不動産投資で住宅ローン控除は受けられる?NGな理由やバレるきっかけ、リスクを解説

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不動産投資では、金利が安いという理由で不動産投資ローンよりも住宅ローンの利用を検討する方も少なくありません。

しかし、住宅ローンは第三者に貸し出す物件への利用が認められていません。住宅ローンは自己居住用の物件購入に限定された融資制度だからです。

結果、住宅ローン控除を受けられません。

また、住宅ローンを利用して不動産投資を行うと、深刻な問題に発展する可能性があります。

この記事では住宅ローン控除が受けられない理由、住宅ローンを利用した場合のリスクや利用が認められるケースについて詳しく解説します。

不動産投資用物件は住宅ローン控除を受けられない

住宅ローンは、不動産投資用の物件購入に利用できません。自己居住用の物件購入に特化した融資制度のため、購入者本人または親族が住むことを前提にしています。

不動産投資は第三者から家賃収入を得る事業であり、住宅ローンの本来の目的から外れます。したがって、不動産投資が目的での物件購入には、不動産投資ローンを利用しなければなりません。

不動産投資ローンは事業性の高い融資として位置付けられ、金利は住宅ローンより高めに設定されているのが特徴です。住宅ローンが0.5〜2%程度なのに対し、不動産投資ローンは1〜4%程度です。

返済原資も個人の給与所得から家賃収入に変わります。

これらの違いによって、住宅ローンの利用がNGとなり住宅ローン控除も受けられません。

住宅ローン控除を受けるために住宅ローンの利用がNGな理由

ここでは、住宅ローン控除を受けるために住宅ローンの利用がNGな理由について詳しく解説します。

ローンの利用目的が違う

住宅ローンと不動産投資ローンは、利用目的がまったく異なります。住宅ローンは自己居住用の物件購入に限定されているのに対し、不動産投資ローンは賃貸経営のための不動産購入を専門にしているのが特徴です。

住宅ローンは生活基盤となる住宅確保を支援する制度で、給与所得から返済する前提です。

不動産投資ローンは家賃収入からの返済が前提となり、空室リスクや家賃下落リスクも考慮されます。そのため、金利も住宅ローンより高めに設定され、審査基準も厳格です。

借入可能額でみると、住宅ローンは年収の6〜8倍程度ですが、不動産投資ローンは年収の10〜15倍まで借入ができます。

住宅ローンと不動産投資ローンの違いについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資ローンと住宅ローンの違いは?組む順番を徹底解説

審査内容が異なる

住宅ローンと不動産投資ローンは、審査内容に大きな違いがあります。

住宅ローンの審査は、申込者の収入や職業、雇用状況が主な判断材料です。これは給与所得からの返済を前提とするためです。

一方、不動産投資ローンは、物件の収益性や市場価値が重要な審査項目になります。申込者の投資経験や資産保有状況も細かくチェックされるのが特徴です。

不動産投資は事業性が高くリスクも大きいため、総合的な審査が欠かせません。

また、不動産投資ローンは法人での借入も可能ですが、住宅ローンは個人名義に限定されます。

不動産投資ローンの審査基準について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【不動産投資ローン】3つの審査基準と審査通過のポイント

金融機関が負うリスクが違う

住宅ローンと不動産投資ローンは、金融機関が負うリスクが異なります。

住宅ローンは給与所得が返済原資となり、毎月の収入が比較的安定しているのが特徴です。また、自己居住用の物件は生活基盤となるため、返済を優先する傾向にあります。

一方で不動産投資ローンは、家賃収入が返済原資です。空室や家賃値下げ、突発的な修繕費用など、収入や支出が変動するリスクを伴うでしょう。

したがって、金融機関は高めの金利を設定し、収益性や市場価値も審査項目に含めます。返済不能になるリスクが高い分、審査が厳格化されています。

不動産投資用物件に住宅ローンを利用したことがバレるきっかけ

ここでは、不動投資用物件に住宅ローンを利用したことがバレるきっかけについて解説します。

金融機関からの郵便物が届かない場合

住宅ローンを契約すると、金融機関から定期的に郵便物が届きます。住宅ローン契約者が実際に居住していれば問題ありませんが、第三者に賃貸している場合は郵便物が届きません。

不着となった郵便物は金融機関に返送され、居住実態の調査につながります。郵便物不着は、金融商品全般において架空契約の疑いにもつながるため、金融機関は特に注意を払います。

金融機関の営業訪問があった場合

住宅ローンの返済状況が良好な場合は、金融機関から新たな取引の提案で訪問されるケースがあります。特に地方銀行や信用金庫、信用組合など地域密着型の金融機関は、積極的な営業活動を行うことで有名です。

