目次
不動産投資の所得税・住民税のルール
不動産投資で発生する所得税・住民税の納税額は、所得に応じて変わるという特徴があります。
ここでは、不動産投資の所得税・住民税のルールを紹介します。
納税の基準となる所得とは
不動産投資における所得税・住民税の納税額を決める要素は、年間の家賃収入から経費を差し引いた年間所得です。
たとえば、年間に200万円の家賃収入があって経費が50万円かかっていた場合、年間所得は「年間収入200万円-年間経費50万円=150万円」となります。同じ家賃収入でも経費が多ければ、それだけ年間所得は減るため、納める税金も少なくなるというわけです。
なお、不動産投資における経費とは、不動産運営をするためにかかったお金のことで、収入を得るために必要となった支出のことをいいます。
修繕費や火災保険料をはじめ、所有する物件が自宅から離れている場合に、自分の物件を見に行くためにかかった交通費や宿泊費なども経費です。
確定申告が必要となる条件
所得税や住民税を決めるための確定申告は、給与所得は年間20万円以上、非給与所得者は年間48万円以上の不動産所得で必要です。
確定申告は、1月1日から12月31日までに得た所得を税務署に申告し、その内容に応じて所得税を納めたり、住民税を決定したりするための手続きとなります。
確定申告を行う時期は翌年の2月16日から3月15日までの間で、税務署や国税庁のホームページから行うことが可能です。
不動産投資の所得税
不動産投資の所得税は、不動産投資で得た家賃収入などの年間所得に対してかかる税金のことです。
ここでは、不動産投資の所得税を解説します。
所得税とは
所得税とは、1年間の所得に対して発生する税金であり、所得がなければ所得税は0円です。
不動産投資においては、家賃収入すべてが課税されるのではなく、収入から経費を差し引いた年間所得が対象となります。
会社から給料をもらって働いている給与所得者は、会社が税金の管理を行っており、月々の給料から所得税も差し引かれるのが一般的です。
そのため、給与所得者は所得税の計算を考える必要はありませんが、不動産投資の場合はすべてオーナー自身で所得税の計算・管理しなければなりません。
所得税の税率
所得税は、課税所得が多ければ多いほど高い税率となる「累進課税」となっており、具体的な税率は以下の表の通りです。
課税対象となる所得金額 |
税率 |
控除額 |
195万円以下 |
5% |
0円 |
195万円超え330万円以下 |
10% |
9万7,500円 |
330万円超え695万円以下 |
20% |
42万7,500円 |
695万円超え900万円以下 |
23% |
63万6,000円 |
900万円超え1,800万円以下 |
33% |
153万6,000円 |
1,800万円超え4,000万円以下 |
40% |
279万6,000円 |
4,000万円超え |
45% |
479万6,000円 |
所得税は、「課税所得金額×税率-控除額」で計算できます。
以下の条件でどれくらいの所得税がかかるか見てみましょう。
- 年間の家賃収入:300万円
- 年間の経費:100万円
この場合、年間所得は200万円となるため、税率は10%で控除額は9万7,500円となります。計算式に当てはめると、「200万円×10%-9万7,500円」となり、10万2,500円が所得税として納めなければならない税金です。
所得税を納める方法
所得税は確定申告時に納税方法を選択し、3月15日までに納めなければなりません。
所得税の納付方法には以下の方法があります。
- 振替納税
- ダイレクト納付
- インターネットバンキング
- クレジットカード
- スマホアプリ
- コンビニ納付
- 現金納付
なお、所得税の確定申告については、納付期限までに納付すべき税額の2分の1以上を納付すれば、残りの税額を5月31日までに延長できる制度もあります。
所得税は翌年に納める税金となるため、所得が発生した年に翌年の税金を計算して手元に置いておかないと、確定申告時に納付できない可能性もあるため注意しましょう。
不動産投資の住民税
不動産投資で発生した所得に対しては住民税が発生します。
ここでは、不動産投資にかかる住民税のルールや税率、徴収方法を紹介します。
住民税とは
住民税とは、都道府県や市区町村などの自治体に対して納める税金であり、教育や福祉、清掃事業などの公共事業に使われます。
住民税も前年の1月から12月までの所得に応じて決まり、所得に応じて決まる所得割と、一律に課せられ均等割を合わせたものを住民税といいます。
なお、住民税には非課税制度があり、生活保護を受けている方や、個人事業主で年間所得が45万円以下の方は住民税が非課税になる可能性も高いです。
