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【3つのリスク】地震は不動産投資にどれくらい影響する?
大きな地震が発生することで不動産投資に及ぶリスクは次の3つです。
物件に被害が生じる
大きな地震が発生すると、建物の壁にひび割れが生じたり窓ガラスが破損してしまったりする可能性があります。震度によっては倒壊するおそれもあります。
地震被害のある物件は不動産価値が下がるので、売却益が思った以上に見込めなくなることも考えられます。
物件の修繕にコストがかかる
地震による被害で賃貸物件の一部が破損してしまった場合には、その修繕費用はオーナーが負担しなければなりません。被害状況によっては修繕費用が高額になることもあります。
たとえば、壁にひび割れが生じてしまったり、建物全体が傾いてしまったりしたような場合です。修繕のためにローンを組まなければならなくなることもあります。
また、被害状況によっては再度融資を受けようにも、物件を担保にできず融資を受けられないこともあります。たとえローンを組めたとしても、二重ローンのリスクを背負うことになります。
収益が見込めなくなる
地震で入居者が住めない状態になってしまえば、家賃収入も途絶えてしまいます。ローンを利用していて残債があるなら、家賃収入が途絶えても返済を続けなければならないので大きな負担となります。
また、不動産価値が下がった物件は、修繕後も以前と同じように家賃収入が得られるとは限りません。
不動産価値の下落により、家賃を以前の金額より下げざるを得なくなることも多いです。新しい入居者がなかなか見つからないこともあるでしょう。
不動産投資で地震が発生したときにオーナーがとるべき責任
不動産投資において自然災害は不可抗力であるため、損害賠償責任が生じる過失や故意には当てはまりません。
一方、建物の状況によってはオーナーが責任を負わなければならないケースもあります。
ここでは、不動産投資で地震が発生したときにオーナーがとるべき責任を紹介します。
建物の瑕疵があった場合
建物に瑕疵がある場合、地震によって第三者を死傷させてしまうと、オーナーが責任を問われるケースがあります。
瑕疵とは通常あるべき性能や品質を有しないことであり、不動産投資においては土地や建物にある欠陥のことです。
例えば、建物やブロック塀などが備えているべき安全性を備えなかったことが引き金となり、地震でこれらが倒壊して人が下敷きになった場合は賠償責任が生じます。
所有している建物が建築された当時の建築基準を満たしていない違法建築の場合も、オーナーの過失です。
一方、通常の安全性を備えており、想定を超える大規模な地震が発生して塀が倒れたり、瓦が飛んだりしたりするなら責任はありません。
地震が引き金となった場合も、建物の瑕疵が損害の原因の一部と判断されると、建物の所有者は賠償責任を負います。
老朽化を放置していた場合
建物に瑕疵がなくても、建物自体や設備が老朽化したことによって被害が生じた場合、オーナーに責任が問われるケースもあります。
なぜなら、老朽化した建物や設備を放置していた場合、オーナーの瑕疵と認められ、入居者はオーナーに対して賠償請求の請求ができるためです。
例えば、地震によって窓ガラスが割れたり、屋根が落下したりし、人に損害を与えてしまった場合に、老朽化している建物だとオーナーに落ち度があると判断されます。
老朽化によって起こるリスクへの対処は、オーナー自身が行わなければなりません。
不動産投資を始めるなら地震保険に加入
不動産投資を始めるにあたって、前項で紹介したようなリスクに備えて地震保険に加入するのが望ましいです。では、地震保険とはどのようなものなのか、その概要について説明していきます。
地震保険の仕組みと必要性
地震保険は通常の保険商品とは異なり、官民一体の制度で運営されている保険です。たとえば、基準以上の巨額な地震損害が発生した 場合には、政府が再保険してくれる特徴があります。
また、通常の保険商品と異なり、地震保険の場合には保険料に保険会社の儲けが含まれていません。地域ごとの地震の発生確率や建物の構造などを考慮して政府で決めています。そのため、どの保険会社でも地震保険の保険料は同じ金額です。
補償内容も保険会社による違いはありません。安価な保険料で手厚い補償を受けることができます。ただし、地震保険だけを単体で契約することはできません。火災保険にプラスして契約する形になっています。
大きな地震が発生した場合には、公的な支援が行われることが多いです。しかし、その多くは地震が発生した地域に居住している人を対象にしています。不動産投資オーナーを対象にした公的支援は決して多くはないので、公的支援をあてにせず、自分で備えておく必要があります。
地震は地域を問わずにどこでも起こる可能性があります。不動産投資を行うなら、万が一に備えて地震保険に加入しておけば安心です。
地震保険の料金と限度
地震保険の保険料はセットで加入している火災保険の保険料の30~50%の範囲内で決められます。被災した場合に降りる保険金の金額は建物に対しては5,000万円、家財は1,000万円が上限です。
上限の範囲内で、損害の程度や認定基準により保険金の金額が決定されます。また、損害の程度ごとにも保険金の上限が定められています。具体的には次の表のとおりです。
損害の程度 | 支払い保険金の上限 |
全損 | 時価額 |
大半損 | 時価額の60% |
小半損 | 時価額の30% |
