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不動産投資で元を取る目安は、一般的に5年から10年程度といわれています。しかし、投資した資金はいつ頃回収できるのか、もし回収できなかったらどうすればいいのかと不安に思う方は多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産投資で元を取る目安と回収できない場合の対処法について詳しく解説します。投資を成功させるための重要なポイントとして、低金利の金融機関の利用や適切な不動産管理会社の選択についても触れています。
不動産投資に関する情報を理解し、リスクの軽減と投資資金を回収する方法を身につけましょう。
不動産投資のコストは何年で元を取ることができるか
初期コストがかかる不動産投資では、何年運用すると元を取ることができるのでしょうか。
元を取るまでの明確な年数は投資金額や利回り、保有期間によって変わりますが、一般的には5年~10年が目安といわれています。
ここでは、「そもそも不動産投資にはどのようなコストがかかるのか」「どんな収入で元を取っていくのか」などを解説します。
→不動産投資のランニングコスト一覧!コストを抑える5つの方法とは
元を取る目安は5年~10年
不動産投資で元を取るためには、運用を始めてから5年~10年が一つの目安です。
元を取るというのは「これまで払ってきた金額を回収する」ことであり、不動産投資で得た利益でローンの残債や物件取得の資金、経費などを回収できる状況を指します。
5年~10年が目安になる理由は、短期だと家賃収入などの利益が見込めないこと、長期だと売却益の不確実性が高くなるためです。
また、不動産を売却する際には譲渡税という税金が必要ですが、物件を取得してから5年までは高い税率が課せられます。
そのため、不動産を売却するなら税率が下がる5年を超えてからが一つの目安です。
不動産投資にかかる初期費用
不動産投資では、物件購入費用として数百万円~数千万円が必要です。一般的には、この金額のほとんどを金融機関の融資(不動産投資ローン)でカバーします。
また、物件購入費用以外にも登記費用や仲介手数料などの諸経費が5%~10%ほどかかり、数十万円~数百万円の費用が別途必要です。
不動産投資は初期費用が多くなりやすいため、元を取るまでに時間がかかります。
他にも、頭金なしのフルローンが組めない場合だと、物件購入費用の10%~30%が頭金として必要です。
もちろん、フルローンを利用した場合や物件価格が安いと初期費用も少なくなります。
なお、不動産投資にかかる主な初期費用は以下の通りです。
物件の頭金
不動産投資における頭金は、物件価格の10%から20%程度が一般的です。例えば、1,000万円の物件であれば、100万円から200万円の頭金が必要になります。
頭金を多く支払うと借入額を減らせるほか、毎月のローン返済額を抑えられます。しかし、頭金を増やすことで手元資金が少なくなり、予期せぬ支出に対応できなくなるリスクもあります。
したがって、頭金の設定には十分な検討が必要です。また、不動産取得税など、物件購入後に発生する費用もあるため、ある程度の資金を手元に残しておく必要もあります。
投資を長期的に成功させるためにも、バランスの取れた資金計画を立てましょう。
不動産仲介手数料
不動産仲介手数料は、物件の売買契約を仲介する不動産会社に支払う成功報酬です。手数料は法律で上限が定められており、400万円を超える物件の場合は物件価格の3%プラス60,000円が上限になります。
例えば、1,000万円の物件なら36万円(税別)、2,000万円の物件なら66万円(税別)が上限額です。ただし、この金額はあくまで上限であり、実際の手数料は不動産会社によって異なります。また、デベロッパー(新築マンションの売り主となる不動産会社)から直接購入する場合は、一般的に仲介手数料はかかりません。
物件を探す際は仲介手数料の有無や金額を確認し、総費用を含めて検討しましょう。
不動産投資ローンの事務手数料
不動産投資ローンを組む際には、金融機関に対して事務手数料を支払う必要があります。
事務手数料は定額制とローン総額に対する定率制の2種類です。定額制の場合は約30,000円、定率制の場合は借入金額の1%から3%程度が目安になります。
ただし、定率制の場合は借入金額が大きくなると、10万円以上になる場合があるため注意が必要です。また、物件調査のための出張手数料が別途かかる金融機関もあります。
