山野楽器本店の場所で1㎡当たり5,380万円となりました。

最高価格地点を比較すると、福岡では高い将来性がありながら地価は東京の約5分の1程度となっている訳です。東京などと比べて良い意味で出遅れているので、今後は地価も大きく上昇する可能性も考えられます。

福岡市の地価高価格ランキング<商業地>

順位

 

地点

地価上昇率

1

中央区

天神1丁目96番1外 

1,130万円

2

博多区

「博多駅前3-2-1」 

800万円

3

中央区

「天神2-7-6」

680万円

4

博多区

「博多駅東1-12-6」

537万円

5

博多区

「博多駅前2-8-12」

451万円

<福岡県「令和5年地価公示の概要」>

福岡市の地価上昇率ランキング

福岡市の地価上昇率を地点別に見てみると、住宅地では博多区諸岡一丁目の地点が17.8%と大きく上昇しています。博多中心部からは少し離れたエリアにありますが博多エリアへも近く「ららぽーと福岡」など大型商業施設も近い立地にあります。2位の博多区麦野も博多へアクセスしやすく、また3位の中央区赤坂は舞鶴公園に隣接し「天神」駅にも近い立地です。博多中心部の再開発が周辺の住宅地の地価の押上げの要因となっている事が分かります。

福岡市の地価上昇率ランキング<住宅地>

順位

 

地点

地価上昇率

1

博多区

「諸岡1-24-10」

17.8%

2

博多区

「麦野3-17-24」

17.3%

3

中央区

「赤坂2-2-11」

17.2%

4

博多区

「博多駅南5-1-10」

15.7%

5

中央区

「港2-2-24」

15.5%

<福岡県「令和5年地価公示の概要」>

商業地では「中央区清川2丁目」の地点で18.3%の上昇です。博多や天神にも近い那珂川(なかがわ)沿いのエリアです。2位は「博多区博多駅南3丁目」は博多駅の北側に位置しビルやマンションなどが建ち並ぶエリアです。以下「中央区荒戸・長浜・薬院」などいずれも福岡の中心エリアに位置しており、中心部の地価が大きく上昇しています。

2022年の商業地の上昇率を見ると「福岡博多5-21」が18.0%となっており、上昇率がより拡大しています。

福岡市の地価上昇率ランキング<商業地>

順位

 

地点

地価上昇率

1

中央区

「清川2-4-19」

18.3%

2

博多区

「博多駅南3-13-30」

17.8%

3

中央区

「荒戸1-5-20」

16.2%

4

中央区

「長浜1-4-13」

16.1%

5

中央区

「薬院3-3-8」

15.7%

福岡中心部で進む再開発と今後の地価動向

福岡中心部では大きな再開発が進んでいます。「都市再生緊急整備地域」にも指定されているエリアです。

天神周辺では「天神ビッグバン」が進められています。天神交差点から約500mのエリアで多くのビルが建設されるなど街が大きく変貌してきています。

博多駅周辺では「博多コネクティッド」が進行している他、湾岸エリアでは「ウォーターフロントネクスト」などのプロジェクトも進行しています。

市の中心部の商業地などはワンルームマンションなど投資用物件も多く建設されておりす。さらに福岡市中心部の地価上昇が周辺にも波及していきています。

地下鉄七隈線の延伸計画と地価動向

地下鉄七隈線は2023年3月に「天神南」から「博多」駅までの1.4kmの区間が延伸・開業しました。「博多」駅へ直通となり利便性が上昇したので利用者は開業前と比べて約6割増えているとの報道もあります。沿線の利便性も向上し住宅需要の増加も期待できるほか、博多駅周辺への人出も増加し、商業エリアの発展などにも寄与する可能性もあります。

コンパクトシティであり、再開発の進む福岡エリアの地価は今後も上昇する可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。