ただし、住民税のルールは各自治体によって異なるため、詳細は自治体の公式サイトを事前にチェックしておく必要があります。
住民税の税率
住民税の所得割の税率は、区市町村民税が6%、道府県民税が4%で合計10%です。
均等割は定額で課税される税金であり、所得に関わらず、5,000円から6,000円の住民税がかかります。所得税のように年間所得に応じて税率が増える累進課税ではありませんが、所得に対して一律の税率がかかるため、所得が多いほど納める税金も多くなります。
均等割は各自治体に定められているため、納める金額は自治体によって異なる点に注意しましょう。2024年からは新たに森林環境税が課税されており、1人年額1,000円ほど納めなければなりません。
住民税の普通徴収・特別徴収
住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収と呼ばれる方法があり、特別徴収を選ぶと、勤務先に別途で収入があることを知られてしまうため注意が必要です。
特別徴収は、税務署から勤務先に通知が送られ、その通知をもとに給料からどれくらい住民税を差し引くかどうかの調整が行われます。
勤務先には、給料と不動産投資の収入を合算した住民税が通知されるため、税金が多いと「給料以外に何か所得がある」と疑うというわけです。
一方、普通徴収は不動産投資の所得に対して必要な住民税を、個別に納付できる方法となります。勤務先に別収入があることを知られては困る場合、確定申告時に「普通徴収」を選びましょう。
住民税の納付方法
住民税を普通徴収で納める場合、その年に納めるべき税額を6月・8月・10月・翌1月の4回、もしくは一括で納付します。
特別徴収は、会社勤めの人に適用される徴収方法で、毎月の給料から住民税を天引きして納めます。住民税は所得税のように確定申告時に納める税金ではなく、少し遅れて納税が必要となる税金です。
不動産投資の所得税・住民税を抑える方法
不動産投資にかかる所得税や住民税は節税することも可能です。
ここでは、不動産投資の所得税・住民税を抑える方法を紹介します。
経費を適切に計上する
不動産投資の所得税・住民税を抑えるためには、不動産投資でかかった経費を適切に計上し、計上漏れがないようにしましょう。
所得税も住民税も課税対象となるのは所得であるため、経費が多いほど所得を減らし、納める税金も少なくなります。経費の計上は法的に認められており、不動産投資に必要な支出と説明がつけば、いくら計上しても問題ありません。
ただし、プライベートの旅行でかかった交通費や宿泊費、不動産投資と関係のない飲食代などを経費として計上するのは違法です。税務調査が入ったときに、説明がつかない経費を計上していると、追徴課税の可能性もあるため注意しましょう。
青色申告をする
確定申告の方法として青色申告を選ぶと、不動産投資の所得税や住民税を抑えることができます。
青色申告のメリットは最大65万円の特別控除が受けられて、赤字の繰り越しが最大3年できることです。たとえば、年間所得が100万円だった場合に、最大65万円の特別控除が適用されると、課税対象となるのは35万円となります。
また、赤字が発生しても3年間の赤字繰り越しができるため、翌年以降の所得を抑えることができます。
青色申告による節税効果やメリット、注意点などは、以下の記事でも詳しく解説しているのでご参考ください。
不動産投資は青色申告で節税効果アップ?メリットと注意点を解説!
減価償却に注目して不動産を購入する
不動産投資では、購入した不動産の費用を一定年数に分割し、毎年の経費として計上できる減価償却ができます。
減価償却できる期間は物件の構造によって異なり、マンションに多い鉄骨鉄コンクリート造なら47年です。新築のマンションを購入した場合、その費用を47年に分割し、毎年経費として計上できます。
そのため、不動産を購入する際には購入費やランニングコストなどを踏まえたうえで、減価償却による効果をトータルに考えることで最適な節税効果が期待できます。
不動産投資における減価償却の仕組みは以下の記事でも詳しく解説しているので、ご参考ください。
不動産投資での減価償却の仕組みとは?節税になる理由や注意点を知ろう!
まとめ
この記事では、不動産投資における所得税や住民税の仕組み、節税のポイントを解説しました。
不動産投資では家賃収入の所得に応じ、確定申告を行って所得税や住民税を納めなければなりません。税金の負担を少しでも軽減させるためには、経費を適切に計上し、青色申告や減価償却を上手く活用することがポイントです。
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