さらに将来的な繰り上げ返済の際にも事務手数料がかかる可能性があるため、ローン契約時に詳細を確認しておきましょう。
事務手数料を事前に把握し、投資計画に組み込んでおけば、より正確な資金計画を立てられます。
不動産投資ローンの保証料
不動産投資ローンを組む際にはローン保証会社との契約が必要です。ここで保証会社に支払う料金が保証料になります。
保証料の支払い方法は一括払いと金利上乗せの2種類です。一括払いの場合は借入金額の約2%を契約時に支払い、金利上乗せの場合は0.2%から0.3%程度を利息に上乗せして支払います。
一括払いは総額でみると低くなりますが、初期費用は高くなります。一方、金利上乗せは初期費用を抑えられますが、毎月の支払いが増えます。
保証料は借り主の信用度や支払い期間によっても変動するため、自身の財務状況に合わせて最適な支払い方法を選択しましょう。ローンの返済計画を立てる際は必ず考慮するようにしてください。
印紙代
不動産投資を行う際にはローン契約書である金銭消費貸借契約書と、物件購入に関わる不動産売買契約書に印紙を貼付する必要があります。理由はそれぞれの文書に対する税金を支払うためです。
印紙税の金額は経済取引の規模によって異なる累進課税制です。例えば、契約書の金額が1,000万円から5,000万円の場合は20,000円、5,000万円から1億円の場合は60,000円の印紙代がかかります。
印紙を貼り忘れたり消印をしなかったりすると、税額の3倍にあたる過怠税を支払うことになるため注意が必要です。なお、印紙税の税率は変更される可能性があるため、購入前に最新の情報を確認しておきましょう。
登録免許税
不動産を購入する際には、所有権や抵当権に関する複数の登記が必要です。これらの登記に対して支払う国税が登録免許税になります。
新築物件の場合は所有権保存登記(税率4%)、中古物件の場合は所有権移転登記(税率2%)が必要です。
重要なポイントは税率の基準となる課税標準が物件の購入価格ではなく、固定資産税評価額という点です。また、不動産投資ローンを組む場合は、金融機関に物件の抵当権を設定する必要があります。抵当権設定登記にかかる登録免許税は借入金額の0.4%です。
これらの税金は物件購入時の重要な初期費用となるため、事前に金額を把握し、準備しておく必要があります。適切な計画を立て、投資開始時の資金負担を軽減しましょう。
不動産取得税
不動産取得税は物件購入者が都道府県に納める地方税です。
不動産取得税は物件購入時には納税しませんが、所有権取得後3か月から6か月、時には1年後に納税通知書が届きます。収益用不動産にかかる不動産取得税の税率は4%で、物件の価格ではなく固定資産税評価額にかかります。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の物件であれば、40万円を後日納税する仕組みです。
不動産取得税は初期費用には含まれませんが、投資開始後の大きな出費となるため、事前に計算して資金を準備しておく必要があるでしょう。資金計画に含めれば、投資開始後の資金ショートを防げるほか、安定した不動産投資が可能になります。
固定資産税や都市計画税
固定資産税と都市計画税は、1月1日時点での不動産所有者が納める地方税です。それぞれの税金は通常セットで納税します。
物件購入時には引き渡し日の前後で日割り計算し、売主と買主で費用を分担するのが一般的です。固定資産税の納税額は物件の固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は固定資産税評価額の0.3%が上限になります。
ただし、実際の税率は市町村によって異なります。また、都市計画税は都市計画区域内の不動産にのみ課税されるため、物件によっては都市計画税がかからない場合もあるでしょう。
固定資産税と都市計画税は毎年発生する費用です。長期的な収支計画を立てる際には必ず考慮する必要があります。
司法書士への報酬
不動産取得の際にはさまざまな登記手続きが必要です。しかし、すべての手続きを確実に行うためには司法書士へ依頼します。
司法書士への報酬は事務所によって異なりますが、一般的に登記手続きや登録免許税の実費を合わせて10万円程度です。
不動産登記では売主から権利証や印鑑証明書などの重要書類を預かる必要があるため、売主と買主の双方にとってリスクが高い側面があります。したがって、専門知識を持つ司法書士に任せれば、安全かつ確実な手続きが可能です。
