【地価上昇の続く地方都市】札幌・仙台・広島の地価動向

2023年の公示地価では三大都市圏の地価が昨年に引き続き上昇となりました。三大都市圏の平均地価上昇率は住宅地で1.7%、商業地で2.9%となりましたが、今回は地方圏(地方4市)の上昇率が高く、住宅地で8.6%、商業地で8.1%と三大都市圏を大きく上回る上昇率となりました。地方4市とは札幌、仙台、広島、福岡の各市です。福岡を除くこれらの市の地価動向について見てみたいと思います。 ※公示地価は1月1日現在の地価として発表されますので、前年の1~12月の動向を示しています。つまり2023年の公示地価と言った場合は、2022年1~12月の動向を示します。

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圏域別地価上昇率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

東京圏

0.6%

2.1%

0.7%

3.0%

大阪圏

0.1%

0.7%

0.0%

2.3%

名古屋圏

1.0%

2.3%

1.7%

3.4%

三大都市圏平均

0.5%

1.7%

0.7%

2.9%

地方圏(地方四市)

5.8%

8.6%

5.7%

8.1%

地方圏(その他)

0.1%

0.4%

0.5%

0.1%

地方圏平均

0.5%

1.2%

0.2%

1.0%

全国平均

0.5%

1.4%

0.4%

1.8%

地方圏(地方四市):北海道札幌市、宮城県仙台市、広島県広島市、福岡県福岡市

<国土交通省「令和5年地価公示」

札幌市(北海道)

札幌市の地価は上昇が続く

全国の都市では新型コロナの影響のあった地価が、徐々に反転の傾向が見えてきています。しかし札幌市ではいち早く地価が大きく上昇しています。四大都市の中でも札幌市は平均で地価が最も上昇しました。

新型コロナの影響もあり、札幌市の地価は2021年には住宅地で4.3%、商業地で2.9%と上昇率が縮小しました。しかし下落にはなっていませんので、地価は新型コロナの影響にも関わらず上昇が続いている訳です。

2022年には上昇率が拡大し、さらに2023年には住宅地で15.0%、商業地でも9.7%と高い上昇率となりました。

では札幌の地価動向を詳しく見てみましょう。

札幌市の地価動向

 

2020年

2021年

2022年

2023年

住宅地

7.1%

4.3%

9.3%

15.0%

商業地

10.2%

2.9%

5.8%

9.7%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」>

札幌市の区別地価変動率

札幌市の区別の地価上昇率を見ると、<住宅地>では手稲区がトップで22.1%。続いて西区が17.0%、清田区16.9%、東区16.2%、市の中心部である北区は15.7%などとなっています。すべての区で10%を超える高い上昇率となっており札幌市の住宅需要の高い事が分かります。

比較的割安感のある厚別区、白石区、手稲区、清田区などの市郊外に住宅需要が広がっており、地価の上昇につながっています。

住宅地の土地需要は当然住宅の建設用となります。商業地の土地需要と違ってそれほど大きく増減する事も少なく、今後も地価は郊外に向かって上昇する可能性があります。

<商業地>では清田区が14.5%、東区が13.0%、厚別区、西区、手稲区がそれぞれ11%台の上昇となりました。札幌市中心部の再開発や新幹線の延伸計画などで札幌駅周辺やすすきの地区などでも人流が回復し地価の上昇につながっています。

札幌市の区別地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

中央区

7.9%

13.6%

5.2%

9.6%

北区

9.7%

15.7%

5.6%

7.8%

東区

10.5%

16.2%

6.5%

13.0%

白石区

9.9%

13.6%

4.3%

6.6%

厚別区

8.1%

12.9%

7.3%

11.5%

豊平区

9.0%

12.7%

6.9%

8.3%

清田区

13.3%

16.9%

8.7%

14.5%

南区

4.8%

10.9%

4.7%

7.1%

西区

8.7%

17.0%

4.9%

11.2%

手稲区

12.7%

22.1%

7.7%

11.1%

札幌市

9.3%

15.0%

5.8%

9.7%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

札幌市 地価上昇率ランキング<住宅地>

 