一部損 | 時価額の5% |
地震保険加入の手続き
すでに火災保険に加入しているなら、保険会社に連絡して地震保険に加入したい旨を伝えると加入手続きを行えます。地震保険と火災保険は「必ず一緒に加入しなければならない」ということはなく、後から加入することも可能です。
しかし、地震発生リスクの高さによっては加入できないこともあります。これから火災保険に加入するなら地震保険も同時に加入しておくのが望ましいでしょう。
地震保険の契約期間は最長5年です。火災保険の保険期間が5年より短ければ火災保険と同じ保険期間が最長になります。そして、保険期間が満了すると自動継続される仕組みです。もちろん止めたい場合には、事前に申し出ることで止めることもできます。
保険料は契約期間分の一括支払いが可能です。契約期間が長いと1回で支払う保険料の金額は大きいですが、総額は安く抑えられます。できれば5年で契約するのが良いでしょう。
地震保険の補償範囲
地震保険に加入すると、プランによって異なるものの、津波や噴火による被害も補償の対象となります。
ここでは、地震保険が適用される災害の種類を紹介します。
地震による津波
地震によって発生した津波で所有する物件が被害を受けた場合、地震保険で補償されます。
津波は地震の発生によって海底が押し上げられ、海の壁が海岸に押し寄せる災害で、海に近い建物は壊滅的なダメージを受けるリスクが高いです。
エリアによっては地震による建物の倒壊よりも、津波による建物の倒壊リスクの方が高いケースもあります。
津波で被害が発生した場合に、火災保険では補償されないため、津波に備える場合は地震保険の加入が必要です。
なお、津波災害にも備えたい場合は地震保険の契約内容をチェックし、津波に対する補償が受けられるかどうかも確認しておきましょう。ハザードマップで津波の浸水エリアに入っていない場合、山間部の場合は津波のリスクはないため、津波の補償は必要ありません。
噴火
地震保険は、プラン内容によって異なるものの、火山の噴火によって発生する以下のような被害も補償対象となります。
- 噴火による爆風で住宅が倒壊
- 噴火による火砕流で家財が焼失
- 噴火による津波で住宅が焼失
- 噴火による火山灰で住宅被害
- 火山性の地震によって住宅が損壊
噴火も地震と同じように回避が難しい災害であり、ひとたび発生すると、生活に大きな影響を与えます。
投資している物件のエリア近くに火山がある場合、もしくは離れていてもハザードマップで被害が予想されている場合、噴火に備えるという意味でも地震保険に加入しておくと安心です。
一方、噴火の際に空気の振動でガラスが割れる空振の被害が発生する場合もありますが、このような損害は地震保険で補償されません。
地震による火災
地震による火災は地震保険の補償範囲となりますが、火災保険では補償範囲外となります。
火災保険で地震の火災がカバーされない理由は、大地震の発生時には想定を上回るような火災損害の発生が予想されるためです。そのため、民間の保険会社の資力では十分に対応できず、地震による火災は政府のバックアップがある地震保険での補償とします。
地震が発生すると家屋の倒壊や家具の転倒により、ガス管や電気配線が破損したり、暖房器具に可燃物が接触して火災を誘発するケースも少なくありません。
また、地震による停電が発生した場合、スイッチが切れていないと電気機器が通電状態となって火災が発生する通電火災のリスクも高まります。
このような地震由来の火災に備えるためにも、地震保険への加入をおすすめします。
不動産投資で地震保険に加入するメリット
地震保険は経済的・精神的なメリットが期待できます。
ここでは、地震保険に加入するメリットを紹介します。
保険料は経費計上できる
不動産投資において地震保険に加入するメリットは保険料が経費になることです。
地震保険は不動産投資に必要な経費として全額計上できるため、税金負担を減らすことができます。
例えば、年間に3万円の地震保険料を支払っている場合、年間の収入から3万円を差し引けるというわけです。
なお、数年分を一括で払っている場合は1年分の保険料に算出して経費計上を行います。
仮に5年間で15万円の地震保険料を支払っている場合、その年に計上できるのは3万円ですが、5年先まで計上可能です。
地震保険を経費として計上する場合、損害保険料に仕分けできます。火災保険も地震保険と同様に損害保険料として計上できるため、それぞれ計上を忘れないようにしましょう。
不動産投資の経費に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
⇒不動産投資でパソコンや車は経費にできる?経費計上できるものとできないものを紹介
地震による損害を最小限に抑える
地震保険に加入するメリットは、地震による損害が最小限に抑えられるため、スムーズに生活の立て直しができることです。
地震で建物が大きな被害を受けてしまうと、入居者に部屋を貸し出しすることができず、予定していた家賃収入が途絶えてしまいます。建物が被災したからといって不動産投資ローンの返済に猶予期間が設けられるわけではありません。
このような場合、地震保険に加入しておくと保険金をローン返済に充てられるため、地震による損害を最小限に抑えられます。
保険金で建物を修繕して価値をもとに戻すことができれば、早期の段階で家賃収入の回復にもつながるでしょう。
地震による建物被害や家賃損失の補填ができるのは地震保険のみであり、火災保険ではサポートされない部分になります。
