目次
地方で不動産投資を行うメリット
不動産投資といえば「地価が上がりやすそうな都心」というイメージを持つ方は多いですが、地方には地方ならではのメリットがあります。
代表的なメリットは3つです。
物件価格の安さ
地方は物件価格が安く、不動産投資用のマンション・アパートなどを低価格で購入できます。都心とは比べ物にならないくらいの価格で購入できるケースもあります。不動産投資ローンで通過しにくい方や、高額物件に手を出すのが不安な方でも始めやすいことがメリットのひとつです。
また、既に不動産投資経験を積んでいて、追加で購入できる物件を探している方の選択肢にもなります。物件を安く取得できれば、その分ローン返済の負担が軽くなりやすく、家賃収入のうち自分の収益に計上できる額が大きくなります。
表面利回りの高さ
地方で不動産投資する場合、表面利回りが高くなるケースが多くあります。表面利回りとは、物件価格に対してどの程度の家賃収入が得られるかを示し、収益性をわかりやすく可視化できる指標です。
物件を安く手に入れて、相場もしくは相場を上回る家賃で貸し出すことができれば、表面利回りは上がります。その分収益性も増え、不動産投資の効果を実感しやすくなるのです。
税負担の少なさ
地方の物件は都心と比べて評価額が低く、その分固定資産税が少なくなるケースが見受けられます。全く同じ面積の物件であっても、都心の一等地に建つ高額な物件と、地方に建つ安価な物件とでは税負担が全く異なるのでチェックしておきましょう。
不動産投資を続けるためのコストを減らし、効果的に収益化しやすくなるメリットがあります。
競合物件の少なさ
地方で不動産投資を始めるメリットは、競合物件の少なさです。
東京などの都市部では、人気のあるエリアほど物件が密集しており、空室リスクを避けるために、それぞれが付加価値の提供に努めています。例えば、家賃や敷金・礼金の値下げ、最新設備の導入、室内のリノベーションなどを行い、競合物件よりも魅力ある物件作りを行っています。
同エリア・同条件であれば、何かしらの付加価値を提供しなければ、入居者の募集が容易ではなくなってしまうため、重要な対策です。
一方、地方の不動産は都市部と比較しても競合物件数が少ないため、付加価値を提供しやすいメリットがあります。大きな対策を行う必要がなく、少しの改善でも競合物件との差をつけやすいため、有利な環境で運用が可能となるでしょう。
好立地の物件を取得しやすい
地方の不動産投資には、好立地の物件を取得しやすいメリットが挙げられます。
全国各地に不動産は存在するものの、利回りや安定性を求めた投資家は、東京などの都市部で不動産投資を始めるケースが多くなっています。そのため、都市部の駅チカなどの好立地の物件はすでに所有者がいるため、取得さえ困難な状態な場合がほとんどです。
一方、地方の不動産投資を行う投資家は、都市部と比較すると少ない傾向にあります。つまり、駅チカなどの好立地の物件を取得しやすい環境にあり、空室リスクの少ない物件を購入できるチャンスがあるといえるでしょう。
ただし、地方の場合は駅チカなどの好立地の物件であっても、人口の少ないエリアや過疎化が進むエリアでは意味がありません。立地の良さとともに、投資エリアの賃貸需要を確認しておきましょう。
地方で不動産投資を行うデメリット
地方で不動産投資を始める場合、都市部とは異なるデメリットが挙げられます。
とくに把握してほしいのが賃貸需要の低さです。入居者が集まらなければ良い物件を購入できたとしても、収益性は見込めません。あらゆるデメリットを把握したうえで地方の不動産投資を始めましょう。
ここでは、地方で不動産投資を行うデメリットについて解説します。
賃貸需要が低く空室リスクが高い
地方で不動産投資を行う際に注意しなければいけないのが賃貸需要の低さです。賃貸需要が低ければ入居者を募れず、家賃収入を得られません。
地方の賃貸需要が低い理由のひとつが人口の少なさです。