上昇率

1位

手稲区

22.1%

2位

西区

17.0%

3位

清田区

16.9%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

札幌市 地価上昇率ランキング<商業地>

 

上昇率

1位

清田区

14.5%

2位

東区

13.0%

3位

厚別区

11.5%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

札幌市の地点別地価上昇率ランキング

札幌市の地価上昇ランキングを見ると、<住宅地>では札幌市郊外の「札幌市北区東茨戸 2 条 1 丁目」が26.7%、次いで同じく郊外の「札幌市西区平和 1 条 4 丁目」が25.2%、3位が旭山記念公園近くの「札幌市中央区旭ケ丘 1 丁目」で25.0%、以下上昇率が同じ25.0%の地点が3ヵ所続きます。このように札幌中心部から離れた住宅地の地価が大きく上昇しています。これまで割安感のあったエリアの地価の需要が高まっているようです。

札幌市の地価上昇率地点ランキング<住宅地>

順位

標準値の所在及び地番「住居表示」

上昇率

1位

札幌市北区東茨戸 2 条 1 丁目 54 番 74 外

「東茨戸 2 条 1-5-27」 

26.7%

2位

札幌市西区平和 1 条 4 丁目 93 番 24

「平和 1 条 4-2-10」

25.2%

3位

札幌市中央区旭ケ丘 1 丁目 1890 番 46

「旭ケ丘 1-11-20」

25.0%

3位

札幌市南区川沿 16 条 2 丁目 1876 番 1899

「川沿 16 条 2-5-18」

25.0%

3位

札幌市西区西野 5 条 6 丁目 331 番 81

「西野 5 条 6-6-12」 

25.0%

変動率が同じ地点については、小数点第 2 位以下の数値を使って順位を判定

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

<商業地>では函館本線「稲積公園」駅近くの「札幌市手稲区新発寒 4 条 5 丁目」が19.7%、札幌駅北側の「札幌市東区北 8 条東 1 丁目」が19.5%、札幌市郊外の「東屯田通」駅近くの「札幌市中央区南 21 条西 8 丁目」が16.6%など、地価上昇地点が札幌中心部を始め周辺部エリアにも拡大しています。

札幌市の地価上昇率地点ランキング<商業地>

順位

標準値の所在及び地番「住居表示」

上昇率

1位

札幌市手稲区新発寒 4 条 5 丁目 1141 番 183

「新発寒 4 条 5-13-15」

19.7%

2位

札幌市東区北 8 条東 1 丁目 2 番 3 外

「北 8 条東 1-2-1」 

19.5%

3位

札幌市中央区南 21 条西 8 丁目 623 番 8 外

「南 21 条西 8-2-16」

16.6%

4位

札幌市西区発寒 12 条 3 丁目 876 番 23

「発寒 12 条 3-9-12」

16.5%

5位

札幌市西区西野 3 条 6 丁目 151 番 39

「西野 3 条 6-9-15」 

16.5%

変動率が同じ地点については、小数点第 2 位以下の数値を使って順位を判定

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

札幌市の地価の高価格ランキング

札幌市の地価が高価格の地点を見て見ると、<住宅地>では「円山公園」駅前の「札幌市中央区南1条西26丁目 」の地点が1位で1㎡当たり70万円となりました。2位は円山公園近くの「札幌市中央区大通西28丁目」、3位はやまり「円山公園」駅に近い「札幌市中央区北 2 条西 23 丁目」となりました。札幌駅にも行きやすい「円山公園」駅周辺の住宅地の価格が大きく上昇しています。札幌市中心部へのアクセスの良さから地価も高い水準にある事が分かります。

札幌市の地価高価格順位ランキング<住宅地>

順位

標準値の所在及び地番「住居表示」

価格(円/㎡)

