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不動産投資では、融資を受けて物件を購入するのが一般的です。自己資金が少ない方でも、レバレッジ効果によって大きな収益性を見込めるでしょう。
しかし、金融機関からの融資は年々厳しくなっているといわれています。そのため、不動産投資をスタートさせるために必要な融資の審査を通過させるポイントの把握が重要です。
この記事では不動産投資における融資の基本や審査ポイント、有利な条件で融資を受けるためのポイントを詳しく解説します。金利の種類や特徴を理解し、低金利で融資を受けるための具体的な方法を学べば、不動産投資の成功につながるでしょう。
不動産投資で融資を受ける重要性
金融機関からの融資はいわゆる借金ですから、できる限り利用したくないと考える方もいるかもしれません。しかし、不動産投資では融資を受けることに大きな意味があるのです。
まずは、不動産投資で融資を受ける重要性について解説します。
自己資金が少なくても投資できる
不動産投資で融資を受ける最大のメリットは、自己資金が少なくても不動産投資を行えることでしょう。
ある程度まとまった資金を持っていて、自己資金の範囲内で投資先を探すのも方法のひとつです。しかし、予算の制約があると物件選びは難しくなります。予算で妥協した結果、収益性の低い物件を抱えて投資に失敗するリスクもあります。
融資を受ければ、自己資金の大小に関わらず、収益性の高い物件への投資が可能になります。また、金融機関が融資を認めた時点で、優良物件のお墨付きを得られたと考えることもできるでしょう。優良物件への投資なら、安定した賃料収入を期待できます。
資産を増やすスピードを速められる
自己資金だけで不動産投資を始める場合、まずは1軒から投資をスタートさせるのが一般的です。コツコツ貯めたお金でまた新たな物件を購入するなど、少しずつ事業を広げることになります。
しかし、金融機関からの融資を受けると、不動産投資の元手が増えます。じゅうぶんな元手があれば、より多くの物件に投資できるため、物件の数だけ得られる収益が増え、すばやく資産を蓄えられる可能性が高まるのです。
さらに、多種多様な物件やエリアに投資することは、空室リスクの回避にも役立ちます。
家賃収入をローン返済に充てられる
マイホームの購入で利用する住宅ローンは、主に契約者の給与が返済に充てられます。しかし、不動産投資で受ける融資の返済は、投資で受け取る賃料収入での返済が可能です。物件の運用がうまくいけば、受け取った賃料だけで収益を上げながら融資を完済することもできます。
とはいえ、不動産投資では空室が続いたり、急な修繕費が必要になったりと、収入より支出が上回ることも珍しくありません。そんなときには、給与を含めた自己資金を使わざるを得ないこともあるので、余裕を持った返済計画を立てることが大切です。
早いうちから始められる
金融機関から融資を受けると、少額資金でも不動産投資にチャレンジできるため、早いうちからスタートして投資の経験を積めます。
アパートやマンションなどは高額であるため、多くの保有資産がないと、若いうちにキャッシュで購入することは困難です。しかし、融資を利用すれば少ない自己資金でも不動産投資を始められ、実際に20代や30代で物件を購入して運用している人も多くいます。
早いうちから不動産投資を行うことで、投資の知識や経験が増えるのはもちろん、早期に完済できるのも大きなメリットです。早期完済ができれば、新しい不動産を購入し、収益をどんどん増やすこともできます。
早くから収益を得られることで計画的な資産形成もしやすくなり、将来の備えにもなるでしょう。
不動産投資で融資を受ける際の注意点
不動産投資で融資を受ける際には、メリットだけでなく注意点も理解しておく必要があります。
ここでは、不動産投資で融資を受ける際の注意点を紹介します。
空室が発生するとローンの返済負担が大きくなる
不動産投資を始めるにあたって、融資を受けて物件を購入する場合、空室発生時に返済負担が大きくなる点に注意しなければなりません。
融資を受けた場合に、返済の原資となるのは入居者から支払われる家賃収入であるため、空室が発生すると支払い負担が増加します。
複数の部屋があるアパート運用であれば、空室が発生しても他の部屋の家賃である程度のカバーは可能です。しかし、ワンルームマンション投資のように1部屋のみの投資だと、収入が0円になってしまいます。
住む人のライフスタイルも変化するため、どれだけ対策をしていても、空室リスクが0になることはありません。
融資を利用する場合は、空室が発生したときに収入が途絶えてしまっても、自己資金でカバーできる範囲の返済額が望ましいです。また、1部屋に投資をするだけでなく、複数の部屋やアパートを購入し、リスク分散させることも方法の一つです。
家賃の滞納が原因で返済負担が大きくなるケースがある
