不動産投資は地震への備えが重要!ダメージを軽減させるポイントや地震保険加入のメリット・注意点を解説

地震の多い日本で不動産投資を行ううえで避けられないのが地震による被害です。建物の損傷や倒壊が起き、修繕費用が必要になるだけではなく、不動産投資自体を断念しなければいけない状況に陥るケースも珍しくありません。 しかし、地震への対策を適切に行なっておけば、万が一のダメージを軽減できます。 この記事では、地震による不動産投資への影響、ダメージを軽減させるポイント、地震保険加入のメリット・注意点を解説しています。

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地震による不動産投資への影響

地震による不動産投資への影響は以下の通りです。

  • 壊れた物件を直すための修繕費がかかる
  • 周辺環境が変化して賃貸需要が下がる
  • 物件の損壊によって不動産投資の継続が難しくなる

ここでは、地震による不動産投資への影響について解説します。

壊れた物件を直すための修繕費がかかる

地震によって物件が損傷を受けた場合、修繕費用が大きな負担となります。壁のひび割れや床の歪みなどを修復するためには一定の費用が必要です。

さらに建物の構造に影響を与えるような大きな損傷の場合、修繕費用は数百万円から数千万円に及ぶ場合もあります。

多額の修繕費用は家賃収入だけでは補えないケースが多いため、自己資金や借入金で対応しなければなりません。また、修繕期間中は入居者に退去してもらう必要があり、その間の家賃収入も失います。

周辺環境が変化して賃貸需要が下がる

地震の発生は物件周辺の環境が変化して、賃貸需要に影響を与える場合があります。

例えば、近隣の工場や商業施設が被害を受けて営業停止になると、雇用機会が減少して地域の人口が減る可能性があります。

また、道路や公共交通機関が被災して交通の便が悪くなると、通勤・通学に支障をきたし、住みたい街としての魅力が低下する可能性が高いです。さらに地震後の余震や液状化現象への不安から、その地域を避ける傾向が生まれる場合もあるでしょう。

こうした要因によって賃貸需要が減少すると、空室率が上昇し、家賃の値下げを余儀なくされるなど、投資収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。

物件の損壊によって不動産投資の継続が難しくなる

地震による物件の損壊は不動産投資の継続を困難にする可能性があります。とくに建物が全壊したり、大規模な修繕が必要になったりした場合、投資の継続は厳しくなるでしょう。

まず、物件の再建や大規模修繕には多額の資金が必要です。もし、借入金で対応しようとしても、被災した物件を担保とした追加融資が難しくなってしまいます。

さらに入居者が退去してしまうと、ローンの返済原資となる家賃収入が途絶えてしまうでしょう。このような状況下では、物件を手放さざるを得なくなる場合もあるため、不動産投資の継続が困難になる可能性が高くなります。

地震による不動産投資へのダメージを軽減させるポイント

地震による不動産投資へのダメージを軽減させるポイントは以下の通りです。

  • 地震保険へ加入しておく
  • 新耐震基準の物件で投資を行う
  • 地震の少ないエリアを選ぶ
  • 複数の物件を所有する場合はエリアを分散する

ここでは、地震による不動産投資へのダメージを軽減させるポイントを解説します。

地震保険へ加入しておく

地震保険への加入は地震のリスクに備えるうえでもっとも重要な対策です。

地震保険は地震・噴火・津波による建物の損害を補償するもので、火災保険とセットで加入できます。保険金額は火災保険の30%から50%の範囲内で設定され、全損の場合は保険金額の100%、大半損の場合は60%、小半損の場合は30%、一部損の場合は5%が支払われる仕組みです。

地震保険に加入しておけば、地震による建物の損害をある程度カバーできるほか、修繕費用の負担を軽減できます。また、地震保険料は経費として計上できるため、税務上のメリットもあります。

ただし、地震保険だけではすべての損害をカバーできません。そのため、他の対策と組み合わせる必要があります。

新耐震基準の物件で投資を行う

新耐震基準の物件での投資は地震リスクを軽減するうえ効果的です。

新耐震基準とは、1981年6月1日以降に建築確認を受けた建物に適用される耐震基準を指します。基準を満たしている建物は、震度6強から7程度の地震でも倒壊しにくい構造です。

事実、過去の大地震では旧耐震基準の建物よりも新耐震基準の建物の方が被害が少なかったというデータがあります。例えば、2016年の熊本地震では新耐震基準の木造住宅の倒壊率が約7%だったのに対し、旧耐震基準の木造住宅の倒壊率は約28%と、4倍もの差がありました。

地震の少ないエリアを選ぶ

地震リスクを軽減するための方法として効果的なのは、地震の少ないエリアを選んで投資を行うことです。日本全体が地震のリスクを抱えているとはいえ、地震の発生頻度や規模には地域によって差があります。