司法書士への依頼は追加の費用がかかりますが、登記に関するトラブルを防ぎ、スムーズな不動産取得を実現するための重要な投資といえます。
火災保険料
不動産投資ローンは火災保険への加入が融資条件となる場合がほとんどです。なぜなら物件自体が金融機関にとっての担保となるためです。
火災保険料は物件を再建築するのに必要な金額(再調達価額)を基準に算出されます。マンションの場合は10年間で10万円程度ですが、木造物件では3倍程度の保険料がかかる場合もあるでしょう。
また、水災補償や風災補償など、補償内容の違いによっても保険料は変動します。さらに地震保険への加入も検討しなければなりません。
これらの保険は突発的な事故や災害による損失を軽減し、安定した不動産経営を可能にするために重要です。適切な保険選びは長期的な投資の安全性を高めてくれます。
火災保険の必要性については以下の記事をご覧ください。
→不動産投資で火災保険は入るべき?保証内容や防げるリスクを解説
不動産投資の収入源
不動産投資の初期費用を回収するための収入源は、主に家賃収入とキャピタルゲイン(売却益)です。
物件保有期間の元本返済を資産とみなすことができるため、家賃収入によって借入金額の返済が多く進むほど、キャピタルゲインも多く見込めるようになります。
しかし、不動産の種類によっては築年数に応じて価値が下がるため、購入価格よりもキャピタルゲインが大幅に下がると元を取ることができません。
そのため、元本返済を資産としてみなす場合は、ローン残債よりも売却価格が上回ることを前提とします。
インカムゲイン(家賃収入)
インカムゲインは不動産投資における基本的かつ安定した収入源です。物件に入居者が決まれば、毎月定期的に家賃収入を得られます。
家賃収入は他の金融商品と比較しても景気変動の影響を受けにくいのが特徴です。ただし、実際の利益を計算する際は、家賃収入から管理費や修繕費、ローン返済額などの経費を差し引く必要があります。
この差引後の収支がプラスであれば、投資は黒字です。
インカムゲインを最大化するためには、適切な物件選びと綿密な資金管理が重要です。
キャピタルゲイン(売却益)
キャピタルゲインとは、物件を購入価格よりも高い価格で売却することで得られる利益です。不動産価格が上昇している地域や時期に期待できる収入源になります。
過去の不動産バブル期には、キャピタルゲインを主な目的とする投資が流行しました。しかし、現在の不動産投資では、安定した家賃収入を重視するインカムゲイン型の投資が主流です。
キャピタルゲインは不動産市場の動向に大きく左右されるため、予測が困難でリスクも高くなります。そのため、キャピタルゲインを狙う場合は、地域の開発計画や人口動態、経済情勢などを十分に調査し、長期的な視点で物件を選択しなければなりません。
具体的な回収期間はシミュレーションで算出
回収期間の目安は5年から10年ですが、物件ごとに状況は異なるため、数値化して比較する必要があります。
投資物件の広告などで掲載されている売却価格や表面利回りだけでなく、保有期間によるキャッシュフローの変化などをシミュレーションして、長期的な視野に立った賃貸経営や資金の計画を立てることが大切です。
不動産投資で元を取るために何年かかるかを算出する方法
不動産投資で元を取るまでの年数の算出方法としては、さまざまな考え方があります。以下で詳しく紹介します。
CCR
CCRは自己資金配当率のことで、物件購入時に支払った自己資金に対する年間キャッシュフローの割合を指します。
キャッシュフローは家賃収入から物件の運営費や税金、融資返済額を差し引いた金額のことで、手元に入ってくるお金です。
空室や家賃の滞納が発生した場合は、家賃収入からこれらを差し引いて計算を行います。CCRの計算式は以下の通りです。
「年間のキャッシュフロー÷物件購入に用いた自己資金×100」
また、元を取るまでの年数は「100÷CCR」で計算できます。以下の条件でCCRや元が取れるまでの年数を計算してみましょう。
- 年間のキャッシュフロー:200万円
- 物件購入に用いた自己資金:1,000万円
この場合、CCRは100万円÷1,000万円×100%=10%となり、元が取れる年数は10年となります。
ただし、CCRにはキャピタルゲインが含まれていないため、実際にはさらに早く元が取れる可能性もあります。
