不動産投資ローンを借り換える方法!スムーズに行うコツやタイミングも紹介

不動産投資ローンの借り換えは、正しく理解して行わないと、かえって損する場合もあります。今回は、借り換えすべきかどうかを適切に判断するために押さえておくべきメリットやデメリット、借り換えの流れについて紹介します。

この記事は約13分で読み終わります。

不動産投資ローンの借り換えとは

不動産投資ローンの借り換えとは、現在借り入れしている金融機関から他の金融機関に新たに借り換えることです。

ここでは、不動産投資の借り換えローンについて詳しく解説します。

不動産投資ローン借り換えの仕組み

不動産投資ローンの借り換えは、最初にローンを組んでいた金融機関から、別のローンを提供している金融機関に借り換えることです。

例えば、Aという金融機関で2,000万円の不動産投資ローンを組んだとします。返済が進んでローン残高が700万円まで減った場合に、この残りの700万円をBという金融機関で新たに借り入れて返済するのがローン借り入れの仕組みです。

不動産投資の借り換えが完了した時点で、金融機関Aに対して返済の義務はなくなり、そのあとは金融機関Bに対して返済を行うことになります。

金融機関Aは繰り上げ返済によって当初入る予定だった金利収入が減る一方、金融機関Bにとっては新たなローン契約によって金利収入を得られるメリットがあります。

不動産投資ローン借り換えの条件

不動産投資ローンの借り換えを行うためには、借り換えを検討している金融機関で審査を受ける必要があります。

借り換えの条件は契約する金融機関や借り換えの状況によって異なるものの、基本的には以下が審査の対象です。

  • 年齢
  • 収入
  • 勤務状態
  • 借入期間
  • 借入金額
  • 個人の信用状況
  • 物件の状況

借り換えの場合だと最初の審査をクリアしているため、ローン審査のハードルは高くないと感じるかもしれません。しかし、個人の信用状況や物件の劣化状況によっては借り換えの審査に通らない場合もあります。

不動産投資ローン借り換え先

不動産投資ローンの借り換え先として以下の金融機関が挙げられます。

  • 都市銀行
  • 地方銀行
  • 信用金庫
  • 信用組合
  • 日本政策金融公庫
  • ネット銀行

不動産投資ローンの借り換えは利用する金融機関によって特徴が異なり、審査の厳しさや相談のしやすさなども事前に把握しておく必要があります。

金利の低さだけで借り換え先を選んでしまうと、審査に通らなかったり、長期的にみると不利な条件での契約になったりするため注意しましょう。

不動産投資ローンの借り換えのタイミング

不動産投資ローンは借り換えたからといって、収支が必ずしも改善されるとは限らないため、タイミングを見極めることも大切です。

ここでは、不動産投資ローンの借り換えタイミングを紹介します。

物件を購入してから10年以内で金利差が大きい

不動産投資ローンの借り換えは、物件を購入してから10年以内で金利差が大きいタイミングがよいでしょう。

不動産投資ローンの借り換えは、金利の支払いを減らすために行うため、返済期間の残りが長ければ長いほどメリットがあります。

また、現在借り入れている金融機関と借り入れを検討している金融機関の金利差が大きいこともポイントです。物件を購入してから10年以内でも、金利差が1%を下回るようであれば、借り換えの大きな効果は期待できない可能性もあります。

金利の固定期間が終了する

現在の不動産投資ローンの金利タイプが変動金利や固定金利選択型の場合、金利の固定期間が終了するタイミングで借り換えを行うのもよいでしょう。

変動金利や固定金利選択型で指定されている期間が終了したあとは、金利が大きく上昇する可能性もあるため、期間が終わる前に借り換えが必要となります。ただし、金利の固定期間が終了したあとも金利の条件がよければ、借り換える必要はありません。

なお、全期間固定金利型の場合だと完済まで契約時の条件が適用されますが、金利が下落傾向にある場合、他の金利タイプに変更するのもよいでしょう。

キャッシュフローのマイナスが解消できない

不動産投資でキャッシュフローがマイナスになっている場合も、借り換えを検討するタイミングの一つです。

キャッシュフローのマイナスとは収支がマイナスになっていることをいい、投資を続けていると赤字が膨らむ状況になります。このような場合に、今よりも金利が低い不動産投資ローンに借り換えることで、キャッシュフローが改善される場合もあるでしょう。