東北地方や関東地方、東海地方などは地震の発生頻度が高い傾向にある一方で、中国地方や四国地方、九州地方の一部では比較的地震の発生が少ない傾向にあります。

ただし、地震の少ないエリアを選ぶ際は、その地域の不動産市場の動向や賃貸需要などもあわせて考慮しなければなりません。地震リスクだけでなく、投資としての収益性も十分に検討したうえで、バランスの取れた投資判断を行う意識が重要です。

複数の物件を所有する場合はエリアを分散する

複数の物件を所有する場合、エリアの分散は地震リスクを軽減するうえで効果的な方法です。同じ地域に集中して所有してる場合、大規模な地震が発生すると、すべての物件が同時に被害を受ける可能性があります。

一方、異なる地域に物件を分散させれば、地震発生時のリスクを分散可能です。例えば、東京、大阪、福岡など、地理的に離れた地域に物件を所有すれば、ひとつの地域で地震が発生しても他の地域の物件は無事になる可能性が高くなります。

また、エリアを分散させると、地震以外の自然災害リスクも軽減が可能です。ただし、エリアを分散させる際は、各地域の不動産市場の特性や管理の効率性なども考慮する必要があります。

不動産投資を行ううえで地震保険へ加入するメリット

不動産投資を行ううえで地震保険へ加入するメリットは以下の通りです。

  • 保険料を経費として計上可能
  • 修繕費用の負担を抑えられる

ここでは、それぞれのメリットについて解説します。

保険料を経費として計上可能

地震保険に加入する大きなメリットのひとつは、保険料を経費として計上できることです。地震保険の保険料は、支払った全額を経費として計上できます。

課税対象となる不動産所得を減らせるほか、結果として税負担の軽減が可能です。例えば、年間の地震保険料が10万円の場合、経費として計上することで10万円分の所得税や住民税を軽減できる可能性があります。

ただし、複数年分の保険料を一括で支払った場合は、その年度に支払った金額を年数で割った額を毎年経費計上しなければなりません。

不動産投資における経費の判断基準について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資における経費の判断基準は?経費になる支出とならない支出を詳しく解説!

修繕費用の負担を抑えられる

地震保険に加入すると、地震発生時の修繕費用の負担を大幅に抑えられます。

地震により建物が損傷を受けた場合、修繕には多額の費用がかかりますが、地震保険に加入していれば、損害の程度に応じて保険金を受け取れるため修繕費用に充てられます。

自己資金の持ち出しを最小限に抑えつつ、物件の修繕をはじめ、投資の継続が可能になるでしょう。

地震保険へ加入する際の注意点

地震保険へ加入する際の注意点は以下の通りです。

  • 地震による損害のすべてをカバーできない
  • 保険料の負担によって利回りが下がる

ここでは、地震保険へ加入する際の注意点を解説します。

地震による損害のすべてをカバーできない

地震保険は地震による損害に対する重要な備えですが、すべての損害をカバーできるわけではありません。まず、保険金額に上限があることを認識しておく必要があります。

地震保険の保険金額は火災保険の保険金額の30%から50%の範囲内で設定され、建物の場合は5,000万円が上限です。そのため、建物の再建築費用全額をカバーするのは難しい場合があります。

また、地震保険の補償対象は建物の主要構造部分に限られており、内装や設備の損害は補償されない場合があります。さらに地震に起因する火災や津波による損害は補償されますが、地震後の営業停止による逸失利益などの間接的な損害は補償対象外です。

これらの制限を理解したうえで、地震保険と併せて他の対策も検討する姿勢が重要です。

保険料の負担によって利回りが下がる

地震保険に加入すると、保険料の負担によって利回りが下がる可能性があります。地震保険の保険料は物件の所在地や構造、築年数などによって大きく異なりますが、とくに地震リスクの高い地域や木造建築の場合は保険料が高額になる傾向があります。

例えば、東京都内の木造アパートで火災保険金額1,000万円に対する地震保険を付けた場合、年間の保険料は数万円から10万円以上になる場合もあるでしょう。

保険料は毎年の経費となるため、家賃収入から差し引かれ、結果として利回りを押し下げる要因となります。ただし、保険料は経費として計上できるため、税負担の軽減効果もあります。

地震保険加入の判断は利回りへの影響と地震リスクへの備えのバランスを考慮しながら慎重に行いましょう。

利回りの計算方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資での理想の利回りとは?表面利回りと実質利回りについて

まとめ

地震リスクは完全に避けられるものではありませんが、適切な対策を講じれば大幅に軽減できます。まずは所有している物件や投資を検討している物件の耐震性能を確認してみましょう。

また、地震保険の加入を検討する際は物件の立地や構造、自身の投資計画などを総合的に考慮し、専門家にも相談しながらの判断をおすすめします。地震への備えは投資の安定性だけでなく、入居者の安全にも直結する重要な問題です。

ただし、地震保険へ加入したことでキャッシュフローの圧迫が懸念される場合は、コストの低い不動産管理会社を選びましょう。

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地震保険への加入とともに全体的なコスト削減をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。