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サブリース会社がオーナーの代わりに、管理・運営などの業務を一任します。空室があっても家賃保証があるため、安定して収入を得られる仕組みなので、空室率が高く資金繰りにお悩みのオーナーにとって魅力的に感じるでしょう。
特に、賃貸管理サービスでよく比較される管理委託とは異なり、手間のかかる管理業務を全て任せられるため、メリットも多いように感じますよね。
しかし、ほとんどの方には、サブリース契約をすることはおすすめできません。
サブリース契約には、家賃保証が減額されるリスクがあるからです。最悪の場合、途中でサブリースを解約される・サブリース会社が倒産してしまうなどのリスクがあり、大きな負債を抱えてしまう可能性があります。
そこでこの記事では、サブリースの仕組みやよく比較される管理委託との仕組みの違い、サブリース契約のリスクを詳しく解説します。
本記事で分かること |
・サブリースの仕組みについて詳しく理解できる ・サブリースとよく似ている管理委託との違いが分かる ・サブリースのメリットが分かる ・サブリースのリスクについて知識を深められる ・サブリースをおすすめするケースについて理解できる ・サブリース契約する際の注意すべきことが分かる ・サブリース以外の選択肢は管理委託だと分かる |
最後まで読むことで、サブリース契約の仕組みについての知識や理解を深めたうえで、本当に今の物件でサブリース契約をすべきかどうか判断することができるはずです。
サブリースの仕組みについてよく知らないまま契約をして、後悔しないためにも、最後までじっくりと読んでくださいね。
1. サブリースとは?仕組みを詳しく図解で解説
冒頭でも説明した通り、サブリースとは、オーナーが保有している賃貸物件をサブリース会社に一括で借り上げてもらい、入居希望者に部屋を転貸する仕組みです。
もっと分かりやすく言うと、サブリース会社が入居者に賃貸物件を「又貸し」する形となります。
具体的に、どういった仕組みなのか、以下の順番で解説していきます。
サブリースの仕組み |
・サブリース契約の仕組み ・サブリース契約のお金の流れ ・サブリースの契約期間 ・サブリースの種類 |
1-1. サブリース契約の仕組み
前述の通りサブリースは、賃貸物件を所有しているオーナーがサブリース会社に丸ごと一括で借り上げてもらい、サブリース会社が入居希望者に部屋を転貸する仕組みです。
オーナー・サブリース会社・入居者の3者間で、以下の2つの契約が結ばれます。
【3者間で結ばれる2つの契約】
・オーナーとサブリース会社|賃貸借契約(マスターリース契約) ・サブリース会社と入居者|転貸借契約(サブリース契約) |
オーナーとサブリース会社の間では、賃貸借契約(マスターリース契約)を結び、サブリース会社に一括借り上げをしてもらいます。
サブリース会社に一括で借り上げしてもらうことで、以下のような管理・運営の全ての業務を行ってもらえます。
サブリース会社が行う管理・運営業務 |
・入居者の募集 ・入居者の選定、賃貸借契約 ・家賃、敷金の入金管理 ・家賃滞納の催促や回収 ・入居者からのクレーム対応 ・退去時の立会い ・物件、建物、設備の保守点検やトラブル対応 ・物件の清掃やメンテナンス など |
さらに、空室の有無に関わらず、リース料金を受け取れます。
手数料は必要になりますが、運営や管理にかかる手間を任せることができる契約の仕組みは、サブリースの大きなメリットといえるでしょう。
※上記の説明でも述べた通り、 厳密には、賃貸物件のオーナーからサブリース会社に 物件を貸すことをマスターリース契約といい、 そのサブリース会社から入居者に部屋を貸すことをサブリース契約といいます。 しかし、多くの不動産会社の場合、この一連の仕組みを「サブリース」と呼びます。 以下、本記事においても「サブリース」の定義は、 このサブリースの仕組み全体のことを示し、説明します。 |
1-2. サブリースの種類
サブリースには、「家賃保証型」と「パススルー型」の2つの種類があります。
サブリースの2つの種類 |
【家賃保証型】 空室の有無や家賃滞納などに関わらず、一定のリース料金が保証されている 【パススルー型】 入居者から回収した賃料に応じて、オーナーが受け取る収入が変動する |
どちらも管理や運営を行ってくれますが、家賃保証に関して違いがあります。
1-2-1.家賃保証型