不動産投資では、ローン契約時に無理のない返済計画を立てていたものの、空室で家賃収入が減少して支出が収入を上回るような場合もあります。

空室が解消されるとキャッシュフローの問題は改善されますが、自分で空室を改善できるわけではありません。不動産投資にはランニングコストもかかるため、支出を減らし、キャッシュフローを改善する必要があります。

不動産投資におけるキャッシュフローの重要性は、以下の記事でも詳しく解説しています。⇒不動産投資では「キャッシュフロー」が大事!考え方や重要性を解説

与信が変化する

収入が増加したり、転職したりなど、与信が変化する際も不動産投資ローンを借り換えるタイミングの一つといえます。

与信とはローン審査において、融資の有無や融資枠などを判断する信用情報です。

大手企業への転職や昇進によって与信が良くなる場合だと、今よりも好条件で借り換えできる可能性が高くなります。

一方、フリーランスに転職したり、退職したりする場合だと、与信が悪くなって借り換えが難しくなります。このケースだと、与信が悪くなる前に条件のいい不動産投資ローンがあれば、借り換えておくのもよいでしょう。

ローンの残債が1,000万円以上ある

不動産投資ローンの借り換えを検討する際、ローンの残債が1,000万円以上あることも判断材料の一つです。借り入れている金額が多ければ多いほど、金利が変わることによる節約効果も大きくなります。

一方、ローン残債が1,000万円未満の場合は、借り換えにどれくらいのメリットがあるか十分な検討が必要です。ローン残債が少ないと、借り換えして金利が下がったとしても、節約効果以上に手数料の負担が大きくなる場合があります。

不動産投資ローンを借り換えるメリットとデメリット

不動産投資ローンの借り換えには、以下のとおりメリットやデメリットがあります。

メリット

・金利タイプの見直しができる

・金利の交渉ができる場合もある

・信用力が高まる

デメリット

・手数料やその他費用が発生する

・返済額が増える場合がある

・借り換えできない場合がある

それぞれの内容を具体的に把握し、借り換えするかどうか判断する参考にしてください。

メリット

冒頭でもお伝えしたとおり、住宅ローンの借り換えのメリットは次の3つです。

・金利タイプの見直しができる

・金利の交渉ができる場合もある

・信用力が高まる

それぞれについて解説します。

金利タイプの見直しができる

住宅ローンを借り換えると、現在の状況から見て、より有利な金利の種類に変更することができます。

住宅ローンの金利は、種類によって金利の見直しタイミングが異なり、代表的なものは次の3つです。

金利種別

見直しのタイミング

変動金利

概ね半年ごとに金利の見直しを行う

固定金利

返済期間をとおして金利の見直しを行わない

固定期間選択型

3年、5年など金利を固定する期間を選び、固定期間が終了した時点で新たな金利が適用され再度固定期間も選び直す

通常、いったんローンを組んだら金利の種類を変更することはできませんが、借り換えによって自由に変えることが可能になります。

金利の交渉ができる場合もある

現在ローンを組んでいるのとは別の金融機関から借り換えを持ちかけられた場合、金利の交渉ができるケースもあります。

新たな金融機関は顧客を獲得するために、既存の金融機関は他行から借り換え提案を受ける信用度の高い顧客との関係を維持するため、それぞれ交渉に応じる可能性が高まるためです。

借り換えの打診があった場合は、交渉をしてみてもよいでしょう。

信用力が高まる

ローン借り換えによって返済額を減らす、または借入先を大手金融機関に変更することができれば、信用力を高めることが可能です。

信用力を高められれば、次回のローン審査に通りやすくなるなどの恩恵があります。借り換えを検討する際は、信用力を高められる借り換え先かどうかも踏まえて検討しましょう。