不動産投資では、空室にならなくても家賃の滞納が原因で返済負担が大きくなるケースがあります。
入居者に家賃を滞納されてしまうと、自身の収入が減少するだけでなく、連絡や督促も必要となって手間がかかります。ローンの返済も自己負担となるため、できるだけ早めに対処しなければなりませんが、立ち退き要請には一般的に3か月以上の滞納実績も必要です。
空室の場合だとすぐに入居者の募集ができますが、家賃滞納だと立ち退き要請を行い、そのあとにようやく入居者の募集となります。そのため、空室リスクよりも家賃滞納リスクの方がキャッシュフローの面で問題が大きいといえるでしょう。
このようなリスクに備える方法として、入居者に連帯保証人をつけてもらったり、家賃保障会社に加入してもらったりする方法もあります。
家賃滞納時の督促の流れや注意事項は以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
突発的な支出で返済が困難になる場合がある
不動産投資では、空室や家賃滞納などの問題がなくても、突発的な支出が発生して返済が困難になるケースがあります。
例えば、融資を受けて35年のローンを組んだ場合に、その期間中のどこかでトイレや水道、エアコンなどの設備が壊れる可能性もあるでしょう。オーナーが負担するのは経年劣化が原因で故障した場合であり、運用期間が長くなると修繕のリスクも高まります。
このような突発的な支出に備えるためには、家賃収入から積み立てておき、いざというときに対応できるようにしておく必要もあるでしょう。
不動産投資の融資は厳しい?
不動産投資において、融資を受けることは重要です。しかし、現在は以前に比べて、融資を受けることが難しくなっています。なぜなら銀行の不正融資問題があったためです。
2018年から2019年には、銀行の不正融資問題が多く発覚しました。その中で有名なのが、俗にいう「かぼちゃの馬車事件」です。かぼちゃの馬車とは、女性専用のシェアハウスの名前を指します。かぼちゃの馬車を不動産投資家に販売し、サブリース契約を行っていた会社がありました。
しかし、その会社が数年も経たないうちに倒産し、その賃料が未収となった多くの不動産オーナーが自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれ、社会問題にまで発展した事件です。加えて、ここにスルガ銀行による不正融資が絡んでいました。
この事件を受けて、金融庁による引き締めの強化が行われています。不動産投資の融資に対する金融機関の審査は厳しくなっており、以前なら審査に通っていたものも、現在では通りにくくなっています。
不動産投資の融資の種類
不動産投資を行う際に受けられる融資の種類として、アパート・マンションローンとプロパーローンがあります。
ここでは、不動産投資の融資の種類や住宅ローンとの違いも合わせて紹介します。
アパート・マンションローン
アパート・マンションローンとは、不動産投資に特化した融資であり、物件の購入費や内装費に充てることができます。
審査基準はある程度決まっており、審査にかかる時間も短い場合が多く、スピーディーに融資を受けやすいのが特徴です。審査では物件の収益性を中心に、個人の属性もチェックされ、収益性が低下した場合に個人資産でカバーできるかもポイントになります。
なお、大手の金融機関では2020年4月の民法改正に伴い、アパート・マンションローンの連帯保証人を原則不要としているところがほとんどです。融資を受ける側にとっては保証人の用意が不要となるメリットがある一方、融資審査の難易度は高まっています。
金利や融資姿勢は金融機関によって大きく異なるため、不動産会社から紹介される金融機関だけでなく、幅広く検討することが望ましいです。
プロパーローン
プロパーローンとは、金融機関が調達してきた資金を、金融機関がリスク負担してオーナーに融資するローンです。
借主の属性に合わせて金利や融資額、返済期間が設定され、さらに保証期間を介さないため、保証料もかかりません。
金融機関は大きなリスクを負うことになるため、アパート・マンションローンに比べると審査の基準が厳しいケースが多いです。
その一方で、アパート・マンションローンに比べると、低い金利で融資を受けられることが多いというメリットもあります。また、プロパーローンは事業計画書を作成して融資の用途を明らかにしなければならないものの、資金の用途に明確な制限は設けられていません。
住宅ローンとの違い
不動産投資で一般的なアパート・マンションローンと、自身が住む目的で物件を購入する場合の住宅ローンはまったく異なる性質のものです。
住宅ローンの場合だと融資審査の基準は個人の属性が中心となり、アパート・マンションローンのように物件の収益性は関係ありません。住宅ローンを利用する場合は居住が前提であり、法人名義で契約できないことも特徴です。