家賃保証型は、その名の通り、一定のリース料金が保証されています。
管理の手数料を支払う必要がありますが、空室の有無や入居者の家賃滞納など家賃収入がない状況でも、サブリース会社から一定の家賃収入を得られるのが特徴です。
※一般的に、不動産会社やサブリース会社が行っている サブリースは「家賃保証型」のことを指します。 一部の不動産会社では下記の「パススルー型」のサービスも行っています。 |
1-2-2.パススルー型
パススルー型は、家賃保証がないサービスです。入居者から回収した賃料に応じて、オーナーが受け取る収入が変動します。
パススルー型では、空室や家賃滞納などのリスクが発生する可能性がありますが、サブリース会社から支払われる賃料の料率が家賃保証型よりも高く設定されています。
入居率が高いほど、高収入が期待できるでしょう。
1-3. サブリース契約のお金の流れ
次にサブリース契約のお金の流れを見てみましょう。
先ほど少し触れましたが、サブリース契約では、入居者がサブリース会社に家賃を支払います。サブリース会社は、家賃保証(リース料金)という形で「一定の金額」をオーナーへ支払います。
以下の図で収入がどのように生まれるのか、確認してみましょう。
※敷金は建物の原状回復のためサブリース会社が管理
サブリース会社とオーナーの取り分は、下記のようになっています。
サブリース会社 | ・満室時の賃料合計から「10~20%」の管理手数料を差し引いた金額 ・礼金 ・更新料 |
オーナー | ・満室時の賃料合計「80~90%」 |
オーナーは、家賃保証(リース料金)として満室時の賃料合計「80~90%」が月々定額で支払われ、それが収入となります。
想像できるように、下記の条件で具体的に見てみましょう。
【前提条件】
・オーナーの所有物件数:7部屋 ・1部屋あたりの家賃:10万円 ・満室時の合計家賃:70万円 |
この前提条件の場合、月々の満室の家賃の合計「700,000円」が丸ごと入ってきたとすると、サブリース会社の収入は70,000~140,000円。オーナーの収入は「560,000~630,000円」です。
たとえ、空室があったとしても、サブリース会社がオーナーへ支払う「560,000~630,000円」は変わりません。
しかしサブリース会社は、入居者から受け取る賃料は空室が発生すればするほど、収入が減ってしまいます。
4-3. 家賃保証の見直しがあり想定よりも収入が少なくなるでもお話ししますが、空室が多くなり過ぎると、オーナーへ支払う賃料よりもサブリース会社の取り分が低くなってしまいます。
その結果、家賃保証の見直しが行われ、想定よりも収入が減ることを覚えておきましょう。
1-4. サブリースの契約期間
サブリースの契約期間は、サブリース会社によって異なりますが、一般的には10年以上で設定されています。
2年と短い契約期間のサブリース会社もありますが、10年・20年・30年と長期契約が多いです。
新築・築年数が浅いほど長期契約になりやすい傾向があり、既存物件でも10年以上に設定しているケースが多いです。長期契約となるため、更新頻度が少なくて手間がかかりません。
ただし、こちらも4-1. 一度サブリース契約を結ぶと解約が非常に困難になるでお伝えしますが、一度契約を結ぶと解約できないというリスクがある点にも注意しましょう。
2. サブリースと管理委託の仕組みを比較
サブリースの他にも「管理委託」という賃貸管理サービスがあります。よく似た管理方法なので、仕組みを比較してみましょう。
比較項目 | サブリース | 管理委託 |
賃貸契約者 | サブリース会社と入居者 | オーナーと入居者 |
家賃保証 | あり | なし |
目安の手数料率 | 賃料の10~20% | 賃料の3~7% |
敷金・礼金・敷金 | サブリース会社が受け取る | オーナーが受け取る |
物件の管理 | サブリース会社 | 不動産会社 ※管理範囲は契約内容による |
入居者の審査 | サブリース会社 | オーナー |
2-1. サブリースは「家賃保証がある」が管理委託は「空室保証はない」
サブリースは家賃保証がありますが、管理委託の場合は家賃保証がありません。
サブリース契約の仕組みでもお話しした通り、サブリース会社は、管理料を差し引いたリース賃料を家賃保証としてオーナーに支払う契約です。
一方管理委託には、家賃保証の契約はありません。その名の通り管理委託では、賃貸物件の管理・運営の管理のみを行う契約です。
