不動産投資が老後の資金作りにおすすめの理由
他の投資と比べて、賃貸経営は老後の資金作りと相性が良いといわれる方法です。なぜ不動産投資が年金の不足分を補う方法として適切なのか解説します。
手間をかけずに収入を得られるから
物件の維持管理を不動産会社に依頼すれば、運用中はほぼ何もせずして家賃収入を得られます。
清掃や入居人とのトラブル対応、家賃の徴収、大規模修繕まで仲介業者のサービスは多岐にわたります。包括的に賃貸経営のオーナーの負担を和らげる、頼れる存在です。
物件の選定や投資判断を最終的に下すのは管理人の役割になるため、直接的な対応の手間がなくなるとはいえ、気を緩めるのは厳禁です。日常的に投資の勉強に励み、想定どおりの売上が出ているか定期的にシミュレーションをしてください。
長期で安定した収入を得られるから
賃貸借契約を交わす場合、少なくとも1年以上は住み続ける前提になるでしょう。一度入居者を獲得したら、継続的に収入が入り続けるのは不動産投資の利点です。
万一解約されても安定した賃貸需要が見込めるエリアであれば、すぐに代わりが見つかります。
株や債券も保有し続けることでインカムゲインを狙える方法ですが、配当金の金額は投資先の経営状態に左右されます。
家賃はオーナーの判断で値下げしない限り、常に一定です。収支計画を立てやすいことから、老後の収入の補填には最適な方法だといえます。
税金対策が可能だから
節税対策の方法が豊富な不動産投資には、家賃収入による収支が赤字でも、キャッシュの流出を防げるというメリットがあります。
減価償却費の計上による課税所得を減らせば、所得税や住民税が減少します。また損益通算を活用して、不動産投資の赤字を他の所得の利益と相殺することも可能です。
家賃収入-経費が赤字でも、給与所得と合算して税金を減らすことに成功すれば、資金の流出を抑えられます。
固定資産税やローンの返済、修繕積立金、仲介手数料など経費の算出において、控除できる金額が多いのが特徴です。
不動産投資は相続税対策にも有益です。相続が発生したとき、市場価格(時価)を下回る価格で査定されるため、課税対象額が減少し、配偶者や子供、孫が支払う税金が減ります。
不動産投資は私的年金の代わりになる
ローンの支払いが終われば、家賃収入は税金を除いて手元に残るため、年金の代わりに適しています。厚生年金や国民年金は二ヵ月に一回のタイミングで入金されますが、家賃は月1回入ることも魅力です。
私的年金としての不動産投資のメリットを解説します。
個人年金より大きなリターンが狙える
不動産投資による家賃収入は、保険会社の個人年金よりも大きなリターンを得られる可能性があります。受け取る金額が現時点では確定しないためです。
個人年金は契約時に定めた保険料と年金額で運用を強いられますが、家賃収入は入居状況に左右されます。
物件の価値を維持・向上させる取り組みを欠かさなければ、築年数が経過しても多数の入居者を獲得できる可能性があります。
不確定要素が大きい分、確実に個人年金を超える収入が得られるとは限りませんが、資金の不足に縛られない理想的な老後の実現に近づける方法です。
家賃収入は在職老齢年金の調整対象にならない
年金を受け取りながら会社員で働いていると、給与+年金が一定水準を超えた場合、もらえるお金がカットされます。
これは在職老齢年金と呼ばれる仕組みで、調整の対象となる基準額は50万円(2024年度)です。
公的年金の財源は有限のため、稼ぎ過ぎた人には生活保障の必要性が低いとみなし、一定額の調整を加えるのです。しかし不動産経営で受け取る家賃収入は在職老齢年金の対象となりません。
副業所得として税金の申告は必要になるとはいえ、突然カットされる心配はありません。老後も安定した資金源を得られる不動産投資は老後の生活を支える有効な手段です。
不動産投資は不安材料が多い!代表的な3つのリスク
不動産投資は不確定要素が多く、なかなかシミュレーションどおりに進まず苦労する人もいます。
リスクを漏れなく把握して、万一の事態が起きたときでも経営が破綻しないよう、事前の準備が必要です。すべての不動産投資家にとって無視できない代表的なリスクを紹介します。
空室・家賃滞納リスク
いくら理想的な物件でも年中満室の状態を維持するのは不可能です。空室の存在を前提にした、現実的な入居率に基づく収支シミュレーションが欠かせません。
長期間空室が続くときに疑われるのは経年劣化で外観や内装がはがれ落ち、周囲の物件との競争力が低下したことです。適宜修繕やリノベーションを施し、物件の価値向上・維持に努める必要があります。
家賃の滞納に遭い、収入が途切れるリスクも念頭に置かなくてはいけません。長期滞納が続くと、督促状の送付や弁護士への依頼など余計な手間がかかることにも注意が必要です。
