医師の不動産投資|メリット・デメリットを比較!成功のコツも紹介

医師の中には不動産投資を検討する方もいるでしょう。厚生労働省が令和3年に公表した「令和3年賃金構造基本統計調査」では、医師の平均年収は1,000万円を超えていました。ただし年収が高くなると節税や資産形成などを考える方も少なくありません。そこで今回は、医師が不動産投資を始めるメリット・デメリット、成功させるためのポイントをご紹介します。

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医師が不動産投資をするメリット

医師は数ある職業の中でも、収入が高い職業の一つです。安定して高収入を得ている場合、不動産投資をする意味があるのかと思うかもしれません。

しかし、医師が不動産投資を行うことには、様々なメリットがあります。ここでは、医師にとって不動産投資はどのようなメリットがあるか解説します。

医師は審査に通りやすい

医師が不動産投資をするメリットの一つが金融機関の融資審査に通りやすいことです。医師は社会的な信用が高く、高収入を得ていることも多い職業であるため、比較的有利な条件で融資が受けられる傾向にあります。

融資の条件が良いと、キャッシュフローが良い状態で不動産を運営できるため、利益も出やすくなるでしょう。

不動産投資は手間がかからない

不動産投資は他の投資と比べて、手間がかからないというメリットもあります。株式やFXなどの場合、毎日のようにレートを追う、売買を繰り返す、情報を集めるなど、何かと手間がかかるものです。

不動産投資の場合は、物件の購入までに物件を探す、購入時に手続きを行うといった手間はかかりますが、毎日作業をする必要がありません。

不動産さえ所有してしまえば、入居者の募集や物件の管理などは管理会社に委託できるため、基本的には放置していても運営可能です。本業が忙しい医師でも、チャレンジしやすいのではないでしょうか。

節税効果が高い

高い節税効果が期待できる点も、不動産投資のメリットです。不動産投資は減価償却により、不動産の取得時に要した金額は数年にわたり分割して経費計上できます。

減価償却とは、事業主が保有する固定資産の取得額を定められた耐用年数に応じて、経費計上する会計処理のことです。時間の経過とともに価値が減少する資産は「減価償却資産」と呼びます。

減価償却によって、不動産の取得に要した購入費用を翌年度から耐用年数に分けて経費計上するため、耐用年数の間は課税所得を減らせます。所得税と住民税は、個人の所得に対して、納税額が変わるため、課税所得の減少は節税に繋がるといえます。

また、不動産投資で損失が生じた場合、一定の順序に従って、本業(医師)を含む総所得額から控除することが可能です。 この仕組みを「損益通算」と呼びます。

節税を目的に不動産投資する場合、中古物件には気を付けましょう。中古物件は建物の減価償却できる期間に注意しましょう。減価償却できる期間は、物件の法定耐用年数に基づいて定められています。例えば、鉄筋コンクリート造の場合、新築時から47年間が法定耐用年数です。

出典:国税庁 NATIONAL TAX AGENCY「耐用年数(建物/建物附属設備)」

相続税対策になる

不動産投資は、相続税対策としても利用できます。現金を不動産にして相続評価額を抑えることも可能です。現金は額面が評価額として課せられますが、不動産は種類によって特例を利用することができます。

例えば、入居者のいる賃貸用物件は、相続者が自由に使用できるわけではないため、低く評価されるのが一般的です。

仮に同じ1億円分を相続させたい場合、評価額が低くなる分、不動産を相続させたほうが支払う税金は安くなります。相続させたい相手が複数いる方は、相続税の面でトラブルが生じないよう配慮しましょう。

本業とは別の収入源と資産が手に入る

医師は高収入を得やすい職業とはいえ、数十年にわたって続けていけるかは分かりません。年齢や思わぬケガなどで、続けられなくなるリスクもあります。

不動産投資によって本業とは別に収入源や資産を確保しておけば、このような事態に陥ったときでも収入面で対応しやすくなります。

医師が不動産投資をするデメリット

医師の不動産投資には節税効果を得られる、本業以外の収入源を確保できるなどメリットが多い反面、デメリットもあります。

医師は悪徳業者に狙われやすい

医師が不動産投資を行うデメリットの一つが悪徳業者に狙われやすいことです。医師は高額融資が受けやすいため、より多くの物件を購入できます。

そのため、うまく騙して融資を引き出したり、イマイチな物件を良い物件と偽って売りつけたりする悪徳業者に狙われやすい傾向があります。

収入・信用ともに高い医師には多くの勧誘が来るので、どれが良い不動産業者なのか見分けづらいというのがデメリットです。

多少の労力は必要

物件管理や入居者募集を管理会社に丸投げできる不動産投資は、手間がかかりにくい投資方法です。

とはいえ、購入時の手続きなどは自分で行わなくてはならず、多少の労力はかかります。多忙な医師だとなかなか時間が取れず、良い物件を逃すこともあるかもしれません。

空室リスクやローンリスクがある

不動産投資には、常に空室リスクやローンリスクが伴います。立地や周辺エリアを考慮して購入した物件でも、確実に入居者が来るとは限りません。

物件を購入したものの空室が続き、資金繰りがうまくいかなくなることもあります。無理なローンを組んでいる場合、ローン返済が負担になり、本業に支障が出る可能性もあります。