管理委託では、入居者がいない場合は、家賃収入を得ることができない可能性があります。反対に、部屋が満室になった場合は、家賃の全額を得ることが可能です。
2-2. サブリースに比べて管理委託の方が「手数料率」は安い
サブリースと管理委託のどちらの運用でも管理手数料が発生しますが、サブリースに比べて管理委託の方が「手数料率」は安いです。
目安の手数料率 | |
サブリース | 賃料の10~20% |
管理委託 | 賃料の3~7% |
管理業務を全て任せられる分、サブリースの方が手数料率は高いです。なるべく手数料を抑えたい方は、管理委託をおすすめします。
ただし、先ほども述べましたが、管理委託の場合は家賃保証がありません。空室の有無に関わらず、賃料の3~7%支払うため、空室率によって損するケースもあります。
例えば、以下のような状況だと想定してみましょう。
【前提条件】
・オーナーの所有物件数:7部屋 ・1部屋あたりの家賃:10万円 ・満室時の合計家賃:70万円 |
満室時の家賃が700,000円の場合 |
▼サブリース 手数料率:15% 手数料:700,000円×15%=105,000円 収入:595,000円 ▼管理委託 手数料率:5% 手数料:700,000円×5%=35,000円 収入:665,000円 |
上記のケースだと、満室の場合は管理委託の方が収入は多くなります。しかし、管理委託の場合、空室や家賃の滞納があると、手数料だけ差し引かれて、損する可能性があります。
下記をご覧ください。
5部屋しか埋まらなかった場合 |
▼サブリース 手数料率:15% 手数料:700,000円×15%=105,000円 収入:595,000円 ▼管理委託 手数料率:5% 手数料:500,000円×5%=25,000円 収入:475,000円 |
この5室しか埋まらなかった場合だと、2部屋空室になっただけでサブリースよりも損をしてしまいます。
管理委託の場合は、少しでも空室が増えるだけで、収入が安定しません。
サブリースでは、管理手数料を多く支払う必要がありますが、空室が気になる物件に関して、サブリースの方が安定して収入を得られる可能性があるでしょう。
2-3. 「敷金・礼金・更新料」を受け取れるのは管理委託のみ
敷金や礼金、更新料を受け取ることができるのは、管理委託の場合です。
管理委託では、入居者とオーナーが直接、賃貸借契約を結びます。
そのため、入居者から不動産会社に振り込まれた敷金や礼金、更新料がそのままオーナーへ振り込まれ、オーナーの収入となります。
一方サブリースの場合は、礼金や更新料は、サブリース会社の取り分(収入)です。敷金は、退去時に原状回復や家賃の生産をするため、サブリース会社が管理するという形になります。
サブリース契約を行うと、敷金・礼金の収入が発生しないため、運用開始時の収益は少ないことを見越しておきましょう。
2-4. サブリースは「管理範囲は全て」に対し管理委託は不動産会社による
サブリースと管理委託では、管理範囲に違いがあります。
それぞれの管理範囲の違いを分かりやすくまとめてみました。以下をご覧ください。
比較項目 | サブリース | 管理委託 (一括管理の場合) |
入居者の募集 | 〇 | 〇 |
転賃貸借契約 | 〇 | × |
家賃の入金管理 | 〇 | × |
家賃滞納の催促・回収 | 〇 | 〇 |
入居中の対応 | 〇 | 〇 |
退去時の業務 | 〇 | 〇 |
物件・設備の保守点検 | 〇 | 〇 |
物件のトラブル対応 | 〇 | 〇 |
清掃・メンテナンス | 〇 | 〇 |
※部分委託では、一括管理でしてもらえる管理の一部のみ依頼できる
※一括管理でも不動産会社によって業務委託できる範囲が異なる
サブリースでは、ほぼ全ての管理を行ってくれるのが特長です。
入居者の募集から退去時の業務までの対応をすべて行ってくれます。また、賃貸物件の保守点検やメンテナンスなど建物に関する業務もほぼ全てを担当してくれます。
一方管理委託では、不動産会社によって異なり、以下の2種類があります。
管理委託の種類 |
【一括管理】 「入居者に関する業務」、「建物に関する業務」を一括で行ってくれる 【部分委託】 一括管理でしてもらえる管理の一部のみ依頼できる |
一括管理では、入居者の賃貸借契約以外、多くの業務を行ってくれます。部分管理では、その名の通り一部の管理依頼のみです。(※管理会社によって異なります)