1位

札幌市中央区南 1 条西 26 丁目 185 番 5

「南 1 条西 26-1-8」

700,000

2位

札幌市中央区大通西 28 丁目 203 番 10

「大通西 28-2-5」

418,000

3位

札幌市中央区北 2 条西 23 丁目 249 番 24

「北 2 条西 23-2-20」

298,000

4位

札幌市中央区北 2 条西 14 丁目 1 番 1

292,000

5位

札幌市中央区南 4 条西 23 丁目 11 番 3 内

「南 4 条西 23-2-21」 

282,000

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

<商業地>では札幌駅前の「札幌市中央区北 4 条西 4 丁目」、などが1㎡当たり600万円以上で1位と2位となり、次いで「札幌市中央区北 1 条西 3 丁目」などが続いています。いずれも札幌駅周辺となり、市中心部の地価が高い水準にある事が分かります。

札幌市の地価高価格順位ランキング<商業地>

順位

標準値の所在及び地番「住居表示」

価格(円/㎡)

1位

札幌市中央区北 4 条西 4 丁目 1 番 7 外

6,050,000

2位

札幌市中央区北 4 条西 4 丁目 1 番 1 外

6,000,000

3位

札幌市中央区北 1 条西 3 丁目 3 番 22

3,120,000

4位

札幌市北区北 7 条西 4 丁目 1 番 2 外

2,700,000

5位

札幌市中央区大通西 6 丁目 6 番 1

2,440,000

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

札幌市の再開発と将来性

札幌市では札幌駅周辺を中心の多くの再開発が進んでいます。規制緩和などで再開発の促進を促す「都市再生緊急整備地域」にも指定されているエリアです。

「北海道新幹線」が2030年度の開業を目指して建設が進められています。現在「新函館北斗」駅までが2016年に開業しており、「札幌」駅までの延伸が予定されています。名古屋でもリニア中央新幹線の開業期待で大規模な再開発が進み地価が大きく上昇しましたが、札幌市でもこうした将来の期待から地価の上昇を始め経済的な発展も期待されます。

2030年の冬季札幌五輪の招致も見据えて多くのホテルも開業の予定です。外資系ホテルも次々と開業が予定されており、中央区の中島公園近くのビルには「インターコンチネンタル札幌」が2025年に開業を予定している他、札幌駅南口の2棟目のJPタワーには「マリオット・インターナショナル」が経営するホテルが2029年に開業を予定しています。

北海道ボールパークの開業

北広島市、江別市などでも地価上昇が進む

全国の地点別の地価上昇率ランキングを見ると、北海道の地点が上位を多く占めている事が分かります。中でも北広島市や江別市の地価上昇率が高くなっています。

住宅地では全国の地価上昇率でトップとなったのは北広島市の地点で地価上昇率は前年比30.0%、全然も26.0%も上昇しており地価が急速に上昇しています。

ランキングの中で「北広島市」が5地点ランクインしています。

また「江別市」がトップ10の中に2地点ランクインし、地価上昇率も29%と非常に高くなっています。

いずれも北海道ボールパークFビレッジ事業による住宅地、商業地ともに需要が拡大しており高い上昇率となっています。北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」としても有名です。今後はアミューズメント施設やホテルなどの建設も加速し、周辺の魅力も高まる可能性もあります。

江別市の地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

江別市

16.9

27.5%%

13.1%

20.8%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

住宅地の変動率上位順位表(全国)

順位

標準地番号

都道府県名

当年価格
前年価格
(円/㎡)

変動率
前年変動率

市郡区町村名

1

北広島

北海道

59,800

30.0%

-1

北広島市

46,000

26.0%

2

北広島

北海道

60,800

29.4%

-4

北広島市

47,000

23.7%

3

北広島

北海道

38,500

29.2%

-6

北広島市

29,800

21.6%

4

北広島

北海道

69,500

29.2%

-14

北広島市

53,800

19.6%

5

江別

北海道

11,100

29.1%

-2

江別市

8,600

17.8%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

全国の商業地の地価上昇率ランキングでも上位は北海度の各地が占めています。

トップは北広島市の地点で28.4%の上昇です。トップ10に北広島市が2地点、江別市が5地点ランクインしており、江別市の地価が大きく上昇している事が分かります。

商業地の変動率上位順位表(全国)

順位

標準地番号

都道府県名

当年価格
前年価格
(円/㎡)