なお、アパート・マンションローンは高額な融資が受けられるため、ローンを契約したあとだと住宅ローンの利用が難しいケースもあります。なぜなら、すでに返済能力の限界に近づいている可能性が高く、金融機関はこれ以上融資をすると返済されないリスクが高まるためです。
それぞれの違いは以下の通りです。
住宅ローンと不動産投資用のローンの違いは以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
用途
住宅ローンは自己居住用の物件購入を目的とするローンで、不動産投資ローンは第三者に貸し出す収益物件を購入するための事業用ローンです。
投資用物件の購入には、住宅ローンは利用できず、不動産投資ローンを利用しなければなりません。
住宅ローンを借りて住宅用の物件を購入した後に、用途を賃貸運用に変更するのも契約違反とみなされます。
用途外の利用をすると、金融機関からローンの一括返済を求められる可能性があるため注意が必要です。用途をしっかり理解して、誠実な利用を心がけてください。
金利
居住用物件には事業性がなく、金融機関の貸し倒れリスクがないことから、住宅ローンは不動産投資ローンと比べてかなり金利が低く設定されています。
一方、不動産投資ローンは事業目的のため、比較的高めの金利が設定されています。金利水準は住宅ローンの約3倍です。
審査基準
住宅ローンの審査は、職業や年収、勤続年数などの個人属性が対象です。会社員や公務員など安定した収入があると評価が高くなる傾向があります。
不動産投資ローンでも個人属性が審査されますが、加えて購入予定の物件の評価も加味されます。物件の立地や築年数、構造などから、資産価値が高いと評価されれば、融資を受けやすくなるでしょう。
融資額
住宅ローンの融資可能額は、年収の5~6倍ほどが一般的です。不動産投資ローンは、年収とあわせて購入物件から得られる家賃収入も加算されるため、条件によっては年収の10~20倍ほどの融資が受けられる可能性もあります。
不動産投資ローンの金額の目安は以下の記事でもご紹介しています。
→【年収別】不動産投資ローンの金額目安と審査時のポイントを紹介
返済期間
返済期間は、どちらも最長35年が一般的です。ただし、不動産投資ローンでは、物件の法定耐用年数内の融資となることがあります。
また、住宅ローンには借入時と完済時の年齢上限が設定されますが、不動産投資ローンでは年齢が設定されていないこともあります。これは不動産投資ローンが家賃収入から返済が行われることに関係しています。
対象年齢
住宅ローンのほとんどは、申込時や完済時の年齢に制限が設けられています。融資を行う金融機関によって異なるものの、申込時は20歳以上70歳未満、完済時は75~80歳未満としている場合が多いです。
このような年齢の範囲内でも、健康状態に問題がある場合は完済できない可能性があると判断されて、借入できないときもあります。
一方で、不動産投資ローンの場合は申込時の年齢に条件がなく、完済時の年齢に制限がないことがほとんどです。高齢の方でもローンを組んで不動産投資ができ、相続対策にも活用できます。
不動産投資の融資における金利の種類
不動産投資の融資を受ける際には、変動金利、当初固定金利、全期間固定金利の3種類から選択できます。各金利タイプにはそれぞれ特徴があり、投資計画や市場の動向に応じて適切に選ばねばなりません。
金利の種類によっては将来の返済額が変わってくるため、慎重に検討する必要があります。投資期間や経済状況の見通しを踏まえ、自分の投資戦略に合った金利タイプを選べば、長期的な収益性を高められるでしょう。
ここでは、変動金利、当初固定金利、全期間固定金利の3種類について詳しく解説します。
変動金利
変動金利は借入期間中に金利が変動する仕組みです。市場金利の変化に連動して金利が上下するため、経済状況に応じて返済額が変わります。
通常、変動金利は固定金利よりも当初の金利が低く設定されています。ただし、金融機関は一定期間ごとに金利を見直し、その時点の市場金利に基づいて新しい金利を適用するのが一般的です。
投資家は金利の変動リスクを負う状況になりますが、金利が下がれば恩恵を受けられる可能性もあります。ここでは、変動金利のメリットとデメリットについて解説します。
メリット
変動金利のメリットは低金利時に借り入れることで、初期の返済負担を軽減できる点です。金利が下がると返済額も減少するため、好況時には投資収益を増やせる可能性があります。
また、金利上昇時でも5年間は返済額が固定され、その後の上昇幅も1.25倍までに抑えられるため、急激な負担増を避けられます。金利が下がった際も、追加の手続きなしで自動的に低金利の恩恵を受けられます。
デメリット
変動金利のデメリットは金利上昇リスクがある点です。経済状況の変化により金利が上昇すると、返済額が増加する可能性があります。
とくに長期の投資計画の場合、将来の金利動向を予測することが難しくリスク管理が課題です。