ただし、一括管理だとしても不動産会社によって、管理できる範囲が違うため、サブリースに比べて管理の手間がかかる可能性があるでしょう。
上記の表を見て分かるように「不動産投資は副業」など、自分で管理業務を行うのが難しい場合は、サブリースの方がより手間を削減でき運用できるでしょう。
2-5. 「入居者の選定」を行ってくれるのはサブリース会社のみ
入居者の選定を行ってくれるのは、管理会社は行ってくれず、サブリース会社のみ行ってもらえます。
管理委託では、先ほどご説明した賃貸物件の管理業務のみです。入居者の募集をかけてもらうことはできますが、入居者の選定は行ってくれません。
一方サブリースでは、下記のような入居者の選定も行ってもらえます。
【入居者のチェック項目】
・職業 ・年齢 ・家族構成 ・収入の安定度(家賃の年額が約25%以内かどうかなど) ・入居期間 ・人柄 |
自分で管理業務ができないなど、大変な入居者の選定業務をお任せしたい人は、サブリースの方が、手間が削減できるでしょう。
ただし、自分で入居者を選定できない点は、デメリットでもあります。入居者の人柄や人間性が分からず、トラブルが発生してしまう可能性はないとは言い切れません。
4-6. 入居者を選定できずトラブルが発生する可能性があるでもご説明しますが、リスクがあることも知っておきましょう。
3. サブリースのメリット3つ
サブリースの仕組みや管理委託との違いから、サブリースでは、以下のようなメリットが見えてきます。
サブリースの3つのメリット |
・管理・運営業務の手間がかからない ・家賃保証で空室・滞納リスクを回避できる ・確定申告の手間が少ない |
サブリースについて検討するために、まずはメリットについて確認してみましょう。
3-1. 管理・運営業務の手間がかからない
サブリースでは、賃貸物件に関する管理・運営業務の手間がかからないところが最大のメリットです。
賃貸物件の管理や運営には、以下のような業務を行わなければなりません。
【賃貸物件の管理・運営で行うこと】
・入居者の募集 ・入居者の選定、賃貸借契約 ・家賃、敷金、礼金の入金管理 ・家賃滞納の催促や回収 ・入居者からのクレーム対応 ・退去時の立会い ・物件、建物、設備の保守点検やトラブル対応 ・物件の清掃やメンテナンス など |
サブリース契約を行うことで、上記の入居者のクレーム対応や物件のメンテナンス、トラブル対応など面倒な業務のほとんどすべてを任せられます。
特に、不動産投資とは別に本業があり、副業として不動産投資を行っている人にとって、大きなメリットといえるでしょう。
3-2. 家賃保証で空室・滞納リスクを回避できる
サブリースでは、空室・滞納リスクを回避できる家賃保証のメリットもあります。
通常、不動産投資では、空室が発生すると当然のことながら収入は得られず、家賃の滞納があった場合も、収入を得ることができません。
空室率の高さは、多くのオーナーが頭を悩ませるポイントですよね。
先ほども述べた通り、サブリースでは、サブリース会社から一定のリース料金が支払われます。空室率や滞納のリスクに関わらず、一定の賃料を確保できるでしょう。
3-3. 確定申告の手間が少ない
サブリースでは、確定申告の手間が少ない点もメリットの1つです。
通常の不動産投資であれば、入居者ごとに賃貸借契約を行います。そのため確定申告の際に、入居者ごとに賃料や経費を申告しなければならず、手間がかかります。
【確定申告の項目】
・家賃収入 ・礼金・更新料 ・入居者募集のための広告宣伝費 ・原状回復や維持費にかかる修繕費 など |
しかし、サブリースでは、オーナーにとっての契約者はサブリース会社のみとなり、確定申告の際の手間を少なくすることができます。
サブリースのメリットについてもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
サブリースのメリット5つ!デメリットも踏まえて実際の問題を紹介
4. サブリースはやばい?必ず知っておきたいリスク6つ
ここまでのご説明で、サブリースには、家賃保証があったり、管理・運営業務の手間が減ったりするメリットがあり、一見するとオーナーにとって有利な仕組みに感じた方も多いでしょう。
しかしサブリースの実情は、オーナーにとってリスクが高い契約です。
リスクが起こる大きな理由は、サブリース会社は入居者と同じ「借主」という立場になるため「借地借家法」にて法的に保護されているからです。