実質利回り
実質利回りが分かっている場合は、利回りから元が取れるまでの年数を算出できます。実質利回りとは表面利回りから経費を差し引いたもので、以下の計算式で求められます。
「(1年間の家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時の諸経費)×100」
また、元を取るまでの年数は「100÷実質利回り」で計算できます。以下の条件で実質利回りや元が取れるまでの年数を計算してみましょう。
- 1年間の家賃収入:100万円
- 年間諸経費:30万円
- 物件価格:1,000万円
- 購入時の諸経費:100万円
計算式に当てはめると、「(100万円-30万円)÷(1,000万円+100)×100=6.3%」となります。つまり、元が取れる年数は「100÷6.3%」で約16年です。
なお、不動産情報サイトなどに記載されている利回りは主に表面利回りのことであり、年間諸経費や購入時の諸経費は反映されていません。
そのため、元が取れるまでの年数を計算する際には実質利回りを用いましょう。
→利回りの最低ラインは何%?不動産投資で損をしないためのポイント
IRR
IRRは投資案件の収益性を評価する指標の一つで、内部収益率とも呼ばれています。
投資資金をどれくらいで回収できるかを算出し、投資の効率性を図るために用いられることが多いです。IRRは複雑な計算式で用いられますが、簡略化すると以下のようになります。
「(総家賃+売却益)-(総支出+税金)÷購入金額×年数」
なお、IRRはExcel関数を用いることによって簡単に計算できます。
IRRは他の方法と違って売却額まで含まれた利回りとなるため、より詳細に元が取れるまでの年数を把握できます。
一方、売却価格の査定を算出することは簡単ではなく、数年先にいくらで売れるかは正確に判断できません。あくまでも目安として参考にしましょう。
PB
PB(Pay Back Period)は資金回収期間といわれ、より具体的に回収期間を数値化できる指標です。
PBは「投資額÷(年間収益-諸経費)」で算出でき、導き出された数値が低いほど短期での回収が可能になります。
諸経費を含めた計算になるため、CCRよりもリアルな数値が算出できることがPBの特徴です。しかし、計算に使用する手数料や税金などの諸経費を低く見積もってしまうと、実際の回収期間とのギャップが生じてしまいます。
PBを算出する際は、具体的な数字を落とし込むようにしましょう。また数値が高すぎる場合は、投資額を減らすか年間収益のアップ、諸経費の削減につながる計画が必要です。
ROI・ROE
ROI・ROE (Return On Investment)(Return On Equity)は投資収益率と呼ばれ、自己投資額だけでなく借入金まで含めた総投資額に対し、年間収益を知る指標です。
ROI・ROEは「年間収益÷総投資額(自己資金+借入金)×100」で算出できますが、物件購入前で総投資額が決定していない場合は、リアルな数値が算出できません。物件購入後や、借入金の額が決定した時点の予測値として活用しましょう。
ROI・ROEでは、算出された数値が高ければ高いほど回収期間が短く、効率的であるといえます。
資金回収シミュレーションの事例
ここからは、先ほど紹介した利回りやCCR、PB、ROI・ROEを使った資金回収シミュレーションの事例を紹介します。
<新築アパート一棟>
- アパートの価格:7,000万円
- 自己資金:500万円
- 家賃:12万円/月×10部屋
- 借入金:6,500万円/35年ローン=月々の返済215,320円
- 固定金利:2%
- 諸経費:家賃収入の15%
家賃収入が毎月12万円×10部屋×12か月とすれば、年間で1,440万円になります。空室リスクも考えなければならないので20%を空室とすると1,440万円×0.8=1,152万円が家賃収入として算出できます。
運用にかかる諸経費は15%のため、1,440万円(満室時の家賃収入)×0.15=216万円(諸経費)となります。ここまで計算すると、以下の計算式で利回りやCCR、PB、ROI・ROEがわかります。
・表面利回り
(1,440万円-216万円)÷7,000万円×100=約17%
・実質利回り
(1,152万円-216万円)÷7,000万円×100=約16%
・CCR
1,440万円÷500万円×100=288%
・PB