また、金利上昇時に返済額が増加すると、投資収益が圧迫される恐れがあります。金利上昇が続くと、物件の売却を余儀なくされる可能性もあるため、十分な資金的余裕を持って投資しなければなりません。
当初固定金利
当初固定金利は借入れ時に選択した一定期間のみ金利が固定され、その後は変動金利に切り替わる仕組みです。固定期間は通常3年から10年程度で選択でき、期間中は金利変動の影響を受けません。
固定期間終了後は、借り入れ時点の金利情勢に応じて新たな金利が設定されます。したがって、投資家は固定期間中の安定性と、その後の金利変動の可能性を両立させられます。
ここでは、当初固定金利のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット
当初固定金利のメリットは一定期間の返済額が確定するため、計画的な資金管理が可能になる点です。固定期間中は金利上昇の影響を受けないため、安定した投資計画を立てやすくなります。
とくに投資初期に高額な支出が予想される場合や、収益が安定するまでの期間をカバーしたい場合に効果的です。また、固定期間終了後は変動金利に移行するため、金利が下がった際の恩恵も受けられる可能性があります。
デメリット
当初固定金利のデメリットは固定期間終了後の金利変動リスクが挙げられます。経済状況によっては、固定期間終了時に大幅な金利上昇に直面する可能性があります。
また、固定期間中に金利が下がった場合でも、その恩恵を受けられない点に注意が必要です。さらに固定期間中の繰上返済には手数料がかかる場合が多く、柔軟な資金運用が制限される可能性があります。
全期間固定金利
全期間固定金利は借入れから返済完了まで金利が変わらない仕組みです。借入れ時に決定した金利が全期間適用されるため、返済額が最後まで確定します。
経済状況や市場金利の変動に関わらず、一定の金利で返済を続けられます。長期的な視点で投資計画を立てる際に適していますが、通常は変動金利や当初固定金利より高めの金利設定となる場合が一般的です。
ここでは、全期間固定金利のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
メリット
全期間固定金利のメリットは返済額が借入れ時点で確定するため、長期的な資金計画が立てやすい点です。金利変動リスクがないため、安定した投資計画を立てられます。
とくにインフレ時に借り入れた場合、実質的な返済負担が軽減される可能性があります。また、金融市場の急激な変動に左右されず、安定した経営が可能です。
長期的な不動産投資を考えている投資家にとっては、リスク回避の観点から魅力的な選択肢となるでしょう。
デメリット
全期間固定金利のデメリットは、金利が下がった場合に恩恵を受けられない点です。とくに長期的な金利低下傾向が続く場合、相対的に高い金利で返済を続けることになり、投資効率が低下する可能性があります。
また、通常は他の金利タイプよりも初期金利が高く設定されるため、当初の返済負担が大きくなる傾向があります。さらに景気後退時は収入が減少しても返済額は変わりません。したがって、財務的な柔軟性が低くなる点も考慮する必要があります。
不動産投資の融資で重視されるポイント
不動産投資を目的とした融資は年々、厳しくなってきていると言われます。融資を受けるためには、金融機関が融資を通してもいいと思わせる条件をあらかじめ整えておくことが前提です。
そこで、不動産投資の融資で金融機関が重視するとされるポイントを紹介します。
安定した収入
融資の審査では、収入、勤務先、勤続年数などから、融資を受けるのがどのような人物かを判断します。不動産投資の融資は住宅ローンより金利が高いため、貸倒れのリスクは低いものの、金融機関としては融資を受ける人の属性を把握して、リスクを最小限に抑えたいところでしょう。
もっとも注視されるのが契約者の返済能力です。勤務が安定しており年収が高いほど多くの融資を受けられます。勤続年数は大きく影響しませんが、転職後1年未満など勤務実績が少なすぎると融資は受けにくいのが一般的です。
自分の条件をより良く見せるためには、自己資金に余裕があることをアピールするのがおすすめです。
金融機関との取引実績
人としての「属性」もさることながら、金融機関が気にするのは金融機関とこれまで積み上げてきた取引実績です。
例えば、残高にゆとりある口座を保有している、給与振込口座として利用している、住宅ローンを利用しているなど、融資を申し込んだ金融機関とすでに取引関係にある方なら、その実績が評価されて審査が有利に働きやすいとされます。
取引実績に各種ローンなどの借入金があっても問題ありません。ただし、返済が滞った過去があり、いわゆる「ブラックリスト」に名前が載っていた場合には、審査は厳しいものになるでしょう。
信用情報を扱う機関や内容にもよりますが、返済の延滞は5年ほど記録に残ります。過去の金融事故が残っていないか、融資を申し込む前に確認しておくのがおすすめです。