変動率
前年変動率

市郡区町村名

1

北広島

北海道

86,000

28.4%

5-2

北広島市

67,000

19.6%

2

北広島

北海道

55,000

25.0%

5-1

北広島市

44,000

18.3%

3

恵庭

北海道

49,200

24.6%

5-4

恵庭市

39,500

16.2%

4

江別

北海道

29,800

24.2%

5-5

江別市

24,000

14.3%

5

江別

北海道

37,200

24.0%

5-6

江別市

30,000

12.4%

<札幌市「地価公示概要(札幌市地価動向)」より作成>

広島市(広島県)

広島県の地価は中国・四国地方で最も上昇

広島県は中国・四国地方の県の中でも地価の上昇率が高くなっています。

2023年の公示地価では中国・四国地方の9つの県の中でも、住宅地、商業地ともに広島県の地価上昇率が最も高くなっています。

広島県の中でも中心的な「広島市」の地価を見てみましょう。

公示地価

地価変動率の推移<中国・四国地方>

順位

住宅地

商業地

  

2022年

2023年

2022年

2023年

1位

広島県

0.2%

0.6%

0.8%

1.7%

2位

岡山県

0.3%

0.4%

0.2%

1.6%

3位

山口県

0.2%

0.4%

0.3%

0.0%

4位

香川県

0.7%

0.5%

0.8%

0.5%

5位

愛媛県

1.1%

1.0%

1.0%

0.8%

6位

高知県

0.6%

0.5%

1.0%

0.8%

7位

徳島県

0.6%

0.6%

1.0%

0.8%

8位

島根県

0.5%

0.4%

1.2%

1.0%

9位

鳥取県

0.5%

0.4%

1.7%

1.4%

順位は2023年の商業地

<国土交通省「令和5年地価公示」>

人口も多い広島市の地価動向

広島市は中国・四国地方の主要9都市の中でも最も人口の多い都市です。事業所数も多く経済的にも発展している都市と言えます。広島市の人口は約120万人で岡山県岡山市の約72万人、愛媛県松山市の約51万人などと比較しても人口の多い都市です。このため土地・不動産の需要も多く、地価も上昇傾向にあると言えます。

広島市の地価は住宅地で2022年の1.4%から2023年は1.7%に、商業地は同2.6%から3.7%にそれぞれ地価上昇率が拡大しています。

中国四国地方の主要9都市の人口の比較<国勢調査>

順位

人口

1位

広島県広島市

120万754人

2位

岡山県岡山市

72万4,691人

3位

愛媛県松山市

51万1,569人

4位

香川県高松市

41万7,496人

5位

高知県高知市

32万6,545人

6位

山口県下関市

25万1,716人

7位

徳島県徳島市

25万2,391人

8位

島根県松江市

20万3,616人

9位

鳥取県鳥取市

18万8,465人

<総務省「令和2年国勢調査」>

公示地価

広島市の地価変動率の推移

 

2022年

2023年

住宅地

1.4%

1.7%

商業地

2.6%

3.7%

<広島県「広島市の地価動向等について」>

③広島市の区別の地価上昇率

広島市の地価を区別に見てみると、<住宅地>ではすべての区で地価が上昇となっており、上昇率も拡大しています。上昇率は中区が3.3%の上昇でトップとなり、南区2.5%、西区2.3%と続いています。

<商業地>も全ての区で地価が上昇となっており地価上昇率も拡大しています。

西区が4.6%でトップとなり、中区4.4%、安佐南区4.2%と続いています。

都心3区(中区、南区、西区)や安佐南区などの地価上昇率が高くなっています。

公示地価

広島市の区別地価変動率の推移

 

住宅地

商業地

 

2022年

2023年

2022年

2023年

中区

2.7%

3.3%

2.7%

4.4%

東区

0.8%

1.1%

2.2%

2.0%

南区

2.1%

2.5%

2.6%

3.5%

西区

1.7%

2.3%

3.8%

4.6%

安佐南区

1.9%

2.0%

2.8%

4.2%

安佐北区

0.2%

0.3%

0.0%

0.5%

安芸区

0.6%

0.8%

0.9%

1.5%

佐伯区

1.3%

1.8%

2.2%

2.5%

<国土交通省「令和5年地価公示」>

地価の高い地点・地価上昇率の高い地点は?