一定規模の人口がいる地方都市であれば都市部と変わらない賃貸需要を期待できますが、なかには人口減少傾向の地方も存在しています。利便性の悪さから地方から都市部へ移住する方も増えており、過疎化が進んでいます。
そのような人口減少傾向にある地方では、入居希望者の母数そのものが減ってしまうため、空室リスクが高くなってしまうでしょう。
流動性が低く出口戦略を考えにくい
不動産投資を始める場合、最終的な出口戦略として売却益(キャピタルゲイン)を計画するケースがほとんどです。しかし、地方では賃貸需要だけでなく買い手が少ない傾向があるため、出口戦略を考えにくくなってしまいます。
出口戦略として売却を検討しても、買い手が見つからなければ売却益(キャピタルゲイン)を得られません。場合によっては売却額を大きく下げる必要がでてくるため、地方で不動産投資を始める場合は売却益(キャピタルゲイン)以外の出口戦略を考えておくとよいでしょう。
例えば、定年退職後に自らが住むなどの選択も、賢い出口戦略のひとつです。
近くに住んでいないと物件の管理が難しい
不動産投資は、購入後の管理業務がとても大切です。入居者の募集、清掃や修繕といった業務は空室リスクを下げるために欠かせません。
しかし、購入した物件の近くに住んでいない場合は、管理が難しくなってしまいます。管理のたびに地方へ訪れていたら、手間やコストがかかり、場合によっては本業に影響を与えかねません。
ただし、管理業務は不動産管理会社へ委託するのが一般的です。入居者の募集や建物の管理などを一括で行ってくれるため、オーナーの手間を最小限に抑えられます。
自分が住むエリアから離れた地方の物件で不動産投資を始める場合は、不動産会社選びが重要といっても過言ではありません。適切な管理によって入居率アップを実現してくれるような不動産管理会社をビジネスパートナーとして選びましょう。
地方で不動産投資をするための条件
地方で不動産投資を行うとさまざまなメリットがありますが、全てのケースにおいて最適であるとは限りません。
下記では、地方で不動産投資をするための条件について解説します。
人口が最低50万人以上はいる都市圏を狙う
不動産投資を検討する際は、最低でも人口が50万人以上の都市圏を狙いましょう。札幌・仙台・名古屋・大阪・京都・神戸・福岡などの地方都市圏や、各都道府県の県庁所在地など人口の多いエリアにするのがセオリーです。
地方とはいえ、人の少ない田舎で不動産投資すると、物件を貸せるターゲットが極端に少なくなってしまいます。その結果、空室リスクが高まり、収入が途絶える可能性があります。どんなに物件価格が安くても、その後の家賃収入が見込めないのであれば本末転倒です。
土地勘があるエリアは狙い目
自分の地元など、土地勘があり、エリアごとの空気感や住む人の特性をある程度理解できているエリアを狙う方法もあります。
人口・周辺施設・競合の家賃設定などを参考に不動産投資することもできますが、数値には現れない、その土地ならではの特徴を掴めます。
「この路線はこういうタイプの人が多い」「夜中の雰囲気はこんな感じ」などイメージができていると、投資判断に役立つ検討材料が増えるのもメリットのひとつです。
地方で不動産投資をする際におすすめのエリア
地方で不動産投資する際のおすすめエリアは、大阪・名古屋・福岡の通勤(通学)エリアです。いずれも地方を代表する大都市圏であり、ビジネスマンはもちろん学生やファミリーも増えています。
今後の再開発が期待されるエリアであれば地価が徐々に上がったり、老若男女問わずさまざまな人が流入してきたりすることも考えられます。
ただし、狙うエリアを決める際はあらかじめ地域ごとの特性・動向を調べておきましょう。大阪の不動産投資については、下記の記事で解説しています。
「大阪の不動産投資は今後どうなる?現状と今後の見込みをチェック!」
地方の不動産投資を成功させるためのコツとは
ここでは地方での不動産投資を成功させるコツを紹介します。
思わぬ落とし穴に落ちないようにするためにも、事前にチェックしておくことが大切です。
特定の賃貸需要に偏っているエリアを避ける