資産価値低下リスク
築年数の経過や修繕の見過ごしによって物件の資産価値が低下すれば、入居者離れにつながります。
希望価格での売却も難しくなるため、出口戦略で売却金を受け取る計画がある人は注意が必要です。
メンテナンスが行き届いていれば、RC構造のマンションの寿命は60年以上だといわれています。適切なタイミングで必要な修繕を施せば、資産価値の下落幅を最小限に抑えられます。
金利上昇リスク
金利の上昇は不動産投資の収支を大きく変動させる可能性があります。まずローンの返済額が変わり、借入れ時の試算と比べて数百万円以上の差が生じるケースも珍しくありません。
投資用物件の購入に活用する不動産投資ローンは、通常の住宅ローンと比べて金利が高めです。見かけ上わずかな利上げでも、返済額に与えるインパクトは大きくなりやすい傾向があります。
物件価格の推移とも密接した関わりがあり、一般的に金利の上昇は不動産の価値の下落を招きます。利上げの影響で消費者が高額な買い物を控える動きをみせるからです。
老後の資金作りの失敗を防ぐコツ
老後の資金不足に対する不安から不動産投資を始める選択は素晴らしいことです。しかし想定した収入が得られないケースも多々あるため、早めの動きだしや信頼できる不動産会社選びが必要になります。
ここでは、これから不動産投資を始める人が失敗を防ぐコツを解説します。
現役のうちに始める
老後の資金作りで不動産投資を始める場合、現役のうちに副業投資を経験する必要があると考えましょう。
早めに動き出せば定年を迎える頃にはローンの残債の返済を終えて、私的年金の代わりとして全額受け取れるからです。
また、ローンを借りる際に年齢を重ねていると審査に落ちる可能性が高くなります。返済期間の間、給与収入があれば返済が滞ることはないと金融機関は考えます。
しかし50代や60代前半の人は引退後の収入がない間も借金が続くため、ローンの審査では不利に働きます。
不動産投資の勉強を怠らない
投資用物件を選ぶ前に勉強して投資の基本を身に付けましょう。不動産会社を活用すればプロから親身なアドバイスを受けられますが、最終的に判断を下すのは自分です。
言われるがままではなく、主導権を自ら持つことは投資で後悔しないために大切です。利回りの算定方法や投資理論、相場の掴み方などを学ぶ有効な方法は次のとおりです。
- 書籍やインターネットの活用
- 不動産運用セミナーの参加
- 興味をもった物件の内見
積極的に情報を掴みに動き、幅広い情報を得ることが大切です。
信頼できる不動産会社を選ぶ
運用を開始したら、物件の清掃や入居者対応などほとんどの維持管理は仲介会社が担います。
日頃のメンテナンスが収益性を左右する場合もあることを考えて、顧客目線の信頼できる会社を選ぶように努めましょう。
自身の営業成績を良くする意図で高値の建物を勧めてくる担当者でないか、精査が必要です。実績や口コミ、事務所の所在地などさまざまな視点でリサーチして、誠実な会社か見極めましょう。
出口戦略を検討しておく
いかに損失を出さず、利益が出る状態で投資を終わらせるか出口戦略を考える必要があります。一般的には売却という手段が好まれます。
マンションの売却益は数千万円〜1億円以上に及ぶため、ローンの残債を考慮してもプラスの収支で終わることが可能です。
賃貸経営を始める前から、売却の時期や希望価格を考えておくと、黒字に転じるために必要な家賃の金額が分かります。
大規模修繕のコストを考慮する
収支計画を立案する際には入念なシミュレーションが必要です。コストを考える上では仲介手数料や修繕費、ローンの残債、固定資産税をはじめ、漏れのない計上が求められます。
なかでも重要なのは大規模修繕にかかる費用です。
主に12年〜18年の周期で実施される物件全体におよぶ大がかりな工事を表しており、マンションの場合、1回につき4,000万円〜6,000万円の負担が発生します。
不動産投資における色々なコストのなかでも占めるウェイトが高いため、計上漏れがあると収支計画の実現を妨げます。
工事費用の原資となる修繕積立金は、マンションの管理組合が徴収額を決定します。具体的な金額の予測は難しいですが、ネット調査や不動産会社の担当者を活用して相場の把握に努めましょう。
まとめ
老後に向けた不動産投資は個人年金より受け取る金額が大きい可能性もあり、充実した資産形成に適した方法です。
定年後に始めるとローンの借入れができない恐れがあるため、現役のうちに動き出す必要があります。
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