団体信用生命保険を見直せる

不動産投資ローンを借り換えるメリットは、団体信用生命保険の見直しを行い、今よりもいい条件で加入できるケースがあることです。

団体信用生命保険は不動産投資ローンの返済中に、契約者に万が一のことがあった場合にローン残債がゼロになる保険です。

細かな補償範囲は金融機関によって異なり、3大疾患が含まれたり、要介護状態が含まれたりするようなプランもあります。

また、団体信用生命保険の保険内容は頻繁に改善されるため、借り換えによって補償内容が充実する可能性もあります。不動産投資ローンの借り換えを検討する際には、団体信用生命保険の内容もチェックしておきましょう。

団体信用生命保険については以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

不動産投資ローンの団信(団体信用生命保険)とは?加入するメリットやデメリットを紹介

デメリット

主なローン借り換えのデメリットは、次の3つです。

・手数料やその他費用が発生

・返済額が増える場合がある

・借り換えできない場合がある

借り換えすべきかどうか悩んでいる場合、確認しておきましょう。

手数料やその他の費用が発生する

ローンの借り換えを行うと、次のような手数料が発生する可能性があります。

借り換え時に発生する費用例

費用の概要

一括繰上返済手数料

元金を返済する際にかかる費用。借入先の銀行や借入期間によって異なる。

融資手数料

融資を受ける際の事務手数料。保証の有無によって金額が異なる。

印紙代

不動産投資ローンの締結にかかる費用。借入額によって税率が定められている。

保証料

不動産投資ローンを組む際に契約する保証会社に支払う費用。支払い方法は、一括または金利に上乗せして払う方法の2種類。

抵当権設定登記費用

抵当権設定にかかる費用。司法書士などへの報酬であるため、減額交渉は困難。

住宅ローンの借り換えがお得かどうか正しく判断するには、金利や返済額の低さだけでなく、手数料額も含めて確認しましょう。

毎月の返済額が増える場合もある

ローンの借り換えを行ったばかりに、月々の返済額が増えてしまう場合もあることに注意が必要です。

借入期間は、担保となる不動産の法定耐用年数に応じて増減します。建物の場合は年数が経てば経つほど耐用年数は減少するため、借り換えのタイミングでは、短い借入期間しか設定できない場合があるのです。

借り換え時は金利だけでなく、借入期間や月々の返済額も確認しておきましょう。

借り換えができない場合もある

住宅ローンの審査が下りたからといって、借り換え時も審査が通るとは限らないことに注意しましょう。

借り換え時はローン審査もやり直しになるため、借り換え時点での信用力や資産価値、健康状態に基づいて判断されます。

初回借入の後に、

・転職した

・別のローンを組んだ

・クレジットカードの支払いが滞った

など状況が変化しているなら、借り換えできない場合があります。

不動産投資ローンの借り換えにおける注意点

不動産投資ローンの借り換えを検討する際には、失敗しないためにもいくつか注意すべきポイントもあります。

ここでは、不動産投資ローンの借り換えにおける注意点を紹介します。

手間がかかる

不動産投資ローンの借り換えは、新しい金融機関で融資を受ける必要があるため、手間がかかる点に注意しましょう。

まずは今よりも好条件の金利で借り入れできる金融機関を探し、手数料も含めてどれくらいメリットがあるかを調べる必要があります。

そのあとは融資を受けるための申請が必要となり、その際にはさまざまな書類を用意して提出しなければなりません。審査に通過したら借り入れをしている金融機関で、解約の手続きが必要となります。

このように不動産投資ローンの借り換えには時間や手間がかかり、申請したからといって審査に通過するとも限りません。時間に余裕をもって借り換えの準備を進めていく必要があるでしょう。

借り換え元の信用を損なう可能性がある

不動産投資ローンの借り換えを行うことで、借り換え元の金融機関からの信頼を損なう可能性があります。

なぜなら、借り換えを行うことによって金融機関は契約当時に見込んでいた売上を、他の金融機関に奪われる形になるためです。信頼を損ねてしまった場合、将来的にその金融機関でローンを組もうとしても融資が受けにくくなる可能性があります。