医師が不動産投資を成功させるためのポイント

医師が不動産投資を成功させるには、いくつかポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、デメリットを抑えて不動産投資を成功させるためのポイントについて解説します。

不動産投資についての正しい知識を身に付ける

不動産投資の成功のポイントの一つが不動産投資について正しい知識を得ることです。

医師は信用があり、資金に余裕のある方が多いため不動産投資に向いています。しかし、正しい知識がないと適切な判断を下せず、失敗する可能性があります。物件選びや安定した運営のために必要な知識は身に付けておきましょう。

ローンの借り入れしすぎない

アパート一棟買いなど大胆な投資ができるメリットがある一方で、リスクも高くなる点に注意しましょう。

融資を受けて不動産投資する場合は、家賃収入をローン返済にあてることが一般的です。不動産投資の運用総額が高くなると、空室が複数発生したときの返済が苦しくなる恐れがあります。満室を想定した余裕のない運用計画では、家賃収入のみでは賄えなくなります。

高額での不動産投資は、リターンのみならずリスクも大きくなることを理解したうえで行うことが大切です。融資可能額が高額であっても借り入れすぎず、無理のない投資に抑えましょう。

節税だけを重視しない

節税だけを重視して家賃収入よりも経費を多く計上し続けていると、月々の収支が赤字になる恐れがあります。

新たに投資用物件を購入したいと考えたとき、金融機関の印象が悪くなり、融資額に影響が出る可能性もあります。

赤字で収益がなく、新たなローンも難しいとなれば、安定や節税を得るどころか、不動産投資そのものが負担となりかねません。

信頼できる不動産業者を見つける

不動産投資は、不動産業者との信頼関係が重要です。悪質業者に引っかかりトラブルに発展するのを防ぐためにも、複数の不動産業者を比較するなどして、信頼できる不動産業者を探しましょう。

信頼できるかを100%見分ける方法はありませんが、質問に的確に答えてくれる、メリットだけでなくデメリットやリスクについても説明してくれる不動産業者は、信頼できる業者の可能性が高いでしょう。

やりとりが曖昧である、メリットばかり伝えてきて購入を急がせる、ネットでの評判が悪いといった条件に該当する不動産業者は避けるのが賢明です。

不動産投資で物件を選ぶ時のポイント

まずは、不動産投資に適している物件の条件を押さえることが大切です。ここでは投資用物件の選び方として、ポイントを2つ紹介します。

物件の立地

重視すべきポイントの一つが物件の立地です。どのような立地に物件があるかで、空室リスクは大きく変わります。

立地というと、多くの人が思い浮かべるのが駅やバス停からの距離です。しかし、入居者ターゲットによっては、その他の要素が重視される場合もあります。例えば、ファミリー層をターゲットとする場合、公園や学校、病院、商業施設などへの距離が重視される傾向です。

単身者がターゲットの場合、早朝出勤や深夜帰宅時も利用できる24時間営業の商業施設が近隣にあると喜ばれます。大学や専門学校が多いエリアなら学生をターゲットにできます。

物件の状態

中古物件を購入する場合は、状態も重視すべきです。全体的に設備が古い、修繕が必要な箇所が多い物件は、安価に購入できるメリットがある一方で、修繕や改装が必要となるデメリットもあります。

リノベーションで付加価値をつけたい場合は、選択肢の一つとして有効です。単純に初期費用を安く抑えたいときは、修繕や改装にかかる費用でかえって高くつく恐れがあるため、慎重に購入を検討しましょう。

また、土地のニーズに合った物件を選ぶことも重要です。現代の世相に合った間取りとなっているか、最低限の整備は行われているかなど、ニーズとのマッチ度によって修繕や改装の費用も大きく変わります。

まとめ

医師が不動産投資を行うと、資産が増える以外のメリットも複数得られます。医師のような高所得者はとくに所得税や住民税、相続税などが高額傾向となります。資産運用としてのみならず、節税対策としても不動産投資を検討してはいかがでしょうか。