広島市の中でも最も地価が高いのは<住宅地>では中区中町の地点で1㎡当たり153,000円、商業地では中区八丁堀の地点で同3,700,000円となりました。

地価が最も上昇したのは<住宅地>では中区西白鳥町の地点で前年比6.1%の上昇です。市の中心部や郊外の駅周辺、大型商業施設周辺など生活利便性の高いエリアで地価上昇が続いています。

<商業地>では中区三川町の地点は同9.8%と大きく上昇しています。

中区三川町は広島市の中心的商業エリアである紙屋町の交差点に近いオフィスビルやマンションなどが多く建ち並ぶエリアです。広島市の中心部の紙屋町・八丁堀エリアは中心的な商業エリアとなっています。広島県庁を始めそごう・三越などのデパートなども集積しています。八丁堀・紙屋町エリアでは再開発が進行しており、堅調なオフィス・店舗需要などから地価が上昇しています。

広島市中心部の再開発

広島市では中心部や商業エリアなどを中心に再開発が進行しています。中国・四国地方では初の「都市再生緊急整備地域」にも指定されています。

「広島」駅前には2022年に「広島JPビルディング」が開業、さらに「広島」駅の新駅ビルの建設も予定されています。高さ100メートルのビルで商業施設やホテルなどが入り2025年の開業を予定しています。

さらに2024年以降に大手ホテルチェーンが広島駅周辺に3棟のホテルを建設する計画があります。

旧広島市民球場の跡地には「SHIMINT HIROSHIMA(シミントひろしま)」が2023年に開業しました。また中央公園にはサッカースタジアムなどがある「スタジアムパーク」が2024年に開業予定です。

2023年にはG7サミットも開催された「広島」は世界的にも注目度が高まりました。

今後も広島の発展が続くのではないでしょうか。

仙台市(宮城県)

東北地方でも最も地価上昇率の高い宮城県

東北地方の6県を比較すると、住宅地、商業地ともに宮城県の地価上昇率の高さが際立っています。

<住宅地>では2023年には東北6県のうち下落2県、上昇率1%未満が3県という中で宮城県は4.0%の上昇となり、昨年に引き続き上昇となりました。

<商業地>では同下落4県、福島県が0.5%の中、宮城県は3.6%の上昇で、こちらも前年に引き続き上昇です。

このように宮城県は東北地方の中でも地価上昇率が高い事が特長です。

地価変動率の推移<東北地方>住宅地

 

2022年

2023年

青森

0.5

0.3

岩手

0.1

  0.1

宮城

  2.8

  4.0

秋田

0.7

0.1

山形

  0.1

  0.4

福島

  0.3

  0.5

<国土交通省「令和5年地価公示」>

地価変動率の推移<東北地方>商業地

 

2022年

2023年

青森

0.9

0.6

岩手

1.0

0.9

宮城

  2.2

  3.6

秋田

0.9

0.2

山形

0.5

0.1

福島

  0.0

  0.5

<国土交通省「令和5年地価公示」>

仙台市の地価動向は

宮城県の中でも仙台市の地価上昇率は高く、住宅地で2022年の4.4%から2023年は5.9%に、商業地では同4.2%から6.1%の上昇と、それぞれ上昇率も拡大しています。

また仙台市の周辺も住宅地で5.2%、商業地で3.5%の上昇となるなど、地価上昇が周辺に拡大している事が分かります。

宮城県及び仙台市の地価は全用途では11年連続で上昇となっています。

仙台市の地価動向

 

住宅地

商業地

県全体

4.0(2.8)

3.6(2.2)

仙台市

5.9(4.4)

6.1(4.2)

仙台市周辺市町村

5.2(3.6)

3.5(1.9)

その他の市町

▲0.7(▲0.9)

▲1.0(▲1.3)

