不動産広告料とは?メリットや検討時の注意事項も解説

物件の空室対策に、不動産の広告料(AD)を出すという手段があります。ですが、広告料を負担しなくても仲介は依頼できるので、広告料を付けるか付けないか悩むこともあるでしょう。そこで今回は、広告料の相場やメリット・デメリットについて解説します。キャッシュフローを悪化させずに空室対策を行うために、ぜひ参考にしてください。

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不動産広告料(Advertisement:AD)とは、不動産経営で賃貸募集にかかる広告費用のことです。空室対策をするうえで重要なので、概要をしっかり理解しておきましょう。

広告料(AD)は早期客付けの「報酬」

仲介業者にとって不動産広告料(AD)は、早期客付けの成功報酬です。一般的な入居者募集は仲介会社の業務範囲でも、早く空き室を埋めるには、より集客に力を入れてもらう必要があります。仲介手数料では賄いきれない特別な広告にかかる費用が、不動産広告料です。

基本的に、広告料(AD)の費用を負担するのは入居者の募集元である大家です。一方で、サブリース契約で管理会社が一括借り上げしている場合などには、管理会社が仲介業者に支払うこともあります。

近年は賃貸物件が供給過多の状態にあり、競争に勝つために広告料(AD)を出す不動産投資家が増えています。特に、地方では仲介業者が広告料付き物件を優先して案内する傾向があり、見逃していると空き室リスクが高くなるので注意しましょう。

広告料(AD)の表記

広告料(AD)付き物件は、賃貸募集図面(マイソク)で「AD」を付けて表示されます。家賃1ヶ月分を100%として、「AD100」は賃料の1ヶ月分、「AD200」は賃料の2ヶ月分の広告料を意味します。また、月数を入れて「AD1」「AD2」と記載するケースもあります。

仲介業者は広告料(AD)付き物件を優先的に案内しているため、AD表記で仲介業者に物件をアピールすることは大切です。一方で、意図的にAD表記を消し、不動産会社間のみで情報を共有する時もあります。

広告料(AD)と仲介手数料の違い

広告料(AD)と仲介手数料の大きな違いは、料金が発生する仕組みにあります。

大家が物件の仲介を仲介業者に依頼する時、仲介業務そのものに対して仲介手数料を支払う必要があります。一方、広告料(AD)は大家が追加で広告活動を依頼する場合に発生するものです。そのため、大家が追加で依頼をしない限りは、広告料(AD)は発生しません。

仲介手数料の上限は「賃料1ヶ月分+消費税」と宅建業法に規定されています。仲介業者は貸主・借主の両方から仲介手数料を受け取れますが、合計で上限を超えてはいけません。しかし、広告料(AD)には上限がなく、大家と仲介業者の話し合いによって、金額を決められます。

不動産の広告料(AD)の相場

広告料(AD)の相場は、物件の環境や賃貸募集をする時期によって異なります。

相場は一般的に賃料の1ヶ月分ですが、賃貸需要の高い都市部では安く、郊外では高めに設定されることが多くなっています。

また、1~3月ごろの繁忙期は広告を出さなくても集客できるため、広告料(AD)を設定しない大家は多いです。

地域差もありますが、閑散期や物件条件が不利な場合、競合が多く目立たせる必要のある物件においては2~3ヶ月分の広告料(AD)が設定されることもあります。

広告料(AD)は、国土交通省の定めによると「依頼者の依頼によって行う広告の料金に相当する額」です。大家の希望により通常の募集活動に加えて大手賃貸情報サイトへの広告掲載やコンサルティングを行う場合には、仲介手数料の他に広告料の支払いが必要です。

なお、大家が希望しない限り、仲介手数料とは別に広告料の費用を請求するのは宅建業法違反に該当します。違法に請求する仲介会社には注意しましょう。

不動産広告料(AD)を出すメリット

不動産広告料(AD)を出すメリットは、次の通りです。不動産投資家にとっては費用負担が増えるデメリットがある一方で、広告料(AD)で得られる効果が大きいことが分かります。

物件の紹介頻度が上がる

仲介業者にとって広告料(AD)付き物件は、収益アップに繋がる魅力的な物件です。広告料を出せば優先して案内してもらえるため紹介頻度が上がり、市場競争力や時期によっては集客の強みになります。

入居希望者の成約率が上がる

広告料(AD)を出すと、仲介会社が物件の紹介から成約までを熱心に働きかけてくれます。仲介手数料の値引きを広告料で補うなどの柔軟な対応で交渉の幅が広がるため、物件の成約率アップを見込めます。

賃貸経営で広告料(AD)を出す際の注意点

賃貸募集で広告料(AD)を付ければ、早期に空室を解消できる可能性が高まるなどのメリットがあるので、広告料を付けようと検討している方もいるでしょう。しかし、広告料を出すには注意しておきたいポイントもあるので、紹介します。

広告料(AD)の必要性を見極める

広告料(AD)を付けずとも、通常の募集活動は仲介業者に行ってもらえます。本当に広告料を付けなければならないのか、空室期間の損失と広告料の支出を比較し、どちらが有利となりそうかをよく見極めましょう。

広告料(AD)を出すか積極的に検討すべきは、次のケースです。

・広告料(AD)付き物件が多いエリア

・長期間内見者がいない時

・賃貸ニーズが少ない時期

賃貸需要は、閑散期や繁忙期などタイミングによって変わります。繁忙期の場合には、まず広告料なしで募集してみるのも良いでしょう。

また、広告料(AD)を使うのではなく、家賃や敷金・礼金などのの条件を見直すことで、反響率が変わることもあるので、これらもあわせて検討すべきでしょう。

広告料(ADの支払先

管理会社を通じて広告料(AD)を支払う場合は、支払先が仲介業者になっているか確認しましょう。

仲介会社は利益が多く得られる物件を優先して客付け活動を行います。なので、広告料が支払われない、あるいは管理会社との折半になっている場合には、紹介頻度や物件の成約率が下がる可能性があります。

広告料(AD)に支払う金額

不動産広告料(AD)の金額設定は、慎重に行いましょう。広告料を出して空き室を埋めても、投資分が回収できないと赤字になります。広告料の支払い額は過去の空き室実績データを考慮して、リスクを最小限に抑えられる金額で検討することが大切です。

まとめ

広告料(AD)とは、仲介業者に追加で広告活動を行ってもらうに支払う費用です。広告料(AD)を出すことで、仲介業者は優先的に客付け業務を行ってくれるので、空室期間を少しでも短くしたい、広告料(AD)を付けることは有効な対策になり得ます。

しかし、もともと賃貸需要の高い時期や駅近など有利な条件の物件には、必ずしもコストのかかる広告料(AD)の設定は必要ないかもしれません。

広告料を出したら必ず早期客付けに繋がるとも限りません。リフォームやエアコンなどの新設でも入居者が見つかる可能性があります。費用に見合った効果があるか、に客付けに有効な対策はないかを考えてみることも大切です。

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