しかし、住宅ローンで購入した物件に第三者が居住していると、その時点で不正利用が発覚します。

不正利用が発覚すると、残債の一括返済を求められるだけでなく、金融機関との取引全般に影響が及ぶ可能性もあります。

不動産会社の全件調査があった場合

不動産会社が住宅ローンの不正利用に関わっていた事実が発覚すると、会社が扱った物件全体に調査が入ります。金融機関は不正防止の観点から、定期的に取引先の不動産会社を調査するのが一般的です。

全件調査では、契約者の居住実態や物件の利用状況を詳しくチェックします。住宅ローンの不正利用を主導した不動産会社が調査対象になると、会社を通じて住宅ローンを組んだ物件が調査され、不正利用が発覚してしまうでしょう。

住宅ローンを不動産投資用に利用した際のリスク

ここでは、住宅ローンを不動産投資用に利用した際のリスクを3つ紹介します。

残債の一括返済を求められる

住宅ローンの不正利用が発覚すると、金融機関から残債の一括返済を求められます。

住宅ローンは自己居住が前提の契約であり、不動産投資への転用は重大な契約違反です。一括返済に応じられない場合は、法的措置を取られる可能性もあります。

住宅ローンの残債は数千万円規模になるケースも多く、一括返済は現実的に困難です。不動産投資ローンへの借り換えも、不正利用の発覚により信用を失っているため難しいでしょう。

一括返済請求は借り手にとって深刻な打撃となり、生活基盤を脅かすリスクがあります。

将来的に金融機関との取引が難しくなる

住宅ローンの不正利用は、金融機関との信頼関係を大きく損ないます。返済履歴が良好でも、不正利用の事実は信用情報機関に記録され、5〜10年程度はブラックリスト扱いです。

この期間は新規の融資を受けることが困難になり、クレジットカードの発行も制限されます。特に、不正利用が発覚した金融機関とは、将来的な取引が事実上不可能になる可能性が高いです。

さらに金融機関は信用情報を共有するため、他の金融機関での取引も制限されます。したがって、経済活動の制約は、個人の生活や事業に大きな影響を及ぼします。

最悪の場合自己破産に陥る

住宅ローンの一括返済請求に応じられないと、自己破産に追い込まれるリスクがあります。

貯蓄や資産売却で返済資金を工面できない場合、新規の借入も困難な状況では、自己破産を選択せざるを得ないケースも珍しくありません。

自己破産は経済的な再出発の機会を与える制度ですが、その後の生活や事業活動に大きな制約が生じます。特に経営者として不動産投資を行っている場合、事業継続が困難になる可能性もあります。

自己破産は個人の信用問題にとどまらず、取引先や家族にも影響がおよぶ深刻な事態です。

自己破産手続きの流れについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

不動産投資で自己破産するケースは?失敗を防ぐためのポイントも解説

不動産投資で住宅ローンを利用できるケース

ここでは、不動産投資で住宅ローンを利用できる2つのケースについて詳しく解説します。

賃貸併用住宅の場合

賃貸併用住宅は、不動産投資でも住宅ローンの利用が可能な特例です。ただし、物件の50%以上を自己居住用として使用することが条件になります。

この条件を満たせば住宅ローン控除も利用可能です。自己居住部分に限り、税制優遇を受けられます。

一般的な活用例は、2階建ての物件で1階を賃貸、2階を自宅として使用するパターンです。

賃貸併用住宅は家賃収入を得られるメリットがありますが、入居者とのトラブルや将来の売却時に制約が生じるなどのデメリットもあります。投資効率や管理負担を考慮し、慎重に検討しましょう。

転勤などのやむをえない事情がある場合

転勤などのやむを得ない事情がある場合は、住宅ローン返済中の物件を賃貸に出せる可能性があります。ただし、この方法は金融機関の事前許可が絶対条件です。

急な転勤や家庭の事情で一時的に物件を離れる必要がある場合は、空き家にするよりも賃貸活用するほうが管理面でも経済面でも合理的といえます。金融機関も正当な理由があれば、柔軟に対応してくれるでしょう。

しかし、無断で賃貸転用すると契約違反となり、残債の一括返済を求められる可能性が高いです。物件を賃貸活用する際は、事前に金融機関へ相談し、承認を得てから進めるようにしましょう。

まとめ

住宅ローンは、自己居住用の物件購入に特化した融資制度です。金利は不動産投資ローンより低く設定されていますが、不動産投資目的での利用は認められません。

そのため、不動産投資において住宅ローン控除を受けることは困難です。

また、不正利用が発覚すると、残債の一括返済や信用失墜など深刻な問題に発展します。不動産投資には必ず不動産投資ローンを利用しましょう。

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