物件の収益力
不動産投資という融資の目的から、金融機関は対象物件の収益力についても審査対象としています。立地、築年数、構造、物件価格と家賃のバランスなどから、融資に値する物件かどうかが総合的に審査されます。
不動産投資は一般的に、中長期間の投資となるケースが多いため、将来的な収益性の見込みまでが評価に含まれます。ターミナル駅へのアクセスが良い、駅から近い、企業や学校が多いなど、需要の高い物件であり続ける条件が整っていると融資を受けやすいでしょう。
収益性が高いとみなされれば、審査に通るだけではなく、借入れ可能金額もアップします。
不動産投資で融資が受けにくいケース
不動産投資で融資を受けようとする場合、審査をクリアしなければなりません。
ここでは、不動産投資で融資が受けにくいケースを紹介します。
担保となる物件の価値が低い
担保となる物件の価値が低いと、不動産投資で融資が受けられない場合があります。
不動産投資ローンでは、オーナーが返済できなくなったときに備え、金融機関が物件に対して抵当権を設定します。抵当権の設定を行うことによって、ローンの返済ができなくなった場合に、物件を差し押さえて売却を行って債権を回収する仕組みです。
そのため、金融機関は融資の審査を行う際に、物件の収益性にも注目し、担保の価値があるかどうかも評価します。物件の価値が高いと判断されると債権回収がしやすくなるため、審査には有利に働く可能性が高いでしょう。
物件の法定耐用年数が過ぎている
不動産投資で融資を受けようとする場合、物件の法定耐用年数が過ぎていると審査が厳しくなります。
金融機関から融資を受ける際には、「法定耐用年数-経過年数」で融資期間も決まっていくのが一般的です。例えば、木造アパートの法定耐用年数は22年ですが、築10年が経過した木造アパートの物件だと12年が最大の融資期間となります。
この場合だと築22年を超えた木造アパートを購入するにあたって、融資を受けるハードルは高くなってしまうというものです。
ただし、利回りが高い物件であったり、オーナーの個人属性が高かったりする場合は法定耐用年数を超えていても融資を受けられる場合もあります。
融資に申し込みした時点での年齢が高い
不動産投資で融資を受ける際、完済時の年齢によっては審査に影響する可能性があります。
金融機関ごとにローン完済時の上限年齢を設定しており、一般的には80歳〜85歳を上限にしているところが多いです。
返済期間が30年を超えるような場合だと、50代で融資を申し込みすると、審査に影響する可能性が出てきます。年齢条件がクリアしていない場合、返済期間を短くする必要があるため、頭金の負担や月々の返済負担も大きくなります。
雇用形態が安定していない
転職を繰り返したり、転職直後だったりなど、雇用形態が安定していないと金融機関から融資を受けにくくなります。
勤続年数が短いと収入が不安定とみなされてしまい、長期にわたるローンの返済が難しいと判断されるためです。将来的に転職を検討している場合、勤続年数が長いうちに融資を受けておいた方がよいでしょう。
また、自営業者やフリーターで収入が安定していないと審査は厳しくなる傾向にあります。ただし、雇用形態が安定していなくても自己資金や資産を多く保有していれば、融資を受けられる可能性も高くなるでしょう。
不動産投資で融資を受ける流れ
ここからは、不動産投資で融資を受けるまでの流れを3つのステップにわけて紹介します。
申請の準備をする
まずは融資を受ける金融機関を決めます。融資の条件は金融機関ごとに異なりますから、希望に見合う条件かどうか事前に確認してから検討しましょう。
不動産投資の実績がある不動産会社であれば、融資を受けやすい、あるいは借入れ金額の希望が通りやすい金融機関を把握しているものです。また、日頃から取引があるため、審査がスムーズに進みやすい可能性もあります。申請先に悩んだらまずは不動産会社に相談してみて下さい。
申請先が決まれば、融資に必要な書類をそろえます。
物件の概要書やレントロール(各戸ごとの入居状況や賃料がわかる貸借状況の一覧)、売買契約書、重要事項説明書、登記簿謄本、公図といった不動産に関連する書類のほか、住民票や所得証明書、返済計画表など本人に関わる書類もあります。
書類は審査のカギを握ります。質問を受けたらスムーズに答えられるよう、内容を把握しておくことも大切です。
審査を申し込む
金融機関へ訪れる前に、融資の相談予約をしておきましょう。近年はコロナ禍の影響からオンラインでの融資相談を推進する動きもあるので、その点も含めて、あらかじめ確認しておくのがおすすめです。
相談とはいえ、具体的な融資計画があれば実質的な事前審査となります。必要書類を持参し、不動産投資に対する計画について説明を行います。担当者は書類や説明から個人の返済能力や物件の収益性を判断し、本審査に進める案件かどうかを決定します。