可能な限り、特定の賃貸需要に偏っているエリアを避けるのが理想です。例えば、近隣に大規模な大学があり在学中の学生からのニーズが大半を占めるエリアなどが挙げられます。ひとつの企業、もしくは学校がなくなることにより、賃貸ニーズが激減する可能性がある場合、リスクが高くなるので注意が必要です。
複数の企業・大学があり、さまざまなエリアから人が訪れる流動性の高いエリアであれば、不動産投資向きといえます。
駐車場がない物件を避ける
地方で暮らすには車が必要なことが多いので、駐車場つきの物件を優先しましょう。駐車場のない物件に競争力を持たせることは容易ではありません。家賃を周辺エリアでの相場以下に下げたとしても「駐車場つきでないなら、そもそも選択肢に入れない」と考える人は多くいます。
特に電車・バスの利便性が低いエリアや高速道路のインターチェンジ近いエリアでは、駐車場需要が高まる傾向にあるので配慮しておきましょう。
管理会社・管理者との関係構築に注力する
自身が投資用物件のすぐ近くに居住できない場合、管理会社および管理者との関係性を円滑にしておくことが不可欠です。常駐して頻繁に様子を見に行くことができないからこそ、頼れるビジネスパートナーを見つけて信頼関係を築いておきましょう。
こまめに目を配ってくれる管理会社・管理者であれば、円滑な運営を実現可能です。入居者同士のトラブルに即対応しつつ都度報告してくれたり、早期に空室を埋める対策を講じてくれたりします。
管理会社と良好な関係を築けていないと、問題を放置されてしまいやすく、気づいたときには口コミが悪くなっていたというケースもあるので注意が必要です。
地方で不動産投資を始める前に知っておきたい地域別の各種データ
地方での不動産投資は、家賃や管理・公益費の相場、平均専有面積などが都市部とは大きく異なります。そのため、具体的な数値を把握したうえでシミュレーションを行いましょう。
SUUMO 賃料・設備相場チェッカーによる、地域別の家賃や管理・公益費の相場、平均専有面積は以下の通りです。
地域 |
家賃相場 |
管理・公益費相場 |
平均専有面積 |
北海道(札幌駅) |
10.3万円 |
0.5万円 |
44.95㎡ |
青森県(八戸駅) |
4.6万円 |
0.2万円 |
41.50㎡ |
岩手県(盛岡駅) |
5.6万円 |
0.3万円 |
38.54㎡ |
宮城県(仙台駅) |
6.3万円 |
0.4万円 |
32.57㎡ |
秋田県(秋田駅) |
5.2万円 |
0.3万円 |
37.69㎡ |
山形県(山形駅) |
5.3万円 |
0.2万円 |
39.53㎡ |
福島県(福島駅) |
5.1万円 |
0.3万円 |
40.00㎡ |
茨城県(守谷駅) |
8.4万円 |
0.4万円 |
50.97㎡ |
栃木県(宇都宮駅) |
5.8万円 |
0.2万円 |
43.50㎡ |
群馬県(高崎駅) |
6.4万円 |
0.3万円 |
40.86㎡ |
埼玉県(大宮駅) |
9.3万円 |
0.5万円 |
40.18㎡ |
千葉県(西船橋駅) |
8.5万円 |
0.4万円 |
36.35㎡ |
東京都(新宿駅) |
17.0万円 |
0.8万円 |
34.60㎡ |
神奈川県(横浜駅) |
12.0万円 |
0.7万円 |
32.74㎡ |
新潟県(新潟駅) |
5.6万円 |
0.3万円 |
36.76㎡ |
富山県(富山駅) |
5.9万円 |
0.5万円 |
40.60㎡ |
石川県(金沢駅) |
5.4万円 |
0.4万円 |
38.87㎡ |
福井県(福井駅) |
5.5万円 |
0.4万円 |
40.13㎡ |
山梨県(甲府駅) |
5.1万円 |
0.2万円 |
38.83㎡ |
長野県(長野駅) |
5.7万円 |
0.3万円 |
39.98㎡ |
岐阜県(岐阜駅) |
5.3万円 |
0.4万円 |
43.26㎡ |
静岡県(静岡駅) |
6.4万円 |
0.3万円 |
40.51㎡ |
愛知県(名古屋駅) |
7.6万円 |
0.7万円 |
33.21㎡ |
三重県(近鉄四日市駅) |