借り換えを検討する際は目先の利益だけにとらわれるのではなく、不動産投資全体でメリットがあるかどうかを判断しなければなりません。

不動産投資の拡大を行っていくなら、あえて借り換えを行うのではなく、金融機関と信頼関係を築いていくのも方法の一つです。

不動産投資ローンの借り換えの流れ

不動産投資ローンを借り換える流れは、以下のとおりです。

借り換えの基本的な流れ

1.現状を把握

2.借り換え先に相談して審査を受ける

3.既存のローンを一括返済

4.抵当権を再設定

各段階について解説します。

現状を把握する

まずは、現在の借り換え先の条件や返済額を確認しましょう。現状がわからないと、どのような条件であれば借り換えのメリットがあるのか、判断できないためです。

具体的に借り換え後の金利や借り換え時にかかる費用などを計算してみて借り換えする利点があると判断できたら、金利や融資を受ける難易度や対応するエリアを考慮しながら、借り換え先を選定しましょう。

借り換え先に相談して審査を受ける

借り換え先を決めたら、融資の相談に行き、審査を受けましょう。借り換えとはいえ、審査手続きは新規と同様です。

・売買契約書、重要事項説明書、登記簿謄本

・確定申告書など収入を証明する書類

・預金通帳など現在の資産がわかる資料

上記のような、審査に必要な書類を準備しておきましょう。

既存のローンを一括返済して解約する

借り換え先で審査が通り融資金を受け取ったら、既存のローンを一括返済し解約しましょう。

借り換え先の審査が通ったタイミングで、既存の借入先である金融機関と一括返済の日程などを相談しておくと、スムーズに進められます。抵当権抹消登記も必要ですので、ローン一括返済時に手続きできるよう、あわせて話をしておきましょう。

抵当権を設定し直す

既存の借入先に一括返済し抵当権抹消登記が完了したら、借り換え先との間で、担保となる不動産に抵当権設定登記を行います。

抵当権を設定し直すためには、既存の借入先から抵当権抹消書類を受け取っておく必要があります。事前に、いつ頃、どのような方法で受け取れるのか確認しておくのがおすすめです。

不動産投資ローンをうまく借り換えるコツ!

不動産投資ローンの借り換えを成功させるには、2つのコツがあります。

・複数の金融機関から選ぶ

・専門家に相談する

以下で解説しますので、参考にしてください。

借り換えしたあとのシミュレーションを緻密に行う

不動産投資ローンの借り換え効果を把握するためにも、事前に緻密なローンシミュレーションを行いましょう。

具体的には、新しいローンの金利や返済期間、借り換えにかかる手数料や他のコストの詳細な計算などです。

金利のわずかな差でも長期の返済計画においては大きな影響を及ぼすため、金利の低下が返済総額にどれくらい影響するか理解しておく必要があります。

また、ローンの借り入れは返済期間にも左右され、金利が低くなっても、借り入れ期間が延びると返済総額は大きくなる点にも注意しましょう。

シミュレーションを行うことによって、返済計画の最適化につながり、資金流動性の向上やキャッシュフローの改善につながります。

複数の金融機関から選ぶ

借り換え先ははじめから1ヶ所に絞らず、複数の金融機関の融資条件を比較して、最も良いものを選ぶのがポイントです。金利や融資条件のほか、担当者の対応が適切かどうかも確認すると良いでしょう。

都市銀行や地方銀行、信用金庫のほか、日本政策金融公庫も借り換え先として利用可能なので、確認してみてください。

専門家に相談する

借り換えすべきかどうか、どこで借り換えるべきかを悩んでいる場合は、専門家に相談することが、借り換え成功の秘訣です。

専門家の意見を聞くことで、余分な手間をかけずに、自分でも気づかなかったポイントに気づくことができます。

相談先は信頼できる不動産会社や不動産投資ローン借り換えに特化したサービスを利用してみるのもよいでしょう。

まとめ

この記事では、不動産投資ローンの借り換え方法やメリット、スムーズに行うコツを紹介しました。

不動産投資ローンを借り換えることで、金利の種類を有利なものに変えたり信用力を上げたりできる反面、手数料が発生するなどのデメリットもあります。事前に、借り換えが本当に効果的なのか、専門家の意見も踏まえて検討するとよいでしょう。

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