法的に保護されているため、オーナーに不利になってしまい、収益を得られるどころか、トラブルや多額の負債を抱えてしまうケースも少なくありません。
悪い面を知らずに契約をして後悔しないためにも、必ず、以下の6つのリスクを知っておきましょう。
サブリースの6つのリスク |
・一度サブリース契約を結ぶと解約が非常に困難になる ・途中解約や倒産により収入が無くなる ・家賃保証の見直しがあり想定よりも収入が少なくなる ・退去者が出るたびに免責期間が発生し収入がなくなる ・修繕費や工事費など想定外の費用が発生する ・入居者を選定できずトラブルが発生する可能性がある |
4-1. 一度サブリース契約を結ぶと解約が非常に困難になる
一度サブリース契約を結ぶと、オーナー側から解約をすることが非常に困難になるリスクがあります。
なぜなら、サブリース会社は「借地借家法」という法律で保護されており、契約上、入居者と同じ「借主」という立場にいるからです。
借地借家法では、オーナー側から賃貸借契約を解約することができません。たとえ、契約期間満了を迎えて解約したい旨を伝えたとしても、法的に保護されているため、サブリース会社が契約更新を希望している際には解約することができないのが現状です。
参考:e-eov『借地借家法』第二十八条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件
契約を解約するためには、正当な事由(理由)が必要です。そのため、下記のような理由は、オーナーの事情を優先したものとみなされ、解約できない可能性が高いです。
・オーナーが物件を売却しやすくしたい ・物件の利回りを向上させたい ・より高く売却したい |
サブリース契約を結ぶと、解約したくてもできないリスクがあることを必ず知っておきましょう。
4-2. 途中解約や倒産により収入がなくなる
サブリースでは、途中解約、倒産などが起こる可能性があり、それに伴って収入がなくなってしまうリスクもあります。
なぜなら、サブリース会社の経営が悪化・破綻する可能性が考えられるからです。
サブリースには、家賃保証のサービスがあります。賃貸物件の空室期間が長引いてしまうと、サブリース会社の取り分が無くなり、以下のように赤字になってしまいます。
「借地借家法」によって保護されていることで、反対にサブリース会社からの途中解約の申し出を、オーナーは断ることができません。
契約に「10年間途中解約はしない」旨を記していたとしても、借地借家法第30条では、借主に不利な特約は無効とすると定められているため、サブリース会社側からの中途解約が認められてしまうのです。
たとえ「30年間家賃保証」や「30年一括借り上げ」などと謳っていたとしても、いつまでも契約が保証されるわけではなく、途中解約や倒産が起こるリスクがあることを、必ず覚えておきましょう。
4-3. 家賃保証の見直しがあり想定よりも収入が少なくなる
サブリースには、家賃保証の見直しがあり、想定よりも収入が少なくなってしまうリスクがあります。
なぜならサブリース会社は入居者と同じ「借主」の立場なので、家賃減額の交渉ができるからです。
通常の入居者も物件が古くなったり、家賃相場が下がったりする場合、家賃値下げの交渉をすることがありますよね。それと同じように、サブリース会社も家賃減額の交渉や請求を行えるのです。
例えば、契約期間内に「空室が増えて収益が減ったので、家賃保証を減額する」と言われて家賃保証が減額されたとしましょう。
【家賃保証の金額の変化】
▼サブリース契約当初の家賃保証 ・家賃保証:15万円 ▼サブリース契約から2年後 ・家賃保証:10万円 ・収益:-5万円減少 |
このようなことが起こると、ローン返済の計画が狂ってしまう可能性も考えられます。
「30年間家賃保証」の謳い文句で契約したとしても、蓋を開けてみれば「契約後2年で家賃見直しがあり、想定よりも収入が少なくなった」という可能性があることを知っておきましょう。
4-4. 退去者が出るたびに免責期間が発生し収入がなくなる
退去者が出るたびに免責期間が発生し収入がなくなるリスクがあります。
多くのサブリース契約には、契約内容に「入居者退去時1ヶ月~3ヶ月間、免責期間が発生する」旨が記されているからです。
例えば、以下のように、3ヶ月間の免責期間だとすると、2月から4月の間は、家賃保証が支払われません。
【3ヶ月間の免責期間の場合】