6.0万円 |
0.5万円 |
43.48㎡ |
滋賀県(草津駅) |
6.5万円 |
0.5万円 |
40.35㎡ |
京都府(京都駅) |
6.8万円 |
0.6万円 |
26.79㎡ |
大阪府(梅田駅) |
11.6万円 |
1.0万円 |
33.79㎡ |
兵庫県(三宮駅) |
7.8万円 |
0.6万円 |
33.69㎡ |
奈良県(王寺駅) |
4.8万円 |
0.3万円 |
41.67㎡ |
和歌山県(和歌山駅) |
5.4万円 |
0.4万円 |
41.45㎡ |
鳥取県(鳥取駅) |
4.8万円 |
0.3万円 |
37.92㎡ |
島根県(松江駅) |
5.9万円 |
0.2万円 |
39.20㎡ |
岡山県(岡山駅) |
5.3万円 |
0.4万円 |
36.55㎡ |
広島県(広島駅) |
6.6万円 |
0.3万円 |
34.22㎡ |
山口県(下関駅) |
4.5万円 |
0.3万円 |
41.04㎡ |
徳島県(徳島駅) |
4.9万円 |
0.4万円 |
40.31㎡ |
香川県(高松駅) |
4.9万円 |
0.4万円 |
39.96㎡ |
愛媛県(松山市駅) |
4.6万円 |
0.4万円 |
33.58㎡ |
高知県(高知駅) |
5.0万円 |
0.2万円 |
36.42㎡ |
福岡県(博多駅) |
7.0万円 |
0.4万円 |
32.54㎡ |
佐賀県(佐賀駅) |
5.0万円 |
0.2万円 |
40.18㎡ |
長崎県(長崎駅) |
5.7万円 |
0.2万円 |
37.94㎡ |
熊本県(熊本駅) |
5.9万円 |
0.4万円 |
40.27㎡ |
大分県(大分駅) |
5.3万円 |
0.3万円 |
38.93㎡ |
宮崎県(宮崎駅) |
5.3万円 |
0.1万円 |
41.13㎡ |
鹿児島県(鹿児島中央駅) |
5.1万円 |
0.2万円 |
34.13㎡ |
沖縄県(県庁前駅) |
6.3万円 |
0.5万円 |
28.37㎡ |
家賃相場が最も高いのは東京都(新宿駅)の17万円です。次いで神奈川県(横浜駅)の12万円、大阪府(梅田駅)の11.6万円となっています。基本的に人口が集まる地域ほど家賃相場が高くなります。
一方、家賃相場が最も安いのは山口県(下関駅)の4.5万円。次いで青森県(八戸駅)と愛媛県(松山市駅)が4.6万円です。東京都(新宿駅)と山口県(下関駅)を比較すると、約3.7倍もの差が開いています。
また、平均専有面積は山口県(下関駅)が41.04㎡、東京駅(新宿駅)が34.60㎡となっており、1㎡あたりの家賃相場の価格差も顕著に表れています。
管理・公益費の相場に関しては、大阪府の1万円が1位です。管理・公益費を含めた場合は、青森県(八戸駅)が4.8万円と他のエリアと比較しても相場が低い傾向にあります。
家賃相場が安いからといって利回りが低いとは限りません。基本的に家賃相場の低い地方は、物件家価格も下がる傾向にあるため、利回りは高くなります。ただし、家賃は収入額に直結する数値となるため、都市部と同様の収入を求める場合は、複数の物件を所有するなどの対応が必要になるでしょう。
まとめ
地方で不動産投資を始めることによって、都市部よりも低価格、高い利回りを期待できるメリットがあります。さらに競合物件が少ないため、より有利な環境で運用が可能です。
しかし、地方の不動産は都市部よりも賃貸需要が下がってしまうため、ニーズのあるエリアの選定が重要です。ニーズの高い地方で優良物件を取得できれば、都市部で同等程度の規模の物件を運用する以上の収益性を期待できるでしょう。
ニーズの高い物件を取得するためにも、賃貸需要の偏っているエリアを避け、駐車場の有無、管理会社との関係構築に注力してください。物件購入前に地方ならではのリスクを考慮したシミュレーションをして、利益の見込めるエリアを選定しましょう。
また、地方で優良物件を取得しても、適切な管理をしなければ収益性は見込めません。入居率アップのためにもビジネスパートナーとなる不動産投資会社を選びましょう。