<宮城県「令和5年地価公示(宮城県分)」>

仙台市の区別の地価上昇率は

仙台市の地価を区別に見ると、

<住宅地>では宮城野区が6.8%の上昇でトップとなり、次いで泉区6.6%、若林区6.0%なります。

仙台市の中心部の利便性の良好なエリアでは土地需要も堅調で、大規模開発の進む地域などでは地価の上昇が続いています。また中心部と比べて割安感のある郊外部においても住環境が良好なエリアでは住宅需要も堅調となっています。

<商業地>でも宮城野区が9.5%でトップとなり、次いで若林区7.1%、青葉区が5.6%となります。

仙台市の区別地価上昇率の推移

 

住宅地

 

商業地

 
 

2022年

2023年

2022年

2023年

仙台市

4.4

5.9

4.2

6.1

青葉区

4.3

5.0

4.2

5.6

宮城野区

4.3

6.8

4.6

9.5

若林区

4.6

6.0

4.6

7.1

太白区

4.0

5.8

4.0

4.6

泉区

5.1

6.6

2.9

3.7

<宮城県「令和5年地価公示(宮城県分)」>

地価上昇率の高いエリアは

宮城県内の地価上昇率の高い地点を見ると、<住宅地>では富谷市太子堂1丁目が13.8%とトップとなりました。仙台市に隣接する富谷市やなどの上昇率が高くなっています。

仙台市では泉ケ丘4丁目が12.7%の上昇、青葉区みやぎ台1丁目が12.4%、青葉区赤坂3丁目が12.3%などなりました。

宮城県の地価上昇率地点ランキング<住宅地>

 

標準地番号

所在地番

変動率

1

富谷-5

太子堂1丁目117番272

13.8%

「太子堂1-20-21」

2

富谷-7  

ひより台2丁目5番10

13.7%

3

富谷-1  

富ケ丘2丁目1番223

13.6%

「富ケ丘2-13-8」

4

宮城大和-2

もみじケ丘1丁目21番5

12.9%

5

富谷-3

あけの平3丁目7番6

12.7%

<宮城県「令和5年地価公示(宮城県分)」>

<商業地>では仙台駅東口近くの「仙台市宮城野区榴岡4丁目」の地点が18.8%とトップで、近くの大型商業施設が開業しています。続いて仙台駅北側の「仙台市若林区新寺1丁目」が16.4%、仙台駅東側の「仙台宮城野市二十人町300」が14.9%など、宮城県内での商業地は地価上昇率トップ10は全て仙台市となり、特に仙台駅周辺の地価が大きく上昇しています。

宮城県の地価上昇率地点ランキング<商業地>

 

標準地番号

所在地番

変動率

参考

1

仙台宮城野5-3

榴岡4丁目5番13外

18.8%

宮城野センタービル

「榴岡4-5-22」

2

仙台若林5-1

新寺1丁目2番9

16.4%

小田急仙台東口ビル

「新寺1-2-26」

3

仙台宮城野5-12

二十人町300番7

14.9%

リラ二十人町

4

仙台青葉5-19

春日町3番25

12.0%

春日ビル

「春日町3-31」

5

仙台宮城野5-11

岡田字北高屋敷30番1外

11.8%

吉野家仙台岡田店

<宮城県「令和5年地価公示(宮城県分)」>

仙台市の再開発は

仙台市の商業地についてはオフィス需要が堅調に推移しており、仙台駅周辺や東北大学農学部跡地など再開発の進行しているエリアにおいては地価の上昇が続いています。

東北大学農学部跡地には大型商業施設の建設が予定されています。

仙台都心部、青葉区一番町などのエリアは東北でも秋田、青森、岩手などから特に若年層が就職、学び等で転入しており街が活気づいています。

街が活気づくと商業施設及びその他店舗が潤い、売上増加と共に地価が上昇傾向となりやすい状況が生まれます。

仙台における再開発、企業集積、東京首都圏からのマンションでデベロッパーの参入、再開発なども含めて様々な要因によって地価が上昇傾向となっています。

筆者も取材で青葉区一番町を訪れた事がありますが、ここはまるで新宿及び渋谷かと思う程若い方で街が溢れかえり、とても活力があり、エネルギーを感じました。

今後も東北地方の経済を牽引する大都市としても発展が期待できる街と言えます。