入居者が退去して次の入居者がすぐに決まった場合、収入が入ってくると安心できるかと思います。しかし以下のように、免責期間が発生しているため、1~3ヶ月間、家賃が支払われないのです。
【免責期間の途中で入居者が現れた場合】
特に、入れ替わりが多い物件では、退去者が出るたびに、収入がなくなる可能性が高いでしょう。上記の例だと「6ヶ月間」収入がない状態です。
契約上は空室リスクがないように思えますが、実際は一定期間の収入がなくなるリスクが発生することを理解しておきましょう。
4-5. 修繕費や工事費など想定外の費用が発生する
修繕費や工事費など想定外の費用が発生する可能性もあります。
物件の修繕や工事の費用は持ち主であるオーナーが支払うのに対して、修繕・工事の業者依頼などを実行するのはサブリース会社だからです。
その結果、以下のようなトラブルが発生するリスクがあるのです。
修繕費・工事費に関するトラブル |
・不要な箇所の工事・修繕費の負担 ・相場よりも高い工事費用の請求 ・修繕・工事の企業をサブリース会社が勝手に決めて発注 |
サブリース会社は管理や運営を行っていますが、入居者と同じ立場になるため、オーナーに部屋の修繕や原状回復の請求を行えます。月々支払っている手数料や敷金で、修繕や工事にかかる費用の全てを担ってくれるわけではありません。
実際に、国土交通省による『賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査』によると「退去時の原状回復に関し、支払う必要がないと考えられる費用の負担を求められる」経験をしている方は約38%となっており、決して無視できない数字ではありません。
管理手数料や敷金を支払っているのだから「修繕工事に必要な費用を負担してくれる」と考えずに、想定外の費用が発生する可能性があることも覚えておきましょう。
4-6. 入居者を選定できずトラブルが起きる可能性がある
サブリース契約では、入居者を選ぶことができず、トラブルが起きる可能性があります。
入居者の選定はサブリース会社が行うため、オーナーの希望に沿って募集をかけられないからです。
そのため、以下のようなトラブルが発生するリスクが考えられます。
入居者を選定できないリスク |
・喫煙によるヤニ・ペットなどにより、追加のリフォーム費用が発生 ・楽器演奏や大音量のテレビ、学生が昼夜問わず騒ぐなどの騒音トラブル ・ゴミ処理のルールが守れていないなどの入居者同士のトラブル |
例えばオーナーが、物件の維持管理や火災リスクの軽減などの理由で「完全禁煙のマンションにしたい」と思っていても、サブリース会社が喫煙者も入居可にしてしまうと、オーナーは拒否できません。
入居者の選定や契約を任せられて管理が楽になる反面、さまざまなトラブルが発生してしまうリスクもある点に注意しましょう。
もう少し、どんなトラブルが起こるのか詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
サブリースで起こるトラブル5つ|よくある事例と回避策を徹底解説
5. サブリースをおすすめするケースは「自分で管理業務ができない」場合のみ
ここまでご説明してきた通り、一見サブリースの仕組みは良さそうに思えるものの、オーナーにとって不利になるケースが多く、リスクを伴いやすい方法です。
このことから、基本的にはサブリースはおすすめできません。
おすすめできるケースは、オーナーが「自分で管理業務ができない・する余裕がない」場合のみであるといえます。
具体的にいうと、以下のような方は、サブリース契約が選択肢の1つとなります。
サブリース契約を検討する人 |
・不動産投資の他に本業を行っている人 ・不動産投資の初心者で全くノウハウがなく、管理業務が難しい人 |
優秀なサブリース会社と契約をすることができれば、全ての管理業務を任せられるほか、一時的に安定した収入を得られる可能性があるでしょう。
ただし前章で解説した通り、サブリースには、途中解約や倒産により、急に自分で管理しなければならないリスクや、収入が入らなくなるなど大きなリスクがあることを忘れてはいけません。
一度契約すると自分から解約することは難しいです。サブリース会社からの提案や契約が適切かどうか見極められるように、知識を付けておきましょう。
6. サブリースを契約する前に注意したいポイント2つ
ここでは、サブリースを契約する前に注意したいポイントを2つ解説します。
サブリースを契約する前に注意したい2つのポイント |