本審査に進むことになれば、そのまま書類を提出し、正式な面談を受けます。審査結果は2週間から1ヶ月ほどかかることが多いようです。
融資の手続きをする
本審査に通れば、借入額や借入期間、金利といった融資の条件について説明を受けます。条件に納得すれば、ローン契約を締結します。
不動産投資では通常、融資と同時に抵当権の設定も行われるため、抵当権設定の手続きが終わったあとに指定口座に融資金が振り込まれます。
不動産投資初心者が融資を受けるための4つのポイント
不動産投資に対する融資は厳しくなっていますが、融資そのものを受けることができないわけではありません。ポイントをしっかり押さえておくと、融資を受けることも可能です。
ここでは、不動産投資初心者が融資を受けるための4つのポイントをご紹介します。
できるだけ自己資金を用意しておく
自己資金とは、不動産を購入する際に預貯金などの自分で用意する資金のことです。自己資金が多ければ多いほど、融資額が低くなるため、金融機関に返済能力や計画性の高い融資であると判断されます。
自己資本比率は物件価格の20~30%以上が一般的です。自己資本比率とは、購入する物件の金額のうち、自己資金が占める割合のことを指します。
例えば、購入価格1億円の物件に対して、2,000万円の自己資金を用意した場合の自己資本比率は、次のようになります。
自己資本比率=自己資本2,000万円÷物件価格1億円×100=20%
正確な事業計画書を作成する
不動産投資で融資を受ける際には、事業計画書を作成して融資先に提出する必要があります。金融機関では、融資の審査の際に事業計画書の内容も重視します。
事業計画書とは、購入した物件を運営することによる収入支出や利益、キャッシュなどを具体的に記載した書類のことです。
不動産投資で融資を受ける場合は、該当物件から得られたキャッシュから返済にあてます。そのため、事業計画がしっかりしていないと、金融機関から融資の返済が滞るのではないかと判断されてしまうおそれがあります。
正確な事業計画書を作成しておけば、金融機関からの評価も良くなるため、融資審査に通る確率も上がります。
自身の属性が高い状態で審査を受ける
不動産投資の融資の判断基準に申込者の属性があります。個人の属性とは、その人に返済能力があるかどうかを示す事項です。
例えば、年齢や勤務先、勤続年数や雇用形態、年収、他社からの借り入れ情報などが、個人の属性になります。
自身の属性が高い状態で審査を受けることで、融資の審査に通りやすくなります。ローンの返済や料金の支払いは延滞のないようにしておきましょう。
また、年収が高いほど、かつ勤続年数が長いほど、個人の属性は高くなります。そのため、転職を考えている場合は、転職前に審査を受けるなどの工夫も必要です。
収益性の高い物件を選ぶ
収益性の高い物件を選ぶことも融資を受けるためのポイントのひとつです。金融機関で融資を受ける場合、特に審査への影響が大きいのが物件の収益性です。その物件がどれぐらいの収益を上げられそうかが直接、返済能力の大小に影響するためです。利回りの高い物件を選んだ方が収益性は高くなります。
また、利回りのほか、空室リスク・災害リスクも考慮する必要があるので注意しましょう。
低金利で融資を受けるためのポイント
不動産投資で成功するためには、低金利での融資獲得がポイントになります。
金融機関との良好な関係構築、緻密な事業計画の立案、複数の金融機関での比較検討など、多角的な視点からのアプローチが効果的です。また、投資物件の慎重な選択、適切な金利タイプの決定、十分な自己資金の準備なども重要になるでしょう。
ここでは、低金利で融資を受けるための6つのポイントについて詳しく解説します。
不動産投資会社から金融機関の紹介を受ける
不動産投資会社を介して金融機関の紹介を受けることは、有利な融資条件を引き出すための効果的な手段です。多くの不動産投資会社は金融機関と強固な関係を築いており、個人では得られない優遇条件を獲得できる可能性が高まります。
とくに実績豊富な投資会社は金融機関からの信頼も厚く、融資審査をスムーズに進められる場合があるでしょう。また、投資会社の専門知識を活用すれば、自身の投資計画に最適な金融機関を選択できるメリットもあります。
加えて、投資会社を通すと金融機関との交渉力が強化され、より柔軟な条件交渉が可能になる場合もあります。
綿密な返済計画や事業計画を作る
金融機関から低金利融資を獲得するには、綿密な返済計画と事業計画の作成が不可欠です。
具体的な収支予測、詳細なリスク分析、将来の市場動向の考察など、精緻な計画立案が求められます。とくに投資物件の収益性や将来的な価値上昇の可能性を明確に示さなければなりません。
また、不測の事態に対する対策も盛り込めば、リスク管理能力をアピールできます。計画の精度が高いほど、金融機関の信頼を得やすくなり、低金利での融資を検討してもらいやすくなるでしょう。
複数の金融機関で審査を受ける