500万円÷(1,440万円-216万円)=0.4年
・ROI・ROE
1,440万円÷(500万円+6,500万円)×100=20.5%
こちらのシミュレーションはあくまで仮説です。不動産投資には突発的な修繕や、需要低下による空室率増加といったリスクもあります。計算式を用いて算出した結果は、参考程度として捉えましょう。
不動産投資で元が取れない場合の対処法
不動産投資で元が取れそうにないときは早めの対策が必要です。ここでは、元が取れない場合の対処法を3つ紹介します。
空室がある場合は空室対策を行う
不動産投資で元が取れない際、空室がある場合は空室対策を行いましょう。
なぜなら、不動産投資における主な収入は家賃収入であり、空室が続くと収入がなくなるだけでなく、諸費用の支払いで損失が大きくなり元が取れなくなるためです。
特にワンルームマンション経営のように対象物件が少ない場合は、空室が発生したタイミングから新しい入居者が見つかるまでの家賃収入は0円になります。
一方、空室対策にコストをかけすぎると、諸経費が大きくなって元が取れるまでの年数が伸びてしまう点にも注意しなければなりません。
コストをかけない空室対策としては、以下のようなことが挙げられます。
- ペット可にする
- ルームシェア可にする
- 外国人入居者を受け入れる
- 単身高齢者を受け入れる
- 内見しやすくする
- 物件情報を充実させる
- 集客力の高い管理会社に依頼する
空室対策をしても改善しない場合は、立地に問題がある可能性もあります。
このケースだと物件を保有し続けるだけ損失が大きくなるため、早めに売却を検討して新たに収益性が高い物件を探すなどの対策も必要です。
保有期間を長くする
不動産投資で元を取るためには、物件の保有期間を長くすることも方法の一つです。
保有期間が長くなるとローン残債も少なくなるため、売却時に初期コストの回収ができる可能性が高くなります。
一方、長期保有には不確実性が高いリスクがある点にも注意が必要です。
例えば、長期保有している間に経済が変化してお金の価値が変わる可能性や、キャピタルゲインが減少する場合もあります。
そのため、保有期間を長くした場合のシミュレーションもしっかりと行い、短期で売却した場合との比較もしながら判断することが大切です。
リノベーションやリフォームを行って物件価値を高める
物件の魅力が低いことによって入居率の低下が懸念されるのであれば、リノベーションやリフォームを行って物件価値を高めましょう。
たとえば、築年数の古い中古物件で不動産投資を運用している場合、家賃が安くても内装がキレイでなければ入居者が集まりにくくなります。そのため、リノベーションやリフォームを行って内装を一新すれば入居率を上げられる可能性が高まります。
また、古い住宅設備を入れ替えるのも有効な手段です。温水洗浄便座への変更や省エネ性能の高いエアコンの導入などを検討するとよいでしょう。
とくにトイレは入居を決める重要なポイントといっても過言ではありません。ユニットバスよりも風呂・トイレ別の物件のほうが入居者に好まれる傾向が高いため、変更工事を検討するのもおすすめです。
ただし、リノベーションやリフォームには高額な費用がかかります。設備や内装を変更したからと言って必ずしも入居者が現れるとは限らないため、競合物件と比較しながら必要性を検討したのち判断しましょう。
出口戦略を考えておく
不動産投資では出口戦略も重要です。
代表的な出口戦略としては、収益物件や自己居住用の物件として売却する方法が一般的ですが、オーナー自身が居住したり、家族に相続したりなど、さまざまなパターンがあります。
売却を検討する場合は、これまでの実績から安定した賃貸需要が見込めることが条件です。
需要が期待できないとキャピタルゲインが見込めず、ローンが残っている場合は売却益で完済ができないケースもあります。
また、物件を少しでも高く売りたいという理由から修繕やリフォームを行う場合もありますが、これらにかかるコストを回収できるかについても慎重に検討しなければなりません。
出口戦略は物件を購入する前段階から考えておくことが望ましいですが、物件をすでに購入している場合は、「元を取るまでに何年かかるか」「収益性はあるか」などから判断し、早いうちから計画を立てておく必要もあります。
資金の回収期間を短縮するポイント
不動産投資において、資金回収期間は重要な指標のひとつです。資金回収期間を短縮できれば、早期の収益化を図れます。ここでは、不動産投資のコツともいえる回収期間を短縮するポイントについて解説します。