・契約内容が本当に履行されるのか、マイナス面はないのか確認する ・サブリース会社の財務状況が悪くないか確認する |
サブリースは、契約内容に関わらず家賃保証の見直しがあり想定よりも収入が少なくなったり、一度契約してしまうと解約が困難であったりなどリスクが伴います。
法的な問題上、避けて通れないこともありますが、事前に知っておくことで、できるだけリスクを避けることができるでしょう。
早速解説します。
6-1. 契約内容が本当に履行されるのか、マイナス面はないのか確認する
契約内容が本当に履行されるのか、オーナーにとって、マイナス面はないのか確認しておきましょう。
具体的には、以下の項目について、納得のいくまで話し合いをして確認することをおすすめします。
契約内容で特に注意して確認したい項目 | |
解約 | ・解約の条件 ・中途解約の条件 ・違約金、立退料の金額 |
保証賃料 | ・保証賃料の金額(一般的に80~90%が多い) ・賃料の見直しの時期 ・賃料値下げ目安 ・賃料値下げに対する下限額の有無 |
免責期間 | ・入居者、退去者の免責期間日数(一般的に1~2ヶ月が多い) |
修繕・工事 | ・補修費、修繕費、管理費の負担区分 ・修繕費、工事費などの費用目安 ・大規模修繕の目安周期 |
特に、借地借家法の関係上、解約が難しくなることや免責期間があることなど、避けて通れない問題について事前に確認してください。
事前に確認することで、資金のやりくりやローン返済の見積もりを立てて備えられ、リスクをなるべく避けられます。
6-2. サブリース会社の財務状況が悪くないか確認する
サブリース会社の財務状況が悪くないかどうか確認しておきましょう。
財務状況が悪いと、途中解約や倒産などのリスクが高まるからです。
極端なケースでいうと、悪質なサブリース会社では、すでに経営が破綻している状況にも関わらず、一時の資金を得るために、新たにサブリース契約を締結しようとする可能性もあります。
このまま契約してしまい、サブリース会社が倒産してしまうと、収益化できずに物件のローン返済だけ残ってしまいます。最悪、自己破産しなければならないなどのトラブルが発生してしまう可能性も考えられるのです。
「契約内容に問題なさそう」、「担当者が誠実に対応してくれた」としても、財務状況が悪くないかどうか、必ず確認しておきましょう。
財務状況を確かめる方法 |
◆上場企業の場合 上場企業は、財務諸表開示義務があります。 会社のホームページの「IR情報」から決算報告を確認できます。 1つの指標として、損益計算書を見て過去2~3年の「純利益」が 多ければ多いほど、財務状況が良好といえるでしょう。 ◆未上場企業の場合 未上場企業は、財務諸表開示義務がなく、一般公開している企業は多くありません。 しかし、「会社四季報 未上場会社版」には、 約13,000社と多くの未上場企業が載っており、財務状況が分かる可能性があります。 上場企業のIR情報に比べて詳しく書かれていないことが多いですが、 トラブルを回避するためにも、業績を確認することをおすすめします。 ※『会社四季報 未上場会社版』は、編集部記者の取材記事をはじめ、 業務内容・業績・役員・取引先・採用数など多数の項目を 収録した約4,000社、コンパクトに企業情報をまとめた約9,000社、 合計約13,000社の未上場企業情報を掲載しています。 |
サブリースの注意すべきことについて、もっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
サブリース契約の15の注意点!契約前から後までの重要ポイント解説
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「自分で管理や運営をするのは難しいけど、サブリースは怖い」
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7-1. 入居率が向上する「ダイレクト賃貸」サービスを提供している
アセットテクノロジーでは、入居率や入居者満足度をアップさせる「ダイレクト賃貸」というサービスがあります。
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さらに、仲介店舗を持たないことで、より多くの仲介会社に空室情報を提供できる仕組みも嬉しいポイントの1つです。
7-2. アプリ管理で業務効率が大幅に改善できる!