日本ではほとんどの場所で地震のリスクがあるため、地震による損害を最小限に抑えるためにも地震保険は必須といえるでしょう。
物件によっては地震保険料が割引になる
不動産投資の対象となる物件の種類によっては、地震保険料が割引になる場合もあります。
保険会社によって地震保険の割引内容は異なるものの、以下のような割引制度が用意されています。
- 免震建築物割引
- 耐震等級割引
- 耐震診断割引
- 建築年割引
免震建築物は住宅の品質確保の促進に関する法律に基づく免震建築物、耐震等級は品確法に基づく耐震等級です。また、耐震診断割引は耐震診断の結果が国の求める基準に達していた場合、建物年割引は1981年6月1日以降に新築された建物が対象となります。
中には地震保険料が50%割引になるものもあり、条件を満たしていれば、お得な金額で地震保険に加入することも可能です。
不動産投資で地震保険に加入するデメリット
不動産投資で地震保険に加入するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、不動産投資で地震保険に加入するデメリットを紹介します。
損害額の全額補償が難しい
地震保険で補償されるのは火災保険の50%程度が限度であるため、地震で被害が発生しても全額補償されない場合があります。
例えば、5,000万円のマンションの場合、火災によって全焼したときは5,000万円が支払われますが、地震の場合だと2,500万円の補償です。
この場合、残りの2,500万円は自己負担となってしまうため、地震保険に加入していても大きな負担になってしまう可能性があります
ただし、保険会社によっては火災保険の特約として、地震保険で足りない部分の保険金を上乗せする保険を販売している場合もあります。
上乗せの特約として挙げられるのは、「地震危険等上乗せ補償特約」と「地震火災費用特約」の2つです。
地震危険等上乗せ補償特約は被災時に地震保険金と同額の保険金が受け取れるため、もともとの地震保険と合わせて全額補償となります。
一方、地震火災費用特約は地震が原因で発生した火災による損害に対し、地震保険と合わせて全額補償ができるというものです。地震保険の保障内容に不安を感じる場合は、特約を付帯するのも方法の一つといえます。
エリアによっては地震保険が高額でキャッシュフローに影響する
地震保険の保険料は地域差が大きく、場所によっては高額な支払いとなり、キャッシュフローに影響する可能性があります。
地震保険に地域差があるのは、高精度の地震発生モデルを利用して被害予測シミュレーションを行い、それに基づいて保険料を算出しているためです。
保険料が高いからといって地震リスクが高いわけではなく、保険料は地震が発生したときの被害の大きさを示しています。なお、地震保険料は損害保険料算出機構が適正かどうかを毎年チェックしており、必要があれば保険料を変えています。
地震保険は火災保険に付帯する保険であるものの、地域差が大きく、キャッシュフローに影響するような支払いになる場合があるため注意しましょう。
不動産投資におけるキャッシュフローの重要性や意味は、以下の記事でも詳しく解説しています。
⇒不動産投資のキャッシュフローの重要性|マイナスでも問題ない?
不動産投資で地震リスクを回避する方法
地震保険に加入すること以外にも、次のような方法で不動産投資を行う際の地震リスクを回避することができます。
購入する物件の耐震基準を確認する
新耐震基準を満たしていない物件は地震に弱いため避けた方が無難です。物件を購入する際に、築年数や改修履歴を参考にして、新耐震基準を満たしているかどうか確認しておきましょう。
1981年6月1日以降に建てられた物件なら新耐震基準に適合しています。1981年5月31日以前に建てられた物件だと、基本的には新耐震基準に適合していません。しかし、耐震改修が行われていれば、新耐震基準を満たしていることになります。
物件が建っている土地の地盤を確認する
物件が地震に強いかどうか判断する際には、新耐震基準だけでなく地盤の強さも重要です。建物の強度は同じくらいでも、地盤次第で地震発生時の被害状況に差が出ることもあります。
地震の揺れで建物が破損することはなくても、津波や液状化で被害を受ける可能性もあるでしょう。
そのため、物件購入の際には、ハザードマップなどを見て津波や液状化のリスクを確認しておおくのが望ましいです。
物件のエリアを分散する
複数の物件を所有するなら、エリアを分散することで、地震リスクを軽減できます。ふたつ物件を所有していて、そのうちひとつが地震で被害を受けても、別のエリアにあるもうひとつの物件が無事なら、その分の収益を失わずに済みます。
もし、同じエリアや近いエリアに集中して物件を所有していれば、そのエリアで大きな地震が起こったときに被害が大きくなります。
また、エリアが違えば環境なども異なるため、物件を分散させることで収益の安定化にもつながるでしょう。
まとめ
日本はどこに住んでいても地震災害の可能性があり、不動産投資に大きな影響を与えるリスクがあります。
予測できない地震災害に備えるためにも、地震保険に加入しておくと安心です。
また、地震保険は地震による建物の被害だけでなく、津波や噴火などの災害による損失も補償の対象範囲です。津波や噴火のリスクに備えるという意味でも、地震保険に加入しておくとよいでしょう。
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