自己資金を減らす
CCRの計算式から解るように、回収期間を短縮するためには、自己資金を少なくするか、収益額を増やすしかありません。
自己資金を減らすためにはローンを利用します。ローン返済で収益額は減少しますが、自己資金を大きく減らせば、収益率は上がります。
また、収益率の上昇により回収期間は短縮されます。ただ、借りすぎてしまうと賃貸経営が上手くいかなくなったときに返済できなくなりますので、返済可能額を見極める必要があります。
物件を厳選する
金融機関の融資では、物件の耐用年数が審査の対象となります。残存耐用年数の長い物件であれば、返済期間を長くして毎年の返済額を抑え、収益額を増やすことが可能です。
返済期間を延ばせば利息総額が増えますが、「低金利が続いていること」「手持ちの資金が増えること」などを考えると、結果的に回収期間を短縮できることからも、返済期間を長くしたほうがメリットは大きくなります。
具体的な物件の構造として、鉄筋で補強されているRC造であれば、法定耐用年数が47年と長く、築20年以内の物件は長期の融資を受けられる可能性がありますので、返済期間に注目した物件探しは重要です。
利回りの高い物件を選ぶ
資金回収を短縮するためには、高い利回りを期待できる物件を選ぶことが大切です。
たとえば、中古物件を検討する場合でも、状態が良ければ購入後の修繕費用を抑えられるため、結果的に資金回収の期間を短縮できます。
ただし、シミュレーション上の利回りばかりに注目してはいけません。
最もチェックしておくべき点が賃貸需要です。
いくら利回りが高くても賃貸需要の少ないエリアでは空室率が上がり、想定した収入を得られないケースもあるでしょう。そのため、利回りの高さとともに賃貸需要の有無を見極める必要があります。
ランニングコストを削減する
不動産投資は運用中にさまざまなランニングコストが発生します。ランニングコストは毎月のように発生する費用となるため、削減できれば資金回収の短縮につながるでしょう。
また、実質利回りの計算時にはランニングコストを含めます。コスト削減が可能となれば利回りのアップも期待できます。
不動産投資における主なランニングコストは以下の通りです。
- 管理委託費用
- 点検・清掃・修繕費用
- 火災・地震保険料
- 各種税金
- ローンの返済
なお、ランニングコストの目安は、家賃収入の20~30%程度です。年間の家賃収入が150万円であれば、30~45万円ほどが理想的でしょう。
もし目安以上にランニングコストが発生した場合、キャッシュフローの悪化を招くだけでなく、資金回収の長期化が懸念されるため、各コストを見直してください。
また、ランニングコストの削減を検討しやすいのが管理委託費用や修繕費です。委託管理会社を比較し、コストと代行してくれるサービスのバランスを考えれば費用を抑えられます。
修繕費については、日ごろから定期的な点検・清掃といったメンテナンスを行っていれば住宅設備の大きな破損や故障を防ぎ、高額な出費の発生を防げます。
できるだけ低金利の金融機関を利用する
資金回収を早めるなら、できるかぎり低金利の金融機関を利用するようにしましょう。例えば、借入金額5,000万円、返済期間35年の場合、金利が1%と2%では、総返済額に約1,028万円もの差が生じます。
また、金利の他にも融資期間や返済方法なども重要です。マンションなどのRC造やSRC造の物件は、木造物件よりも長期の融資を受けやすい傾向にあります。
総返済利息を減らしたい場合は短めの融資期間を、毎月のキャッシュフローを重視する場合は長めの融資期間を選ぶとよいでしょう。
金利の相場については、以下の記事をご覧ください。
→金利の相場は?不動産投資の金利を決める要因と低金利で借りる7つのコツを紹介
不動産投資におけるあらゆるリスクを想定する
不動産投資では、あらゆるリスクを想定した運用が重要です。高い利回りを望める物件であってもリスクを想定しない場合、急なトラブルによって予期せぬコストが発生し、結果的に資金回収の長期化が懸念されます。
不動産投資運用中に想定しなければいけないリスクは以下の通りです。
- 空室リスク
- 家賃滞納リスク
- 家賃下落リスク
- 修繕リスク
- 金利上昇リスク
- 災害リスク
- 物件価値低下リスク
これらは、どのような物件であっても向き合わなければいけないリスクです。しかし、適切な対策を行っておけば、万が一のリスクのダメージを軽減できます。