低金利融資を獲得するには、複数の金融機関で審査を受けるのが効果的です。融資条件や審査基準は各金融機関によって異なるため、比較検討することで最適な選択ができます。
また、競合他社の条件を示せば、有利な条件を引き出せる可能性が高まるでしょう。
ただし、短期間に多数の審査を受けると、信用スコアに悪影響を与える可能性があるため、計画的に進める必要があります。金融機関との交渉スキルを磨くことも忘れてはいけません。
自身の投資計画の魅力を効果的にアピールできれば、有利な条件を引き出せる可能性が高まります。各金融機関の特徴を把握し、戦略的にアプローチしましょう。
資産価値の高いマンションで投資を始める
資産価値の高いマンションでの投資は、低金利融資を受けるために有効な戦略です。一般的にマンションはアパートなどと比べて構造が堅固で資産価値が高いと評価されます。
とくに立地が良く需要の高い地域のマンションは、金融機関からの評価も高くなりやすいです。
資産価値の高い物件は将来的な売却や担保としての価値も高いため、金融機関にとってリスクが低くなります。結果、低い金利での融資を受けられる可能性が高まるでしょう。
変動金利を選択する
変動金利は低金利での融資を受けるために有効です。一般的には固定金利よりも初期の金利設定が低くなる傾向があります。とくに現在のような低金利環境下では、変動金利を選択するメリットは大きいといえるでしょう。
ただし、将来的な金利上昇リスクも考慮する必要があります。金利上昇時の返済額増加に対応できるよう、財務計画を立てておきましょう。
また、市場動向を注視しながら、適切なタイミングで固定金利への切り替えを検討するなど、柔軟な対応が求められます。
自己資金比率を上げる
自己資金比率を上げることは、低金利での融資を受けるために重要です。高い自己資金比率は、投資家の財務健全性と投資への本気度を示す指標となります。
金融機関にとっては借入額が少なくなるため、リスクが低減されます。結果、有利な金利条件を提示される可能性が高まるでしょう。
また、自己資金が多いほど返済負担が軽減され、安定した投資運営が可能になります。投資開始前には可能なかぎり自己資金を増やす努力をすれば、融資条件の改善につながります。
さらに高い自己資金比率は不測の事態や市場の変動に対する耐性を高め、長期的な投資成功の確率を上げられるでしょう。
不動産投資における自己資金を抑える方法については、以下の記事をご覧ください。
→不動産投資はいくらから始められる?自己資金を抑える8つの方法
不動産投資ローンと住宅ローンを組む順番で影響がある?
マイホーム購入には住宅ローンを組むのが一般的です。マイホームを購入しながら不動産投資を行いたい場合、住宅ローンと不動産投資ローンのふたつを併用することになりますが、先に組むローンが後に組むローンの審査に影響を与えます。
そこで問題となるのが、先に住宅ローンを組んでマイホームを購入するのか、先に不動産投資ローンを組んで不動産投資を始めるかという点です。
一般的には不動産投資を先に始めたほうが良いとされますが、どちらもメリット・デメリットがありさまざまな見方ができます。将来的なことまでよく検討した上で決定することが重要です。
住宅ローンを先に組むメリット・デメリット
まず、住宅ローンを先に組んだ場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット
住宅ローンを先に組むメリットは、ほかに借入がなければ希望額の融資を受けられる可能性が高いことです。自宅に多くの予算を充てられるため、マイホームの選択肢が増えます。
職場や学校から近い場所が良い、子育てがしやすいエリアに済みたい、立地が良いなど、希望に応じた住宅を選びやすくなります。
住環境を重要視したい場合には、先に住宅ローンを組んでマイホームを購入するほうが良いでしょう。
デメリット
住宅ローンを先に組むデメリットは、不動産投資のスタートが遅くなるおそれがあることです。マイホーム購入には住宅ローンが利用できるものの、頭金を一定額入れなければならず、自己資金が減ることになります。資金状況によっては不動産投資のための費用を確保するのに時間を要するでしょう。
また、住宅ローンを組んでいることで、不動産投資ローンの審査にマイナスの影響をおよぼすことがあります。返済額が多くなりすぎると返済不能に陥るリスクが高まるからです。
そのため、先に不動産投資ローンを組む場合に比べ、限られた資金しか調達できないかもしれません。後々不動産投資を始めたいと考えているなら、不動産投資ローン利用を前提とした資金計画を立てる必要があるでしょう。
不動産投資ローンを先に組むメリット・デメリット
不動産投資ローンを先に組むメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット
不動産投資ローンを先に組むメリットは、賃貸経営が順調であれば家賃収入をマイホーム購入資金に充てられることです。投資で自己資金を増やしておけば、住宅ローンで有利な金利が適用される可能性があり、マイホーム購入後の返済における負担を減らせるでしょう。
住宅ローンと不動産投資ローンを比較したとき、融資の審査が厳しいのは不動産投資ローンです。そのため、住宅ローンを先に組むと、与信枠が減って不動産投資ローンの審査に通りにくくなりがちです。与信枠とは、個人が金融機関から借りられる金額の上限を指します。与信枠に余裕がある状態で先に不動産投資ローンを借りるほうが、審査に通りやすいともいえます。
また、融資先の金融機関によって収益物件の担保価値や家賃収入が評価されると、住宅ローン審査が有利になる可能性もあります。
不動産投資ローンが先であれば、残債分を家賃収入でカバーできることもメリットです。同時に、安定した家賃収入を得られていれば、返済能力を裏付けるため、住宅ローンの融資にも有利に働くのです。
なお、フラット35なら不動産投資ローンの残債は関係なく住宅ローンを組むことができます。フラット35を借りられるのは「一棟の共同住宅を保有するためのローンに限る」とされていますので、該当する方はチェックしてみてください。
デメリット
不動産投資ローンを組んで賃貸経営を始めたあと赤字経営が続くと、不動産投資が負債とみなされ、住宅ローン審査に悪影響が出るおそれがあります。
結果的に、希望額での融資が叶わず、マイホームを妥協しなければならなくなるおそれもあります。給与収入との損益通算で節税を目的としている場合は特に注意が必要です。
また、収入に対して借入額の割合が高い場合も住宅ローンの審査に影響が出ることがあります。こちらは次項で詳しく説明します。
住宅ローンと不動産投資ローンを併用する際の注意点
住宅ローンと不動産投資ローンは併用が可能です。しかし、ローンの種類が異なることによる取り扱いの違いや、収入に対する借入金の割合に注意しましょう。
不動産投資ローンは「住宅ローン控除」の適用外
住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン控除という税制優遇を受けられます。2022・23年は年末のローン残高の0.7%について、13年間所得税の控除を受けられます。
しかし、事業用の不動産投資ローンについては、住宅ローン控除は適用対象外です。
申し込み時の「返済比率」に注意
返済比率とは、年収に対する年間返済額の割合をいいます。返済額には、不動産投資ローンはもちろん、住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローンなどが含まれます。この返済比率が30~35%を超えた場合、住宅ローンが利用できないケースが多いです。
それに対して、不動産投資ローンは事業用であり物件の収益性も判断されるため、返済比率は重視されない傾向があります。住宅ローンと不動産投資ローンを併用する場合で住宅ローンを後に組む場合には、返済比率にも注意しましょう。
返済比率を抑える方法については、以下の記事でご紹介しています。
投資用物件の「売却リスク」に注意
不動産ローンの返済に行き詰まったときは、物件の売却を検討しましょう。残債を上回る金額で物件を売却できれば、不動産投資ローンを一括返済して負債をなくせるためです。
しかし、不動産は必ず購入価格と同じ金額で売却できるとは限りません。売却価格がローンの残債を下回ってしまうケースも十分予想できます。
売却価格がローンの残債を下回ると、金融機関が売却を許可してくれません。住宅ローンと不動産投資ローンのふたつを返済していく必要が生じ、破綻リスクが一気に高まってしまうためです。
特に、新築マンションをフルローンで購入したときに起こりやすいリスクです。
人生設計を考慮してローンを組む順番を決める
不動産投資ローンと住宅ローンを併用して融資を受けるのは可能です。しかし、どちらを先に借りても、後で受ける融資が不利になる可能性が高いです。そのため、不動産投資ローンと住宅ローンを組む順番は、人生設計に大きく影響を与えます。
ローンを併用したい場合、まずは金融機関に融資上限額を確認することをおすすめします。また、不動産投資による資産形成を優先させるか、それともマイホームを取るのかをしっかり考えておきましょう。
まとめ
不動産投資で成功するためには融資の仕組みを理解し、低金利での借り入れが重要です。金利の種類や特徴を把握し、自身の投資計画に合った選択をすることで、長期的な収益性を高められます。
また、不動産投資会社の活用、綿密な事業計画の作成、複数の金融機関での比較検討など、さまざまな戦略を組み合わせれば、有利な条件での融資獲得が可能です。
また、融資獲得後は適切な方法での運用も不動産投資の成功のカギを握ります。
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