アセットテクノロジーでは、不動産管理アプリを導入しております。
【不動産管理アプリでできること】
・月次収支報告 ・メッセージ機能 ・文書保管機能 ・電子契約 ※オプション |
通常の管理委託の場合、業務内容によって担当者が異なります。そのため、要件ごとに担当者にメールをしなければならなくなり、やりとりが大変です。
当社では、不動産管理アプリのメッセージ機能を用いて、やりとりを一元化でき、大事な情報の見落としを減らせるうえ、レスポンスもスムーズです。
さらに、スマートフォンやパソコンから物件や契約内容の確認が行えるほか、収入状況など知りたい情報を素早く確認できます。
特に、契約の手続きは、面倒ですよね。契約書類も電子化で管理できるサービスもありますので、印紙や郵送作業不要で契約でき、管理業務が大幅に改善可能です!
7-3. 管理コストを抑えて運用できる
アセットテクノロジーでは、管理コストを抑えて運用することも可能です。
そのため、以下の2つのコストを削減できます。
【削減できるコスト】
・1ヶ月分の広告費 ・賃貸管理を抑えられる2つ料金プラン |
広告費は不動産運営を管理会社に任せる上で、悩みの種の1つです。入居者募集のための広告費が、高いと感じる方も多いでしょう。
アセットテクノロジーでは、他社よりも入居者募集の広告費が約1ヶ月分少なくなり、コストを抑えて入居者募集を行えます。
さらに、賃貸管理費用のコストを抑えられる2つの料金プランもご案内いたします。
料金プラン |
◆マンション・戸建てプラン【料金:2,000円/月(税別)】 ・入居者募集や契約業務などの管理業務の代行 ・家賃集金・クレーム処理などの管理業務 ・入居者に対して24時間のサポート ◆一棟プラン【料金:1部屋500円/月(税別)】 ・1棟から契約可能 ・賃貸事業経営にまつわるすべての業務を代行 ・建物の維持管理 ・巡回清掃・各種保守点検 ※別途お見積り |
既存の管理会社からの乗り換え手数料も、当社が負担いたします(※上限3万円まで)。
当社の管理委託は、マンション・アパート1部屋から対応しております。お困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
LINEでもお問い合わせを受け付けております。
8. まとめ
サブリースの仕組みについて解説しました。サブリースの仕組みは良く見えますが、実はリスクもあり、あまりおすすめできないことが分かったと思います。
最後に、記事の要点についてまとめておきますので、振り返ってみましょう。
サブリースの仕組みとは、オーナーが保有している賃貸物件をサブリース会社に一括で借り上げてもらい、入居希望者に部屋を又貸しする仕組みです。
サブリースによく似た、賃貸管理サービス「管理委託」との仕組みの違いは、以下の通りです。
比較項目 | サブリース | 管理委託 |
賃貸契約者 | サブリース会社と入居者 | オーナーと入居者 |
家賃保証 | あり | なし |
目安の手数料率 | 賃料の10~20% | 賃料の3~7% |
敷金・礼金・敷金 | サブリース会社が受け取る | オーナーが受け取る |
物件の管理 | サブリース会社 | 不動産会社 ※管理範囲は契約内容による |
入居者の審査 | サブリース会社 | オーナー |
サブリースのメリットは、以下の通りです。
・管理・運営業務の手間がかからない ・家賃保証で空室・滞納リスクを回避できる ・確定申告の手間が少ない |
サブリースのリスクは以下の6つです。
・一度サブリース契約を結ぶと解約が非常に困難になる ・途中解約や倒産により収入が無くなる ・家賃保証の見直しがあり想定よりも収入が少なくなる ・退去者が出るたびに免責期間が発生し収入がなくなる ・修繕費や工事費など想定外の費用が発生する ・入居者を選定できずトラブルが発生する可能性がある |
一見魅力的な仕組みに思えますが、オーナーにとって不利になるケースが多く、大きなリスクも伴いやすいです。
サブリースの仕組みの良いところだけでなく、リスクをよく理解し、管理方法を慎重に検討してみてください。
この記事が、あなたの不動産投資のお悩みを解決し、上手く運営できることを願っています。