たとえば、設備のグレードアップを行い、競合物件との差別化を図れば空室リスクの上昇を防げるケースもあります。また、予期せぬ災害に備えた損害保険への加入、高額な修繕費の発生を防ぐための定期的なメンテナンス、金利上昇時にローンの借り換えなどもリスクの軽減には有効な手段です。
各リスクは不動産投資を運用する際に避けられませんが、適切な対策を行っておくことでダメージを軽減できるでしょう。予期せぬ出費による資金回収の長期化を防ぐためにも、リスクを想定して運用を行ってください。
家賃収入以外の収入源を確保する
家賃収入以外の収入源を確保することでも不動産投資の資金回収を短縮可能です。とはいえ、収益物件に関連した方法でなければ意味がありません。
家賃収入以外の収入源を確保する代表例は以下の通りです。
- 自動販売機の設置
- 看板や広告の設置
- 駐車場の設置
- シェアモビリティの拠点設置
例えば、自動販売機、看板や広告の設置はサブの収入源を確保するためには有効な手段です。月に数千円~数万円ほどの少額の利益ですが、資金回収の短縮にも貢献するでしょう。
また、近年ではシェアモビリティの拠点設置も不動産投資を運用するオーナーから注目を集めています。電動自転車や電動キックボートなどの拠点を設置することによって、毎月決まった金額が収入源のひとつになります。
たとえば、電動キックボードのLOOP(ループ)は、初期費用がかからないため、敷地内にスペースがあれば検討するのもおすすめです。収入面については明かされておらず、設置環境や台数によっても異なりますが、1台につき月額1,000円ほどの収入を見込めます。
ただし、家賃収入以外の収入源を確保するためには、基本的に1棟投資や戸建て投資の必要があります。区分マンション投資の場合は家賃収入以外の収入源確保は難しいといえるでしょう。
管理業務に精通した不動産管理会社に任せる
不動産投資を成功させるためには、管理業務に精通した不動産管理会社の活用が重要です。多くの投資家は本業を持ちながら不動産投資を行っているため、日常的な管理業務を自身で行うのは困難です。
適切な管理会社を選べば、入居者の募集や家賃の集金、建物のメンテナンス、クレーム対応などを効率的に行えます。
管理会社を選ぶ際は費用面だけでなく、対応力も重要な選考基準です。適切な管理会社を選び、長期的な投資の成功につなげましょう。
https://aslife.ne.jp/media/investment/management_company
https://www.rals.co.jp/invest/column/management/management-merit/
不動産投資で元を取るために物件購入前に考えておきたいこと
不動産投資で元を取るためには、物件選びにこだわりましょう。なぜなら、元を取るまでの期間は物件の収益性に大きく左右されるためです。
物件選びでは立地や将来性、建物の状態など、さまざまな要素を考慮する必要があります。
物件価格が安くても空室率が高ければ、不動産投資で元を取ることは難しいでしょう。一方、物件価格が高くても安定して家賃収入が期待できれば、早い段階で元を取ることができる場合もあります。
また、空室や家賃滞納が発生した場合の対処法や災害、修繕への対策を事前に立てておくことも大切です。思わぬトラブルで安定した家賃収入が得られなくなり、当初の予定通りにならないケースもあります。
しかし、不動産投資は専門性が高く十分に把握できない部分もあります。そのような場合は不動産会社に相談し、専門家の力を借りながら進めていくのもよいでしょう。
→不動産投資で成功する人の特徴とは?成功率を上げるポイントを解説
まとめ
不動産投資で元を取るまでの期間は一般的に5年から10年程度です。この期間を短縮し、投資を成功させるためには、初期費用の正確な把握、適切な物件選び、低金利の融資の利用、効率的な物件管理が重要になります。
この記事で解説したポイントを押さえ、長期的な視点で投資を行い、安定した収益を目指してください。適切に運用すれば、魅力的な資産形成を実現できるでしょう。
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ランニングコストの削減のために管理会社の変更などをお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。